特養(特別養護老人ホーム)とは?施設の特徴や一日の流れ・業務内容をわかりやすく解説
文/山本史子(介護福祉士)
介護施設にはさまざまな種類があり、提供するサービスや対象者は施設の種類によって異なります。なかでも特養(特別養護老人ホーム)は、医療・看護職員と連携した働き方になるため、幅広い知識や介護技術が身につけやすい職場です。本記事では、特養の対象者や人員配置を解説したうえで、介護職員の業務内容や役割を紹介します。
- 目次
- 1.特養(特別養護老人ホーム)とは
- 入居条件
- 設置基準
- 費用
- 人員配置基準
- 2.特養の種類
- 広域型特別養護老人ホーム
- 地域密着型特別養護老人ホーム
- 地域サポート型特別養護老人ホーム
- 3.特養の業務内容
- 入浴・着替えの介助
- 移乗・移動介助
- 排せつ介助
- 食事介助
- 健康管理
- 4.特養で働く介護職員の1日の流れ
- 5.特養で働くメリット
- 介護スキルが身につきやすい
- 利用者さんとじっくり向き合える
- 他の介護施設と比べて、待遇・給与面で条件が良い傾向にある
- 6.特養で働くデメリット
- 身体的負担が大きい
- 利用者さんとのコミュニケーションが取りにくい
- 7.特養で働くことが向いている人
- 土日祝の勤務・夜勤でも気にならない人
- 介護スキルを向上したい人
- チームでのコミュニケーションが得意な人
- 8.特養とよく似た介護施設
- 老人介護保険施設(老健)
- 養護老人ホーム
- まとめ
1.特養(特別養護老人ホーム)とは

特養(特別養護老人ホーム)は介護老人福祉施設とも呼ばれ、入浴・食事・排せつの支援といった日常生活で必要な介護や、機能訓練・健康管理などを24時間体制で提供する施設です。
特養は生涯にわたって住み続けたい場所として選ばれる場合もあり、看取りに対応しているところもあります。しかし一般的には医師や看護師が常駐しているわけではなく、手厚い医療ケアは受けられません。専門的な医療ケアが必要な方や感染症にかかっている方は、入所できない場合があります。まずは、特養の入居条件や費用・設備基準などをみてみましょう。
入居条件
特養は、介護度3以上の高齢者を対象とする施設です。ただし、特定疾病で要介護認定を受けた人であれば、40歳から64歳までの方でも入居可能です。特養では、基本的には要介護度1・2の方は受け入れしていません。しかし次のような条件に該当する場合、特例で入居できます。
- 認知症で、日常生活に支障をきたすような症状が頻繁にみられる
- 知的障害や精神障害などを伴い、日常生活に支障をきたす症状が頻繁にみられる
- 深刻な虐待が疑われるといった、心身の安全や安心の確保ができない状況である
- 単身世帯で家族の支援がなく、地域の介護サービスが不十分な環境である
要介護1・2の方が特養への入居を希望する場合は、事前の相談・申し込みが必要です。そのうえで市区町村が審査を行い、要介護3以上の方よりも入居が必要だと判定された場合に限り、入居可能となります。
設備基準
特養の居室は、1人当たり床面積が10.65㎡以上で、身の回りのものが保管できるスペースがあり、緊急時に対応するブザーやコールを設置することが基準とされています。また施設全体としては、次のような設備も必要です。
- 医務室
- 静養室
- 食堂および、機能訓練指導室
- 浴室
- 洗面設備
- トイレ(ブザーまたは、代わる設備を設置)
- 調理室(火気を使用する際は不燃材料を使用)
特養の廊下幅は原則1.8m以上必要で、車椅子でも安全に移動できる広さを確保しなければいけません。加えて、廊下や階段には手すりを設置し、必要に応じて常夜灯を取り付けている施設もあります。さらにユニット型の場合、個室に隣接した共有スペースを設けることも基準の1つです。
費用
特養は、地方自治体や社会福祉会などの公的施設が運営しており、入居一時金は必要ありません。そのため、一般的な民間の有料老人ホームよりも少ない費用で利用可能です。
特養の入居にかかる費用は、施設のサービス費、居住費・食費、日常生活費から構成されており、居住費には室料のほか、水道光熱費も含まれます。また、部屋の形態は「従来型個室」、「多床室」、「ユニット型個室」、「ユニット型個室的多床室」の4種類があり、施設のサービス費は、介護度や居室の種類・人員の配置によって異なります。
次の表は、介護度と部屋のタイプごとの1日の施設サービス利用目安(1割負担の場合)です。
介護度 | 従来型個室 | 多床室 | ユニット型個室 | ユニット型個室的多床室 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 573円 | 573円 | 652円 | 652円 |
要介護2 | 641円 | 641円 | 720円 | 720円 |
要介護3 | 712円 | 712円 | 793円 | 793円 |
要介護4 | 780円 | 780円 | 862円 | 862円 |
要介護5 | 847円 | 847円 | 929円 | 929円 |
具体例として、要介護5の方が多床室とユニット型個室を利用した場合の1カ月当たりの費用目安(1割負担の場合)は以下のとおりです。
【多床室】
施設サービス費(1割負担) | 約25,200円 |
---|---|
住居費 | 約25,650円 |
食費 | 約43,350円 |
日常生活費 | 約10,000円(施設によって異なる) |
合計 | 約104,200円 |
【ユニット型個室】
施設サービス費(1割負担) | 約27,900円 |
---|---|
住居費 | 約60,180円 |
食費 | 約43,350円 |
日常生活費 | 約10,000円(施設によって異なる) |
合計 | 約141,430円 |
上記のように、ユニット型より多床室の方がかかる費用が低くなる傾向にあります。ただし、相部屋では、個々のプライバシーが守られにくいという難点もあります。
人員配置基準
特養の人員配置基準は次のとおりです。
医師 | 入居者に対し必要数 |
---|---|
介護職員または、看護職員 |
・入居者3人に対し1人以上 ・看護職員は入居者30人に対し、1人以上 ※入居者の数に合わせて、看護職員を1人配置 |
機能訓練指導員 | 1人以上 |
生活相談員 | 入居者100人に対し、1以上 |
介護支援専門員 | 入居者100人に対し、1以上 |
栄養士または、管理栄養士 | 1以上 |
参考:介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護|厚生労働省
ユニット型の場合、日中と夜間で人員配置基準が異なり、日中は、各ユニットに必ず1人以上の介護職員または、看護職員の常駐が定められています。一方、夜間は2ユニットにつき1人以上の介護職員または、看護職員の配置が義務付けられています。
特養は、医師や看護職員が配置されているものの、医療的ケアよりも介護ケアの提供が重視される施設です。そのため、手厚い医療的ケアを受けることは難しく、医療的な処置が必要な場合は入居できないケースがあります。
2.特養の種類

