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すごい介護 介護スペシャルインタビュー 2020/11/19

#インフルエンザ#コロナ#大曲貴夫#感染症センター#感染症同時流行#感染予防#業界リーダー#中保裕子#介護施設

国際感染症センター長 大曲貴夫先生に聞く
(2) パニックは不要 病院・介護施設でコロナ時の面会はここに注意

解説:国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター 大曲貴夫センター長 医師   取材:中保裕子 医療ライター interview_20201119_01.jpg

新型コロナウイルスなど感染症の専門家、医師の大曲貴夫先生

前回に続き、国立国際医療研究センター・国際感染症センター長・大曲貴夫先生のインタビュー2回目をお届けします。今回は、ご家族からの要望が高い「介護施設での面会」など、介護職の皆さんが現場での判断に悩むことがらについて、専門家としてのアドバイスをいただきました。

コロナ第3波でも、面会制限の解除は、地域ごとの感染者数で判断する

新型コロナウイルスが猛威をふるい始めた3月頃から、病院、介護施設ともに感染予防のためお見舞い・面会が禁止されました。
第二波がようやく落ち着いた10月、入居者のご家族や認知症患者さんの支援団体から面会制限解除の声が高まり、それを受けて、厚生労働省は10月15日、「面会緩和通知」を通達しました。
ただ、緩和の「程度」は一律ではなく、それぞれの施設の判断に任され、さらに感染防止策を徹底すること、という「条件つき」での緩和となりました。
「緩和したいと思うけど、踏み切ることにちゅうちょしてしまう」「いきなり全面緩和?どんなタイミングで、どのくらい解除したらいいのかわからない」...といった声も聞かれます。

ーー 面会緩和を実施するかどうか、どのように決めれば良いのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症は、流行状況が地域によってかなり違います。ですから全国一律に面会制限をしなければいけないということではなく、その地域でどのくらい感染者が出ているかで判断すればよいと思います。

インフルエンザの場合、流行期は全国的に感染者が増えて、国が公表する「流行マップ」は全国真っ赤に染まってしまうのに、新型コロナウイルスは都市部に集中的に流行しているのもひとつの特徴です。

今の流行状況からいうと、北海道、東京都、大阪市、名古屋市あたりはある程度面会制限が必要かと思われます。それ以外の多くの地域ではそれほど感染者も多くなく、新型コロナウイルスが蔓延しているとは言えない状況です。蔓延していない地域で面会制限を行う必要性は低いと思います。

ただ、今は少ないところでも、今後再び感染者数が増えてくる地域もあり得るので、柔軟な対応が必要でしょう。地域ごとの現在の感染者数は、各自治体のホームページに出ていますので、参考にしてください。

面会者の健康チェックは「咳」「熱」だけでは不十分

頭を指し示す医師の大曲貴夫先生

介護施設のコロナ防御には、熱だけでなく頭痛などの症状がないか注意が必要

10月15日付の厚生労働省通知では、感染対策のための条件として、飲食や大声での会話を控えることや、可能なら居室ではなく換気可能な別室で会う こと、面会者は施設内のトイレをなるべく使わず、短時間で切り上げることなどが挙げられています。

ご家族など面会の方も、施設に出入りする以上、施設職員と同じように感染対策のルールを守ることが原則です。きちんとマスクをして、入り口での検温はもちろん、自覚症状についても自己申告をする。こうした条件を満たした信頼できる方のみが立ち入れるようにするなら施設を感染リスクから守りやすい。しかし、一般の方は職員に比べウイルス感染について知識をお持ちではありませんから、実際には職員と同じルールを徹底するのは難しいです。病院では入院患者さんを守ることを優先して、面会制限をせざるを得ません。
ーー 厚労省通知では、発熱している方はもちろん、のどの痛み、咳、だるさ、下痢、嗅覚・味覚障害といった症状のある方には、面会を断るように求めています。自覚症状のチェックとしては、「咳」「体温」だけでは不十分でしょうか?
インフルエンザの場合は、他人に感染させるのは発熱してからですが、新型コロナウイルスは、発熱前のほとんど無症状な時期から他人に感染させてしまう。面会の方が軽い風邪のような症状、たとえばちょっとのどが痛いとか、頭痛がするといった程度でも、新型コロナウイルス感染している可能性があるわけです。ですから、面会の方の健康チェック項目は体温と咳の有無だけでは不十分です。ぜひ『だるさ』『頭痛』『のどの痛み』『鼻水が出る』も加えていただきたいですね。なおかつ、マスクの着用と入室前の手洗いをきちんと守っていただくようにしてください。

