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ニュース 介護業界ニュース 2024/07/29

かるたで遊びながら"喉トレ"!高齢者の飲み込む力を鍛える「喉トレ健康かるた」の魅力

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介護のみらいラボ編集部コメント

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「高齢者の誤嚥予防プログラムを実施しているけれど、あまり取り組んでもらえない」「楽しめるだけでなく、身体にも良い影響を与えられるレクはないだろうか」といったお悩みはありませんか。介護施設でよくある、このような課題の解決を目指して作られたのが「喉トレ健康かるた」です。楽しく遊びながら喉のトレーニングができるだけでなく、介護予防の知識も得られるかるたとは、一体どのようなものなのでしょうか。一般社団法人 日本声ヨガ協会理事の岩見知香氏に話を聞いてみました

1.喉トレ健康かるたとは?

――「喉トレ健康かるた」とは、どのようなかるたなのでしょうか。

「喉トレ健康かるた」は、日本声ヨガ協会が製作した、声ヨガの要素がたっぷり詰まった健康かるたです。声ヨガについて少し紹介すると、声ヨガとは、交流と社会的健康を促進するコミュニケーションのヨガです。発声・呼吸・瞑想を軸とした、年齢を問わず取り組みやすいエクササイズを行うことが特徴です。声ヨガのエクササイズに取り組むと、声が出やすくなったり、口周りの筋肉が鍛えられたりすることから、嚥下機能に問題が出やすい高齢者向けの活動も多数実施しています。

「喉トレ健康かるた」には、一般的なかるたと同様に絵札と読み札があり、テーブルの上に広げた絵札を取って遊びます。特徴は大きく2つあり、1つは身体や喉を使う「お題」が読み札に掲載されていること。もう1つは、介護施設のスタッフさんがいなくても、利用者さん同士で遊べることです。

それぞれについて説明すると、「喉トレ健康かるた」の読み札には、運動札・会話札・呼吸札・挑戦札・歌札の5つのテーマに沿ったお題が書かれています。例えば、「も:もう一杯好きな飲み物何度でも」という読み札には、「会話札:好きな飲み物は何ですか?」というお題が書かれています。この「も」の札が出た際には、同じテーブルの人同士で、好きな飲み物について語り合うといったイメージです。

お題には他にも「三三七拍子で手を叩きながら、腹の底から大笑いする」や「舌先を上に向け、笑顔で左右に十回ずつ大きく動かす」などがあり、かるたを一枚取るごとに、声を出したり、身体を動かしたりできます。チーム一丸となってお題に取り組むことで、無理なく身体や喉を使えるだけでなく、周囲の人と交流も深められるのです。また、「喉トレ健康かるた」は読み札を読む人と、絵札を取る人がいればいつでも遊べるため、施設のスタッフさんの手を煩わせることがありません。レクリエーションの一環としての実施はもちろん、利用者さん同士で楽しむためのツールとしてもおすすめです。

実際の取り札と絵札

実際の取り札と絵札

2.喉トレ健康かるた製作のきっかけ

――「喉トレ健康かるた」の製作背景を教えてください。

「楽しみながら介護予防ができるものを作りたい」と考えたことがきっかけです。声ヨガ協会では高齢者向けの教室を多数実施していますが、やはり講師の指導がないと、エクササイズの継続が難しいことも多いと感じています。そのため、教室が開催されない期間にも、声ヨガに取り組んでいただける方法はないだろうかと頭を悩ませていました。

そして色々な方法を模索した結果、声ヨガの要素を取り入れられるだけでなく、コミュニケーションの促進も同時に期待できるものとしては、かるたが最も適しているのではないかとの考えに至ったのです。高齢者の皆さんにとって、友達づくりのきっかけや、周囲の方と会話をするきっかけになって欲しいとの思いから、かるたの製作を始めました。

地域のお寺での声ヨガ教室の様子。多くの方々に試作品で遊んでいただき、意見を取り入れることで改良を重ねていった

地域のお寺での声ヨガ教室の様子。多くの方々に試作品で遊んでいただき、意見を取り入れることで改良を重ねていった

3.かるたの製作時に工夫した点

――かるたの製作時、特に工夫した点はありますか。

大きく2つあります。1つ目は、札のサイズを大きくしたり、デザインを親しみやすいものにしたりすることです。製作当初は一般的なかるたのサイズを想定していたものの、実際に印刷したところ大変読みづらく、全くシニア向けではない出来上がりになってしまったのです。そこで工夫を重ねてサイズを大きくして、最終的には文庫本と同じくらいの大きさのA6サイズにすることに。また、ユニバーサルデザインの字体や色調を取り入れることで、高齢者の方々が親しみやすい見た目に整えました。

2つ目は、読み札に掲載するエクササイズの難易度を選べるようにしたことです。声ヨガのエクササイズには、簡単なものから少し難しいものまであり、簡単なものは誰でも取り組みやすいものの、筋力アップには繋がりにくいという課題がありました。そこで、読み札の中に「発展編と上級編」のエクササイズも載せることにして、気分や体調に合わせて選んでいただけるようにしたのです。

例えば、「に:ニコニコと声出し体操のどトレだ」という札には、「パタパタカラカラの声出し5回」だけでなく、「【発展編】パカタラパカタラ、に【上級編】タカパラタカパラ、に」と記載されています。これは、難易度アップしたい場合は、「パタパタカラカラ」を「パカタラパカタラ」に変えることを意味しているんです。遊びながら楽しく声ヨガに取り組んでいただきたいとの思いから、読み札に載せるエクササイズはかなり頭を悩ませながら考えました。

4.参加者さんからの反応は?

――「喉トレ健康かるた」を用いた介護レクイベントも実施されたそうですね。参加者さんからの反応はいかがでしたか。

皆さんの反応を見ていると、「喉トレ健康かるた」は声を出しやすくするだけでなく、コミュニケーションの促進にも役立っているようです。先日のイベントでは、2週間誰とも喋っていないという方が参加されたのですが、会話札が出た際にとても気持ちよくご自身のことを話されていて、周囲の方との会話を心から楽しまれているご様子でした。

また、軽度のうつ病の方や統合失調症の方など、普段周囲の方とコミュニケーションを取ることが難しい方が、同じテーブルの方と一緒にとても楽しそうにかるたで遊んでいる姿を見て、施設のスタッフさんが大変驚かれたこともあります。「ものすごく楽しかったので、1ヶ月に1回と言わず毎週開催して欲しい」といった感想を参加者さんからいただいた際には、とても嬉しかったうえに、今までの製作時の苦労が吹き飛びましたね。

岩見氏と完成した「喉トレ健康かるた」

岩見氏と完成した「喉トレ健康かるた」

5.今後の展望

――今後の展望をお聞かせください。

さまざまな業種の方とコラボすることで、もっと声ヨガや喉トレ健康かるたを広めていきたいと考えています。現在は滋賀県大津市にある大津市歯科医師会とのコラボも検討していて、嚥下機能を鍛えたり、口腔機能を整えたりするイベントを一緒に開催したいと考えています。高齢化が進む現在、さまざまな企業や団体が健康寿命を伸ばす取り組みを行っています。同じ想いを持って活動している方との繋がりを持ちながら、声ヨガの魅力を多くの方に伝えていきたいです。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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