特養には、以下の3種類あります。
- 広域型特別養護老人ホーム
- 地域密着型特別養護老人ホーム
- 地域サポート型特別養護老人ホーム
それぞれの特徴や入居条件など詳しく解説します。
広域型特別養護老人ホーム
広域型特別養護老人ホームは、最も一般的な特養です。利用者さんは個室や多床室で生活し、施設で日常的な介護サービスを受けます。30名以上の利用者さんが入居し、在住地を問わず利用できるのが特徴です。
地域密着型特別養護老人ホーム
地域密着型の特養は、定員が29名以下で、基本的にその市区町村に住む高齢者が対象です。地域密着型特養には、「単独型」と「サテライト型」があります。単独型は、上述した広域型に比べて規模が小さく、地域や家庭とのつながりを重視し、家庭的な環境で介護サービスを提供する施設です。一方、サテライト型は広域型を本体として、その本体施設と連携を取りながら、別の施設で介護サービスを提供します。なお、サテライト型施設は、本体施設から自動車等による移動で20分以内の距離に設置する必要があります。
地域サポート型特別養護老人ホーム
地域サポート型特別養護老人ホームは、65歳以上で在宅介護を受けている方を対象に、24時間体制で見守りや生活支援を行う施設です。自治体や地域と連携しながら運営されており、地域の高齢者に対して食事の支援や移動・見守りと、介護者への支援をする施設です。このサービスを提供するためには知事の認定が必要となり、現在は兵庫県を中心に、施設設置が進んでいます。要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らせるように、全国で広く取り組まれることが求められます。
3.特養の業務内容
特養の業務内容は多岐にわたり、介護職員は入居者の生活全般をサポートします。
- 入浴・着替えの介助
- 移乗・移動の介助
- 排せつ介助
- 食事介助
- 健康管理
次から、それぞれの業務内容について解説します。
入浴・着替えの介助
入浴介助では、利用者さんが安全に入浴するためのサポートを行います。利用者さんの身体の状態に合わせた介助が必要で、例えば、立ち上がりが難しい方の浴槽までの移動や、入浴中の姿勢を保持するといったサポートです。介護職員は、自分でできるところは手助けせず、利用者さんの心身の状態に応じた介助を心がけます。また入浴や着替えの際は、全身の状態を確認できる機会となるため、身体に変化がないか把握しておきましょう。
移乗・移動介助
ベッドから車椅子、車椅子からトイレなどの移乗も、介護職員が担当する業務の1つです。介護職員は利用者さんの身体状況や能力に応じて、安全かつ快適に移乗できるように支援します。利用者さんがフロア内を移動する際は、転倒する危険性がないか細心の注意を払い、利用者さんの体調や速度に合った介助をするようにしましょう。
排せつ介助
排せつ介助では、利用者さんのおむつ交換やトイレまでの誘導、衣類の着脱などを介助します。排せつ介助は利用者さんのプライバシーに関わることなので、尊厳を保ちながら介助することが求められます。また、利用者さんが排せつするタイミングや頻度を把握し、利用者さんにとって負担が少ない介護となるように工夫をしましょう。
食事介助
食事介助では、利用者さんが食事を安全に快適に食べられるように支援します。利用者さんが誤嚥しないように姿勢を維持したり、食事の形状に配慮したりすることも必要です。食事は利用者さんにとって楽しみの1つで、安全に配慮しながらも食事を楽しんでもらえるようにしましょう。食事中は利用者さんの食欲や摂取量を観察し、健康状態に応じた対応が求められます。
健康管理
特養では、バイタルチェックを定期的に行い、利用者さんの体調の変化を観察するといった健康管理を行います。体温や血圧、脈拍などに異常がみられた際は、速やかに看護師や医師に相談し、適切な対応をしましょう。特養では、心身の健康維持を目的として、季節のイベントやレクリエーションが実施されており、その計画や運営も介護職員の重要な役割の1つです。レクリエーションは体操のほか、指先を使った作業や脳トレも含まれています。また、リハビリテーションのサポートをすることもあり、必要に応じて看護師や医師と連携し、健康状態の変化を早期に把握することが求められます。
4.特養で働く介護職員の1日の流れ

