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すごい介護 介護のみらい 2020/05/28

#サイバーダイン#先端技術#介護ロボット#佐野勝大#体験レポート

体験レポート。医療介護現場で使われるCYBERDYNE株式会社の装着型サイボーグとは 「つくばロボケアセンター」(2)

文:佐野勝大 編集者・ライター sugoikaigo_20200528_5_01.jpg

ずらりと並ぶ装着型サイボーグ「HAL®︎」。CYBERDYNE株式会社 CEO、山海嘉之さんの映像も見られた。

医療介護の現場で身体機能の維持や改善に大きな効果が期待できる、装着型サイボーグ「HAL®︎」。CYBERDYNE株式会社のロボケアセンターで、実際にHAL®︎自立支援用下肢タイプを身に着けて使用した、体験レポートをお送りします。

十分なリハビリや介護予防が受けられない方の受け皿に

ロボケアセンター。ここでは、加齢や事故・病気の後遺症などで身体が動かしづらくなった方に向けて、装着型サイボーグHAL®︎をはじめとする最先端のテクノロジーを駆使したプログラムを実施しています。

「入院時の保険適用によるリハビリが最大180日に制限されているなどの事情によって、日本では十分なリハビリが受けられない方が増えつつあります。自由診療になってしまいますが、ロボケアセンターはそういった方々の受け皿でもあるのです」(つくばロボケアセンター センター長代行/貴志浩通さん)

【利用条件】
・介助のもと立位姿勢を保てる方
・一人で座位姿勢を保てる方
・「HAL®︎』下肢タイプの適用サイズ(体重90kg以下&身長150~190cmほど)の方
・著しい関節障害(変形・炎症・脱臼)がない方

HAL®︎を使用した最先端のプログラム「Neuro HALFIT」は1回90分、料金は1回1万6,520円(1回目~20回目までの場合。2020年4月現在)です。また、専門スタッフの半数は理学療法士の資格を所持しています。

結果が目に見えることが、明日へのモチベーションにつながる

ロボケアセンターに来ていた男性。セッション開始前にスタッフによるヘルスチェックがある。

ロボケアセンターに来ていた男性。セッション開始前にスタッフによるヘルスチェックがある。

Neuro HALFITのメニューは、「膝の曲げ伸ばし」「立ち座り」「バランス練習」「歩行訓練」など。力が弱くなった方・下肢に障害がある方が主に使う下肢タイプや、腕や脚の関節に対応した単関節タイプなどを装着し、多くの方がプログラムに取り組んでいます。今回取材したつくばのロボケアセンターでは、6歳から93歳までの幅広い年代の方々が通っているそうです。

取材で訪れた際も、50代の男性が単関節タイプを装着して腕の曲げ伸ばしの運動を行っていました。この方は、脳出血の後遺症で右半身に麻痺が残ってしまったといいます。Neuro HALFITに参加することになったきっかけについて、話を聞かせてもらいました。

「入院していた病院に『HAL®︎』があったのですが、私の身体とサイズが合わなくて。そこで、ロボケアセンターを紹介されて通うようになりました。1年半ほど前から、月3回ほどのペースで利用しています」(利用者の男性)

脳出血になる前と同じ状態には戻れていないものの、プログラムによる手応えを感じているそうです。

「私は、『HAL®︎』の下肢タイプと単関節タイプを使ったメニューに取り組んでいます。ロボケアセンターに通う前とくらべると、ずいぶん歩きやすくなりました。周囲から歩き方がよくなったと言われますし、歩くスピードも速くなりましたね」(利用者の男性)

結果が数値や映像といった目に見える形で現れることから、「頑張ろう」というモチベーションが持続するようです。ほかにも、「いろいろなことを積極的にやってみようと思うようになった」など、「HAL®︎」を使ったプログラムに参加したおかげでポジティブになれたというご利用者がいるようです。

自分の身体と同時に、「HAL®︎」が始動! その実力に驚愕

「HAL®︎」の装着体験。

「HAL®︎」の装着体験。

「HAL®︎」の実力を体感するために、HAL®︎自立支援用下肢タイプというモデルの装着体験をさせてもらいました。まずは動きやすいウェアに着替えて、脳から神経に指令を送る際に発生する「生体電位信号」をキャッチするためのセンサーを、片脚に9カ所ずつ取り付けます。その後、「HAL®︎」を脚部に装着して付属の靴に履き替え、センサーと本体を接続。これで準備は完了です。

人体にシールで貼る電極部分。貼付は簡単。

人体にシールで貼る電極部分。貼付は簡単。

重さ約12kgと聞いて、「装着すると重くて歩きにくいのでは......」と思っていましたが、重さはほとんど感じないから不思議。というのも、「HAL®︎」の重さは一体化している靴が支えてくれているのです。脚の外側全面に器具がついているので動きにくいかと思いきや、膝の曲げ伸ばしや足首の上下運動もスムーズ。装着してすぐに、「HAL®︎」は身体に馴染みました。

実際にスイッチを入れてもらって、恐る恐る一歩を踏み出すことに。「右脚を出そう」とするとすぐ、右膝を曲げて右脚を前に押し出すアシストが入ったのを感じました。自分の右脚が歩く動作を始めるよりも先に、「HAL®︎」が反応して動く。その事実に、衝撃を受けました。慣れるまでは思っているのと少し違うタイミングや強さでアシストが入る感じがして、歩きにくいです。

しばらくたつと、自然に歩いているときと近い感覚で歩行できるように。ただ、脚の周辺に機器がついているため、動きはゆっくりになります。個人的な感想ですが、「HAL®︎」を装着しての歩行は雪深い山道を長靴でザクザク前進している感覚のようでした。

ところが、センサーの感度をより強くすると、そういった違和感がずいぶんと軽減されました。このまま走り出せるのではないか、と思ってしまったくらいです。「装着している人の意思に従った動作を実現する」という「HAL®︎」の実力を、身をもって感じることができました。

(2020年4月現在)

※コロナウイルス感染予防のため緊急事態宣言中の営業については各ロボケアセンターにお尋ねください。

つくばロボケアセンターその3へ続く

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プロフィール

佐野勝大

編集者・ライター

雑誌編集者を経て独立。多数のウェブサイト・雑誌でインタビュー記事などを執筆。介護雑誌『介護のことがよくわかる本』の編集ライター、介護施設情報サイト、マイナビ介護職ライターなど、介護現場の取材を多く行っている。

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