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仕事・スキル 介護施設・職場 2025/07/08

#インタビュー

介護とグルメの融合を始めたきっかけは?シェフによる本格的な料理を楽しめる「シェフズデイサービス」|気になるあの介護施設

取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー iv250702_thumb.jpg

神奈川県を中心に展開する「シェフズデイサービス」は、シェフが作った本格的な料理やおやつを提供しているデイサービスです。全ての料理を施設内で手作りしており、利用者さんは毎回、まるでレストランのような趣向を凝らした食事を楽しめます。介護とグルメの融合を始めたきっかけや、スタッフの教育面での工夫について、株式会社ソーシエ 介護事業部長の矢部将広氏に話を聞いてみました。

1.「食」に注力したデイサービスを設立したきっかけ

ーーなぜ「食」に注力したデイサービスを設立しようと思ったのでしょうか。介護とグルメの融合を始めたきっかけを教えてください。

「当社の強みを活かした介護施設を作りたい」と思ったことがきっかけです。当社の代表はもともとフレンチのシェフをしており、飲食業から事業をスタートさせました。その後、様々な事業に取り組むなかで、あるご縁から通所介護事業をご紹介いただき、デイサービス運営へと踏み出すことになったのです。そして施設の運営方針を検討する際、「食にこだわりを持つ当社だからこそ、グルメに特化したサービスを提供してはどうか」というアイディアが生まれました。そこで、シェフが作った美味しい食事を提供することで、利用者さんが楽しく前向きに通っていただける施設を目指し、シェフズデイサービスの設立に至りました。

ーー毎回レストランのような料理を提供するにあたって、難しかったことはありますか。

特に難しいのは、料理を最適な状態で提供することです。介護施設ではレストランのように一人ずつ料理を提供するのではなく、10人〜20人分を一度に作り、同じタイミングで盛り付けなければなりません。さらに、当施設では基本的に1人で調理を担当しているため、盛り付けに時間がかかると料理が冷めてしまい、ベストな状態での提供が難しくなります。そのため、熱々ではなくても美味しく食べられるメニューを取り入れたり、汁物のように温度が重要な料理は、利用者さんの前で盛り付けたりするなど、温度管理には特に気を遣っています。

こうした工夫は、おやつにも活かされており、当施設ではなるべくおやつを華やかに盛り付けることを心がけています。このように盛り付けに注力している理由は、「人の記憶は、物事の始めと終わりが特に残りやすい」と言われているためです。たとえば、前菜とデザートが特に華やかに盛り付けられているコース料理を想像していただくと、わかりやすいかもしれません。この様な理由から、当施設では、「今日もいい一日だったな」と思って帰宅していただけるよう、最後に提供するおやつにも細やかな工夫を重ねています。

2.スタッフ採用で意識していること

ーーサービスにこだわる施設づくりをされているとのことですが、スタッフ採用で意識していることがあれば教えてください。

ホスピタリティが高い人であれば、業界未経験でも積極的に採用しています。当社はもともと飲食関係の事業を手がけていたこともあり、食への興味関心の有無を選考基準の一つとしています。実は、私も当社に入社する以前はシェフとして働いており、介護業界の勤務経験はありませんでした。介護とサービス業には共通する部分が多くあり、お客様に喜んでいただくために努力を重ねる点は変わりません。そのため、業界への知識や経験の有無よりも、「利用者さんに思いやりの気持ちを持って接することができるかどうか」を重視しています。

スタッフのなかには飲食業経験者も多い

スタッフのなかには飲食業経験者も多い

3.入社後は調理に関する研修もある

ーー飲食の経験者でも、1汁4菜を1人で人数分作り、一度に提供するのは難しそうなイメージがあります。入社後は調理に関する研修もあるのでしょうか。

もちろん、調理を担当してもらう場合は、事前に指導を行いコツを伝えるようにしています。当施設では延長サービスとして希望者のみ夕食も提供しているため、まずは5〜6人分の夕食づくりに取り組んでもらったり、先輩と一緒にお昼ご飯を作ったりするところから始めます。その作業に慣れてきたら、今度は一番得な料理を10〜20人分作れるよう、練習を重ねます。さらにその次は、自分が作ってみたい料理にチャレンジ。こうして段階を踏んでいくことで、少しずつバリエーションが広がっていき、最終的には冷蔵庫にある食材を見て即興で献立を考えられるようになるのです。ちなみに、おやつは定番の盛り付け方法がいくつかあるので、最初はそれを真似るところから練習をスタートします。スタッフにもよりますが、大体3ヶ月くらい練習を重ねると、1人で昼食作りを担当できるようになりますね。

ーー今後の展望をお聞かせください。

新規事業として、2025年6月にナーシングホームの開設を予定しているため、まずはそのオープンに向けた準備に注力したいと考えています。また、既存の事業に対しては、SNSでの情報発信により力を入れていく予定です。介護業界はイメージギャップが大きく、どうしてもマイナスな印象をもたれやすい傾向があります。実際に現場を見たことがない方も多いため、リアルな姿を積極的に発信することで、「介護業界っていいかも」「思っていたよりも楽しそうだな」と感じてもらえるきっかけを作りたいと考えています。今後も発信方法を工夫しながら、より多くの方に介護の魅力を知っていただけるように努めていく予定です。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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