冬の季語と有名な冬の俳句を紹介|季節の区切りやレクリエーションも
構成・文/介護のみらいラボ編集部
四季折々の美しさを言葉に乗せて伝える季語は、俳句や連歌のなかで重要な役割を果たしています。たとえば、新年を表す「元旦」や、夏の暑さを感じさせる「炎暑」、冬の澄んだ空気感を表す「冬暁」などもその1つ。これらの季語を使うことで、季節ごとの特徴や季節に関わる人間の感情を、端的に表すことができるでしょう。つまり、季語はそのひと言で、俳句の世界に情緒・深みを与えるものでもあるのです。
当記事では、俳句などで使える冬の季語を三冬、初冬、仲冬、晩冬の時期別に解説するとともに、それぞれの季語が使われている俳句も紹介していきます。あわせて、俳句を使った楽しいレクリエーションの方法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
1.そもそも俳句の季語とは?
季語とは、俳句や連歌で使用される特定の季節を示す言葉です。新年の「初春」や「お年玉」、夏の「蝉時雨」や「向日葵」など、季節の光景をイメージさせる言葉が季語にあたります。
俳句は1句のなかに1つの季語を入れ、五・七・五の17音で詠むスタイルが基本です。ただし、俳句のなかには季語を入れないもの(無季俳句)や、17音という提携にとらわれないもの(自由律俳句)もあります。
冬の季語が使われる時期
冬の季語が使われる時期は、二十四節気(※)における立冬から、立春の前日までとされています。つまり、現在のカレンダーの11月7日ごろから2月3月ごろまでの期間が、冬に該当するわけです。ちなみに、二十四節気では立春以降の時期を春として扱っており、寒さが残っている日であっても、冬の季語は使用しません。
※1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの。「春分」や「夏至」「秋分」「冬至」なども二十四節気を表す言葉です。
また、二十四節気の季節と現在の暦の間には、1か月程度の差異があります。たとえば、雪崩(なだれ)・雪虫・淡雪などは冬をイメージさせる言葉ですが、季語としては春に分類されるので注意しましょう。
2.冬の季語の例と有名な俳句を紹介
冬の季語には、冬全体を通じて使用できるものと初冬や仲冬、晩冬の期間のみ使用できるものがあります。美しい季語や風情のある言い回しを覚えて、俳句にまつわるレクリエーションを盛り上げましょう。
三冬(冬全体)
季語の世界では、冬全体を通じた時期を「三冬」と呼びます。三冬の季語は、初冬、仲冬、晩冬のいずれにおいても使用可能です。
三冬の季語(例)
天文 | 乾風/霰/冬晴/オリオン/空風/北風/霜/天狼 |
---|---|
生活 | 冬服/セーター/熱燗/雪見/河豚汁/牡丹鍋/炬燵(こたつ) |
行事 | 冬安居/寒参/夜神楽 |
地理 | 凍土/狐火/霜柱/冬野/枯野/冬木立/冬の山/冬の海/冬の川 |
動物 | あなぐま/狐/狸/竈猫(かまどねこ)/甘鯛/金目鯛/牡蠣/ずわい蟹 |
植物 | 冬牡丹/蜜柑(みかん)/冬林檎/枯れ葉/寒菊/冬桜/葱/大根 |
以下では、三冬の代表的な季語とその意味、それぞれの季語を使った俳句について解説します。
雪見 | 雪景色を眺めて楽しむこと |
【例】
・家買つて 今年は 庭の雪見かな(正岡子規)
・いざゆかん 雪見にころぶ 所まで(松尾芭蕉)
雪見は月見や花見と並ぶ風流な遊びとして、日本人に愛されてきました。「いざゆかん雪見にころぶ所まで」は、松尾芭蕉が雪見に出かけようとするタイミングで詠んだ、有名な俳句です。
枯野 | 草木が枯れ果てて、さびしい雰囲気の野原 |
【例】
・吾が影の 吹かれて長き 枯野かな(夏目漱石)
・暮まだき 星の輝く 枯野かな(与謝蕪村)
