NLPとは?NLPで得られるメリット・介護現場で役立つスキル
構成・文/介護のみらいラボ編集部
NLPについて、「どのような学問なのか」「どういったメリットがあるのだろうか」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。NLPは、ビジネスにも応用可能な心理学で、介護の仕事をする上でも大きなメリットがあることから、近年注目を集めています。
この記事では、NLPの意味・NLPを学ぶメリット・NLPの具体的なスキル・NLPを学ぶ方法など、NLPについての総合的な情報を紹介します。仕事やプライベートでの悩みを解決したいと思っている人は、ぜひ当記事を参考にしてください。
NLPとは?
NLPとは、「神経言語プログラミング」を意味する「Neuro Linguistic Programing」の頭文字を取った名称です。
NLPでは「日常生活における行動パターンや考え方、気持ちの変化は、過去の経験などを元にあらかじめ神経にプログラミングされている」と考えます。そのため、単に本人が努力するのではなく、「プログラミングを変更することで改善を図る」という方針が、NLPの考え方です。
NLPを学ぶ著名人は多く、アメリカのオバマ元大統領やイギリスのトニー・ブレア元首相といった各国の首脳や、プロスポーツ選手などが活用していることで有名です。
NLPにおけるプログラミングとは?
NLPのプログラミングとは、思い込みや考え方のくせ、反応の傾向などパターン化された思考や行動を指します。
【無意識のプログラミングの例】
- 物事をすぐにネガティブに捉えてしまう
- 初対面の人や、大勢の前だと緊張しやすい
- 人に好かれていないと思ってしまう
- やる前から「○○はできない」と考える
あらゆる出来事を経験するたびに、脳は視覚・聴覚・味覚などの神経(五感)から得られた情報を言語化し、自分にとっての意味付けを行い記憶します。ある程度記憶が蓄積すると、蓄積された記憶に従って考え方や行動などがパターン化されます。これがNLPで指す「プログラミングされた状態」です。
プログラミングが形成されると、似たような出来事が起きると条件反射的にパターン化した考え方や反応をします。プラスのプログラミングを多く持つ人は、出来事をよい結果につなげやすいのに対し、マイナスのプログラミングが多いと同じ状況でも結果が出しにくくなるでしょう。
一方で「マイナスのプログラミングが出来上がったら、どうしようもないのだろうか」と心配する必要はありません。NLPでは、プログラミングを意識的に上書きしていくため、努力次第でよりよい思考や行動のパターンを再構築することが可能です。
NLPの成立に関わる「3人の天才セラピスト」
現在では、世界で広く浸透しているNLPですが、元々は「天才」と呼ばれた3人のセラピストを研究することから研究が始まりました。
【研究された3人のセラピスト】
- 催眠療法を行う「ミルトン・エリクソン」
- ゲシュタルト療法の創設者である「フリッツ・パールズ」
- 家族療法の創始者の一人である「バージニア・サティア」
1900年代前半のアメリカは、戦争から帰還した兵士のPTSDが社会問題となっていました。上記3人のセラピストは、その当時のアメリカで、多くの患者を効果的に治療したとされています。
ミルトン・エリクソン、フリッツ・パールズ、バージニア・サティアは、それぞれ異なるスタイルで患者に接していたものの、「言葉の使い方」「表情・動作の方法」などに共通点がありました。
そして3人の共通点は、リチャード・バンドラーやジョン・グリンダーなどによって科学的に分析・研究され、「NLP」として3人のアプローチ技法が体系化されました。
現在、NLPはメンタルケアだけでなく、ビジネスシーンにおける他者とのコミュニケーションツールや自己啓発の手法、コンプレックスの解消方法として広く活用されています。
NLPを学ぶメリット|NLPで実現できる5分野
NLPを学ぶメリットは、「自分や周囲の環境、自分の精神状態などを、最高の結果を出しやすい状態に整えられるようになる」という点です。
一方で「最高の結果」と言うとやや漠然としているため、以下では「NLPで実現できる5分野」として、5つのメリットを具体的に紹介します。
人間関係を構築する「他者とのコミュニケーション」
NLPでは、「他者と上手にコミュニケーションする方法」を学べます。
他者から信頼を得たり、他者を動かしたりするためには、コミュニケーションのポイントを押さえることが大切です。そのコミュニケーションのポイントは、一般的には、多くの人と交流する経験を通じて徐々に会得していきますが、NLPでは学問として体型的に学びます。
「職場の人間関係を円滑にしたい」「取引先と短時間で信頼関係を構築したい」「部下を上手に動かしたい」と悩む人は、ぜひNLPを学習してみましょう。
内面や人生に向き合う「自分とのコミュニケーション」
NLPを学ぶメリットの2つ目として、「自分の内面を効果的に分析する方法が身に付けられる」という点が挙げられます。
悩みがあるときや、将来の方向性が見えなくなったときは、自分自身と向き合い「なぜ今のような状態になったのか」という点を分析することが、解決の糸口です。しかし「自分の内面と向き合うノウハウ」は学校では教わらないため、意識的に学ばなければなりません。
NLPでは、深層心理を分析する方法、自分の本当の気持ちや理想の見極め方など、自分自身との向き合い方を学べます。自分の心理状態を効果的に整理できるようになれば、課題や悩みを速やかに解決し、次の一歩が踏み出せるようになるでしょう。
負の側面を克服する「心理的なマイナス面の解消」
NLPを学ぶメリットの3つ目として、「ネガティブな思考パターンやコンプレックスを解消する方法を学べる」という点が挙げられます。
ネガティブな思考パターンやコンプレックスは、最高の結果を出したいと考えたときに、一つの障害となりえます。人によっては、マイナスの感情やコンプレックスを抱えたままでは、人生そのものが生きづらいものとなる場合もあるでしょう。
