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ニュース 介護業界ニュース 2024/06/20

#インタビュー

子ども達に介護職を理解してもらうための工夫とは?介護福祉士の体験ができる「ケアサポートセンター」パビリオンをキッザニア東京に出展

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ⒸKCJ GROUP

介護のみらいラボ編集部コメント

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2023年7月、子ども達の職業・社会体験施設であるキッザニア東京に、介護福祉士の体験ができる「ケアサポートセンター」パビリオンがオープンしました。同パビリオンは介護事業を担うSOMPOケア株式会社が手掛けており、その背景には、子ども達に介護の仕事についての素晴らしさを知って欲しいとの想いが込められています。

子どもに介護の仕事について説明することは簡単ではありませんが、パビリオンでの体験にはどのような工夫がされているのでしょうか。SOMPOケア株式会社 地域包括ケア推進部の薄一臣氏と、同社広報部の佐藤真樹氏、小林美佳子氏に話を聞いてみました。

1.アクティビティの内容を考えるにあたり工夫したこと

――アクティビティの内容を決めるにあたり、大変だったことや注力したことをお聞かせください。

薄:アクティビティの全体構成を考えることには、多くの時間を要しました。約30分という限られた時間のなかで体験を完了させる必要があるうえに、面白さや分かりやすさ、周囲の人が見て何をしているのか理解しやすいことなどが求められます。

当社が運営している介護施設のスタッフにもアイディアを出してもらったのですが、どれも30分以内に終わりそうになかったり、外からパビリオンの中を見た時に何をしているのか分かりにくかったりして、なかなか決まりませんでした。とにかく「従来の介護」と「未来の介護」の両方を体験できるだけでなく、お子さんに楽しんでいただける内容にしたかったので、キッザニアの担当者さんとも話し合いながら、時間をかけてアクティビティを決めました。

佐藤:パビリオンの内部を見た際に、「楽しそう」と思っていただけるようにすることも、注力した点の一つです。一般的に介護と聞くと、暗いイメージや、ネガティブな印象を持つ方が多い傾向にあります。そのため、パビリオン内の壁の色や車椅子の色を明るくポップなものにすることで、おしゃれで明るいイメージを持っていただけるように工夫しました。

また、パビリオンにて使用する車いすも、移乗介助体験時のみ、実際に介護現場で使用している車いすを使い、キッザニア東京の施設内を移動する際は子ども用のポップなデザインのものを使っています。もちろん、パビリオンのデザインやアクティビティの内容は、キッザニア側のコンセプトにも合わせる必要があるため、この点もキッザニアの担当者さんと協議をしながら、改良を重ねていきました。

2.子ども達に体験してもらうにあたり気をつけていること

――子ども達に介護福祉士の仕事を体験してもらう際に、気をつけていることを教えてください。

小林:ただ介護職の体験を提供するだけでなく、相手を尊重する重要性についても理解していただけるように心がけています。「ケアサポートセンター」では、介護人形の「ケイコさん」を使って、離床介助や移乗介助を体験するアクティビティを提供しています。このケイコさんは本物の高齢者ではなく、人形なので、当然会話を理解することはできません。

しかし子ども達には、「ケイコさんに接する際には、必ず声をかけて丁寧に対応してくださいね」とお伝えしています。具体的には、ケイコさんのお部屋に入る際には「ケイコさん失礼します」と声をかける、介助の動作に入る前には「身体を触りますね」と言ってから身体を起こすなどが挙げられます。こういった声かけは、介護の現場でも同じように行っています。

また、介護は身体的な介助をするだけではなく、その方の人生に寄り添うものであることを意識していただけるような取り組みも行っています。今回、「ケアサポートセンター」にケイコさんを導入するにあたり、キッザニアの担当者さんに、「観劇が好き」「おしゃれが好き」などの設定を考えていただきました。そして子ども達には、「これからケイコさんはキッザニア東京内の劇場へお出掛けする」という設定を説明したうえで、車いすへの移乗を行い、さらにケイコさんが身につける帽子やストールを選んでもらっています。

なお、このような介護をする方を尊重する重要性や、その方に寄り添うことの大切さについては、体験を通して学ぶだけでなく、「ケアサポートセンター」に常駐しているキッザニアのスーパーバイザーからもお話していただいています。「ケアサポートセンター」での体験を通して、思いやりの気持ちも学んでいただければ嬉しいです。

車いすへの移乗体験の後は、ケイコさんの身だしなみを丁寧に整える ⒸKCJ GROUP

車いすへの移乗体験の後は、ケイコさんの身だしなみを丁寧に整える ⒸKCJ GROUP

3.スーパーバイザーはどんな方?

――パビリオンに常駐しているスーパーバイザーは、介護職の経験者なのでしょうか。

佐藤:パビリオンに常駐しているスーパーバイザーは当社の社員ではないため、介護職の経験がある方はほとんどいらっしゃいません。そのため、「ケアサポートセンター」の担当となったスーパーバイザーには、パビリオンのオープン前に当社の研修を受講していただき、移乗の方法をはじめとした介護技術の基本を身につけたうえで、子ども達のサポートをしていただいています。

またその際、介護技術だけでなく、利用者様に寄り添う重要性についてもご説明しています。キッザニアのスーパーバイザーのみなさんは、研修で学習した内容を活かし、子ども達に分かりやすく丁寧に説明してくださるので、とてもありがたいですね。

4.今後の展望について

――今後の展望をお聞かせください。

薄:現在予定していることは、大きく2つあります。1つ目は、介護の仕事について理解を深めていただくための取り組みを継続することです。特に子どもと高齢者の関わりは、高齢者に対して非常に良い影響を与えており、実際に当社の介護施設にてSOMPO流子ども食堂を開催したことで、利用者様の笑顔やコミュニケーションが増えた事例もあります。このような多世代交流をはじめとした取り組みを、今後も実施していきたいと考えています。

2つ目は、介護職の処遇を改善することです。介護職は他の業界と比べて処遇が低い傾向にあり、その低さが人手不足の原因の一つとなっているのではないかと予想されます。そして処遇を上げるためには、当然ですが会社の収益を上げる必要があります。そのため当社では、テクノロジーを活用した介護モデルの変革や、私たちの介護のノウハウを他の介護事業者に提供するソリューションサービスにより、収益の多角化を図ることで、処遇の改善に取り組んでいく予定です。

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出典:取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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