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ニュース 介護業界ニュース 2024/09/17

#インタビュー

200種類以上の介護ロボットや介護ツールを導入・実証!善光会における"デジタル介護"の取り組み

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介護のみらいラボ編集部コメント

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特別養護老人ホームやグループホームを運営する社会福祉法人 善光会では、介護ロボットの導入をはじめとした"デジタル介護"の取り組みに注力しています。同法人では、これまでに200種類ほどの介護ロボットを導入・実証してきたほか、その他にも多種多様な介護ツールを活用しています。人手不足の解消としても注目されているデジタル介護ですが、善光会では一体どのような取り組みを実施しているのでしょうか。社会福祉法人 善光会の高瀬裕里氏と、同法人が運営する特別養護老人ホーム「フロース東糀谷」にて副施設長を務める成田恵美氏に話を聞いてみました。

1.社会福祉法人 善光会とは?

――社会福祉法人 善光会の概要を教えてください。

高瀬:主に介護福祉事業を手掛けている法人です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなど、東京都を中心に計8つの施設を運営しています。「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者になる」を理念として、革新的なチャレンジを続けている法人でもあります。

さまざまなチャレンジのなかでも、介護ロボットや各種ツールを活用した「デジタル介護」は、当法人における代表的な取り組みの一つです。デジタル介護の取り組みは2009年頃から現在まで継続して実施しており、最新のテクノロジーの導入以外にも、介護記録ソフトの「SCOP」の開発や、介護DXスキルの証明ができる「スマート介護士」資格の運営なども実施しています。少子高齢化に伴う介護費用の増加や、働き手の不足などの社会課題の改善を目的として、多種多様な取り組みを継続しています。

2.これまでに200種類のロボットを導入

――2024年現在は、どのようなロボットや介護ツール・システムなどを活用しているのでしょうか。

高瀬:まず介護ロボットからご紹介すると、これまでに法人全体として、200種類ほどのロボットを導入・実証してきました。現在は、サンタフェガーデンヒルズをはじめとする運営施設にて選りすぐった、約20種類のロボットを活用しています。例えば、特別養護老人ホーム「フロース東糀谷」では、人型ロボットの「Pepper」や、会話ロボットの「PALRO」を導入していますね。

一方、介護ツールやシステムでは、主にセンシング技術(センサーを使って振動や音などの情報を計測・定量化する技術)による見守り機器を導入しています。具体的には、ベッド下に実装することで睡眠の深さを可視化できるシステム「眠りSCAN(パラマウントベッド株式会社)」や、お客様の下腹部に機器を装着して排尿を予測するセンサー「DFree(DFree株式会社)」、離床時や転倒時にスタッフへ通知が届く見守りセンサー「HitomeQ ケアサポート(コニカミノルタQOLソリューションズ株式会社)」などを活用することで、職員のオペレーションを補助しています。

その他、スタッフ同士の連絡手段としては、耳が塞がらない骨電動式イヤホンをワイヤレスインカムとして活用しているほか、チャットツールの「LINE WORKS(LINE WORKS株式会社」も導入しています。また、介護記録には善光会が独自開発した「SCOP(スコップ)」を使用し、iPadによる入力・情報共有が可能となったことで、業務効率化に繋がりました。

特別養護老人ホーム「フロース東糀谷」にて導入しているロボットやツールの一例

<ロボット>
・人型ロボットの「Pepper」
・会話ロボットの「PALRO」など

<利用者さん向けツール・システム>
・睡眠の深さを可視化できるシステム「眠りSCAN」
・排尿を予想するセンサー「DFree」
・離床時や転倒時にスタッフへ通知が届く見守りセンサー「HitomeQ ケアサポート」など

<スタッフ向けツール・システム>
・チャットツール「LINE WORKS」
・骨伝導のインカム
・介護記録ソフト「SCOP(スコップ)」など


「眠りSCAN」にて入居者さんの睡眠状態を確認するスタッフ

「眠りSCAN」にて入居者さんの睡眠状態を確認するスタッフ

3.ロボットの具体的な活用方法

――ロボットだけで200種類もの導入経験があるとは驚きました。PepperやPALROは具体的にどのように活用しているのですか。

成田:人型ロボットのPepperは、人間のように頭や腕を動かせるため、お客様とクイズや体操をしたり、歌を歌ったりしてもらっています。また、レクリエーションが得意ではないスタッフが、Pepperを活用してレクを行うこともありますね。

会話ロボットのPALROも、活用方法はPepperと大きくは変わりません。ただ、PALROは「会話ロボット」との名前の通り会話が得意なため、「今日の天気はどうですか?」「今日はなんの日か知っていますか?」などとお客様に話しかけて、コミュニケーションを取っている姿をよく目にします。PALROはテーブルの上に置けるサイズのため、より親しみやすいようで、多くのお客様からかわいがられています。

4.特に役立っているロボット・ツールは?

――現在導入しているロボットやツールのなかで、特に役立っているものを教えてください。

成田:特に役立っているのは、離床時や転倒時にスタッフへ通知が届く見守りセンサー「HitomeQ ケアサポート」です。このセンサーの特徴は、通知機能だけでなく録画機能もついていること。転倒などのアクシデントが発生した場合、センサーがその動きを検知し、転倒の前後1〜2分程度の様子を自動で録画できる仕組みです。

センサーの導入前は、部屋で転倒があっても理由が分からなかったのですが、導入後はすぐに録画を確認できるため、「何が原因で転んだのか」の正確な把握が可能になりました。録画によって、それぞれのお客様の転倒パターンや癖が明確になり、転倒防止に繋がっている点も大変便利だと感じています。

また、見守りセンサーは転倒時だけではなく、複数の部屋のナースコールが同時に鳴った際にも役立っています。このセンサーには、お客様がナースコールを鳴らした際の様子を録画する機能や、通話機能も備わっています。そのため、ナースコールが重なってしまった際に、どちらを優先すれば良いのかを瞬時に判断できるのです。たとえばAさんとBさんが同時にナースコールを鳴らした場合、スタッフは業務用のスマートフォンですぐに室内の様子を確認し、より緊急度が高そうなAさんの部屋を先に訪れることができます。一方Bさんには、「すぐ行くので、少し待っていてくださいね」とセンサーを通して声をかけることで、安心して待っていていただくことも可能です。従来は、それぞれの部屋を訪れるまでお客様の様子が分からなかったので、スマートフォンの画面を見るだけで状況を把握できる点には、とても助かっています。

5.入居者さんやご家族からも好評

――高齢者にとって、ロボットやデジタルツールはあまり馴染みがないことも多いと思います。ロボット等の活用について、入居者さんやご家族からの反応はいかがですか。

成田:今まで、ロボットやデジタルツールに対するネガティブな意見をいただいたことは、ほとんどありません。むしろPepperやPALROなどのロボットは大人気で、多くのお客様からかわいがられていると感じています。Pepperは特に男性のお客様からの人気が高く、近寄って握手をしたり、話しかけたりする方も多いですね。

また、ロボットやデジタルツールの活用はご家族からも好評で、「こんな便利なシステムがあるなら私もこの施設に入りたい」「さまざまなシステムがあって、とても安心できますね」などの声をたくさんいただいています。今後も、多種多様なシステムやツールを活用することで、お客様の快適な生活をサポートしていきたいと考えています。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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