冬は太陽の高度が低く、影が長く見えやすい時期です。夏目漱石は、そうした冬特有の現象を「冬の野原を歩いている最中に吹いた木枯らしによって、影が長くなっていくように感じる」と表現しています。
河豚汁 | ふぐの身を入れたみそ汁 |
【例】
・河豚汁の われ生きている 寝ざめ哉(与謝蕪村)
・あら何ともなや きのふは過ぎて ふぐと汁(松尾芭蕉)
いずれも、猛毒を持つふぐを食べたものの、無事に翌朝を迎えられてほっとした様子を詠んだ句です。
山眠る | 冬の山の静まり返った様子(冬山を擬人化した表現) |
【例】
・君が世や 風治りて 山ねむる(小林一茶)
・日あたりの 海ほかほかと 山眠る(尾崎紅葉)
季語の世界には「山眠る」のように、山を擬人化した表現が少なくありません。たとえば、春が到来して山に賑わいが戻る時期には「山笑う」、紅葉が美しい時期には「山粧う(よそおう)」が使われます。
初冬(11月ごろ)
初冬は冬の始まりを指す言葉で、草木が枯れ、木枯らしの吹き始める時期にあたります。現在の暦では11月ごろが初冬に該当します。
以下は、初冬に使える季語の一覧です。
初冬の季語(例)
天文 | 神渡し/初霜/時雨/凩/初冬/初雪/冬凪 |
---|---|
生活 | 浅漬け/馬下げる/蕎麦刈/風除/大根引/干菜/麦蒔/冬構 |
行事 | 御火焚/下元の節/七五三/十日夜/酉の市/神迎え/出雲大社新嘗祭 |
動物 | 落鱸(おちすずき)/熊穴に入る/初鱈/柳葉魚(ししゃも) |
植物 | 銀杏落葉/帰り花/冬紅葉/柿落葉/寒葵/寒竹の子/麦の芽 |
以下では、初冬の代表的な季語を使った俳句を紹介します。
時雨 | 冬の初めに降る通り雨 |
【例】
・旅人と 我が名呼ばれん 初時雨(松尾芭蕉)
・手拭に うち払ひつつ 夕時雨(高浜虚子)
松尾芭蕉は、「時雨」を使用した句を数多く残したことで知られる俳人です。「旅人と 我が名呼ばれん 初時雨」は、江戸から旅に出る際、「時雨のなかで旅立ちをし、旅人と呼ばれる境遇に身を置こう」という決意を詠んだ句です。
帰り花 | 小春日和のなか、季節はずれに咲いた花 |
【例】
・凩に 匂ひやつけし 帰花(松尾芭蕉)
・日に消えて 又現れぬ 帰り花(高浜虚子)
帰り花は、草木が本来の季節とは異なる時期に咲かせた花のことで、桜や桃、山吹、つつじなどに多く見られる現象です。
大根引 | 大根を収穫することもしくは収穫作業をする農夫 |
【例】
・大根引き 大根で道を 教えけり(小林一茶)
・たらたらと 日が真赤ぞよ 大根引(川端茅舎)
「大根引き 大根で道を 教えけり」は、小林一茶が俳諧行脚の最中に出会った農夫とのやりとり(道をたずねたところ、持っていた大根で方向を示してくれた)を詠んだ、ユーモアあふれる一句です。
神の旅 | 陰暦の10月、全国の神様が出雲大社に向かって旅立つこと |
【例】
・都出て 神も旅寝の 日数哉(松尾芭蕉)
・旅じたく 神の御身を せはしなや(小林一茶)
陰暦の10月には、全国の神様が出雲大社に集まるために旅立ちます。神様を見送ることを意味する「神送」や、出雲大社から帰る神様を迎える「神迎」も初冬の季語です。
仲冬(12月ごろ)
仲冬は、現在の暦の12月ごろにあたります。仲冬には冬至やクリスマス、大みそかなど、日本人にもなじみ深いイベントが多数行われます。
以下は、仲冬に使える季語の一覧です。
仲冬の季語(例)
天文 | 初雪/名残の空/御講凪(おこうなぎ)/冬日和 |
---|---|
生活 | 年忘/畳替/顔見世/甘蔗刈(かんしょかり)/除雪車/雪囲/柚子湯 |
行事 | 年守る/松迎え/神楽/クリスマス/冬至/年の市/除夜の鐘/年の暮 |
地理 | 初氷 |
動物 | 落鱚(おちぎす)/霜月鰈(しもつきがれい)/初鱈/初鰤 |
