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仕事・スキル 介護資格 2024/03/24

#介護福祉士#介護福祉士試験#国家試験

介護福祉士国家試験の合格率と難易度は?合格するためのポイントも

文/長谷部宏依(介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー) thumbnail.jpg

介護の現場には、実務経験を積みながら介護福祉士を目指している人も多くいます。介護福祉士は、福祉系の資格のなかで唯一の国家資格です。したがって、介護福祉士資格を取得すれば、高い知識とスキルが身につくだけでなく、キャリアアップにもつながるでしょう。

しかし、なかには「どうやったら介護福祉士が取得できるのか」や、「難易度は高いのか」などについて、詳しく把握していない人もいます。

そこでこの記事では、介護福祉士国家試験の合格率や難易度、合格するためのポイントなどを紹介していきます。介護福祉士の資格を取得したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

1.介護福祉士国家試験の合格率と難易度

介護福祉士国家試験は、年に1回実施されます。試験は筆記試験と実技試験に分かれており、筆記試験は毎年1月下旬に行われることがほとんどです。合格を目指す人は、その日に向けて日々学習を積み重ねる必要があるでしょう。

勉強を進めていく上では、実際の試験が「どのくらい難しいのか?」を知っておくことも大事です。ここからは、介護福祉士国家試験の合格率と難易度を紹介していきます。

過去10年の介護福祉士国家試験の合格率

介護福祉士国家試験について、過去10年間の合格率を表にまとめてみました。

受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
第35回 79,151 66,711 84.3
第34回 83,082 60,099 72.3
第33回 84,483 59,975 71.0
第32回 84,032 58,745 69.9
第31回 94,610 69,736 73.7
第30回 92,654 65,574 70.8
第29回 76,323 55,031 72.1
第28回 152,573 88,300 57.9
第27回 153,808 93,760 61.0
第26回 154,390 99,689 64.6

(出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」

介護福祉士国家試験では、直近の10年間をさかのぼってみても、60%以上の合格率がほとんどです。特に、2023年に実施された第35回では、過去最高の84.3%の合格率となりました。

受験者数は第34回、35回と2年連続減少していますが、合格者数は増加しており、その点も介護福祉士国家試験の特徴といえます。理由としては、受験対策をしっかり行う受験生が増えていることや、介護職員の人材確保の観点から、合格を後押しする施設が増えていることなどが挙げられるでしょう。

合格するには、125点満点中60%程度の正解率が求められるほか、全11科目群すべてにおいて得点する必要があります。つまり、125点の60%にあたる75点を獲得していても、11科目群のうち1つでも0点があると不合格になるというわけです 。

また、厚生労働省から公表されている合格基準点は、60%「程度」となっています。合格基準点は問題の難易度に応じて毎年補正されるため、受験する年によって78点になったり72点になったりと、幅があることに注意しましょう。

介護福祉士国家試験の難易度は?

介護福祉士国家試験の難易度はどのくらいなのか、ほかの医療や福祉分野の資格の合格率と比較してみましょう。

資格の種類 直近の試験における合格率
介護福祉士 84.3%
社会福祉士 44.2%
精神保健福祉士 71.1%
介護支援専門員 21.0%
理学療法士 87.4%
看護師 90.8%

(出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」「第35回社会福祉士国家試験合格発表」「第25回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します」「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」「第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について」「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表」

介護福祉士は、合格率だけを見ると「合格しやすい試験」と思われがちですが、油断して勉強不足のまま試験を受ければ合格は難しいでしょう。暗記しなければならない制度や法令、人物名などもあるため、しっかりとした準備が必要です。

2.合格するためのポイント

介護福祉士国家試験では幅広い知識を求められるため、やみくもに勉強していると時間が足りなくなってしまいます。特に、仕事をしながら試験勉強する人は、出題範囲のポイントを押さえながら進める必要があるでしょう。ここからは、下記の3つに絞って合格するためのポイントを解説していきます。

  • 勉強時間を確保する
  • 自分に合ったテキストと問題集を選択する
  • 間違えた問題を繰り返し解く

勉強時間を確保する

合格を目指す人のなかには、仕事と家事、育児を両立させている人もいると思います。そうしたケースでは、忙しい合間をぬってなんとか勉強の時間を確保しなければなりません。仕事のある日は、まとまった時間を取るのも難しいでしょう。

