佐賀県が介護職体験イベント「キッザケア サガ」を実施している理由は?自治体による介護職人材育成の取り組み

佐賀県では、子ども達に介護に関係する職業に興味を持ってもらうため、仕事体験イベントの「キッザケア サガ」を2021年から開催しています。同イベントでは、実際に介護の現場で働いている職員の方々が子ども達をサポート。介護福祉士や看護師などの本格的な体験ができると大変な人気を集めています。同イベントの開催背景や開催時の工夫について、佐賀県健康福祉部長寿社会課の西光明氏に話を聞いてみました。
1.「介護を身近に感じる体験」が将来の介護人材の確保につながる?
――「キッザケア サガ」の開催背景を教えてください。
私たち佐賀県長寿社会課では、介護現場に必要な人材を確保していくため、将来の介護を支える若者を育てる取り組みを実施しています。キッザケア サガは、そのような人材育成の取り組みの一環としてスタートしました。当イベントの開催以前に、介護現場で働く職員の方々に「介護の仕事を選んだきっかけ」についてお話を伺ったところ、父母が介護の仕事に携わっていた、家族が介護サービスを利用していたなど、「介護を身近に感じる体験」をしていた方が多いことが分かったのです。そこで、小中学生のうちに介護に関する職業を体験し、介護を身近に感じてもらうことが将来の介護人材の確保・育成に繋がるのではとの考えから、キッザケア サガの開催に至りました。
2.定員数は毎年増加し、2024年は1,000人に拡大
――2021年から毎年「キッザケア サガ」を開催するなかで、大変だったことはありますか。
「大変なこと」とは少し異なるかもしれませんが、初回の開催時に、実際にどのくらいの参加者が集まるのか分からなかったことは不安でした。しかし実際に開催してみたところ、そのような不安に反して大変多くの申し込みがあり、翌年からはより広いスペースを確保できる体育館などに場所を変更しています。毎年プログラムの内容を見直し、様々な関係者の予定を調整しながら開催するのは大変ではありますが、多くの方々にご参加いただいている様子を見ると、苦労が報われているように感じます。なお定員数は、320人、400人、500人と回を追うごとに増えていき、2024年は1,000人に拡大しました。

キッザケア サガは特に小学生から人気を集めている
――参加者さんが年々増加しているとのことですが、皆さんどのようなきっかけで参加しているのでしょうか。
当イベントに関する広報は、チラシの配布や新聞広告の出稿など様々な方法で行っています。なかでも、県内の小中学校に配布しているチラシを見て参加を決めてくださる方が多いようです。キッザケア サガは、実際に介護の現場で働いている職員の方々からサポートを受けられる本格的な職業体験イベントなので、そういった点に魅力を感じていただけているのではないでしょうか。また、保護者の方からのすすめで参加しているお子さんも多いのではと感じています。
3.中学生を対象とした介護の魅力発見バスツアーも開催
――佐賀県では、他にも若年層向けの介護イベントを開催しているそうですね。
2024年の夏には、介護の魅力発見バスツアーを開催しました。このバスツアーはキッザケア サガとは異なり、中学1年生から3年生のみを対象としています。概要について簡単に説明すると、介護福祉士の受験資格を取得できる高校や介護施設を訪問し、高校で学ぶことについて説明を受けたり、実際の介護現場での仕事を見学・体験したりするものです。高校への進学を見据えた中学生を対象としたイベントかつ、介護の現場をより具体的にイメージしてもらえるものとして企画しました。

どの職種も本格的な体験ができると人気
4.今後も佐賀県内の介護人材の確保・育成のために取り組んでいく
――今後の介護人材の育成やキッザケア サガに関して、展望を教えてください。
2021年から毎年キッザケア サガを開催したことで、職業体験に対するニーズや関心の高さを実感しています。今後も佐賀県内の介護人材の確保・育成のために、関係団体や介護の仕事に携わっている現場の職員の方々と協力しながら、体験型の取り組みを含め、引き続き様々なことに取り組んでいきたいと考えています。
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介護のみらいラボ編集部コメント
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