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仕事・スキル 介護士の常識 2024/02/07

高齢者におすすめの趣味10選!メリットや探す際のポイントを解説

文/長谷部宏依(介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー) thumbnail.jpg

好きなことに取り組んでいるときは、気持ちがウキウキして毎日が楽しくなってくるものです。高齢者が趣味を楽しむことも、例外ではありません。趣味は日常の刺激となるだけでなく、心と体にもよい影響を与え、介護予防にも役立ちます。
しかし、なかには「特に趣味と言えるようなものがない」「何をすればよいかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、高齢者が趣味を持つことのメリットと、おすすめの趣味10選を紹介します。趣味を探す際のポイントも解説しますので、高齢のご家族や施設の利用者さんにすすめる際の参考にしてみてください。

1.高齢者が趣味を持つメリット

高齢者のなかには、「若い頃は仕事(あるいは家事)に追われて、趣味を楽しむ余裕がなかった」という方もいらっしゃいます。また、定年後に外出の機会が減少し、自宅で過ごす時間が増えている方も少なくありません。

しかし、高齢者が趣味を持つことは、「生きがい」を見つけることにもつながります。楽しみややりがいが見つかれば、心身ともに前向きになれるでしょう。

以下では、趣味を持つメリットについて詳しく説明していきます。

運動不足が解消できる

ウォーキングやグランドゴルフなど、屋外での活動は運動不足の解消に役立ちます。年齢を重ねると高血圧症や脳血管障害のリスクが増してきますが、体を動かすことはそうしたリスクの予防や軽減にもつながるとされています。

ただし、高齢者の場合、体力低下や足腰の筋肉の衰えなどで、「うまくできるだろうか」「継続できるだろうか」と不安を感じてしまうケースも少なくありません。運動を始めるにあたっては、急に行うのではなく、準備体操などからスタートして徐々に体を慣らしていくとよいでしょう。

認知症の予防効果が期待できる

生活習慣病やストレスが認知症の原因となるとされていますが、人との関わりが少なくなって会話の機会が減ることも、認知機能の低下に関係があると言われています。

一方、何かしらの趣味を持ち、「趣味仲間」で集まることが増えると、会話が増えて脳が活性化します。つまり、趣味には認知症の予防効果も期待できるわけです。

友人が増える

かつては、会社に行けば同僚や部下がいたような方でも、退職した後は自分からコミュニティに所属しなければ人と関わることが少なくなります。仲間と一緒に行うような趣味を持てば、人と関わる機会が生まれて日常の刺激となるでしょう。

そうした友人とは、趣味の話だけでなく、生活や家庭のことなども話せるため、ストレス解消につながるケースもあります。

2.高齢者におすすめの趣味

年齢を重ねていくと、新しいことにチャレンジする気持ちが低下することがあります。「やることがなく自宅でテレビばかり見ている」「介護施設を利用しているが、何もせず座っていることが多い」など、変化の少ない毎日を送っている方には、本人が夢中になれる趣味を見つけてもらうのがよいでしょう。

ここからは、1人で外出できる方におすすめの趣味や、自宅や介護施設でも手軽に取り組める趣味を紹介していきます。

屋外で楽しめる趣味

体を動かすのが好きな方や外に出ることが好きな方には、屋外での趣味がおすすめです。外に出て体を動かすことは運動不足の解消にもつながるため、心身の健康維持にはぴったりです。

ウォーキング
ウォーキングは運動が苦手な方でも取り組みやすい趣味です。1人で行ってもよいですが、友人や知人と一緒なら会話を楽しみながら歩くことができます。ウォーキングサークルなどに入れば、知らない方と出会えるため交友関係も広がるでしょう。

鉄道会社が主催するハイキングイベントなどの利用もおすすめです。そうしたイベントでは、自宅の最寄り駅からスタート地点まで電車に乗り、そこから歩きながら史跡や神社などをめぐるのが一般的です。数人のグループで参加されている方もいますが、1人できている方も少なくありません。話をしてみて趣味が合いそうなら、一緒に行動するのもよいでしょう。

参考:名古屋鉄道「電車沿線ハイキング

ハイキング
ウォーキングで歩くことに慣れたら、ハイキングに挑戦してみるのはどうでしょう。自然のなかで体を動かせるため、体力づくりになるのはもちろん、気分もリフレッシュできるはずです。季節ごとに変わる景色や野山に咲く花を眺めていると、気持ちが明るくなってきますよ。ただし、勾配のある道を歩くため、無理のない範囲で楽しむことが重要です。

グランドゴルフ
グランドゴルフは、ゴルフのようにクラブでボールを打って、目的のポストにボールを入れるスポーツです。全力でボールを打つ場面もあれば、ボールの勢いを調整しなければならない場面もあるため、頭と体の両方を使います。

公園で試合や練習をしていることが多いので、見学してみて面白そうだと思ったら仲間に入れてもらうのもよいでしょう。

園芸、ガーデニング
庭やベランダで野菜や花を育てることは、心身の健康にとてもよい影響を与えます。水やりや草取りなどで外に出る機会も増えるため、骨粗しょう症や認知症の予防にも役立つでしょう。

また、植物が徐々に育っていく姿を見ていると、気持ちが穏やかになります。野菜は収穫して食べられるため、より楽しみが増えますよ。

ボランティア活動
会社を退職したあとにボランティア活動を始める高齢者は大勢います。ボランティア活動を通じて地域の人たちと交流することは、心身のよい刺激になるだけでなく孤立を防ぐことにもつながるでしょう。

