介護の仕事に向いている人の特徴6つ!介護サービス別の適性も解説
文/中村 亜美文:中村亜美(介護福祉士)
介護業界で働いてみたいと思っても、「介護の仕事は自分に合っているのか」と不安に感じ、なかなか一歩が踏み出せないものです。介護の仕事を始める前に、自身の適性を確認しておきたいですよね。
この記事では、介護職員経験者の観点から、介護に向いている人・向いていない人の特徴を解説したいと思います。また、各介護サービスの特徴や向いているタイプなども紹介していきますので、自分に合った介護の仕事を探す際に参考にしてください
1.介護の仕事に向いている人の特徴とは?
介護サービスは、さまざまな種類の事業所が存在しますが、求められる人間性は共通しています。
実際に筆者もたくさんの介護職員を見てきましたが、続く人や求められる人は似た特性を持っていることが多いです。
そこで、人と関わる「介護」の仕事に就く上で、筆者が特に必要だと思う人柄や素質を6つ挙げてみました。
感情をコントロールできる人
悲しむ・喜ぶ・笑う・不安になるなど、多彩に変化する人間の感情は素晴らしいものです。感情があるからこそ、自分の人生が彩られ、また利用者さんの心に寄り添うケアが実現できます。しかしその怒りや悲しみの感情を過度に暴走させてしまうのは考えものです。
筆者が特別養護老人ホームに勤めていたとき、感情的になり、よく怒る介護職員がいました。一見相手に対してや出来事のみに怒っているように見えますが、「自分に向き合うことができず、感情のコントロールができないだけかな」と感じていました。その結果、利用者さんとのコミュニケーションにも影響を与え、お互いに不快な時間ができてしまっていました。
自分の感情をコントロールできることは、自分や相手を大切にできている証拠です。感情を暴走させずに適切にコントロールできるスキルは、介護現場で働く上でとても大切なものだと思います。
人の話を聞くのが得意な人
よく、「私は話すのが苦手で人との関わりが得意ではありません」とおっしゃる方がいます。
ストーリーに強弱をつけ、相手を引き付ける話術は確かに素晴らしいのですが、多くの人は、居心地がよい相手として選ぶのは、「話上手」よりも、自分の話をじっくり聞いてくれる「聞き上手」な方ではないでしょうか。
筆者が介護現場で働いていたとき、コミュニケーションが上手とされていた職員は、とても聞き上手でした。
「話がうまい職員」ももちろん素敵ですが、「聞き上手な職員」のほうが利用者さんは心を開くものです。
単調な中にも楽しさを見出せる人
介護現場は、同じ業務を毎日繰り返す面もあり、マンネリ化によってモチベーションが下がってしまうこともあります。
しかしそんなときに、イベント・レクリエーション企画の立案ができたり、毎日の日常のなかにちょっとした楽しみを入れる工夫ができる人は、介護に向いているといえます。
筆者の経験ですが、介護の仕事で自分の居場所を確保できる方や昇格する方は、決まってみんな仕事を楽しんでいました。それも、誰かにモチベーションを上げてもらうのではなく、自分自身で気持ちを高める工夫をしていました。そうした力は、介護に限らずあらゆる仕事を続ける上で大切なのかもしれません。
視野が広く想像力のある人
介護の世界は答えがなく、想像することで問題解決に向けて進んでいかなければならない場面が少なくありません。
例えば、よく怒る利用者さんがいるとしたら、「なぜ怒ってしまうのか」「病気が関係しているのかな」「さみしさや不安かな」など、いろいろなことを想像しながら、介護ニーズを解決していかなければなりません。
筆者も介護現場で働いていたときには、利用者さんの情報をもとに、頭をフル回転させながら解決策を考えたものでした。
想像力豊かな職員は、ほかの職員が気づかなかった視点や方法を提案できます。視野が広くて冷静に状況を判断できる方は、解決も導きやすいため、介護業界で重宝されると思います。
情報を適切に管理できる人
介護サービスを提供する上で、守秘義務があるような利用者さんの個人情報は慎重に扱わなければなりません。
筆者が特別養護老人ホームに勤務していたとき、フロアデスクにカルテが出しっぱなしになって、家族から指摘を受けることが度々ありました。
自分が家族の立場であれば、情報管理ができない施設に親は預けたくないのは当然の思いです。
また、情報を看護師など他職種と共有しなければならない場面も多くあるため、他者に伝えるべき情報と、秘密にしておかなければならない情報をきちんと区別し、適切に扱えることが大切になると思います。
相手の立場や気持ちに配慮した言動ができる人
介護現場では、コミュニケーションの際に頭を使う場面がいくつも存在します。
筆者の経験上ですが、利用者さんから好かれる介護職員は、一人ひとりに合わせた言動ができる人でした。
利用者さん一人ひとり、性格も違えば求めていることも異なります。
それを踏まえた上で柔軟に対応し、配慮した言葉かけができる人は介護に向いているといえるでしょう。
2.介護の仕事に向いていない人の特徴は?
