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仕事・スキル 介護士の常識 2024/05/20

介護予防サービスとは?種類や目的・サービスの内容を解説

文/牛玖恵梨子(作業療法士) thumbnail.jpg

平均寿命の伸びにより、「人生100年時代」といわれる現在。仮に、65歳を迎えた高齢者が100歳まで生きると考えると、あと35年分の人生設計が必要になります。その間、元気に過ごせればいいのですが、高齢になるにしたがって身体機能が低下していくことは、避けられない事実です。

そうしたなか、高齢期の35年を元気で健康的に、その人らしく生きるために誕生したのが、介護予防サービスです。介護予防サービスは、2006(平成18)年の介護保険制度改正に伴って新設されたもので、現在は厚生労働省が中心となって、介護予防や認知症予防、フレイル対策などに取り組んでいます。また、予防効果のある施策を実施するデイサービス事業所に対してインセンティブを設けたり、介護予防事業所で働く介護職の処遇改善を行ったりといった動きも見られます。

今回は、介護予防サービスを取り上げ、目的や種類、内容について解説しましょう。

1.介護予防サービスとは

介護予防サービスとは、「自宅で生活する高齢者の自立を支えるためのサービス」のことです。そのため、「居宅介護サービス」とも呼ばれています。

なお、「自立を支える」とは「自立支援」のことを指し、その考え方は、介護保険制度が導入されたときに掲げられた基本理念の1つでもあります。

介護保険制度の基本的な考え方
〇自立支援
〇利用者本位
〇社会保険方式

(出典:介護保険制度の概要(令和3年5月「厚生労働省老健局」)

介護予防サービスの目的

前述したように、介護予防サービスは2006(平成18)年の介護保険制度の改正時に新設されました。その目的は、高齢者ができる限り要介護状態に陥らないように、また心身の状態の悪化を予防できるように、生活機能の維持・向上や改善をサポートすることにあります。

要支援は予防給付

介護保険では、要介護1~5と認定された方が受けられるサービスを「介護給付」、要支援1・2と認定された方が受けられるサービスを「予防給付」といいます。介護給付と予防給付では、受けられるサービスが大きく異なります。

市(区)町村が取り組む総合事業

介護保険のなかには、私たちが住んでいる市(区)町村が中心になって行う「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)と呼ばれる取り組みもあり、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」で構成されています。

ちなみに、以前は予防給付のサービスだった介護予防訪問介護(ホームヘルプサービス)と、介護予防通所介護(デイサービス)の2つは、現在総合事業の「介護予防・日常生活支援総合事業」に組み込まれています。

また、ほかにも体操教室やセミナーなど、地域の実情に合わせて工夫をこらした事業が展開されています。

2.介護予防サービスの種類(予防給付)

予防給付による介護予防サービスは、次のとおりです。

<介護予防サービスの種類>
●都道府県などが指定・監督を行う介護予防サービス

訪問サービス 介護予防訪問入浴介護
介護予防訪問看護
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防居宅療養管理指導
通所サービス 介護予防通所リハビリテーション(デイケア)
短期入所サービス 介護予防短期入所生活介護
介護予防短期入所療養介護(ショートステイ)
それ以外のサービス 介護予防特定施設入居者生活介護
介護予防福祉用具貸与
特定介護予防福祉用具販売

●市町村が指定・監督を行うサービス

地域密着型介護予防サービス 介護予防認知症対応型通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防認知症対等型共同生活介護
(グループホーム)

3.自宅で受けられる「訪問サービス」

続いて、自宅にサービス事業者が訪問する介護予防サービスを紹介します。

介護予防訪問入浴介護

看護・介護職員が、簡易浴槽を積んだ訪問入浴車で利用者さんの自宅を訪問し、入浴の介助を行うサービスです。

ただし、要支援の利用者さんのなかには、自宅の浴槽や通所サービスで入浴できる方もたくさんいます。そのため、自宅に浴室・浴槽がない方や、感染症で通所サービスを利用できない方など、特別な理由がある利用者さんが介護予防訪問入浴介護の対象者となります。

訪問入浴は利用者さんの負担だけでなく、介護を担う家族の負担を減らすことにもつながります。また、看護職も一緒に訪問するため、病気などにより体調に不安がある方や、入浴後に褥瘡の処置が必要な利用者さんも、安心して利用できるでしょう。