また、厚生労働省では、「こころの病気は、誰でもかかる可能性がある」として、警鐘を鳴らしております。
こころの病気で病院に通院や入院をしている人たちは、国内で約420万人にのぼりますが(平成29年)、これは日本人のおよそ30人に1人の割合です。生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるともいわれています。こころの病気は特別な人がかかるものではなく、誰でもかかる可能性のある病気といえるでしょう。
そのため、メンタルヘルスの面からも、自分の感情としっかりと向き合うことは大切と言えます。
NLPでは、成果を妨げている負の側面や、ネガティブな思考パターンを克服・改善するスキルを学ぶことが可能です。感情をコントロールしやすくなり、大事な局面でも負の感情に影響されず、適切な行動を取れるようになるでしょう。
夢・目標達成に向けた「セルフイメージの向上」
NLPを学ぶメリットの4つ目として、「夢や目標の達成に向けて、自己評価を高めるスキル・常に前向きでいるスキルを学べる」という点が挙げられます。
NLPでは、「ポジティブな思考パターンは、よい結果に結びつきやすい」と考えます。ビジネスシーンだけでなく、「人生を楽観的に考えたい」「好奇心旺盛・アクティブに活動したい」「暗い気持ちで過ごす時間を減らしたい」と思う人も、NLPを学び、自己認識を改善していくとよいでしょう。
心身のアプローチによる「健康の維持・促進」
NLPの学びを通して心身にアプローチすることで、「健康の維持・促進効果が期待できる」点もメリットの一つです。
ストレスは、身体や精神面に不調をきたす原因となります。NLPでは、心の状態をコントロールする方法を学べるため、健康面にもポジティブに働くでしょう。
実際に、ポジティブ感情は、身体的な面でプラスの影響を与えることが、鳴門教育大学人間形成講座の研究で示されています。
ポジティブ感情と生理的反応の関係を調べた研究は免疫系の反応でも見られ,愉快なビデオ
を見た参加者は免疫の機能が高まる (Lefcourt,Davidson-Katz & Kuenemen, 1990).また,日常のもめ事の中での気分の高揚 (uplift) の経験はガンの既往歴のある者のナチュラル・キラー細胞の活動の高まりと関連し,このナチュラル・キラー細胞水準の高まりは,日常場面で生まれるポジティブ感情とも正に関連していることが報告されている (Valdimarsdottir & Bovbjerg, 1997).
また、一部のNLP講座では、アレルギー症状や免疫力に対してアプローチする理論を学ぶことができます。
介護分野にも役立つ!NLPで身に付くスキル
NLPで身に付く代表的なスキルとして、ラポール・リフレーミング・メタプログラム・アンカーリングの4種類が挙げられます。いずれもビジネスや教育などさまざまな分野で応用でき、介護現場でも役に立つスキルです。
・ラポール
ラポールとは、「深い信頼関係」を意味します。
NLPでは、ラポールを短い期間で形成するためのスキルが学べます。ラポールを築くためには、話すスピードや声のトーン、雰囲気などを、相手と合わせることが大切です。
介護現場では、接しづらい利用者・反応が薄い利用者などをサポートする場面もあるでしょう。そのような際に、ラポールを築くスキルが役立ちます。
・リフレーミング
リフレーミングは、「同じ物事を違う視点から捉え直し、ポジティブな意味づけに変えていくスキル」を指します。
例えば、3日間の休暇が残り1日となった際に「もう1日しかない」と捉えるか「まだ1日もある」と捉えるかで、過ごし方もきっと変わるでしょう。
介護現場でも、リフレーミングを活用することで、ポジティブな伝え方を利用者にできたり、大変な事案があっても自分にとってプラスに考えたりすることができるようになります。
・メタプログラム
メタプログラムは、「無意識化の行動パターンを類型化するスキル」を指します。
人はそれぞれ異なる思考パターンを持つため、相手に与える影響力を最大限に高めるには、その思考パターンに合った言葉・話し方を選ぶことが大切です。
介護現場でも、上司から部下はもちろん、介護スタッフから利用者に対しても行動を促したり、教えたりする場面があるでしょう。相手に気持ちよく行動してもらうためにも、メタプログラムのスキルは役立ちます。
・アンカーリング
アンカーリングは、「特定の感情を引き出すための行動パターン」を指します。
ラグビーの五郎丸選手のキック前のルーティーンや、野球のイチロー選手の打席前のルーティーンがわかりやすい例でしょう。
介護現場では、意図せずストレスがたまったり、利用者とのコミュニケーションに不安を覚えたりする際もあります。自分なりのアンカーリングを持つことで、成功イメージの感覚を引き出せるようになり、集中力を維持して仕事に打ち込めるようになるでしょう。
NLPを学ぶためには?
NLPを学ぶためには、本での独学やスクールでのセミナーなどが主な手段となります。
「NLPプラクティショナー」「NLPマスタープラクティショナー」などの民間資格もあるため、興味がある人は資格取得に励むこともおすすめです。
「利用者への声掛け・接し方に悩んでいる」「利用者の心のケアも効果的に行いたい」「介護現場での辛い局面など、ストレスをうまくケアしていきたい」と考える介護職の人は、ぜひNLPの学習に励んではいかがでしょうか。
まとめ
NLPは心理学の一種であり、ビジネスシーンや育児・教育、プライベートの場面で広く役立つスキルです。
介護職の人も、ラポール・リフレーミング・メタプログラム・アンカーリングなど、具体的なテクニックを身に付けることで、利用者に安心感や信頼感を与えられるようになり、職場での人間関係も好転させることができるでしょう。
また、「介護のみらいラボ」では介護現場で活躍する人に向けて、様々な情報を発信しています。気になったコンテンツは、ぜひ併せて参考にしてください。
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