筆者が特別養護老人ホームで働いていた時代、さまざまな介護職員を見てきました。
「介護はこの人には骨の折れる仕事なのだろうな」と感じる職員も実際にいました。
そこで、筆者が思う介護に向いてない人の具体的な特徴を挙げてみました。
チームワークが苦手な人
介護サービスは、スタッフ同士で情報共有しながら、同じ目的に向かってケアを進めることで現場が成り立っています。
そのため、他職種・他スタッフとの連携が非常に大切です。他人に相談することが苦手な方や報告が嫌な方は、介護職には不向きであるといえるかもしれません。
高齢者特有の疾患や心理状態が理解できない人
高齢者特有の疾患や心理状態が理解できず、利用者さんの言動に対して過度にイライラしてしまう方は、介護の仕事を続けることがつらいと感じてしまうかもしれません。
また、理解しようとする姿勢がない方も難しいかもしれません。
3.介護サービスの種類と適性
介護にはさまざまな種類のサービス事業が存在し、介護サービスによって特徴も異なるため、仕事をする場合、ある程度相性があるといえます。
そこで次に、介護サービスごとの適性を簡単に紹介したいと思います。
デイサービス
デイサービスでは毎日のプログラムの中にレクリエーションが含まれていることがほとんどなため、人前に出るのが好きで、レクリエーションが得意な方はおすすめです。
メリハリのある活動をサポートしたいという想いを持つ方が特に向いている仕事といえます。
グループホーム
認知症ケアに特化した事業所が多いのがグループホームです。慌ただしく仕事をするよりも、一人ひとりと向き合いながら、ゆったりした時間を過ごすのが好きな方におすすめです。
老人保健施設
在宅復帰を目的とし、医療ケアを中心とした介護サービスを提供するのが老人保健施設です。看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などと連携して仕事をする機会も多く、医療ケアの勉強にもなります。
利用者さんの在宅復帰を応援するケアなため、目標に向かって何かを達成する過程が好きな方が特に向いている仕事といえます。
特別養護老人ホーム
大規模な事業所が多い特別養護老人ホームは、スタッフ・利用者さんとも、さまざまな人との出会いがある介護サービスです。
筆者は特別養護老人ホームでユニットケアを行っていましたが、やはり大切なことは情報共有とコミュニケーション力でした。
家族対応や会議などは介護職員が中心となって行うため、利用者さんに関わるさまざまな情報を把握しておく必要があります。
「みんなで協力し合いながら介護職員が主体のケアがしたい」という方は、特別養護老人ホームで働くことをおすすめします。
訪問介護
1対1でケアすることが多い訪問介護は、時間の融通が利きやすく、特に主婦に人気の仕事です。
その反面、周りにスタッフがいないためすぐに誰かに相談することができず、また、時間制限が厳しいため、決められた時間内にサービス提供をしなければならない難しさもあります。
判断力があり、1人の利用者さんと関わりながら仕事をすることが好きな方に向いている仕事といえると思います。
4.自分に合った介護サービスでの仕事を検討してみよう
介護の仕事は、人と人とのつながりで成り立っています。
そのため悩むことも多いのですが、飛び込んでみれば素晴らしい出来事や出会いもたくさん待っています。
介護職に求められる人物像は、一言で言えば「相手のことを大切に想える人」だと思います。
適性に自信がない方も、このことを意識するようにすれば、介護業界で働くことは十分可能なはずです。介護業界に興味がある方は、ぜひ介護の仕事に挑戦してほしいと思います。
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