植物 | 甘蔗の花/クリスマスローズ/冬至梅/冬至芽/ポインセチア |
仲冬の季語を使った代表的な俳句を確認し、言葉の理解を深めましょう。
クリスマス | イエス・キリストの誕生を祝う日 |
【例】
・八人の 子供むつまし クリスマス(正岡子規)
・手づくりの 蝋燭たてや クリスマス(篠原鳳作)
日本でクリスマスが受け入れられるようになったのは、明治時代のこと。正岡子規は、日本で最初にクリスマスの俳句を詠んだ人物とされています。
冬至 | 1年で最も昼が短く、夜が長い日。12月22日ごろにあたる |
【例】
・冬至より 来るもいまだ 雪の空(立花北枝)
・門前の 小家も遊ぶ 冬至かな(野沢凡兆)
冬至には、無病息災を願って柚子湯につかったり、かぼちゃや小豆粥を食べたりする風習があります。そのため、「柚子湯」「冬至南京」「冬至粥」なども、仲冬に使用できる季語です。
雪囲 | 雪の被害を防ぐため、住宅の周囲や庭木を板などで囲うこと |
【例】
・雪かこひ するやいなやに みそさざい(浪化)
・山祇の 出入りの扉 あり雪囲(前田普羅)
雪囲は冬本番を迎えるための準備であり、仲冬の季語に含まれます。
年の暮 | 12月も押し詰まった年の終わり |
【例】
・月雪と のさばりけらし としの昏(松尾芭蕉)
・蛤の いける甲斐あれ としの暮(松尾芭蕉)
松尾芭蕉は、仲冬の季語である「年の暮」を使った俳句を数多く残しています。「月雪と のさばりけらし としの昏」は、風流を追いかけ、やりたい放題で過ごした1年を振り返った一句です。一方の「蛤の いける甲斐あれ としの暮」では、「年末に食用として重宝される蛤のように、生きがいのある年を迎えたい」という決意を詠んでいます。
晩冬(1月ごろ)
晩冬は、現在の暦の1月ごろにあたります。以下は、晩冬の季語の代表例です。
晩冬の季語(例)
天文 | 吹雪/雨氷/寒月/節東風(せちごち)/寒の雨/樹氷/雪/雪女郎 |
---|---|
生活 | 寒稽古/雪像/寒餅/雪投げ/霜焼/寒見舞/寒中水泳 |
行事 | 厄落/厄払/年越詣/豆撒/柊挿す/節分詣 |
地理 | 氷/氷湖/氷柱/氷壁/御神渡(おみわたり)/凍滝/波の花 |
動物 | 白鳥/寒鴉(かんがらす)/凍蝶/寒烏賊/むつ/寒鯉/寒鮒/たご鮭 |
植物 | 寒独活(かんうど)/寒木瓜(かんぼけ)/水仙/早梅/葉牡丹/冬椿 |
以下では4つの季語を取り上げ、それぞれの意味と句例を紹介します。
吹雪 | 強風を伴う降雪 |
【例】
・ひつかけて 行くや雪吹の てしまござ(去来)
・宿かせと 刀投げ出す 雪吹かな(与謝蕪村)
吹雪は、北国の厳しさを象徴する季語です。「宿かせと 刀投げ出す 雪吹かな」は、吹雪のなかを旅していた旅人が家に転がり込んできて、「宿を借りたい」と言うなり、刀を投げ出してへたりこんだ姿を詠んだ句です。
雪女郎 | 雪国の伝説に登場する雪女・雪の精 |
【例】
・かかる夜の 檐にや忍ぶ 雪女郎(臼田亜浪)
・雪女郎 おそろし父の 恋恐ろし(中村草田男)
「雪女郎 おそろし父の 恋恐ろし」は、雪女を思わせるほど怪しげな女性に恋した、父親への感情を詠んだ句です。女性の印象を「おそろし」、恋した父への感情を「恐ろし」とあえて表記を使い分け、複雑な思いを表現しています。
雪 | 上空の水蒸気が凍り、結晶化して地上に降る現象 |
【例】
・我雪と おもへば軽し 笠のうへ(宝井其角)
・市人よ この笠売らう 雪の傘(松尾芭蕉)
雪は、冬の美しい景色を象徴する季語です。木の枝や塀に積もった雪が溶け、紐状に垂れ下がった「紐雪」や、餅を連想させるほどふわふわとした「餅雪」など、雪にまつわる季語は数多くあります。
早梅 | 早咲きの梅の花 |
【例】
