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仕事・スキル 介護施設・職場 2023/05/23

#気になるあの介護施設

農業と介護の両方に取り組む「半農半介護」の働き方とは?!ちょっと変わった有料老人ホーム「ひろんた村 母屋」│気になるあの介護施設

取材・文/タケウチ ノゾミ(イージーゴー) thumbnail.jpg

長崎県松浦郡新上五島町にある有料老人ホーム「ひろんた村 母屋」は、一般的な介護施設とは少し変わった老人ホームです。広い敷地には、老人ホームである母屋のほかに、広大な畑や豚・鶏が走り回る放牧場、ハム・お菓子の加工所などがあり、農的自給自足の暮らしをつなぐコミュニティが築かれています。また施設で働く介護スタッフは介護だけでなく、農業にも取り組んでいます。ちょっと変わった施設で働くうえで、スタッフの皆さんはどのようなことに気をつけているのでしょうか。「ひろんた村 母屋」の理事長 歌野敬氏に話を聞いてみました。

1.施設で働くスタッフの特徴

――施設で働いているスタッフはどのような方が多いですか。

2023年3月現在は、7名のスタッフが働いています。そのうち3名は半分農業に取り組んでおり、残りの半分の時間を介護ケアスタッフとして働いているんです。当施設にてフルタイムの介護スタッフとして働いていた人が、「農業の方に関心があるので、半分そちらに移りたいです」といって、農業を始めたこともありました。

スタッフの中には介護未経験の人や、農に関心があって当施設に来た人もいます。当施設では豚の餌やりや鶏の世話なども仕事として取り組んでもらっているので、働き方については「半農半介護」という表現をしていますね。

2.スタッフが日々気をつけていること

――入居者さんと接する際に、スタッフの皆さんが気をつけていることを教えてください。

中途半端に手を貸さないようにはしています。現代の介護は少し過剰だと感じているので、当施設では入居者さんがご自身でできることは、できるだけ自分でやってもらうようにしているんです。「入居者さんの能力を活かすような介護」と言えば良いでしょうか。

なので食事や着替えなども、できるだけ一人で取り組んでもらっています。自立の方々に至っては、掃除や洗濯もご自分で行っているので、スタッフはほとんど関与していません。ご本人ができそうなことは、基本的には手伝わずに見守っています。

スタッフさんと一緒に豆腐づくりに取り組むことも

スタッフさんと一緒に豆腐づくりに取り組むことも

――「最期までその人らしく生きることをサポートする」ことを重要視されているそうですね。サポートにあたり、注意していることがあれば教えてください。

希望する最期について、入居者さんやご家族とよく話し合うことです。当施設ではなるべく医療に頼らず、病院ではなく自分の家、つまり施設で最期を迎えることを希望されている方が多くいます。なので皆さんが最期まで自分らしく生きられるように、現在入居されている方々とも、看取りの問題や、緊急搬送の希望の有無などについて話し合っていますね。70代くらいの方にとってはまだリアルな問題ではありませんが、いずれ看取りについて話し合うことには合意してもらっています。

実は今年の1月に97歳の入居者さんが亡くなられて、当施設では初めての看取りを経験しました。その方は病院にも全く行かず、最期まで当施設で過ごされて、元旦には皆と一緒におせち料理を食べ、翌日の2日に亡くなりました。その方がどう思われていたかはわかりませんが、最期までご自分らしく生きられたのではないかと感じています。

――そのほかに、入居者さんに楽しく生活してもらうために気を配っていることはありますか。

入居者さんが活き活きと生活できるように、サポートすることでしょうか。当施設では、入居者さんの生活を楽しませる工夫はあまり行っていません。その理由は、生活にはそれぞれの人に応じた楽しみ方があると思うからです。

例えばある方は絵を描くことが好きで、一日中ペンを持って絵を描いていますし、ある方は身体をつくることが自分の仕事だと言い、しょっちゅうエアロバイクに乗っています。ほかにも一日中畑に出て、草取りをしたり花を植えたりするなど、畑仕事が生きがいになっている方もいますね。

このように当施設では、1人ひとりが自分の好きなように、楽しく暮らしていただけたらと考えています。我々ができることは、それをサポートすることだけなのではないでしょうか。

母屋で皆一緒に食事をする入居者さん

母屋で皆一緒に食事をする入居者さん

3.今後の取り組みについて

――今後取り組んでいきたいことがありましたら教えてください。

当施設を立ち上げたきっかけの一つである、自給技術の伝承の機会をより増やしたいと考えています。「自給学校」という名前で2年半ほど前からワークショップを開催しているのですが、コロナ禍で思ったように開けずにいました。昨年の秋頃から再スタートしたので、今後はさらに開催回数を増やしていきたいですね。

自給学校では炭焼きや醤油づくりなどの中心的なメニューを決め、後はそのメインメニューに付随して豆腐を作ったり、鶏を絞めて解体して食べたりしています。この自給学校への参加をきっかけに田舎暮しを始めた方も何人もいるので、今後も技術の伝承を続けていきたいです。

取材・文/タケウチ ノゾミ 編集/イージーゴー

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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