介護福祉士の受験資格は? 実務経験3年の計算方法も解説
文/中村亜美(介護福祉士)
介護福祉士の資格を持っていると、就職・転職で有利になったり、給料が上がったりする可能性が高まります。場合によっては、重要なポジションをまかされることもあるでしょう。そのため、介護業界で働く方のなかには「介護福祉士の資格を取得したい」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、介護福祉士の資格を得るには、国家試験に合格しなければなりません。また、国家試験を目指すにあたっては、事前に受験資格や受験までの道筋などを把握しておく必要があります。
この記事では、介護福祉士の取得を目指す方のために、受験に必要な4つのルートや実務経験の計算方法などを細かく解説していきます。介護福祉士国家試験を受けるために大切なことばかりなので、ぜひ最後までご覧ください。
1.介護福祉士とは
介護の仕事をしている方なら、「介護福祉士」という名称を耳にする機会が多いかもしれません。介護福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく介護系の国家資格です。
社会福祉士及び介護福祉士法の第2条第2項では、介護福祉士について次のように定義しています。
介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障がいがあることにより、日常生活に支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう
簡単にいうと介護福祉士は、介護の専門的知識や技術を有する人が取得できる資格であり、日常生活を送ることが困難な高齢者や障害者などの生活支援を行うことが主な役割となります。
とはいえ、介護福祉士は高齢者の生活の介助やお世話だけでなく、ケアプランの提案やモニタリングなどを担当することもあります。
実際に筆者も、介護福祉士としてケアプランの作成やモニタリングを行い、ケアマネジャーの方にチェックしてもらうということを日常的に行っていました。
それを踏まえるなら、高齢者や障害者など、利用者さんの今後の生活を見据えながら総合的にケアしていくのが介護福祉士の仕事であるといえるでしょう。
2.介護福祉士の受験資格について
介護福祉士は国家資格であり、取得するためには国家試験に合格する必要があります。そこでここからは、介護福祉士の受験資格について詳しく解説していきます。
介護福祉士は誰でも受験できる?
介護福祉士は誰でも受験できるのでしょうか。結論からいうとその答えは「NO」です。介護福祉士の国家試験には明確な受験資格が定められており、それをクリアしなければ受験はできません。
介護福祉士の受験資格には、次の4つのルートが存在します。
受験資格の4つのルート
介護福祉士の受験資格を得るための4つのルートは、下記のようになります。
- 養成施設を卒業する「養成施設ルート」
- 必要研修+指定の実務経験日数をクリアする「実務経験ルート」
- 福祉系の高校を卒業する「福祉系高校ルート」
- EPA介護福祉士候補+指定の実務経験をクリアする「EPAルート」
養成施設ルートは、高校卒業後に介護福祉士養成施設を卒業した人か、すでに福祉系大学・社会福祉養成施設などに通っている人向けになります。
福祉系高校ルートは、福祉系高校で必要な単位数を取得して卒業した人が対象になります(ただし、卒業年度によっては実技経験も必要)。
EPAは「経済連携協定」のことで、インドネシア、フィリピン、ベトナムの方が対象になります。
上記4つのルートのうち、最も受験者数が多いのが実務経験ルートです。これは「働きながら資格を取得する」方法で、介護福祉士受験者の実に半分以上が実務経験ルートとなっています。
3.実務経験について
実務経験ルートで介護福祉士の国家試験を受験する場合、実務者研修や介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修の受講にプラスして、実務経験年数が必要になります。つまり、実務者研修や介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修を受講していたとしても、指定された実務経験がないと介護福祉士の受験資格を得ることはできないのです。
そこで、ここからは実務ルートで受験する場合に必要な実務経験について解説していきます。
実務経験3年の詳しい条件は?
先に紹介したように、介護福祉士の国家試験を受験するには、指定された実務経験の必要年数をクリアする必要があります。なお、ここでいう実務経験とは、実務経験の対象となる施設および職種での在職期間を指します。
実務経験ルートで受験資格を得ようとする場合、必要な実務経験は3年です。3年を従事日数に換算すると540時間であり、在職期間には産休や育休、病休などの休職期間も含まれます。
ご自身の実務経験の日数がわからない場合は、これまで勤務した事業所に問い合わせてみるとよいでしょう。実務経験ルートの場合は、実務経験証明書などの書類を提出する必要があるため、事業所に問い合わせる際は、そうした書類の作成もあわせて依頼しておくのがおすすめです。
ただし、事業所への問い合わせが受験の直前になると、対応してもらえないケースもあります(筆者のとある知人がそうでした)。実務経験の日数を把握したい、あるいは書類を作成してほしい場合には、早めに連絡をするようにしましょう。
実務経験の計算方法は?
複数の介護施設・事業所に勤務していた場合、「自分の在籍期間が、介護福祉士の受験資格に必要な実務経験の日数を満たしているのかわからない」という人もいるかもしれません。
そんなときには、公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページ内にある、「従業員計算表」を利用するとよいでしょう。
従業員計算表では、各事業所での就業開始日と終了日を入力し、「計算する」のボタンを押すだけで、これまで介護施設・事業所で従事した合計時間を算出できます。不足する従業期間の確認もできるため、介護福祉士受験までのプランが立てやすくなるでしょう。
まとめ:受験資格をしっかりと理解して、介護福祉士の国家試験に挑戦しよう!
筆者は養成学校ルートで介護福祉士を取得しましたが、短期間で受験資格を得られるかわりに、100万円以上の費用がかかりました。
一方、実務経験ルートであれば時間はかかりますが、学習用のテキストや問題集の費用、実務者研修などの研修にかかる費用、受験料さえ確保できればよいので、比較的リーズナブルに受験資格が得られます。
介護福祉士の受験資格は複雑でわかりにくい部分もありますが、事前に把握しておくことでスムーズに受験の準備を進められます。本記事を参考に、介護福祉士の受験資格についての理解を深め、国家試験の事前準備を始めましょう。
介護福祉士は今後さらに需要が高まるといわれている資格です。実際に筆者も介護福祉士を持っていたことで、就職がしやすかった経験があります。
介護の仕事をこれから続けていきたい人には、特におすすめの資格となりますので、ぜひ積極的に取得を目指してください。
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