だからこそ、以下のようにすき間時間を有効に使うことがポイントとなります。

  • お昼の休憩中に問題を解く
  • 食事を作りながら暗記をする
  • 寝る前にテキストを読む

最初は面倒でつらいかもしれませんが、がんばって続けていって勉強を習慣化してください。毎日少しずつでも問題に触れていれば、知識は確実に定着していきます。

自分に合ったテキストと問題集を選択する

試験勉強をする前には、テキストと問題集をそろえる必要があります。書店に行くとさまざまなテキスト・問題集が並んでいますが、購入するにあたっては理解しやすいか、イラストや表でわかりやすく説明されているか、書体は読みやすいかなどをチェックして、自分に合ったものを選びましょう。

インターネットなどの口コミをチェックする人もいるかもしれませんが、掲載されたコメントをそのまま信用するのは考えものです。自分に合わなかった場合は勉強が進みづらくなるので、自分の目で確かめた上で購入することをおすすめします。

間違えた問題を繰り返し解く

問題集を解いていくと、つまずいたり苦手意識を感じたりする分野が出てくることもあるでしょう。しかし、介護福祉士国家試験の場合、合計得点が基準点以上でも11科目群のうち1科目でも0点を取ってしまうと不合格です。そのため、苦手な分野も必ず得点できるように準備することが大事です。

繰り返し勉強することで出題の傾向もつかめてくるので、苦手な分野があっても諦めずにチャレンジしましょう。

3.介護福祉士国家試験に落ちる人の特徴

介護福祉士国家試験に落ちる人には、以下のような特徴があります。

  • 計画を立てないで勉強する
  • 勉強量が少ない
  • 勉強はしているものの知識が定着していない
  • 健康管理ができていない

介護福祉士国家試験は、一夜漬けで合格できるような試験ではないため、長期計画を立てて学習を進める必要があります。行き当たりばったりで勉強をしていると、時間が足りずに勉強できない科目群が出てくることもあり得るでしょう。

勉強量が少ない人も、試験に合格しにくい傾向にあります。現場では学べない法令や介護保険制度、福祉の歴史など、ひたすら暗記する科目も多いので、しっかりと時間を作って勉強に取り組むことが大事です。

介護福祉士国家試験に落ちる人のなかには、勉強はしていたのに知識が定着していなかったというケースも見られます。しっかり記憶できているかを確認する意味でも、練習問題や過去問を繰り返し解くようにしましょう。「知識を頭に入れる→問題を解いてみる」といった具合に、インプットとアウトプットを繰り返すことで、知識が定着しやすくなるはずです。

合格を目指すにあたっては、健康管理も重要です。試験当日に体調を崩してしまうと、本来の力が発揮できないまま不合格となってしまう可能性があります。試験日は寒い季節なので、かぜやインフルエンザなどに注意して、万全の体調で試験日を迎えましょう。

4.介護福祉士資格の取得方法

介護福祉士資格を取得するには、下記の4つのルートがあります。

養成施設ルート 指定の養成施設を卒業することで、受験可能。実技試験は免除。
実務経験ルート ・実務経験が3年以上
・実務者研修修了か、介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修修了
上記の条件に当てはまれば受験可能。実技試験は免除。
福祉系高校ルート 福祉系の高校を卒業することで受験可能。入学時期や学校によって条件が異なる。
経済連携協定(EPA)ルート EPA介護福祉士候補者が選択できる。3年以上の実務経験が必要。選択するコースによって実技試験が免除される。

(出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)」

実務経験ルートの場合、以前は実務経験が3年以上あれば筆記試験を受けることができ、合格すれば実技試験を受けられました。しかし、2017年1月からは受験するにあたって、実務者研修の修了が必須になっています。忘れずに受講しておきましょう。

まとめ:介護福祉士に合格するには計画を立てて勉強しましょう

介護福祉士国家試験を受験するには、さまざまなルートがあります。現在、介護職として働いている場合は、実務経験ルートを選択する人が多いでしょう。ただし、仕事をしながら勉強するのは体力、気力ともに大変です。きちんと計画を立てて、効率よく学習を進めることを心がけましょう。

介護福祉士の資格が取得できれば、できる業務の幅が広がります。訪問介護や通所介護の事業所であれが管理者にもなれます。また、入所施設で働いている場合は、チームリーダーになってほかの介護職員を指導することも可能です。

介護職としてスキルアップ・キャリアアップをはかるためにも、介護福祉士資格を取得してみてはいかがでしょうか。

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長谷部宏依(Hiroe Hasebe)

介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー

介護職員として介護老人保健施設に入職。その後介護福祉士を取得し訪問介護や訪問入浴、デイサービスで働く。ケアマネジャーは20年の実績があり、100名以上の高齢者を担当。認認介護・老老介護・介護拒否など困難事例も多く経験。現在はWebライターとしてさまざまな記事を執筆している。福祉住環境コーディネーター2級も取得。

長谷部宏依の執筆・監修記事

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