お彼岸には何をする?由来や期間・お供え物・介護施設向けの過ごし方例を解説
構成・文/介護のみらいラボ編集部お彼岸とは、お墓参りや仏壇・仏具の掃除、お供えなどをしてご先祖様を供養する日本の風習です。お彼岸には、3月の「春彼岸」と9月の「秋彼岸」があり、期間は国民の祝日である春分の日、秋分の日を中日として、前後3日間をあわせた7日間となります。
当記事では、お彼岸の意味や由来、お彼岸の過ごし方、お供え物や食べ物などを解説します。お彼岸にちなんだレクリエーション例も紹介するので、「お彼岸にあわせて、利用者さんに楽しんでもらえる過ごし方を考えたい」という介護職の方は、ぜひお役立てください。
1.お彼岸の意味・由来
お彼岸の語源となっているのは、古代インドのサンスクリット語で「悟りの世界」を表す「パーラミター(波羅蜜多)」という言葉です。これを中国語にすると「到彼岸(とうひがん)」となり、後に「彼岸」と呼ばれるようになったのだそうです。
ただし、お彼岸にご先祖様を供養するのは日本で生まれた習慣で、インドや中国には見られません。一説によると、平安時代初期に早良親王の霊を鎮めるため、僧侶たちにお経を読ませる儀式を行ったのがはじまりだとされています。そして儀式の際に、春分と秋分を中日とする7日間にわたって読経を続けたことから、お彼岸の期間が7日間と決まりました。
なお、お彼岸が庶民の風習となったのは、江戸時代中期のこと。以降、お墓参りをしたり、お寺で彼岸会(ひがんえ)に参加したりする伝統的な行事として、私たちの生活に根づいています。
お彼岸とはいつの行事?
先に紹介したとおり、お彼岸の期間は春分の日と秋分の日を中日とし、前後3日間をあわせた計7日間です。例えば、春分の日が3月20日だった場合、お彼岸の期間は3月17日~23日になります。
春分の日は例年3月20日~21日ごろ、秋分の日は9月22日~23日ごろですが、毎年日程が異なるのは、太陽の動きにあわせてそれぞれの日を決定するためです。春分の日と秋分の日は、前年の2月1日に内閣府から正式発表されます。
春分の日、秋分の日はともに国民の祝日で、お彼岸の初日を「彼岸入り」、最後日を「彼岸明け」と呼びます。
2.お彼岸にやることはご先祖様の供養
お彼岸には、お墓参りや仏壇・仏具の掃除、お供えなどを行ってご先祖様を供養するのが一般的な風習です。また、この時期にはお寺で彼岸会という法要が行われ、そちらに参加する方もいらっしゃいます。
ここでは、お彼岸に行うご先祖様の供養や彼岸会について解説します。
お墓参り・仏壇のお手入れ
お彼岸のお墓参りでは、お墓のまわりの草むしりをしたり、墓石や香立ての掃除をしたりします。掃除が終わった後はお墓に線香をあげ、季節の花や水、果物などお供えしてご先祖様に日ごろの感謝を伝えるのが慣わしです。お墓参りは春分の日、秋分の日に行くのが理想ですが、都合がつかない場合はお彼岸の期間中に行けばよいとされています。
家に仏壇がある場合は、仏具を取り外してほこりを払い、仏壇のまわりもきれいに掃除します。掃除の後はお墓参りと同様、お供え物をしてご先祖様に感謝を伝えます。仏壇がない場合は、ご先祖様の写真立ての拭き掃除をしたり、新調したりするとよいでしょう。
彼岸会への参加
彼岸会は日本のみに見られる行事で、一説には厩戸皇子(聖徳太子)のころに始まったとされています。
彼岸会では在家信者がお寺に集まり、住職や僧侶と一緒に先祖の成仏を祈るのが一般的です。彼岸会で六波羅蜜行と呼ばれる修行が行われるお寺もあり、その場合は、春分の日と秋分の日を除いた6日間で6つの修行を行います。六波羅蜜行は彼岸、つまり心安らかな悟りの世界に無事たどり着くためのもので、修行は「親切」「言行一致」「忍耐」「努力」「反省」「修養」の6つです。
3.お彼岸の食べ物やお供え物
お彼岸のお供え物として知られているのは、ぼた餅とおはぎです。どちらも材料は同じですが、春のお彼岸には牡丹(ぼたん)の花になぞらえたぼた餅をお供えし、秋のお彼岸には萩(はぎ)の花にちなんで粒あん入りのおはぎをお供えします。
