Produce by マイナビ介護職 マイナビ介護職

介護の未来ラボ -根を張って未来へ伸びる-

ニュース 介護業界ニュース 2024/08/29

#インタビュー

吉本興業のお笑い芸人が考えるレクリエーションとは?「よしもとお笑い介護ブ!」部長に聞く介護レクを考えるコツ

0820_thumb.jpg

介護のみらいラボ編集部コメント

.

「よしもとお笑い介護ブ!」は、介護や介護レクリエーションに興味を持つ、吉本興業所属のタレントの集まりです。レクリエーション介護士や介護福祉士の資格を所持しているメンバーも多く、各メンバーは日本全国の介護施設にて、お笑いの要素を取り入れたレクリエーションを実施しています。

また2023年には、オリジナルの要素をふんだんに取り入れた『現場でウケる!よしもと芸人の介護レク 46選』を出版しました。お笑いの要素を取り入れたレクリエーションは、一体どのように考えられているのでしょうか。「よしもとお笑い介護ブ!」の部長であり、お笑いコンビ「span!(スパン)」の水本健一氏と、マコト氏に話を聞いてみました。

1.レクを考える際に意識していること

――『現場でウケる!よしもと芸人の介護レク 46選』には、46ものレクリエーションが掲載されています。レクを考える際に意識していることを教えてください。

水本:新しいものや、複雑なものを作らないことです。「オリジナルのレク」と聞くと、何か新しいものを考えなければと思うかもしれませんが、あまり複雑すぎても、参加者さんは混乱してしまいます。そのため、「既存のゲームをどこまで面白くできるか」という視点で考えるようにしています。

ただ、レクを考えるのは簡単ではないと思います。僕たちも最初は何をして良いか全く分からず、毎回既存のレクをやっていた時もありました。その時は、芸人らしさを活かして、テンションを変えたり、話し方を変えたりして、「もっと楽しいと思っていただけるにはどうすれば良いか?」を常に意識していましたね。

2.特におすすめのレクリエーション

――本に掲載されているなかで、特におすすめのレクリエーションはありますか。

水本:それはもう、全部おすすめしたいです!でも、1つ選ぶとすれば、僕が考えた「大阪道頓堀なんでやねんゲーム」でしょうか。このゲームは、大阪の道頓堀にある物にちなんだゲームで、ルールはとても簡単です。

<大阪道頓堀なんでやねんゲーム>

1)リードする人が「かに道楽」「くいだおれ人形」「グリコ」などと、道頓堀にある物を言う
2)参加者さんは、「かに道楽と言われたらチョキ」「くいだおれ人形だったらグー」「グリコだったらパー」など、グーチョキパーのうち、それぞれの物にあったポーズをする
3)リードする人が「大阪城」など、道頓堀にない物を言った際には、参加者さんは、手を胸の前から斜め右に出しながら「なんでやねん!」と言う
4)スピードを変えるなどして、繰り返す

このゲームの特徴は、大阪以外のスポットを盛り込んでアレンジできることです。例えば、東京であれば、かに道楽やくいだおれ人形を、東京タワーや浅草寺に変えてみるのも良いと思います。「お寺をグーチョキパーで表現するのは難しいのでは?」と思うかもしれませんが、無理やりグーチョキパーに当てはめることで笑いが起きることもあるため、ぜひやってみてください。

マコト:僕はいくつかの折り紙を紹介しています。特におすすめなのはハートの折り紙ですね。ハートの折り紙はそこまでメジャーではないので、メッセージを書いてプレゼントに添えると、喜んでいただきやすいと感じています。珍しい折り紙は僕のYouTubeチャンネルでも紹介しているので、参考にしてもらえたら嬉しいです。

3.介護施設でのレク実施時に気を付けていること

――実際に介護施設でレクリエーションをする際に、1人でも多くの方に楽しんでいただくため、気をつけていることはありますか。

水本:特に意識しているのは、「できなくても大丈夫」と声をかけることです。本当はやりたいけれど、できなかったら恥ずかしいとの思いから、レクリエーションに取り組めない参加者さんはたくさんいらっしゃいます。そのため、「できなくても、やることに意味があるんですよ!まずはやってみてください」と声をかけるようにして、挑戦しやすい雰囲気をつくっていますね。実際に日常生活でも、友人など周囲の人に何かを試してもらうときに「できなくても、やることが重要だから諦めないで」と言うと、思いの外真剣に取り組んでくれるんです。まずはやってみようと思っていただけるように、声かけには気をつけています。