介護予防訪問看護

訪問看護ステーションや病院・診療所から、看護師、准看護師、保健師が利用者さんの自宅を訪問し、介護予防を目的とした療養上のお世話や、診療の補助を行います。また、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門職が訪問して、リハビリを行う場合もあります。

対象となるのは、日常生活上の基本動作がほぼ自立しており、状態の維持もしくは改善の可能性が高い利用者さんです。

介護予防訪問看護では次のようなサービスが提供されます。

・病状・障害の観察(血圧、体温チェック)
・清拭・洗髪などによる清潔の保持
・食事および排泄など日常生活の世話
・リハビリテーション、日常生活動作の訓練
・薬の飲み方と管理
・療養生活や家族への介護方法の指導・相談
・家族の悩みの相談
・かかりつけの医師との連絡と調整


介護予防訪問リハビリテーション

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門職が自宅を訪問し、リハビリテーションを行うサービスです。要支援の方が、要介護状態になることを予防する目的で行われます。

介護予防訪問リハビリテーションでは、以下の訓練・指導が行われます。

・移動(歩く、階段昇降)や食事、排泄、入浴などの日常生活動作(ADL)の訓練
・家事、外出などの応用動作の訓練
・起きて活動する時間を確保したり、趣味活動を広げたりなど、活動性の向上を目的とした訓練
・杖や歩行器など、福祉用具の使用に関する訓練 など


予防を目的としたリハビリでは、徐々に状態が改善して、要支援だった利用者さんが非該当になる可能性もあります。

そのため、将来的な就業を視野に入れ、通勤に向けた長距離歩行や電車・バスに乗る訓練など、就労時に必要となる動作を訓練することもあります。

介護予防居宅療養管理指導

医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士、看護師、保健師などの専門職が、通院が難しい要支援の利用者さんの自宅を訪問して、療養上の管理と指導を行うサービスです。

医師や歯科医師による管理指導であれば、訪問診療時の利用者さんの情報をケアマネジャーやほかの事業者に提供したり、利用者さんや家族に対して、介護保険サービスを利用する上での留意点・介護方法を指導したりします。

4.自宅から通う「通所サービス」

ここでは、日中に自宅から施設に通う、通所サービスについて紹介します。

介護予防通所リハビリテーション(デイケア)

利用者さんが介護老人保健施設や病院、診療所、介護医療院などに通い、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門職によるリハビリテーション・日常生活動作訓練を受けるサービスです。

要支援の利用者さんの場合、基本動作や日常生活動作(ADL)が自立しているケースが多いため、応用的な動作(外出・買い物・調理訓練や金銭・体調管理など)、のリハビリが中心となります。

利用者さんのニーズや実情に合ったサービスを提供するため、リハビリの専門職だけでなく、介護職や管理栄養士、歯科衛生士などが一丸となってサポートします。

5.宿泊する「短期入所サービス」

次に、短期で宿泊してサポートを受ける短期入所サービスを紹介します。

介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)

利用者さんが何らかの事情により、一定期間自宅での介護が受けられないときに利用できるサービスです。また、自宅にこもりきりの利用者さんの孤立感を解消したり、心身機能の維持・回復を目指したりする際に利用することもあります。

ちなみに、「何らかの事情」に該当するのは、退院したあとに入る施設が決まらない、冠婚葬祭で家族が自宅を留守にする、介護者が体調を崩した、介護者が休息を取りたいなどの状況です。

介護予防短期入所生活介護では、主に老人短期入所施設や特別養護老人ホームに泊まることができます。

介護予防短期入所療養介護(ショートステイ)

介護予防短期入所生活介護と同様、何らかの事情によって一定期間自宅での介護が受けられないときに利用できるサービスです。こちらもショートステイと呼ばれていますが、介護予防短期入所生活介護とは利用できる施設とサービス内容が異なります。

介護予防短期入所療養介護では、看護・医学的管理のもとで、介護やリハビリ(機能訓練)、医療処置、日常生活上のサポートが受けられます。

泊まれる施設は、介護老人保健施設、療養病床を有する医療機関(病院もしくは診療所)、老人性認知症疾患療養病棟、介護医療院です。

6.それ以外の介護予防サービス

ここまで紹介してきた介護予防サービス以外にも、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売といったサービスが受けられます。

