介護×推し活で高齢者のQOLを向上!利用者とスポーツ選手が交流する「イマドキシニア」プロジェクトとは?

子どもから高齢者まで、幅広い世代から人気を集めるスポーツ。株式会社SOYOKAZEでは、そんなスポーツによる"推し活"を行い、高齢者施設の利用者さんのQOL向上を目指す取り組みを2021年より実施しています。スポーツによる推し活を取り入れている高齢者施設は珍しいですが、一体どのような取り組みなのでしょうか。株式会社SOYOKAZE 未来ビジネス開発部の中野駿平氏に、プロジェクトの概要や活動内容について聞いてみました。
1.「イマドキシニア」プロジェクトとは?
――「イマドキシニア」プロジェクトの概要を教えてください。
まず「イマドキシニア」について説明すると、当社が定義するイマドキシニアとは、主に1950年以降に生まれたシニア層を指しています。この世代は高度成長期の影響もあり、幼い頃から多くの娯楽に囲まれて育った方が大多数を占めています。そのため、「従来のような介護サービスだけではなく、より個性豊かな生活を送ってきた世代に向けたサービスを提供する必要があるのではないか」との考えから、2021年に当プロジェクトを開始しました。このスポーツの活用は、「イマドキシニア」プロジェクトの第一弾としての取り組みで、活動を継続することで、介護とスポーツを組み合わせた新たなサービスの展開を目指しています。
――様々な娯楽があるなかで、スポーツに注目した理由は何だったのでしょうか。
最大の理由は、スポーツというコンテンツが、高齢者を含めた幅広い世代に慣れ親しまれたものであるためです。特に現在のシニア層は、野球や相撲が好きな方が多い世代でもあるため、より多くの方に受け入れていただけるのではないかと考えました。
また、フレイル予防との親和性が高いと感じた点も、スポーツを選んだ理由の一つです。スポーツは筋肉の衰えを防止できるため、健康づくりやフレイル予防の効果が期待されています。さらに、特定のチームを応援すると、周囲の人と共通の話題ができて話が弾むだけでなく、実際に試合を見に行った際には、介護施設のスタッフ以外の方との交流もでき、社会との繋がりの増加も期待できると考えています。

現地での観戦は主にスポーツ好きな方を中心に人気を集めている
2.現在の主な活動はスポーツ観戦や選手との交流
――2024年現在は、どのような活動を行っているのですか。
現在の主な活動内容は、スポーツ観戦や選手との交流です。当社が運営しているデイサービスにて、試合のパブリックビューイングを楽しんだり、スポーツ選手に施設をご訪問いただき、その選手との交流を行ったりしています。選手との交流の頻度は1ヶ月から2ヶ月に1回ほどで、皆さん毎回の交流を楽しまれていますね。また、移動が可能なお客様のみにはなってしまいますが、実際にスタジアムへ試合観戦に行くこともあります。
2024年現在は、複数のスポーツチームや個人アスリートと協業しており、福島ファイヤーボンズ(プロバスケットボールチーム)や北九州下関フェニックス(プロ野球独立球団)などのスポーツチームをはじめ、プロサーファー、元幕内力士の方などに施設を訪れていただいています。現役のアスリートだけでなく、引退した方とも積極的な協業を進めることで、アスリートのセカンドキャリアの支援にも繋げていきたいと考えています。
3.交流から特定の選手を応援する"推し活"に繋げる
――"介護施設でのスポーツの活用"といえば、一般的にはテレビでの観戦が多いと思いますが、なぜ選手の方を施設にお呼びすることになったのでしょうか。
「もっと多くのお客様にスポーツへ興味を持っていただきたい」と考えたことがきっかけです。いくらスポーツが幅広い年代の方に人気があるといっても、当然お客様のなかには、とてもスポーツが好きな方もいれば、あまり詳しくない方もいらっしゃいます。
そのため、「まずは興味を持っていただくことが重要ではないか」との考えから、選手を施設にお呼びして、お客様と交流する機会を設けることにしたのです。スポーツ選手にはとても魅力的な方が多いので、今までスポーツをほとんど見たことがなくても、交流によってすっかりその選手やチームのファンになってしまうお客様も多いようです。この活動を、特定の選手を応援する"推し活"に繋げることで、もっと盛り上げていきたいと考えています。

グッズを使いながら全員で応援することも
4.その選手の競技にちなんだ方法で交流を行う
――選手の方との具体的な交流の方法について教えてください。
毎回、その選手の競技にちなんだ方法で交流を行っていただいています。例えば野球選手の訪問時は、柔らかいボールを使ってストラックアウトをしたり、簡単なバッティング体験をしたりしています。現在協業しているのは球技関連のスポーツチームが中心となっているため、ボールを使った交流が多い傾向にありますね。
もちろん、球技に関係した競技以外の取り組みも積極的に行っており、先日は元幕内力士の大岩戸義之さんや、行司をはじめとした相撲の専門職の方にお越しいただきました。訪問時は相撲に関する裏話だけでなく、シコ踏みなどの相撲独特の動きを取り入れた運動なども行っていただき、お客様は交流を心から楽しまれているご様子でした。それぞれの競技にちなんだ方法での交流をお客様に体験していただくことで、選手の凄さを肌で感じてもらえれば嬉しいです。
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介護のみらいラボ編集部コメント
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