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【今日は何の日?】8月7日=異色キャストの『わんわん物語』(ラジオ東京)が放送スタート(1956年) / 雑学ネタ帳

浅沼氏が凶刃に倒れた東京・日比谷公会堂
66年前の1956(昭和31)年。ラジオ東京(現・TBS)にて、ディズニー映画でおなじみ『わんわん物語』のラジオドラマが放送スタートしました。放送は10月2日までの全9回でした。
ディズニー映画の日本語版公開を翌日(8月8日)に控え、その宣伝も兼ねたラジオドラマ版です。提供はカネボウ毛糸。映画同様にラジオドラマ版の制作にあたっては、三木トリロー(鶏郎)さんが編集監督とクレジットされており、三木さんが率いる冗談工房が深く関わっていました。
映画に出演する日本語版の声優を選定するにあたり、米国よりディズニープロのジョン・カッティング氏が来日。ラジオ番組に聞き入り、これはと思う声の持ち主を発見すると、冗談工房の面々が出演交渉に出向いていたそうです。まだ「声優」という職業が存在しない時代ならではのお話ですね。
主演のレディ役は宝田薫さん、そんなレディに恋してしまうノラ公(トランプ)役が俳優の小林桂樹さん、ナレーターが宇野重吉さんに決定しました。選定に難航したのがブル(ブルドッグ)役で、ラジオを聴いていたカッティング氏が「この声だ!」と白羽の矢を立てたのは、なんと当時、社会党書記長の浅沼稲次郎さんでした。カッティング氏は国会中継を聴いていたのです。早稲田大学時代は相撲部で活躍した立派な体格、政治家になった後も精力的な演説ぶりで「人間機関車」の異名をとった浅沼さんの声こそが「プル役に最適」と判断されたのです。
「ギャラはいくらでも払う。10日間時間をくれ」との条件で、浅沼さんとの交渉役を任されたのが当時、冗談工房の一員だった永六輔さんでした。粘り強い交渉も、現職の国会議員を10日間も拘束することは不可能でした。浅沼さんは「次に機会があったら引き受けるから」と言い、出演の話は見送られたそうです。映画版でブル役は落語家の古今亭今輔さんが演じました。
その後、映画ほどは拘束時間がないラジオドラマ版制作にあたり、浅沼さんに再度オファーしたところ、義理堅い浅沼さんは約束通りに快諾。超異色キャスティングとなる現役政治家の声優デビューとなったのです。
浅沼さんは4年後(60年10月12日)、日比谷公会堂での演説中に刺殺されてしまいます。61歳でした。
参照 : 昭和31年8月7日付の朝日新聞朝刊
集英社新書「永六輔の伝言 僕が愛した『芸と反骨』」(矢崎泰久編)
文 / 高木圭介
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介護のみらいラボ編集部コメント
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