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仕事・スキル 介護施設・職場 2024/01/11

生演奏の音楽療法に特化したデイサービスとは?「音楽デイサービス ブラボー!」の特徴|気になるあの介護施設

取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー thumbnail-1.jpg

神奈川県相模原市にある「音楽デイサービス ブラボー!」は、生演奏の音楽療法に特化したデイサービスです。音楽療法とは音楽の持つ特性を活用したリハビリの一種で、利用者さんは来所後、発声トレーニングや生伴奏での歌唱などの音楽に関するさまざまなプログラムに取り組みます。

音楽療法に特化したデイサービスは珍しいですが、一体どのようなプログラムを提供しているのでしょうか。「音楽デイサービス ブラボー!」の渡邉和泉氏に話を聞いてみました。

1.音楽療法に特化したデイサービス

ーー「音楽デイサービス ブラボー!」の施設紹介をお願いいたします。

神奈川県相模原市にある、音楽療法に特化したデイサービスです。音楽を機能訓練のプログラムの一つとして活用し、辛くない楽しいリハビリをモットーとしてサービスを提供しています。2023年現在は、71歳から100歳の方にご利用いただいており、平均介護度は要介護1.8程度です。8割近くが認知症の方ですが、失語症やパーキンソン病の方、精神疾患の方、要支援の方も通われています。

2.プログラムや利用者さんの特徴は?

ーー施設ではどのようなプログラムを提供しているのでしょうか。

当施設では1日の中に3つの目的別トレーニングを実施しており、全てのトレーニングはピアノの生伴奏で行っています。

一日の流れを紹介すると、午前中はオリジナルの体操プログラム、午後は楽器を使ったトレーニングや歌唱トレーニングを実施しています。午前中に実施する体操は音楽に合わせて自然と身体が動くようなプログラムで、ラジオ体操第一・第二をはじめ、サウンドフープという楽器を使用した上半身のトレーニングや、ステップ台を使ったステップダンス体操などを取り入れています。上半身から下半身まで、まんべんなく全身を動かしてもらうことを意識していますね。

午後はハンドベルを使ったリズムトレーニングや、歌唱トレーニングを実施しています。また塗り絵や工作など、音楽以外のプログラムも行っています。

体操プログラムの1つであるステップダンストレーニング

体操プログラムの1つであるステップダンストレーニング

ーー利用者さんはやはり音楽や歌が好きな方が多いのですか。

最近は当施設の認知度が高まり、以前コーラスに取り組まれていた方など、音楽に興味を持つ方のご利用が増えてきたと感じています。しかし、当施設で音楽療法を始めたばかりの頃は、必ずしも音楽が好きな方が集まる施設ではなく、デイサービスに抵抗がある方のご利用が多い傾向にありました。デイサービスを拒否している方に対し、「ここは音楽のサロンだからおすすめですよ」「おしゃれな場所があるので行ってみませんか」などとケアマネジャーさんが声をかけ、利用を始められた方も多くいらっしゃいます。また、必ずしも歌が得意ではなく、歌を聴くほうが好きな方も多い傾向にありましたね。

3.一般的な介護施設が変わった「あるきっかけ」

ーー音楽療法に特化したデイサービスを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

元々は音楽療法に特化したデイサービスではなく、ごく一般的な介護施設でした。当時は日々入浴やトイレの介助などの業務に追われていて、サービスとして提供できることはほとんど無いような状態でした。

しかし、利用者さんがただテレビを見て時間が過ぎるのを待つような状態を変えたいという気持ちがあり、たまたま音楽療法の勉強をしているスタッフが在籍していたため、そのスタッフにお願いして歌のプログラムを実施することにしたのです。すると、利用者さんの様子が大きく変化し始めました。

いつも帰宅願望が強かった方が「家に帰る」と言わなくなったり、入浴を拒否する方も「歌が始まる前にお風呂に入ってきれいにしましょう」と言うとすんなり入浴したりと、魔法のような出来事が次々と起こったのです。歌や音楽に力があることは知っていましたが、ここまでとは思っていなかったため、当時の衝撃は大きかったですね。この出来事がきっかけで、音楽療法に特化したデイサービスの運営を始めることになりました。

施設内でコンサートを実施することも

施設内でコンサートを実施することも

4.歌唱トレーニングの選曲は?

ーー歌唱トレーニングではどのような歌を歌うのでしょうか。

童謡や流行歌などの親しみやすい曲だけでなく、季節や世の中の出来事に合わせた歌も取り入れるようにしています。例えば終戦記念日のある8月には平和や反戦の歌、東日本大震災が発生した3月には復興支援の歌などを歌います。また12月にはクリスマスの歌だけでなく、「歓喜の歌」をドイツ語で歌うなど、日本語以外の歌を歌うこともありますね。現在80代・90代の方は、全盛だった頃の音楽番組を見ている世代なので、さまざまな曲を取り入れることを意識しています。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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