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ニュース 介護業界ニュース 2024/05/07

Apple Watchを活用して高齢者の健康をサポート!健康型有料老人ホーム「マゼラン 湘南佐島」の取り組み

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介護のみらいラボ編集部コメント

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神奈川県横須賀市にある健康型有料老人ホーム「マゼラン 湘南佐島」は、健康な自立の高齢者のみ入居できる高齢者施設です。健康寿命の延伸を実現するためさまざまな取り組みを実施しており、健康管理のため、入居者さんは全員Apple WatchやiPhoneを身につけています。入居者さん全員がデジタルデバイスを身につけている施設は珍しいですが、一体どのように健康管理を行っているのでしょうか。導入のきっかけやデバイスの活用方法について、マゼラン 湘南佐島の支配人 稲葉淳氏に話を聞いてみました。

1.マゼラン湘南佐渡とはどんな施設?

――「マゼラン 湘南佐島」の施設紹介をお願いいたします。

神奈川県横須賀市に位置する健康型有料老人ホームです。自立した健康な高齢者のみ入居いただける施設で、2022年12月に本格運用を開始しました。2024年現在は、60代から90代まで計11名が入居されています。特徴は大きく2つあります。1つ目は、常に外部とコミュニケーションを取れることです。当施設は複数のコミュニティを併設しており、施設内にあるレストラン・カフェ・スパ・フィットネススタジオの全てを外部に開放しています。これにより、常に外部の方が施設を訪れるため、ご入居されているお客さまが社会的に孤立してしまうことはありません。

2つ目は、お客さまの健康管理に注力していることです。当施設は「健康なあなたをより健康に」をコンセプトにしており、お客さまの健康の状態を一日でも長くするためのサポートを行ったり、身体を動かすプログラムを多数提供したりしています。そのため、ご入居時の説明では、できるだけ多くのプログラムを活用していただくことをおすすめしています。一般的な高齢者施設では、身体を動かす機会が限られることが多く、一日中部屋で景色を眺めるだけの生活を送っているケースも少なくありません。しかし、これでは筋力や体力が低下してしまいます。当施設では健康管理サポートを行うと同時に、多種多様なプログラムをご提供することで、お客さまの心と身体が良好であり続けられるように努めています。

2.データに基づいた健康管理サポート

――健康管理については、具体的にどのようなサポートを実施しているのでしょうか。

月別と日別のルーティンにより、年に一度の健康診断ではわからない、日常生活に潜む改善点にアプローチすることで「健康増進」を実現しています。経時的に健康状態を知り、改善できることが当施設サービスの最大の特徴でもあります。

月別のルーティンは、各種データを活用した個別の入居者面談です。Apple Watchや専用アプリ、その他体組成計や疲労ストレス計などによって、心電図や心拍数、血中酸素ウェルネス、運動量などのヘルスケアデータを集積し、そのデータに基づき、毎月専任の医師による解析とアドバイスをお客さまとの個別面談で実施しています。また、同時に1ヶ月間の過ごし方のガイドラインをお伝えしたり、生活習慣を改善するアクティビティのご提案をしたりしています。

日別のルーティンは、毎朝全員で運動やストレッチを行うことです。朝9時10分からは全員でラジオ体操に取り組み、その後は施設の外側にある浜辺まで、往復2,000歩程度の散歩を職員と一緒に行っていただいています。2,000歩程度の散歩と聞くと軽そうに思えるかもしれませんが、浜辺に出るための坂道を登り降りする必要があるため、結構な運動なのです。さらに、散歩が終わった後は、フィットネススタジオで個別のトレーニングを受けることもできます。健康状態を維持するためには、継続的な運動が欠かせません。当施設では運動を習慣化することで、毎日無理なく身体を動かせるようにサポートしています。

毎朝全員で実施しているラジオ体操の様子

毎朝全員で実施しているラジオ体操の様子

3.施設でのApple Watchの活用方法

――施設でのApple Watchの活用方法について教えてください。

Apple Watchの主な利用目的は、ヘルスケアデータの集積です。心電図や心拍数、血中酸素ウェルネス、運動量などのデータを集め、お客さまの健康状態の把握に努めています。また、入浴時以外は一日中装着していただくことで、睡眠の質についてのデータも集めるようにしています。取得したデータは、施設のスタッフはもちろん、お客さまご自身でも確認ができるため、運動習慣や身体状況の可視化にも役立っています。

ただ、デバイスの装着を続けていただくには、お客さまにとってもメリットがあった方が継続に繋がりますよね。そこで当施設では、「Apple Watchコインシステム」を導入しています。Apple Watchコインシステムとは、Apple Watchを装着して運動やアクティビティに取り組んでいただくことで、仮想通貨ポイントが貯まる仕組みのことです。歳を重ねるに従ってポイントが貯まりやすくなる仕組みで、例えば90代の方であれば、6,000歩で6,000ポイントが貯まります。なお、貯まったポイントは1ポイント1円として、施設内のレストランでの支払いや、アクティビティの参加料金として使用できます。ポイントの使用方法は、iPhoneにインストールされている専用アプリにて簡単な操作をするだけ。ポイントを使用して家族と食事をしたり、友人とコーヒーを飲んだりすることを楽しみにしている方も多くいらっしゃいます。

4.Apple Watchを導入したきっかけ

――Apple Watchを導入したきっかけは何だったのでしょうか。

お客さまのサポート方法について検討した際に、Apple Watchが最も適しているのではと考えたためです。当施設のオープン時、お客さまをサポートする様々な方法を考えました。例えば、部屋に取り付けるセンサーなども検討しましたが、部屋から出てしまうとサポートできないため、難しいという結論に至ったのです。そこで、24時間身につけられるウェアラブルデバイスに注目。健康管理の機能が充実しており、開発アプリとの連携にも優れていることや、普段から診療にApple Watchを活用している医師とも連携を取れたことにより、Apple WatchやiPhoneを導入する形となりました。

5.デジタルデバイスの装着を習慣化してもらうために

――デジタルデバイスの装着を習慣化してもらうために行っている工夫はありますか。

デジタルデバイスを装着する便利さや重要性について、入居時にしっかりとご説明することです。ただ単に「当施設ではApple Watchをつけて生活してくださいね」と声をかけるだけだと、その良さを実感し、活用していただくことはなかなか難しいといえます。もちろん、最初から使いこなすことは難しいですが、慣れてきたら定期的にデータを見て、自らの運動習慣や健康状態を振り返っていただきたいと考えています。そのためオリエンテーションを実施して、なぜApple Watchの装着を推奨しているのかや、Apple Watchの必要性について十分な説明をするように心がけていますね。実際にお客さまのご様子を見ていると、今まで一回もApple Watchを使ったことがない方でも、すぐに慣れて、装着しているのが当たり前になっているようです。ポイント制度を導入していることもあり、皆さん積極的に活用してくださっていると感じています。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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