特養で働く際の1日の流れをみてみましょう。施設によって多少異なる場合がありますが、参考として1日例をまとめました。
【日勤】
9時 |
・出勤 ・夜勤者からの申し送り ・バイタルチェック |
9時半 | 入浴介助 |
11時30分 | 昼食の準備/配膳 |
12時 |
・昼食 ・食事介助 ・食事摂取量の確認 ・下膳/口腔ケア ・服薬介助 |
13時 | 休憩 |
13時半 | ラジオ体操やレクリエーション |
15時 |
・おやつの準備 ・食事介助 |
16時 |
・利用者さんとのコミュニケーション ・記録 |
16時30分 | ・夕食準備/配膳 |
17時 |
・夕食 ・食事介助 ・食事摂取量の確認 ・下膳/口腔ケア ・服薬介助 |
17時45分 | 日勤者からの申し送り |
18時 | 退勤 |
日中は食事やレクリエーションを通して、利用者さんと直接コミュニケーションを取る機会が多く、利用者さんの心身の状態の変化を把握しやすくなっています。必要に応じて、家族との連絡や対応が求められます。
特養は24時間体制で介護サービスを提供するため、夜勤をする場合もあります。続いて、夜勤の働き方の例をみてみましょう。
【夜勤】
17時30分 | 出勤 |
17時45分 | 日勤者からの申し送り |
18時 |
・食事摂取量の確認 ・夕食の下膳/口腔ケア |
19時 |
・就寝準備 ・着替えの介助 ・排せつ介助/おむつ交換 |
21時 |
・消灯前服薬 ・消灯 |
21時〜5時 |
・定期的な巡回 ・適宜、排せつ介助/おむつ交換 ・コール対応 |
5時 | 起床準備 |
6時 |
・起床 ・排せつ介助/おむつ交換 ・着替えの介助 |
7時 | 朝食準備/配膳 |
7時半 |
・朝食 ・食事介助 ・食事摂取量の確認 ・下膳/口腔ケア ・服薬介助 |
8時 | 記録 |
9時 | 日勤者への引き継ぎ |
9時30分 | 退勤 |
夜勤の業務は、消灯後の巡回やコール対応、排せつ介助が中心です。利用者さんが就寝中であれば、まとめて休憩を取ることも可能です。施設によっては、日勤と夜勤の二交代ではなく、早番や遅番・準夜勤などが設けられている場合があります。働く施設を探すときは、どのようなシフトがあるのか確認するとよいでしょう。
5.特養で働くメリット