・早梅や 御室の里の 売屋敷(与謝蕪村)
・早梅や 懸燈台の 薄明かり(中村史邦)
梅の開花時期は、天候や風土、品種などによって異なります。早梅は、1月ごろに咲いた梅の花の総称で、早梅をたずね歩くことを「探梅」といいます。
3.現代も冬の季語は増え続けている
季語には、「いつ、誰が決めるか?」についての明確なルールが存在せず、人々のライフスタイルや考え方の変化に応じて増減します。たとえば、ブーツ、ラグビー、スケートなどは、近年に追加された冬の季語です。このように、多くの人が俳句に詠み、社会的な認知度が高まった言葉は、冬の季語に追加される可能性があるのです。反対に、風習が廃れたなどの理由で、使用されなくなる季語もあります。
現時点で、一般的に使用されている季語を知りたい場合は、歳時記を参照するのがおすすめです。歳時記とは、四季折々の自然や人事、年中行事をまとめた書物のことで、季語辞典としても活用できます。
4.冬を楽しむ!俳句を使ったレクリエーション2選
俳句にまつわるレクリエーションは室内で行えるので、寒さが気になる季節におすすめです。以下では、俳句を活用した楽しいレクリエーション例を紹介します。
穴埋めクイズ |
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有名な俳句をもとに穴埋めクイズを作成し、利用者さんに回答してもらうレクリエーションです。 【出題例】 ・「めでたさも ちう位也( )」の( )に入る言葉は何でしょうか。 ・「正月や 村の小すみの ( )の花」の( )に入る言葉は何でしょうか。 「難易度が高い」と感じる場合は、シルバー川柳やサラリーマン川柳を題材にする方法もあります。 |
替え句・大喜利 |
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有名な俳句の一部を残し、他の新しい句を作成してもらうレクリエーションです。 【出題例】 ・「古池や」に続く言葉を考え、新しい俳句を作ってください。 ・「閑さや」に続く言葉を考え、新しい俳句を作ってください。 替え句を楽しむ場合はもとの俳句を意識せず、利用者さんの自由な視点で考えてもらいましょう。作った俳句を利用者さん同士で鑑賞し合ったり、感想を言い合ったりすると、より盛り上がります。 |
俳句にまつわるレクリエーションをアイスブレイクに活用したい場合は、冬の季語の読み方クイズがおすすめです。「師走」のような難読季語をホワイトボードに書き、利用者さんに回答してもらいましょう。
まとめ
季語は俳句や連歌を詠む際に、四季の美しさや特徴、季節に関わる人間の感情を表現する大切な要素です。冬の季語は立冬から立春の前日まで使用され、三冬、初冬(11月ごろ)、仲冬(12月ごろ)、晩冬(1月ごろ)という4つの時期に分類できます。三冬は冬全体を表す言葉で、代表的な季語に「雪見」「枯野」「河豚汁」など季があります。また、時代にあわせて新たな季語が生まれることもあり、「ブーツ」「ラグビー」などは、近年追加された冬の季語です。
俳句にまつわるレクリエーションは、室内で気軽に楽しむことができるので、寒い季節にぴったりです。有名な俳句の穴埋めクイズや、替え句を考える大喜利などを楽しんで、利用者さんと一緒に俳句の魅力を再発見してみてはいかがでしょう。
「介護のみらいラボ」では、他の季節の季語も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
※当記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています
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