介護業界って何歳まで働ける?定年シニア世代が介護施設再就職で働くための心得
文:鹿賀大資 介護福祉士・ライター
60代も70代も介護職で働ける
「新しいことに挑戦したい」「介護職に飛び込んでみたい」そんなふうに考え、新たな職場として介護業界を選択するシニア世代の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、シニア世代が実際に介護職に進む上で気がかりな「職員の年齢」や「未経験者でも務まるの?」といった疑問に着目。統計データを参考に解説します。
基本的に介護職には年齢制限はなし
年齢制限は法律を抜きに語れません。ここでは雇用対策法ベースの年齢制限にまつわる解説を踏まえながら、介護業界における上限年齢についてまとめてみました。
雇用対策法の改正で義務化された"年齢制限の禁止"
介護職の年齢制限は、2007年に改正された雇用対策法の観点から見ると、原則的にはありません。同法では「事業主は労働者の募集および採用を実施する際、均等な機会を与えなければならず、年齢制限の禁止を義務化」
と定めています。ただ例外もいくつかあり、シニア世代に関わる事項としては以下の2つです。
- 会社が定年の年齢を定めている場合
- 60歳以上の高齢者を限定した募集および採用の場合
1については、60歳を定年としている会社が求人などで60歳未満の人を募集するのであれば、法的には問題ありません。
2については、「60歳以上の人を募集」あるいは「特定求職者雇用開発助成金の対象者として60歳以上65歳未満の人を募集」とすれば問題ありません。
特定求職者雇用開発助成金の対象者は、いくつか分類があり、高齢者枠の場合は「60歳以上65歳未満」が条件のため、この範囲を超える募集はできません。就活の際に参考にしてみるとよいでしょう。
介護職は心身の健康が続く限りできる
これまでの話をまとめると、「これから介護業界で働こうと考えているシニア世代の人は、定年制度を設けた正規雇用でなければ、問題なく活躍できる」というのが結論です。
非正規雇用の扱いになる可能性はあるものの、心身の健康が続く限り、介護職として働くことができます。
60代以上の非正規介護職員は多い!
続いては、施設介護におけ「平成29年度介護労働実態調査」の統計を参考に解説します。
介護労働の現状(1)「非正規職員の割合が高い」
前述の最後の方で触れた非正規雇用。施設では、非正規職員の割合が39%と約4割を占めます。訪問介護に至っては69.7%にものぼります。
続いては年齢構成。これは正規・非正規を含めた全体の統計になりますが、施設における60代以上のスタッフの割合は15.9%です。最多層は40代(24.1%)で、30代(22.9%)、50代(19.9%)と続きます。20代は15%なので、60代以上の職員のほうが多いという結果になっています。
介護労働の現状(2)「近年は登録ヘルパーの高齢化が顕著」
これから介護業界での仕事を考えるシニア世代の中には、正規雇用の定年状況が気になる人も少なくないはずです。では実情はどうなのかといえば、介護企業の86.2%が正社員における「定年制度を設けている」と解答しています。その年齢については60歳(60%)が最多で、65歳(32%)を含めると実に9割以上を占める状況です。
また定年を設ける介護企業では、再雇用制度や勤務延長制度を導入するケースも目立ちます。正社員の定年後に至っては、8割以上が再雇用制度を採用。これは非正規で定年を設ける企業においても、ほぼ同様の割合です。
一方、訪問介護では、登録ヘルパーの高齢化が顕著な傾向に。全国労働組合総連合の介護労働実態調査によると、2018年における登録ヘルパーの平均年齢は58.7歳です。2012年の同様の調査では55.2歳だったことから、登録ヘルパーの平均年齢が6年で3.5歳も上昇していることが明らかに。
シニア世代が介護施設で働くための4つの心得
最後に、これから介護業界を目指すシニア世代に向けた、職務をまっとうする上での基本的な心得をご紹介します。初めての職場はどの仕事でも同じように、覚えることがたくさん。そんななかでも、誰に対しても謙虚な気持ちで接していれば、充実感をもって働けるでしょう。
まずは新しい職場でのルールや慣習になじむ
新しい職場では、これまでの職場のルールが通じません。暗黙の習慣なども異なるでしょう。シニア世代で新しい業界にチャレンジするとなれば、自分より年下の上司を相手にする機会も増えるはず。ここで大切なポイントは、前職場では当たり前と思っていた常識を一度リセットすることです。
今までの固定観念を忘れることで、より指導係の話が耳に入りやすくなり、周りのスタッフの動きもよく見えるようになるでしょう。
年功序列の考え方で、上から目線で周囲に接してしまうと、元々いるスタッフも声をかけにくいものです。「周囲になじもう」と謙虚な気持ちで接した方が、自分にも周りにもプラス効果をもたらすはずです。
ご利用者と職員の顔と名前を早く覚える
介護業界未経験の人にとって、介護施設で目にする光景はどれも目新しく映るでしょう。先輩職員たちがご利用者と楽しそうに接する姿に、ついつい「これなら私にもできそう」と思ってしまう人もいるかもしれません。ご利用者と職員の、楽しそうに見えるやり取りも、ご利用者の尊厳を守る意識があって成立しているのです。まずはご利用者と信頼関係を構築し、職場のサービス内容を把握することが大切です。
ご利用者および一緒に働く職員の「顔と名前の認識」から始めていきましょう。これを優先して心がけていれば、絶えず変わる入居者情報も把握しやすくなります。筆者が駆け出しの頃は、自宅で職員・ご利用者の顔と名前を思い出して復習をしたり、勤務中には職場のルールを手書きでメモをとったりしていました。
介護経験者の場合も、「親しき仲にも礼儀あり」といわれるように、職場でのマナーやルールを守るのが早くなじむコツ。そのため未経験者同様、ご利用者と職員の「顔と名前の認識」をまずは徹底しましょう。
端末機器の操作に早く慣れる。習熟のコツは若手とのコミュニケーション!
手書きで記録する施設もある中、現代はタブレットやスマホなどから記録を入力するところも増えてきました。いつまでも操作がままならないと画面に集中するばかりで、肝心の介護がそっちのけ......。こうした本末転倒の状況に陥らないためにも、端末を使いこなす若い世代と自ら積極的にコミュニケーションをとってコツや方法を教えてもらいましょう。自分で下調べして、人に聞くときは5分以内にするなど、1回に長い時間相手を拘束しないのがコツです。
無理はしない
これから介護業界に飛び込むシニア世代は、働き盛りの40代ベテランをはじめ、機敏に動ける20代や30代と一緒に働いていくことなります。中には、いざ彼らと働いてみると自身の動きに不安を持つ人も多いはずです。
しかし、いくらベテランでも最初から機敏だった訳ではありません。初めから同じように働こうと思わず、できないことは「できない」と相手に伝える心がけも大切。できること、できないことを伝えていくことで、周りもあなたの得手・不得手を把握しやくなります。それは同時に自身の働きやすさにもつながるでしょう。
人生経験を生かそう!
新しい環境でも、これまでに積み重ねてきた人生経験を生かせるのがシニア世代の強み。
また、年齢の高いご利用者と会話を弾ませられる知識量や、相手の背景や反応を見て、どのように感じているのかをおもんぱかる技量・傾聴力は、若手よりシニアの方が優れていることが多いです。最初の内は「習うより慣れよ」と割り切り、まずは飛び込んでみてはいかがでしょうか。
※記載の内容は2021年1月時点の情報です
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