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仕事・スキル 介護士の常識 2023/02/22

居宅介護支援事業所の業務内容とは?働く条件や利用手続き方法を解説

文/山本史子(介護福祉士) No2_A(thumbnail).jpg

居宅介護支援事業所は、利用者や家族が介護サービスを受ける際、最初に相談する場所です。居宅介護支援事業所は、ケアプランの作成やサービスの提案・ケアプランに沿ったサービスを提供されているか見直しをしたり、必要であれば各事業所や関連機関と連絡・調整をしたりすることが主な業務内容です。
本記事では、居宅介護支援事業所の業務内容や職員の配置、働く際の要件などについて解説します。居宅介護支援事業所では、どのような働き方をするのか詳しく見てみましょう。

1.居宅介護支援事業所とは



居宅介護支援事業所は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が中心となって働く事業所です。ケアマネジャーは、要介護者の生活環境や心身の状態を考慮し、1日でも長い間、自宅で自立した生活が送れるようなケアプラン(介護サービス計画書)を作成します。また、ケアプランに沿った介護サービスが利用できるように、事業所や市区町村などの関連機関への連絡や調整も行います。

一般的に居宅介護支援事業所は、通所介護やショートステイなどのサービス提供事業所が併設されているケースが多く見られます。

居宅介護支援事業所の職員配置

居宅介護支援事業所は、ケアマネジャーを業務主体とし、利用者35人に対しケアマネジャー1人を配置することとなっています。また、管理者として、主任介護支援指導員の資格を持つ常勤のケアマネジャーの配置が求められます。

居宅介護支援事業所で働くには?

居宅介護支援事業所で働くには、ケアマネジャーの資格が必要です。また、上述したように、管理者を目指す場合には、さらに主任介護支援指導員の資格が必須です。主任介護支援指導員の資格要項は、ケアマネジャーとして通算5年以上の勤務経験と、主任介護支援専門員の研修を受講することとなっています。

主任介護支援指導員は、一般的なケアマネジャーの上位職で、主にケアマネジャーの統括や個別指導・育成をします。要介護者の支援内容によっては、経験が必要なケースもあるでしょう。支援が難しいケースでは、担当しているケアマネジャーへの助言や指導を実施・もしくは主任介護支援指導員が担当する場合もあります。

ケアマネジャーの勤務形態

ケアマネジャーは、日中に業務をすることが多く、基本的には宿直や夜勤はありません。しかし、利用者や家族の都合に合わせた業務になるため、夜間や休日に電話対応や訪問などを求められるケースもあります。事業所によっては、シフト制を導入し、夜間や休日にも対応するところもあります。就職を検討する際には、事前に勤務形態を確認しておくとよいでしょう。

2.居宅介護支援事業所の業務内容



居宅介護支援事業所の業務内容は、主に次の5つです。

1. ケアプラン作成
2. 家族や要介護者の介護相談
3. 介護サービスの提案
4. 介護サービスの調整
5. 要介護申請の代行

詳しい業務内容を見ていきましょう。

ケアプラン作成

ケアプランとは、要介護者や家族のヒアリングを基に、希望に合った介護サービスを提供するために作成する計画・指示書を指します。自宅を訪問し、要介護者の生活環境や食事や入浴・排せつなど日常生活の様子・心身の状態などを把握したうえで、個々に合ったプランを提供することになります。

ケアプラン作成では、自宅で生活するうえで必要な目標を立て、サービス内容や利用回数を決定し、サービス提供事業者との話し合いののちに、サービスが開始されます。サービス開始後は、月に1度自宅を訪問し、ケアプラン通りに進められているかどうか、体調・環境に変化はないかの聞き取りをします。

要介護者の心身に変化があった場合は、事業者や関連機関との連携を取り、サービス担当者会議が開かれます。適切な介護サービスが受けられるように、ケアプランの見直しと修正が必要です。なお、ケアプラン作成には、利用者負担はありません。プラン作成の際には、公正中立な立場で行い、特定のサービスや事業所に偏らないよう意識することが大切です。

