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国際感染症センター長 大曲貴夫先生に聞く
(2) パニックは不要 病院・介護施設でコロナ時の面会はここに注意
解説:国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター 大曲貴夫センター長 医師 取材:中保裕子 医療ライター

新型コロナウイルスなど感染症の専門家、医師の大曲貴夫先生
前回に続き、国立国際医療研究センター・国際感染症センター長・大曲貴夫先生のインタビュー2回目をお届けします。今回は、ご家族からの要望が高い「介護施設での面会」など、介護職の皆さんが現場での判断に悩むことがらについて、専門家としてのアドバイスをいただきました。
コロナ第3波でも、面会制限の解除は、地域ごとの感染者数で判断する
新型コロナウイルスが猛威をふるい始めた3月頃から、病院、介護施設ともに感染予防のためお見舞い・面会が禁止されました。
第二波がようやく落ち着いた10月、入居者のご家族や認知症患者さんの支援団体から面会制限解除の声が高まり、それを受けて、厚生労働省は10月15日、「面会緩和通知」を通達しました。
ただ、緩和の「程度」は一律ではなく、それぞれの施設の判断に任され、さらに感染防止策を徹底すること、という「条件つき」での緩和となりました。
「緩和したいと思うけど、踏み切ることにちゅうちょしてしまう」「いきなり全面緩和?どんなタイミングで、どのくらい解除したらいいのかわからない」...といった声も聞かれます。
インフルエンザの場合、流行期は全国的に感染者が増えて、国が公表する「流行マップ」は全国真っ赤に染まってしまうのに、新型コロナウイルスは都市部に集中的に流行しているのもひとつの特徴です。
ただ、今は少ないところでも、今後再び感染者数が増えてくる地域もあり得るので、柔軟な対応が必要でしょう。地域ごとの現在の感染者数は、各自治体のホームページに出ていますので、参考にしてください。
面会者の健康チェックは「咳」「熱」だけでは不十分

介護施設のコロナ防御には、熱だけでなく頭痛などの症状がないか注意が必要
10月15日付の厚生労働省通知では、感染対策のための条件として、飲食や大声での会話を控えることや、可能なら居室ではなく換気可能な別室で会う こと、面会者は施設内のトイレをなるべく使わず、短時間で切り上げることなどが挙げられています。
家族や外部の連携職種にも感染予防の責任の一端を担ってもらう
「ふつうの風邪症状は新型コロナウイルスとは別」という感覚が根強いなかで、細かい健康チェックに協力してもらうのは結構ハードルが高いことかもしれません。
入居者の意識を変えようとせず、 介護職側の対策をしっかりと

新型コロナやインフルエンザの感染予防には、軽い風邪でも介護士が休める体制を作ること
介護職や訪問者がマスクを着けるのは必須としても、入居者にマスクを着用してもらうのはこれまた難題です。認知症の有無にかかわらず、高齢の入居者にまったく未知なウイルスへの理解を求めることがほんとうに難しい...という介護職の声も耳にします。
次回は、入居者の健康チェックや感染が疑われる場合の対応についてうかがいます。
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大曲 貴夫 医師
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院
国際感染症センターセンター長 国際診療部部長
1997年 | 佐賀医科大学(現:佐賀大学)医学部医学科卒業 聖路加国際病院内科レジデント |
2002年 | The University of Texas-Houston Medical School 感染症科 |
2004年 | 静岡県立静岡がんセンター感染症科医長 |
2007年 | 静岡県立静岡がんセンター感染症科部長 |
2010年 | 静岡県立静岡がんセンター感染症内科部長(部署名変更) |
2011年 | 国立国際医療研究センター病院国際疾病センター副センター長 |
2012年 | 国立国際医療研究センター病院国際疾病センターセンター長 |
2012年 | 国立国際医療研究センター病院国際感染症センターセンター長~ |