心理カウンセラーとは?必要な資格・仕事内容・活躍の場は?
構成・文/介護のみらいラボ編集部
心理カウンセラーは、悩みやストレスを抱える人々を助ける役割を果たします。社会貢献度の高い職業であるため、「誰かの役に立つ仕事に就きたい」と考えている人には有力な選択肢となるでしょう。
当記事では、心理カウンセラーの仕事内容や目指す方法、関連する資格について解説します。介護職が心理カウンセラー資格を取るメリットも取り上げるため、心理カウンセラーに興味がある人や、介護現場での有効性を知りたい人は、最後まで読んでみてください。
心理カウンセラーとは?
心理カウンセラーとは、カウンセリングや心理療法を用いて、相談者が悩みを解決できるよう支援する職業です。
「カウンセリング」の元々の意味は「相談」、「助言」のことですが、こころの診療においては、医師やカウンセラーが心の悩みを聞き、こころの専門家としての視点から指導や援助を行う治療を意味しています。
複雑化する人間関係や不安定な経済情勢など、現代人は多くのストレスにさらされています。うつ病や適応障害といった、心の病を抱えている人も少なくありません。また、企業でストレスチェックが義務化されるなど、メンタルヘルス対策は社会的な取り組みとして進められています。そのため、心理カウンセラーの需要は年々高まっており、今後もさまざまな分野での活躍が期待されます。
【勤務先別】心理カウンセラーの仕事内容
心理カウンセラーの仕事は、勤務先によって内容が異なります。一般的なケースは、以下のとおりです。
●病院
精神科や心療内科では、医師と連携して患者の心のケアを行います。ケアを行う手法は、カウンセリング、心理検査や認知行動療法といった心理療法が中心です。内科や小児科、産婦人科などで働く場合もあります。
●学校
心の悩みを持つ、児童や生徒の精神的なケアを行います。いじめや不登校などの問題を解決するために、教師や行政担当と連携することもあります。学校で働く場合は、スクールカウンセラーと呼ばれます。
●一般企業
産業カウンセラーやキャリアカウンセラーとして、従業員の心の悩みや不調を解決できるように支援します。メンタルヘルスの専門家として、ストレスマネジメント講習に登壇することもめずらしくありません。
●高齢者施設
利用者の孤独感や不安感を取り除き、穏やかに暮らせるように支援します。家族が介護うつにならないよう、家族の相談役になることも多くあります。悩みや問題を解決へ導くためには、利用者や家族との信頼関係が不可欠です。
●児童福祉施設
児童の心理状態を検査して、施設利用の適否を判断したり、援助計画を立てたりします。レクリエーションやクラブ活動に参加することもあります。親の離婚や虐待などのシビアな問題を扱うため、精神的な強さが必要です。
心理カウンセラーになるためには?
心理カウンセラーになるために必須の資格はありません。ただし、仕事をする上で高度な専門性が求められるため、必要なスキルを身につける意味でも資格取得は大いに有効です。
心理カウンセラーになる方法は、主に2つのルートがあります。
●大学・大学院に通う方法
大学や大学院で心理学などを履修する方法です。必要な知識や技能を体系的に学べるというメリットがあります。学校によっては、臨床心理士の受験資格を得ることも可能です。数年間の通学と高額な費用が必要となるため、学生向けの方法となります。
●通信・通学講座を利用する方法
民間の団体や協会が運営する、通信・通学講座を利用する方法もあります。自分のペースで心理カウンセラーを目指せることがメリットです。大学や大学院と比べて費用の負担が少なく、社会人や家事で忙しい人に適しています。
大学卒業後や講座の修了後は、現場で経験を積みましょう。心理カウンセラーとして活躍するためには、自分のカウンセリングを客観的に分析するなどして、スキルを磨き続けることが重要です。一流カウンセラーの講演会や勉強会に出席し、最新情報を入手することもよいでしょう。
代表的な心理カウンセラー資格
心理カウンセラーに関連する資格は、国家資格と民間資格に分かれます。民間資格には複数の種類があるため、それぞれの特徴や取得条件を理解すれば、自分に合う資格を見つけやすくなるでしょう。
ここからは、心理カウンセラーの代表的な資格を7つ紹介します。
公認心理師
公認心理師とは、公認心理師法に基づく唯一の国家資格です。法律上の制限を受けずに、医療・保健・福祉・教育・産業・司法・犯罪など、幅広い領域に対応できるという特徴があります。また、資格を生かして、心の健康に関する教育や情報提供をすることも可能です。
公認心理師は、心理学に関する専門的な知識や技術によって、心に悩みや困りごとを抱えた方に対してカウンセリングやアドバイスなどを行っています。国民が安心して心理的な支援を受けられるようにするため、2017年に国家資格化されました。公認心理師は、その方の心理状態や性格特徴などを整理する、家族など関係者の支援をする、心の健康に関する情報を提供するといったことも行います。
公認心理士の資格を取るためには、年1回実施される国家試験に合格することが必須です。
<主な受験資格>
- 大学および大学院で必要な科目を修了する
- 大学で必要科目を修了、かつ実務経験が2年以上ある
- 上記と同等以上の、知識や技能を持つことが認められる
公認心理師はきわめて有効な資格ではあるものの、取得のハードルは決して低くありません。なお、ほかの国家資格に見られるような更新制度はありません。
臨床心理士
臨床心理士とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。1988年より認定が開始されました。臨床心理士は、臨床心理学に基づく高度な知識や技能を持つことを証明する資格です。信頼性が高く、就職時の応募要件としているところも少なくありません。スクールカウンセラーを目指す上で有利になる資格でもあります。
