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【今日は何の日?】3月6日=旺文社の"本の博物館"が火災~貴重な1万点が焼失(1965年)/ 雑学ネタ帳

《画像はイメージです》
ちょうど60年前の1965(昭和40)年。午後6時ごろ、東京・新宿区横寺町の出版社・旺文社(赤尾好夫社長)の出版文化センター会館の2階ホール付近から出火。防火造2階建の延べ1,000平方mのうち、678平方mを焼き、午後7時ごろにようやく鎮火しました。
現場は都電通りから約50mほど入った出版社や住宅が密集した地帯。東京消防庁では第三出場を指令し、ポンプ車など24台が消火にあたりました。この火事により、都電の飯田橋と牛込柳橋間約2kmが、約1時間にわたって上下線ともストップしました。
牛込署の調べによりますと、1階ホールは同社の総務局分室ですが、出火当時、火元とみられる2階ホールには誰もおらず、午後6時5分ごろに警備員男性が火事を発見した時点で、すでに中2階の床から天井にかけて火が回っていました。同署では石炭ストーブの不始末が原因とみています。
同会館は戦前期の1935(昭和10)年に建築。38(昭和13)年から17年間は社屋として使用。55(昭和30)年に北寄りに鉄筋4階建ての新本社が建設された後は「出版文化センター」として書物などを陳列。午前9時から夕方5時まで貴重な資料を一般公開していました。
この出版文化センターには、赤尾社長の個人コレクションを中心に、旺文社に集められた収集品が展示されており、その中身は国宝級のお宝がズラリ。木版出版物では世界最古といわれる称徳天皇が書かせた「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」のほか、東大寺八幡経、室町時代初期の春日版大般若経などの書物や経典類が集められ、「我楽多文庫」「赤い鳥」など明治・大正・昭和の3代に発行された文芸雑誌の創刊号など約3,000点が所蔵されており、国内文学史上の貴重な資料といわれていました。
また外国書でも英国で発行された世界一小さな辞書、エジプトのパピルス、古代中国の殷時代に獣骨に記された象形文字のような獣骨文字。古代インドで多羅樹の葉に書かれた経典「貝多羅葉本」、紀元前1,500年から200年の羊皮紙の本(パーチメント)、グーテンベルグの「四十二行聖書」、日本を世界に初めて紹介したといわれる17世紀オランダで発行された東洋地図など、古今東西の珍しい書物が約1万点と、エジプトなど外国の貨幣およそ3,000点、それに縄文式土器など内外の焼き物約1,000点が所蔵されていたのです。
それらを集めた赤尾社長は出火当時、同会館東隣の自宅で来客の接待中でしたが、従業員からの電話で現場へと急行。また本社で残業していた従業員や、近所にある同社の寮の人たち約100人が駆けつけましたが、火の手が早く貴重なコレクションは運び出せず、その大多数は焼失、または水浸しに。同社だけでなく国家的、いや世界的な損失になってしまった火事でした。
参照 : 昭和40年3月7日付の毎日新聞朝刊
文 / 高木圭介
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