地域のシルバー人材センターに登録すると、自分のスキルを生かした作業に参加できるようになります。作業の一例は次のとおりです。

  • 庭木の剪定
  • ペンキ塗り
  • 大工仕事
  • 宛名書き など

内容に応じて報酬がもらえるケースもあるので、覚えておいてください。

参考:公益社団法人 全国シルバー人材センター事業協会「シルバー人材センターの会員組織と働き方

屋内で楽しめる趣味

体力に自信がない方や手先を動かす作業をしたい方、1人で外出するのが難しい方には、屋内でできる趣味がおすすめです。

まずはデイサービスで趣味活動に参加してもらい、自宅で続きを行う流れにすると、取り組みやすくなるかもしれません。

ここからは、自宅や介護施設で気軽に行える趣味を紹介していきます。

絵手紙
絵手紙は、ハガキに花や野菜などの絵を描いて、感謝の気持ちや時々の想いを相手に伝えるものです。独特の表現があり、書く方の個性や温かみが感じられるのが絵手紙のよさと言えるでしょう。愛好者は100万人を超えるとも言われているので、「やったことがある」という方は意外に多いかもしれません。

「誰に向けて描くのか」や「何をモチーフにするのか」「どんな色を使うのか」など考えることは多いので、介護施設で他の利用者さんと会話しながらつくってもらうのもよいでしょう。

カラオケ
カラオケには、脳の働きを活性化する効果があると言われています。声を出すことで肺活量が増えたり、口まわりの筋肉が鍛えられたりといったメリットも期待できるでしょう。

また、歌を歌うことはストレスの発散にもなるため、自律神経や血圧の安定にもつながるとされています。

脳トレ
自宅や介護施設で手軽に楽しめる趣味として、脳トレもおすすめです。鉛筆と本さえあれば、すき間時間でも行うことができるでしょう。なお、脳トレには次のような種類があります。

  • 計算
  • クロスワードパズル
  • 漢字パズル
  • 間違い探し
  • 迷路
  • ナンクロ(ナンバークロスワードパズル)

書店ではさまざまな種類が一冊になった、脳トレドリルが発売されています。それらを利用するとともに、「1か月に1冊完成させる」などの目標を設定すれば、モチベーションも維持しやすいでしょう。

塗り絵
塗り絵と聞くと子どもが遊ぶようなイメージがありますが、今は大人向けの塗り絵もたくさんあります。大人向けの塗り絵はイラストが細かく、たくさんの色を使用するのが特徴です。

書店に行くとさまざまな種類の塗り絵が販売されているため、まずは手軽にできそうなものを選んで始めてもらうのがよいでしょう。

塗り絵は、完成すると1つの絵画のようになるため、高い満足感が得られます。また、頭や手先を使用する作業なので、認知症の予防効果も期待できるでしょう。

体操やヨガ
無理のない範囲で行う体操やヨガは、高齢者にもおすすめです。

立ったままだとふらついてしまう場合は、椅子に座りながら行っても十分に効果はあります。介護施設で実施した体操やヨガを、自宅でも行ってもらうように声がけするのもよいでしょう。

体操やヨガに挑戦する際は、体の調子を確認しながら、本人のペースで進めてもらうことが大切です。

3.高齢者が趣味を探す際のポイント

高齢者が趣味を探すにあたっては、事前におさえておくべきポイントがあります。長く趣味が続けられるように、まずは次の点をチェックしましょう。

興味を持てる内容か

その趣味に興味が持てるかどうかは、とても大事な要素です。いくら「心と体によいから」と言われても、興味を持てなければ続けるのが難しくなります。

まずは、本人の気持ちや過去の経験を聞いて興味が持てそうかどうかを確認しましょう。
会話するなかで、「昔やっていたけれど中断してしまった」「やりたかったけれど時間がなかった」などの趣味が見つかったら、それを再開するのも1つの方法です。

対応できる体力があるか

体を動かすような趣味の場合は、ある程度の体力が必要です。高齢者向けであれば激しい動きは少ないかもしれませんが、普段の生活では使わないような動作が含まれることもあります。

無理をするとけがや病気のリスクが高まるため、まずは対応できる体力があるかどうかをしっかりと検討しましょう。

費用はかかりすぎないか

趣味によっては、道具を買いそろえる必要があります。また、発表会に参加するための費用が発生するケースもあるでしょう。

自分に合った趣味を見つけたとしても、費用がかかりすぎると続けるのが難しくなります。そのため、できるだけ負担の少ない趣味を選ぶのも、長続きさせるポイントと言えます。

1人でもできるのか

教室などに通う場合は、自分で移動ができるかどうかの確認も必要です。

移動や準備が1人で難しい場合、家族に頼ることになります。ただし、家族に負担がかかると趣味を続けることが難しくなるため、事前に検討しておきましょう。

1人で通うことが難しく家族も送り迎えができない場合、教室通いを諦めざるを得ないケースも出てきます。

まとめ:長い人生を楽しく過ごすためにも趣味を見つけてみよう

自分が好きなこと、興味が持てることを趣味にすると、毎日をいきいきと送ることができ、心身の健康にもつながります。

もし、高齢のご家族や介護施設の利用者さんに趣味がない場合、本人と若い頃の話をしてみましょう。興味がありそうなことや実際に行っていたことなど、趣味につながることが見つかるかもしれませんよ。

「人生100年時代」と言われる現代。長い人生を楽しく過ごすためにも、本記事を参考にして、本人が楽しめる趣味を見つける手助けをしていただけたらと思います。

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長谷部宏依(Hiroe Hasebe)

介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー

介護職員として介護老人保健施設に入職。その後介護福祉士を取得し訪問介護や訪問入浴、デイサービスで働く。ケアマネジャーは20年の実績があり、100名以上の高齢者を担当。認認介護・老老介護・介護拒否など困難事例も多く経験。現在はWebライターとしてさまざまな記事を執筆している。福祉住環境コーディネーター2級も取得。

長谷部宏依の執筆・監修記事

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