介護予防特定施設入居者生活介護

特定施設に入居している要支援者を対象に、日常生活上の支援(介護予防を目的とする食事や入浴など)、機能訓練、療養上の世話などを行うサービスです。

特定施設とは、有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホームなどを指します。

サービスの形態は2つあり、特定施設の従業者が介護サービスを提供する「一般型」と、外部の訪問サービスや通所サービスなどを利用する「外部サービス利用型」に大別されます。

介護予防福祉用具貸与

介護予防福祉用具貸与は、日常生活の便宜を図るための用具や、機能訓練のための用具を貸し出す制度です。

レンタルの対象となるのは、日常生活場面で使用するもので、起居や移動などの基本動作の支援を目的にした福祉用具です。具体的な用具としては、手すりや段差を解消するために使用するスロープ(工事を伴わないもの)、歩行器などが挙げられます。

介護給付に比べて対象となる福祉用具は少なく、車いすや介護用ベッドなどはレンタルの対象外です。ただし、一定の条件に該当する場合は、例外的に利用が認められます。

私の経験では、自宅の前に急な坂があってつまずきやすい利用者さんは、転倒による二次障害のリスクが高いと認められ、外出用の車いすをレンタルできていました。

特定介護予防福祉用具販売

レンタルになじまない入浴や排泄に用いる福祉用具などを対象に、購入が必要な際に利用できるサービスです。

利用者がいったん購入金額を支払い、その後に申請を行うことで、補助分の支給を受ける仕組みで、限度額は同一年度で10万円までとなります。つまり、利用者さんの負担が1割の方の場合は、9万円が介護保険から給付されるわけです。

7.地域密着型介護予防サービス

地域密着型介護予防サービスとは、住み慣れた地域で生活し続けられるように、地域の特性に応じた多様かつ柔軟なサービスを提供するための枠組みです。

地域密着型介護予防サービスには、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護の3つがあり、事業所や施設がある市区町村に住んでいる方が対象となります。

介護予防認知症対応型通所介護

軽度の認知症の利用者さんを対象に、老人デイサービスセンターなどで専門的な介護を提供するサービスです。主なサービス内容は、入浴、排泄といった日常生活上の介護や、生活に関する相談、健康状態の確認、機能訓練(リハビリテーション)などになります。

認知症に特化したデイサービスなため、職員には認知症の知識をもった方が多く、レクリエーションや季節のイベントを積極的に行う事業所もあります。

介護予防小規模多機能型居宅介護

自宅から施設への「通い」をサービスの中心としつつ、短期間の「泊まり」や自宅への「訪問」を組み合わせて、在宅での生活が継続できるように支援するサービスです。具体的には、入浴、排泄、食事といった日常生活上の介護や機能訓練などを提供します。

利用者さんの状況や生活スタイルに合わせて、「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを選択できるため、より柔軟な支援ができる点に特徴があります。

介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

少人数の家庭的な雰囲気のなかで共同生活を送ってもらうことで、認知症の利用者さんを支援するサービスです。

5~9人の少人数グループで生活するのが一般的で、「認知症の症状の進行を遅らせること」「できる限り自立した生活が送れるようにすること」「現在の状態が悪化しないように対応すること」などが主な目的となります。

なお、対象となるのは要支援2の認知症の方のみで、要支援1の方は利用できません。

まとめ:介護予防サービスで目指すのは、利用者さんの生活機能の維持・向上や改善

ここまで、予防給付で利用できる介護予防サービスを解説してきました。冒頭で説明したとおり、介護保険の考え方の根本には「自立支援」があります。そして、介護予防サービスが目指すものは、利用者さんの生活機能の維持・向上や改善です。

平均寿命が延び、高齢化率も年々高まっている日本では、介護を考えるにあたって「予防」の観点がとても大切になっています。そうした時代に介護に携わるみなさんには、介護予防サービスの知識をぜひ身に付けてほしいと思います。

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牛玖恵梨子(Eriko Ushiku)

作業療法士

作業療法士、児童指導員ほか。
養成校卒業後、病院勤務を経て福祉心理学系の大学へ編入。卒業後は伊豆七島にある三宅島や都内、千葉県内で働く。
趣味は旅と読書、そしてビールを飲むこと。趣味と作業療法の経験を活かし、医療や福祉をテーマにした執筆や書籍などの編集も行っている。

牛玖恵梨子の執筆・監修記事

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