社会的孤立感の解消に役立つ新しいデイサービスとは?交流型デイサービス「コンパスフルネス」の設立背景|気になるあの介護施設
取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー埼玉県さいたま市にあるデイサービス「コンパスフルネス」は、高齢者の介護予防や閉じこもり予防を目的とした交流型デイサービスです。利用者さんは来所後、健康麻雀をはじめとした趣味活動や、他の利用者さんとの交流などを楽しみます。
社会的孤立感の解消に役立つデイサービスとは、一体どのような施設なのでしょうか。リハプライム株式会社の湯井達也氏に話を聞いてみました。
1.交流型デイサービス「コンパスフルネス」とは?
ーー交流型デイサービス「コンパスフルネス」の施設紹介をお願いいたします。
埼玉県さいたま市にある交流型デイサービスです。「交流型デイサービス」と聞いてもイメージしづらいかもしれませんが、主に利用者さん同士の交流により、閉じこもりを予防するための施設となっています。
特徴は3つあり、1つ目は要介護の方がいないこと。2つ目は、一般的なデイサービスと比較すると滞在時間が短いこと。3つ目は、バリアフリーの美容室やパン屋さんが同じフロアにある、おしゃれな空間に位置していることです。
当施設は介護予防・日常生活支援総合事業のため、要支援1と要支援2の方、そして事業対象の方(要介護・要支援となるリスクが高いと判定された高齢者)が対象となっており、要介護認定を受けている方はいらっしゃいません。また、一回の滞在時間は14時から16時までの2時間です。2024年現在の年齢層は70代後半から90代で、1日に4人から8人程度の方が交流を楽しまれています。
ーー利用者さんは毎回どのようなことに取り組まれているのでしょうか。
交流を目的としたデイサービスなので、一般的なデイサービスのような、リハビリを目的とした運動などは行っていません。皆さん来所後は、健康麻雀や手芸、編み物、トランプ、映画鑑賞などを楽しまれています。なかでも人気があるのは健康麻雀で、麻雀をするためにデイサービスに来ている方もいらっしゃるほどです。
麻雀はかなり頭を使うほか、4人1組になって集まることで会話も弾むため、心身へ良い刺激を与えられているのではと感じています。フラワーアレンジメントなども人気がありますが、麻雀をやることの方が圧倒的に多いですね。麻雀をするメンバーは大体決まっていて、同じグループのメンバーが集まると、必ずと言ってよいほど麻雀を楽しまれています。
4人1組になって麻雀を楽しむ利用者さん
2.来所後の流れ
ーー来所後の流れを教えてください。
デイサービス到着後は、バイタル測定と簡単な柔軟体操やストレッチ体操を行います。その後は好きなことに取り組んでいただくのですが、座りっぱなしは身体の機能維持の妨げとなるため、1時間に1回は軽度の運動を挟むようにしていますね。
具体的には、足踏みなどの脈拍を少し上げるような動きや、立ち座りの運動など下肢の筋力を維持する動きを取り入れています。2時間の滞在時間のうち、8割が趣味活動で、残りの2割が体操や休憩の時間となっています。
3.交流型デイサービス誕生のきっかけ
ーー交流型デイサービスを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
「要支援や、事業対象の方の意欲を引き出す事業を始めたい」と思ったことがきっかけです。当施設を運営しているリハプライム株式会社では、「コンパスヴィレッジ」と呼ばれる構想を掲げ、小規模でお互いに顔が見える地域包括システムに取り組んでいます。
当社では他にも、歩行訓練専門施設のリハビリデイサービス「コンパスウォーク」や訪問看護、訪問介護、介護保険タクシーなどを運営していますが、そのなかでまだ欠けていたのが、要支援や事業対象の方に生きがいを与えられるようなサービスでした。
何か良い方法はないかと考えていた頃、「介護予防・日常生活支援総合事業」の法改正によって、65歳以上の全ての高齢者に介護予防サービスの提供ができるようになります。そこで、元気だけれど閉じこもりがちの方や、デイサービスに抵抗がある方の閉じこもり防止を目的としたサービスを始めようと考え、交流型デイサービスのコンパスフルネスをオープンすることになりました。
麻雀以外に塗り絵や映画鑑賞などを楽しむことも
4.運営にあたり大変だったこと
ーー交流型デイサービスは珍しいですが、運営にあたり大変だったことはありますか。
オープン直後、なかなか利用者さんが集まらなかったことです。一般的なデイサービスであれば、地域のケアマネジャーさんに施設の情報を渡すことで、利用者さんを紹介していただけます。しかし、ケアマネジャーさんは要介護の方は知っていても、要支援や事業対象の方に関しては、業務上接点がないため知らないことがほとんどです。そのため介護事業所に声をかけても、なかなか利用者さんを集められずにいました。
この点にはかなり悩まされましたが、悩んだ末、要介護の方のご家族に声をかける方法を思い付きます。例えばご夫婦の場合、旦那さんは要介護状態であるけれど、奥さんはお元気なケースも非常に多いです。そこで、ケアマネジャーさんに「利用者さんの面談に行った際に、テレビばかり見ていて引きこもりがちな高齢者の方を見かけませんか」と営業をしてみました。すると何人か当てはまりそうな方を紹介していただくことができ、少しずつ利用者さんが増えていきました。
現在はケアマネジャーさんの間でも交流型デイサービスの認知が広がったほか、地域の口コミによっても施設の存在が広まっていっているようです。今後も新しい形の交流の場として、コンパスフルネスが高齢者の皆さんの居場所になれば嬉しいです。
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