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仕事・スキル 介護士の常識 2023/11/02

アンガーマネジメントは介護に生かせる?現場における実践方法も!

構成・文/介護のみらいラボ編集部 監修/赤羽克子 thumbnail.jpg

介護の現場で働いていると、同僚や利用者さんなど、周囲に対してイライラしてしまう場面もあるのではないでしょうか。そうしたイライラや怒りの感情をそのままにしておくと、ストレスがたまったり周囲の人と気まずい関係になってしまったりと、さまざまな悪影響につながりかねませんよね。

マイナスの感情をため込まないためにも、イライラや怒りの感情をコントロールし、うまく付き合うためのスキル「アンガーマネジメント」を身に付けてみてはいかがでしょうか。

当記事では、介護の現場で役立つアンガーマネジメントのメリットや実践方法について、詳しく紹介します。介護の現場で働く方や日々のストレスにお悩みの方は、ぜひご活用ください。

1.アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りの感情(=アンガー)と上手に付き合い、コントロールするための心理トレーニングです。もともとは、犯罪者矯正プログラムなどに取り入れられていましたが、現在では一般企業の研修や教育、医療分野、カウンセリングなど、多くの場で活用されています。

ここでは、介護の現場で生かせるアンガーマネジメントについて詳しく解説します。

介護の現場で注目されている理由

近年は、介護業界でもアンガーマネジメントが注目を集めています。

介護の現場は、介護職員が足りなかったり激務であったりすることから、人手不足が常態化しています。また、利用者さんとのコミュニケーションの問題(あまり話を聞いてくれない、理不尽なことで文句を言われるなど)やセクハラ問題、労働条件や職場の人間関係などから、多くの介護職はストレスがたまりやすい状況にあるとも言えます。

(出典:介護労働安定センター「― 平成28年度 介護労働実態調査(特別調査)結果について―」

しかし、たまったストレスを放置しておくと、利用者さんの対応に悪影響を及ぼすほか、職場の雰囲気を悪くすることにもなりかねません。そのような事態を防ぐためにも、アンガーマネジメントを学び、マイナスの感情をコントロールするスキルを身に付けることが求められているのです。

介護にアンガーマネジメントを取り入れるメリット

介護の現場にアンガーマネジメントを取り入れることには、以下のようなメリットがあります。

・怒りを感じる頻度が減り、結果としてストレスが軽減する
アンガーマネジメントを実践できるようになると、イライラや怒りの感情に振り回されることが少なくなり、ストレスの軽減にもつながります。

・怒りの原因を相手が納得しやすい表現で伝えられる
怒りの感情に支配されず、適切な言葉で自分の意思を伝えられるようになります。

・怒りの原因を整理することで適切に対処できる
イライラや怒りの原因を冷静に整理できるため、感情にとらわれない適切な対処ができるようになります。

・モチベーションの向上につながる
怒りの感情は、モチベーションの低下を引き起こす恐れがあります。アンガーマネジメントによって、コミュニケーションのねじれを解消すれば、モチベーションの維持・向上にもつながるでしょう。


2.すぐできる!アンガーマネジメントの実践方法

アンガーマネジメントの実践には、「衝動」のコントロール、「思考」のコントロール、「行動」のコントロールという3つのテクニックがあります。

ここでは、すぐにできるアンガーマネジメントの実践方法を解説します。簡単に取り入れられるものも多いので、興味のある方法から実践して、自分に合った解決策を見つけてください。

心の中で6秒カウントする

怒りを感じたら、その瞬間に感情を爆発させるのではなく、ゆっくりと心の中で6秒数えてみましょう。人間の怒りのピークは6秒ほどだと言われており、それを過ぎると落ち着いていき、少しずつ冷静に考えられるようになるのだとか。つまり、6秒間じっとがまんすることで、衝動的な怒りの感情をコントロールするわけです。

6秒を数える時は英語で数えてみるなど、少し難しくすることで瞬間的な怒りを抑えやすくなります。カウントするだけでは効果がない場合は、「怒らなくても大丈夫」など、自分が落ち着ける言葉を心の中で繰り返し唱えてみましょう。

「~すべき」という考え方をやめる

相手に対する「~すべき」という思考が、怒りの原因になっている場合もあります。「~すべき」という考え方を押し付けず、相手に対するハードルを下げることで怒りをコントロールしましょう。

「~すべき」のハードルを下げるには、まず自分の中のこだわりを洗い出すことが大事です。その上で、1つひとつについて「許容できる」「○○という条件でなら許容できる」「許容できない」の3段階に分類してみましょう。そうして、自分と他者の価値観の違いを認識し、少しずつ許容できる範囲を広げていけば、ストレスの軽減につながります。

怒りによって変えられるものかどうかを考える

イライラや怒りを感じた時は、「怒ることで変えられるものかどうか」を考えてみましょう。例えば、介護の現場では、利用者さんとの意思の疎通がうまくいかなかったり、同僚と意見が食い違ったりすることも多くあります。

それが原因で怒りを感じた場合、「それは怒りで変えられるものか、変えられないものか」を判断し、「変えられないもの」だった場合は「そういうものだ」と受け入れる姿勢を持ってみてください。いくら怒っても変えられないことだとわかれば、気持ちが落ち着いて楽になるはずです。