マコト:レクリエーションを提供している僕たちも楽しんだり、精一杯やったりすることも、重要な点の一つだと考えています。僕たちのレクリエーションのなかで、特に盛り上がるのが、「水本くんvs僕と参加者さん」という形式で行うチャレンジすごろくです。マスには「水本くんが真剣白羽取りをする」などと書いてあり、水本くんに目一杯動いてもらうことを目的としたお題がたくさん盛り込まれています。すると汗だくになる水本くんを見て、参加者さんが大笑いしたり、「がんばれがんばれ!」「まだまだいけるぞ!」などの声援が飛んできたりして、とても盛り上がるんですよね。こうして参加者さんに盛り上がっていただくためには、僕たち自身も楽しみながら、精一杯やることが非常に重要だと思っています。大変なこともありますが、「こんなに笑ったの久しぶり」などと言っていただけると、嬉しい気持ちでいっぱいになりますね。

オリジナルの「チャレンジすごろく」を行う水本氏とマコト氏

オリジナルの「チャレンジすごろく」を行う水本氏とマコト氏

4.レクへの参加率を高めるための工夫

――施設によっては、介護度が高くレクへの参加が難しい方が多い場合もあると思います。このような際に心がけていることや、参加率を高めるために行っている工夫があれば教えてください。

水本:これは先輩に教えていただいたことなのですが、たとえ参加者さんからの反応がなくても、いつも通りやるようにしています。反応がないように思えても、皆さん聞いてくださっているんですよね。例えば、全く身体を動かせず、ただ聞いているだけの状態の方でも、レクリエーションが終わってから話しかけてみると、耳元で「楽しかった」と言ってくださることもあります。そのため、「身体を動かしたり、笑ったりできなくても楽しんでくださっている方もいる」とのことを常に意識して、レクをするように心がけています。

マコト:先ほどお話したように、僕たちのレクリエーションではすごろくをすることが多いのですが、身体障がいをお持ちの方がいらっしゃる場合は、そのすごろくのマスを簡単なものに変更しています。すごろくのマスは動かせないのでは?と思うかもしれませんが、僕たちのすごろくは、ラミネートしたお題をホワイトボードに並べ、大きなサイコロを転がして遊ぶため、お題を自由に入れ替えられるんです。そのため場合によっては、「肩を5回上げる」などの身体を動かすお題を、「赤いものといえば?」などに差し替えて、参加者さん全員が楽しめるように工夫しています。お題を変えても、参加者さんと僕らでコミュニケーションを取り続けられることに変わりはありません。そのため、「どうすればより多くの方に楽しんでいただけるか」については、いつも考えていますね。

5.自信がなくても、胸を張って取り組んで

――『現場でウケる!よしもと芸人の介護レク 46選』を活用してレクリエーションを実施する施設に向けて、メッセージをお願いします。

水本:たとえ失敗してしまっても、頑張ってやっていたら、利用者さんや入居者さんも笑って受け止めてくださると思います。自信がなくても、胸を張って取り組んでみてください。もし失敗してしまったら、「今のどうでした?」と皆さんに聞いてしまうのもありだと思います。「このレクなら絶対ウケるはず!」という気持ちで、ぜひ色々チャレンジしていただけたら嬉しいです。

マコト:最初はうまくできないレクもあると思いますが、それぞれの施設の状況に合わせて、アレンジしてみてください。また、「もっとこうした方がいいかな」「2人でやった方がいいかな」など、スタッフさん同士のコミュニケーションのツールとしても使っていただけたら嬉しいです。


プロフィール

span!(スパン)

span!(スパン)

写真左:水本健一(みずもと けんいち)
大阪府八尾市出身。2004年吉本興業入社。レクリエーション介護士2級を所持し、よしもとお笑い介護ブ!部長を務める。特技はバスケットボール、初対面の人とすぐ仲良くなること、相方を片方の肩に乗せること。

写真右:マコト(まこと)>
大阪府大阪市出身。2004年吉本興業入社。日本折紙協会認定 折紙講師であり、子ども向けのワークショップや、介護施設でのレクリエーション活動を行う。特技はサッカー、折り紙、将棋、けん玉。

【日本全国電話・メール・WEB相談OK】介護職の無料転職サポートに申し込む

出典:取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー

最新コラムなどをいち早くお届け!
公式LINEを友だちに追加する

お役立ち情報を配信中!
X(旧Twitter)公式アカウントをフォローする

介護職向けニュースを日々配信中!
公式Facebookをチェックする

SNSシェア

タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

EGGOの執筆・監修記事