特養では、利用者さんの生活を支える仕事のため、介護職員にとってやりがいのある仕事です。特養では、次のようなメリットがあります。
- 介護スキルが身につく
- 利用者さんとじっくり向き合える
- 待遇・給与面で条件が良い
次から、詳しく解説します。
介護スキルが身につく
特養では、利用者さんの生活全般をサポートするため、幅広い介護スキルが習得できます。入浴・排せつ・食事などの基本的な介助はもちろん、看護師や医師との連携もはかれるため、専門的な知識も身につけられるでしょう。特養は、24時間体制で介護サービスが提供されます。深夜や早朝など、日中だけではわからない利用者さんの様子を把握することも可能です。
利用者さんとじっくり向き合える
特養では、長期間にわたって入居する傾向があります。その分、利用者さんとじっくり向き合っていけるため、信頼関係を結びやすくなるでしょう。そのため、利用者さん1人ひとりの個性を理解し、その人に合った介護サービスの提供も可能です。また、利用者さんから直接感謝の言葉が伝えられたときは、やりがいも感じられるでしょう。
他の介護施設と比べて、待遇・給与面で条件が良い傾向にある
特養の給与は、他の施設より高めに設定されている傾向が見られます。次の表は、施設別の給与を比較したものです(常勤)。
介護職員の平均給与額(月額) | 317,540円 |
特別養護老人ホーム(特養) | 348,040円 |
介護老人保険施設(老健) | 339,040円 |
介護医療院 | 320,700円 |
認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム) | 291,080円 |
通所介護事業所 | 275,620円 |
訪問介護事業所 | 315,170円 |
あくまで上記は目安ですが、平均を比べると特養の月収は介護職全体よりも高く設定される傾向にあることから、ほかの施設よりも高い収入が見込めます。また、特養は24時間体制で介護サービスを提供しています。そのため、日中の活動が中心である通所介護や訪問介護と比較すると、深夜勤務の手当などもつきやすくなるでしょう。
そのほか、特養は公的施設が運営しており、福利厚生が充実しているメリットもあります。なかには、社内託児所やインフルエンザの予防接種、資格取得の支援をしている施設もあります。働きやすい環境で資格取得を目指しながら経験も積める可能性があります。
6.特養で働くデメリット

特養での仕事はメリットがある一方で、次のようなデメリットも存在しています。
- 身体的負担が大きい
- 利用者さんとのコミュニケーションが取りにくい
次からデメリットについて、詳しく解説します。
身体的負担が大きい
特養の基本的な入居条件は、要介護3以上の高齢者です。そのため介護職員は、移乗や入浴介助・歩行介助などの身体介助をする場面も多くみられます。また、特養は24時間体制で介護するため、夜勤を担当することもあります。利用者さんの介助による肉体的な負担に加えて、夜勤による生活のリズムの乱れから、ストレスを感じる方もいるようです。特養では看取りをしている施設もあり、介護職に始めたばかりの職員は、精神的な負担も考えられます。
利用者さんとのコミュニケーションが取りにくい
特養には、介護員のサポートが必要な方が多く入居されています。利用者さんのなかには、病気や身体機能の低下で、自分の思いをうまく伝えることが難しい方もいます。また、こちらの思いもなかなか伝わらないために、初めのうちは戸惑うかもしれません。利用者さんとの意思疎通をするためには、言葉以外のコミュニケーション方法を身につける必要があります。ある程度の慣れが必要となるため、じっくりと時間をかけて利用者さんと向き合うことが大切です。
7.特養で働くことが向いている人