あんこの種類が違うのは、収穫時期の違いによるもので、秋は収穫したばかりの皮の柔らかい小豆を用いるため粒あんを使います。ちなみに、古くから小豆には魔除けの効果があると信じられていたために、ご先祖様へのお供えとして普及したのだそうです。
ぼた餅やおはぎは、彼岸入りと彼岸明けに供えることが多く、彼岸から帰ってきたご先祖様を労ったり、反対に彼岸へと帰っていくご先祖様に手みやげとして贈ったりする意味合いがあります。
ぼた餅、おはぎ以外では、精進料理やお彼岸団子、いなりずしなどもお供え物として使われます。食べ物のほかに季節の果物やお花もお供えしますが、花を飾る場合は品のある白菊や白ユリを選ぶのが定番です。
4.介護施設向けのお彼岸の過ごし方例
ここまで解説してきたように、お彼岸はご先祖様を供養するための習わしです。そのため、利用者さんのなかには、お彼岸を「欠かせない行事」だととらえている方もいらっしゃるでしょう。
以下では、介護施設向けのお彼岸の過ごし方や、お彼岸にちなんだレクリエーション例などを紹介します。
お墓参り
利用者さんが外出可能であれば、ご家族と相談した上で日程を調整し、お墓参りをするのもよいでしょう。家族そろって出かければ、きっとよい思い出になります。
参考までに、お墓を掃除する際の手順についても紹介しておきます。
1.お墓に合掌・礼拝し、今から掃除をすることをご先祖様に伝える
2.墓石に水をかけ、ブラシやタワシでやさしく磨く
3.水鉢や香立てを掃除する
外出するのに車椅子が必要な利用者さんの場合は、車椅子で行ける場所かどうかを事前に確認しておきましょう。
ぼた餅・おはぎ作り
ぼた餅やおはぎは、利用者さんに人気のあるおやつの1つです。お彼岸にあわせてぼた餅やおはぎを作れば、利用者さんに喜んでもらえるでしょう。
ぼた餅・おはぎの簡単な作り方は下記のとおりです。あんこは、あらかじめ用意しておいてください。
1. もち米とうるち米を同量混ぜて炊き、冷ましてから食べやすい量をラップの上にのせる
2. ラップでごはんを包み、手のひらでたたくようにして餅状になるまで潰す
3. あんこをラップに伸ばし、餅状になったごはんをのせて包む
お彼岸にまつわるクイズ
お彼岸にまつわるさまざまなクイズを出して、利用者さんに答えてもらうのもおすすめです。その際は、正解することにこだわらず、みんなが楽しめる内容のクイズを選びましょう。以下では、お彼岸にまつわるクイズの事例を紹介するので、参考にしてください。
・しりとり
前の言葉と後ろの言葉を提示し、2つの間に入る言葉を答えるクイズです。
例:えがお→お○○→ぎんこう(答え:おはぎ)
・ことわざ
ことわざの一部を隠し、○のなかに入る言葉を答えるクイズです。
例:暑さ寒さも○○○まで(答え:ひがん)
・逆さ文字
反対から読むとどのような言葉になるかを考えるクイズです。
例:ごんだ(答え:だんご)
・三択クイズ
選択肢のなかから正しい番号を答えるクイズです。
例:お彼岸ではどなたの供養をするでしょう?
1. ご先祖様
2. 雷様
3. お殿様
(答え:1. ご先祖様)
まとめ
お彼岸とは、お墓参りや仏壇・仏具の掃除、お供えなどをして、ご先祖様を供養する日本の風習です。お彼岸には春彼岸と秋彼岸があり、それぞれ春分の日と秋分の日を中日とした7日間行われます。お彼岸における定番のお供え物は、ぼた餅・おはぎ、季節の果物といった食べ物や、白菊、白ユリなどの花です。
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※当記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しています
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