家族や要介護者の介護相談

居宅介護支援事業所では、家族や要介護者の介護相談にも対応します。介護に対して不安を感じている方も多く、多くの場合、初めて相談する場所として利用されます。要介護者の話をじっくりと聞き、信頼関係が築けるような態度で接することが大切です。

介護サービスの提案

居宅介護支援事業所では、介護サービスを初めて使用する方が多く訪れます。介護サービスの内容を説明できるスキルが求められるでしょう。また、要介護者や家族の希望に合ったサービスを提案できるように、幅広い知識を有しておく必要があります。また、どのようなサービスが良いか、個々に合った適切なアドバイスができるスキルも求められます。

介護サービスの調整

居宅介護支援事業所では、要介護者が利用したい事業所に、サービス提供や対応が可能かどうか、問い合わせや調整をします。家族と事業所との関わりだけでなく、医療や市区町村などの関連機関との連携が必要なケースもあります。

要介護申請の代行

居宅介護支援事業所では、要介護認定ができない方の申請・更新の代行も行っています。要介護認定は有効期間があり、新規の場合6ヵ月(状態によっては3~12ヵ月)、更新後は12ヵ月(状態によっては3~24ヵ月)です。要介護者の心身の状態が変化したときは、有効期間に関わらず、更新申請が可能なため、ケアマネジャーが更新の代理手続きをする場合があります。
また、市区町村から依頼があれば、認定調査員として要介護認定の申請者の自宅を訪問する場合もあるでしょう。ただし、初回は市区町村の職員が、自宅を訪問します。

3.居宅介護支援事業所を利用するまでの流れ

ここでは、居宅介護支援事業所を利用する際の流れを見てみましょう。利用者の立場に立って、理解しておくとよいでしょう。

まず、居宅介護支援事業所を利用するには、要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は介護保険に加入している65歳以上の「第1号被保険者」と40歳~64歳の「第2号被保険者」です。要介護認定の申請の際は、65歳以上の方は「介護保険被保険者証」が、64歳以下の方は「医療保険証」が必要です。

要介護認定は、以下の流れで行われます。

1. 市区町村の窓口に相談・要介護認定の申請
2. 認定調査・主治医意見書
3. コンピュータ判定(1次判定)
4. 介護認定審査会による判定(2次判定)
5. 認定決定
6. ケアプラン作成を依頼

要介護認定申請から認定が決定するまで、およそ30日間かかるケースがほとんどです。介護度は、要介護1~5と要支援の1~2の7段階と非該当にわかれ、要介護者は居宅介護支援事業所にケアプラン作成を依頼します。ただし、要支援者は地域包括支援センターへの依頼となります。介護度によって受けられる介護サービス内容は異なり、ケアプラン作成後、要介護者は介護サービスが、要支援者は介護予防サービスの利用が開始されます。その後のプランの見直しや、周囲との連携等で居宅介護支援事業所が関わることになります。

4.まとめ:居宅介護支援事業所で働くには、ケアマネジャーの資格が必須

居宅介護支援事業所は、利用者が要介護認定を受けたあと、ケアマネジャーにケアプランの作成やサポートを受けるために利用される事業所です。介護や生活に困っている高齢者や家族の相談をよく聞き、適切な介護が受けられるような支援が必要です。ケアマネジャーとして働く際は、特定のサービスや事業所に偏らないように公正な態度を意識することが大切です。

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山本史子(Fumiko Yamamoto)

介護福祉士

デイサービスで約20年現場職員として経験。2007年に介護福祉士の資格を取得。「この施設にいると楽しい、また行きたい」と笑顔で帰ってもらえるデイサービスにしたいという思いで20年間利用者様のケアをしている。知的障害のある自閉症の息子がいるため、介護現場で働きながら、母親の立場から障がい者福祉にも関わっている。

山本史子の執筆・監修記事

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