自分の性格や得意を理解していれば、就職してからミスマッチを起こす可能性は低くなります。次のような方は、特養で働くことが向いているといえるでしょう。
- 土日祝の勤務・夜勤でも気にならない人
- 介護スキルを向上したい人
- チームでのコミュニケーションが得意な人
まずは自分自身が上記の特徴に当てはまるかどうか、チェックしてみてください。それぞれについて詳細を見ておきましょう。
土日祝の勤務・夜勤でも気にならない人
特養は、24時間365日体制で運営されており、介護職員はシフト制で働くことが一般的です。土日祝日や深夜に勤務する働き方を負担に感じない方が向いています。夜勤は身体的な負担がかかりやすい面があるものの、夜勤手当が支給されることも多く、日中だけの仕事より収入が高くなる傾向にあります。休日や夜間の勤務に柔軟に働ける人は、就職・転職に有利かもしれません。
介護スキルを向上したい人
特養では幅広い介護業務を経験できるため、介護スキルを身につけやすい環境です。医療・看護職員といった、他職種と連携した業務をするため、基礎的な介護技術から専門的な知識を習得できる機会もあるでしょう。また、定期的に研修が行われることも多く、スキルアップの機会が得やすいといえます。将来的にリーダーや介護福祉士を目指したい方にとっても、特養での経験が役に立つでしょう。
チームでのコミュニケーションが得意な人
特養では、他職種が連携して入居者さんの生活を支援します。そのため、介護職員同士はもちろん、看護職員やリハビリ専門職・ケアマネジャーともコミュニケーションを取れることが重要です。チームで協力しながら業務を進め、積極的に意見交換ができる人は、特養で働くことが向いているといえます。入居者と日常会話やレクリエーションの際も、コミュニケーションが重要な要素となるため、人との関わりを楽しめる人が向いています。
8.特養とよく似た介護施設

特養は、高齢者に介護サービスを提供する施設ですが、似ている施設も存在します。ここでは、特養とよく似た施設である「老人介護保険施設(老健)」と「養護老人ホーム」の特徴について解説します。
老人介護保険施設(老健)
老人介護保険施設(老健)は、介護が必要な高齢者が、在宅復帰を目指すことを目的としています。医師の指示に基づいてリハビリテーションを実施し、介護的ケアと医療的ケアを提供する施設です。老健は在宅復帰を目的としているため、原則3カ月〜6カ月程度しか入居できません。ただし、施設によっては延長できる場合もあります。
老健で介護職員は、食事や入浴・排せつなどの日常的な介護やリハビリテーションの補助・レクリエーションなどの日中活動を行います。特養では、長期入所を想定した介護サービスを提供することに対して、老健は短期入所が前提であり、在宅復帰を目指すために介護サービスを提供する点が大きな違いです。
老健では利用者さん3人につき1人の介護職員または、看護職員の配置が基準となっており、さらに看護職員は、介護職員7人に対し2人必要です。また、利用者さん100人に対して医師が1人は常勤で配置する必要があります。
老健では、医療ケアやリハビリテーションが行われており、幅広い知識や技術が取得できます。他業種の連携が必要となるため、チームケアをしたい人におすすめです。
養護老人ホーム
養護老人ホームは、自宅での生活が難しい高齢者に対して、養護する施設です。経済的な理由や家族に支援者がいないなどの理由で、自宅での生活が困難な65歳以上の高齢者が対象です。養護老人ホームでは、本来は生活保護としての役割が強く、市区町村に認められた方のみ入居可能です。そのため、養護老人ホームには、生活困窮者や目や耳が不自由な方が入居している傾向にあります。
養護老人ホームの入居者は基本的に身の回りのことを自分でできる方を対象としており、一般的な介護サービスは提供されていません。介護が必要となった場合は、外部の介護サービスを使用します。そのため、養護老人ホームでは、入居者の生活支援や家事援助が主な業務です。この点が、直接介護サービスを提供する特養との大きな違いだといえるでしょう。また、養護老人ホームでは、介護職員の配置基準も特に設けられていません。
養護老人ホームは、2006年の介護保険制度の見直しにより、特定入居者生活介護および、地域密着型入居者生活介護の指定を受けている施設もあります。その場合、介護職員として働くこともできます。養護老人ホームで働く場合は、業務内容をよく確認しておくとよいでしょう。
まとめ:特養は介護技術が身につけやすく、スキルアップを目指しやすい

特別養護老人ホームは、入居者の入浴・排せつ・食事といった生活介護を行います。医療・看護職員と連携しながら介護サービスを提供することもあるため、幅広い知識や介護技術が必要です。基本的な技術を身につけている介護職員も多く在籍しており、研修や資格支援をしている施設もあります。介護福祉士や介護支援専門員などの資格の取得を目指したい方は、特養で必要な技術を身につけてみてはいかがでしょうか。
スピード転職も情報収集だけでもOK
マイナビ介護職は、あなたの転職をしっかりサポート!介護職専任のキャリアアドバイザーがカウンセリングを行います。
はじめての転職で何から進めるべきかわからない、求人だけ見てみたい、そもそも転職活動をするか迷っている場合でも、キャリアアドバイザーがアドバイスいたします。

SNSシェア