「マッチョ介護士」が介護現場を変えた!~「HIDAMARI GROUP」の成功から学ぶ介護業界の今後~|気になるあの介護施設
取材・文/小南 哲司(イージーゴー)利用者さんの健康状態を確認する様子
介護施設の開設にあたり筋トレやボディビルコンテストに励む「マッチョ」たちに目をつけ、なんとフィットネスの実業団を結成!
彼らを「マッチョ介護士」として多数採用し活躍の場を設けた「HIDAMARI GROUP(株式会社ビジョナリー)」の代表取締役社長・丹羽 悠介氏に、「マッチョ介護士」が利用者やスタッフをどう変えたか聞いてみました。
1.「マッチョ介護士」が会社に与えた影響
――「マッチョ介護士」が施設に入社して何か影響はありましたか。
ほかのスタッフからもすごく頼りにされています。彼らがきっかけでダイエットのために筋トレを始めるといったことなどもありましたね。産後ダイエットをしたいっていう女性スタッフにパーソナルメニューを作ってあげたりとか、なかには自分も「ボディビルの大会に出たい!」という本格的なところまでいっちゃったりするスタッフもいて(笑)。そういう感じで「マッチョ介護士」たちが会社全体を盛り上げてくれているんじゃないかな、と思っています。
2.「モデルさんみたい!」利用者さんから大人気
――利用者さんの反応は?
「身体が大きいから」などといって怖がることはなかったですね。利用者さんのご家族からは最初ちょっと怖がられたりとかはあったのですが、そのうち「モデルさんみたいですごいね」みたいな感じで盛り上がってくれて。介護には実際はそれほど筋力ってあまり関係ないのですが、やっぱりマッチョってなんとなく安心感があるじゃないですか(笑)。そんなふうにだんだんと受け容れてもらえるようになった感じです。
あとは利用者さんもスタッフと同じように、ボディビルのコンテストに出るような「マッチョ介護士」を見て自分も何かチャレンジしたいと思う人も出てきました。例えばある若い利用者さんは歌を頑張っていたんですけど、彼らのように自分も歌の大会に出てみようということがあったりしました。また彼は、YouTubeでチャンネルを作って歌を披露したりもしています。
利用者を抱えている様子
「マッチョ介護士」から刺激を受けて自分も何か頑張りたいと思ってくれるというのは、彼らだからこそできることなのではないかな、と思いますね。私たちは利用者さんの人生そのものをサポートしていると思っているので、ただただ介護するだけじゃなくて、そういったところでも何か背中を押してあげることができているっていうのは、私たちがすごく目指していた部分でした。
3.働く人たちの人生が豊かになることを一
――「マッチョ介護士」を導入して意識が変わったことはありますか。
福祉の仕事をする人って心が豊かだと考えています。他人の人生をサポートするって大変な仕事で、その場しのぎなら偽りの自分で接客すればいいと思うのですが、それこそ終末期まで一緒に付き合っていくには限界がある。そうなるとそれこそ「マッチョ介護士」にとっての筋トレやボディビルコンテストのように、本当に自分の人生が心から楽しいなって思えていないと続かないと思うんですね。
そのためには給料や福利厚生の面を充実させればいいということだけじゃなくて、それとは別に働く人たちの人生が豊かになっていくようなことを一緒に考えていかなきゃいけないかな、と思います。もちろん研修とかも大事ですが、私は「遊び方」を教えてあげる会社にしたいなと考えています。
私が美容師だったときも休日にサーフィンをしていたら「そんな暇があったらカットの練習でもしろよ」みたいに怒られたんですよ。だけど時代的に今はやっぱり違うと思っていて、堂々と遊んでいい、そしてその遊びを会社で共有できる、入社すると「遊び上手」になれるような会社を目指していきたと思っています。
あとパラレルワーカーの求人もしています。1日4時間勤務の正社員雇用制度で、正社員として働きながら、他の仕事やそのための学習時間も確保できるようにするためです。例えば、プロボクサーやパティシエ志望のスタッフも実際にいます。「マッチョ介護士」のように、スタッフの将来の夢を応援したいから作った制度です。
4.業界の『当たり前と違うこと』で差別化
――介護業界の皆さんに何かメッセージは。
介護業界に入ったときからずっと「自分の会社に人が来ない」という話ばかり聞いていました。だから私は「これは正攻法でやっていてもだめだな」と思って当時の自分と同じくらいの、20代くらいの若い男性に特化して人を集めてみたんですよ。「そんなに男性介護士の需要なんてないよ」って言われていたんですけど、ふたを開けてみればやっぱり障がい者の介護に男性の体力に需要があるとわかって、地域の中で差別化ができたんですね。
そこで私のなかにもともとあった「業界の『当たり前と違うこと』をやったほうが勝てる」ということが確信に変わりました。それがのちの「マッチョ介護士」にもつながっています。だからクリエイティブに「なんでもいいから新しいことをやってみよう」という姿勢が重要だと思いますね。
取材/小南 哲司
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