それでも怒りが収まらない場合は、怒りの原因が「重要なこと」か「重要ではないことか」を考えて見極めるのも良いでしょう。

笑顔を作る

笑顔を作ると、自然に楽しい気持ちが湧いてくることがあります。これは「フェイシャルフィードバック効果」と呼ばれるもので、意識的に笑顔を作ると脳からポジティブな気持ちになる指令が出されるのだとか。イライラや怒りを感じたら、意識して口角を上げて笑顔を作ってみると良いでしょう。

気持ちを書き出す

怒りを感じた気持ちをメモに書き出しておき、休憩時間や帰宅後に分析してみるのもおすすめです。後でメモを読み返すことで、どのような時に、何に対して怒りの感情を持ったのか、自分の気持ちを客観視できるでしょう。

メモに書き残しておけば、似たような事例が起きた際に冷静に対処できるだけでなく、他の介護職員にその時の対処法を共有することもできます。

一旦その場を離れる

我慢しても怒りの感情が収まらない場合は、一度その場から離れて気分を変えると良いでしょう。

介護の現場では、すぐにその場を離れるのが難しいかもしれませんが、「他の者に確認してきますので、少しお待ちいただけますか」と、ひと声かけて離れる方法もあります。怒りの原因から距離を置いたら、深呼吸をするなどして感情をリセットしましょう。

3.介護における怒りやストレスと上手に付き合うには?

怒りやストレスと上手に向き合うためには、ストレスを発散することも重要です。限界までストレスをため込む前に、自分に合った発散方法を見つけて日常的に解消するようにしましょう。

以下に、代表的なストレス解消法を紹介します。

・睡眠時間を確保する
十分な睡眠をとることは、心身ともに健康でいるためにとても大切なことです。寝室の環境を整えたり、お酒を控えたりするなどして、睡眠の質の向上を目指しましょう。

・適度な運動を心がける
適度な運動の習慣を身に付けることも、気分転換やストレス発散の手段になります。ヨガなどの軽いストレッチを取り入れると、血行の改善や精神の安定、リラックス効果が期待できるでしょう。

・相談相手、話し相手を見つける
身近な人に悩みや不安を相談することで、心が落ち着く場合があります。また、心身の状態が悪化する前に、医師などの専門機関に相談するのも良いでしょう。

・どうしてもつらい時は転職も視野に入れる
「仕事だから」と割り切ることも重要ですが、あまりにも労働環境が悪い場合や、精神的につらい場合は、転職を視野に入れるのも一案です。

介護職の人にもおすすめ!効果的なストレス解消法&避けるべき方法

まとめ

介護職として働いていると、同僚や利用者さんなどに対して、イライラや怒りの感情を持つこともあるでしょう。怒りを感じた時は、感情をコントロールするスキルである「アンガーマネジメント」を実践することで、感情を冷静に対処することができます。また、十分な睡眠をとったり適度な運動を心がけたりして、自分なりのストレス発散方法を見つけることも、ストレスを軽減するためには重要です。

「介護のみらいラボ」は、介護職の方に向けた有益な情報を掲載しています。介護職の求人情報から現場で役に立つノウハウまで、さまざまな情報を発信していますので、悩みごとや困りごとをお持ちの方は、ぜひ「介護のみらいラボ」を参考にしてください。

※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

▼監修者からのアドバイス

アンガーマネジメントは、怒りの感情をコントロールする方法として、介護の現場(対人援助の現場など)でも注目されています。怒りの感情を抑えつけてしまうことを目指すのではなく、怒りの感情と上手に向き合うための考え方や方法のことです。
介護の現場では介護職とはいえ、利用者さんに対して、イラっとすることもあると思います。そのような感情が介護職の言動に表れてしまうとトラブルの原因や取り返しのつかない事態になりかねません。
怒りの感情は誰でも持っている自然な感情です。怒りの感情を抱いた自分を責めたり、無理にその感情を抑え込んでしまうと、介護職のストレスを助長することになるでしょう。
自分の怒りの感情をうまくコントロールできないと思っている人は、アンガーマネジメントについての知識を持ち、自分が実践しやすいと思う行動から始めてみましょう。
例えば、「心の中で6秒カウントする」。6秒待つ間に、好きな歌を心の中で歌ったり、大切な人の名前をつぶやいてみるのもいいと思います。深呼吸(自然な感じで、口から息を吐いて、吐き切ったら鼻から息を吸い込みます)しながらカウントしてもいいでしょう。6秒ほど経過すると理性をつかさどる前頭葉で怒りの感情はコントロールできるようになるといわれています。
怒りの度合いによって、度合いが弱ければ2~3秒、強ければ10秒くらいなどと自分なりに工夫しながら実践してみてください。

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赤羽克子(Katsuko Akaba)

元聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科教授

社会福祉施設勤務を経て教育の世界に入る。現在はマーシーハンディキャップサポート協会理事として障害者に対する理解の啓蒙活動・障害者スポーツの支援や松戸市シルバー人材センターのアドバイザーなどを行っている。

赤羽克子の執筆・監修記事

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