家族や外部の連携職種にも感染予防の責任の一端を担ってもらう

「ふつうの風邪症状は新型コロナウイルスとは別」という感覚が根強いなかで、細かい健康チェックに協力してもらうのは結構ハードルが高いことかもしれません。

病院内でもお見舞いの方から『これくらいはいいだろう?』などという言葉を聞くことがよくあります。気持ちはわかるのですが、感染が発生したら、結果的に患者さん、職員みんなが困ることになります。面会に来られる方には、『感染対策は施設職員がすることで私たち家族には関係ない』といった考えではなく、施設を感染から守る責任感をご家族も共有していただくような空気づくりも大切です。
ーー 外部業者の来訪や施設内サービスの実施に当たり、気をつけるポイントを教えてください。
リハビリや美容も入居者にとっては大切。こうした外部サービスを締め出すのは感染リスクを下げるには簡単な方法ですが、長期的には悪い影響も出ると思います。ただし、実施する場合外部の職種の方にも、施設の感染防止対策の方針をよく理解していただいて、職員と同じようにルールを守っていただくことが大事です。多くの業者・職種の方は本来の仕事ができずに困っていたはず。再び仕事ができる場を増やすためにも、ルールを守ってもらい、感染対策の責任を施設の介護職とともに互いにになっていくという理解をしてほしいですね。業者さんや外部の職種も、施設の介護職もみんなで責任を共有する。そこでいっしょに仕事をする以上、運命共同体のようなものだと考えてほしいですね。

入居者の意識を変えようとせず、 介護職側の対策をしっかりと

マスクをしてこちらを見つめる男性医師

新型コロナやインフルエンザの感染予防には、軽い風邪でも介護士が休める体制を作ること

介護職や訪問者がマスクを着けるのは必須としても、入居者にマスクを着用してもらうのはこれまた難題です。認知症の有無にかかわらず、高齢の入居者にまったく未知なウイルスへの理解を求めることがほんとうに難しい...という介護職の声も耳にします。

ーー 入居者自身に感染予防意識をもってもらうには?
それは難しいですよね。高齢の方に『マスクを正しくつけてください』といっても難しいし、認知症の方であればなおのことだと思います。それを何とか理解を促して、しっかりやってもらおうとするのは非現実的でしょう。マスクをつけてもらうのが難しい以上、 他の入居者との距離をとる、施設内の換気をよくするなど、他の手段でいかに感染リスクを下げるかを考えるしかないと思います。入居者自身が感染対策をとれないからこそ、介護職自身の感染対策をしっかり行い、軽い風邪程度でも休みをとれる体制をつくり、施設内にウイルスを持ち込まないことが大切なのです。

次回は、入居者の健康チェックや感染が疑われる場合の対応についてうかがいます。

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プロフィール

大曲 貴夫 医師

国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院
国際感染症センターセンター長 国際診療部部長

国際診療部部長 大曲貴夫さん

1997年 佐賀医科大学(現:佐賀大学)医学部医学科卒業
聖路加国際病院内科レジデント
2002年 The University of Texas-Houston Medical School 感染症科
2004年 静岡県立静岡がんセンター感染症科医長
2007年 静岡県立静岡がんセンター感染症科部長
2010年 静岡県立静岡がんセンター感染症内科部長(部署名変更)
2011年 国立国際医療研究センター病院国際疾病センター副センター長
2012年 国立国際医療研究センター病院国際疾病センターセンター長
2012年 国立国際医療研究センター病院国際感染症センターセンター長~

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