臨床心理士の資格を取るためには、協会が定める試験に合格しなくてはなりません。
<主な受験資格>
- 指定の大学院を修了、かつ所定条件を満たす
- 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了する
- 医師免許を取得し、かつ実務経験が2年以上ある
また、臨床心理士の専門性を維持するために、5年ごとに再認定を行っています。
メンタル心理カウンセラー
メンタル心理カウンセラーとは、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定する民間資格です。正式名称は「JADP認定メンタル心理カウンセラー(R)」となります。資格を取ることで、カウンセリング・心理学・精神医学などの基礎知識を習得できます。手軽ながら実用性があり、医療や介護などの幅広い現場で生かせることが特徴です。
メンタル心理カウンセラーの資格は、通信講座で取得できます。受講にあたり、年齢や学歴などは問われません。カリキュラムの修了後は在宅で認定試験があり、合格すれば認定証が発行されます。メンタル心理カウンセラーには、さらに高度な心理療法を習得できる「上級心理カウンセラー」という資格も存在します。
メンタルケアカウンセラー
メンタルケアカウンセラーとは、以下の3つの団体が認定する民間資格です。
- メンタルケア学術学会
- 一般財団法人生涯学習開発財団
- 一般財団法人ヘルスケア産業推進財団
メンタルケアカウンセラーは心理カウンセラーの入門的な資格であり、日常のコミュニケーションや自身のメンタルケアにも役立つ資格です。心理療法や心理学全般、メンタルヘルスと脳の仕組み、人体についての知識を習得します。
メンタルケアカウンセラーの資格を取るためには、指定の通信講座で添削課題に取り組み、修了試験に合格する必要があります。受講期間は約2~3か月が目安です。就活に生かせる資格が欲しい人や、短期間で取れる資格を探している人は、取得を検討するとよいでしょう。
ケアストレスカウンセラー
ケアストレスカウンセラーとは、内閣府が認可する一般財団法人職業技能振興会が認定している民間資格です。心の病への正しい理解と、適切なケアができる人材の育成を目的に制定されています。
ケアストレスカウンセラーは理論や知識だけでなく、技能面も重視していることが特徴です。資格取得者向けのフォローアップ研修(実技研修)を定期的に実施しており、継続的にスキルアップを図れることがポイントです。
ケアストレスカウンセラーの資格を取るためには、全国各地のテストセンターで実施されているウェブ試験に合格することが条件となります。受験資格は18歳以上です。ケアストレスカウンセラーは独学でも受験できるものの、通信講座を利用すれば、より着実に取得を目指せます。
産業カウンセラー
産業カウンセラーとは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格です。企業のメンタルヘルス対策だけでなく、従業員のキャリア形成や職場環境の改善などにも携われることが特徴です。産業カウンセラーは職場の健全化を図るために欠かせない存在であり、高い需要があります。
産業カウンセラーの資格を取るためには、年1回実施される学科試験・技能試験に合格することが必要です。
<主な受験資格>
- 20歳以上で協会実施の養成講座を修了する
- 大学・大学院で心理学関連の専攻を修了、かつ所定科目の単位を取得する
産業カウンセラーの養成講座は、通学・オンラインコースの2つがあります。いずれも、学習内容やカウンセリングの実習時間は同じです。
教育カウンセラー
教育カウンセラーとは、NPO法人日本教育カウンセラー協会が認定する民間資格です。名称のとおり教育分野に特化した資格であり、子どもたちの健やかな成長をサポートするための専門性を身につけます。教育カウンセラーの資格を取得することで、学級運営や生徒指導、道徳教育など、学校活動全般を支援することが可能です。
教育カウンセラーの資格は「初級」「中級」「上級」の3つに区分されています。「初級」には、以下の申請要件が設けられています。
- 教育カウンセリング関連の実務経験が1年以上ある
- 教育カウンセリング関連の研修歴が22時間以上ある
- 養成講座を修了、かつ筆記試験に合格する
養成講座は年数回実施されており、学習形式は通学とオンラインの2種類です。
介護職が心理カウンセラーの資格を取るメリット
介護職が心理カウンセラーの資格勉強を通して心理学を学ぶことで、利用者の気持ちを深く理解することが可能となります。利用者が「何を求めているのか」が分かれば、適切なケアを提供できるようになるでしょう。
また、心理療法の1つである「回想療法」は脳を刺激し、活性化させると言われています。回想療法を認知症高齢者に行えば、物忘れや徘徊など、異常行動の改善が期待できます。
基礎的な部分から傾聴や対話を学習すれば、コミュニケーション能力の向上にもつながります。そのため、ケアマネジャーや介護主任など他者との連携が多い職種にも、心理カウンセラーの資格を取ることは有用です。
まとめ
心理カウンセラーとは、相談者の心の悩みを心理療法などを用いて解決する職業です。病院や学校、企業など活躍場所は幅広く、仕事内容はそれぞれで異なります。心理カウンセラーになるためには大学・大学院に通う方法と、通信や通学講座を利用する方法の2つがあります。心理カウンセラーの代表的な資格は、公認心理師や臨床心理士、メンタル心理カウンセラーなどです。介護職としてスキルアップを図りたい人は、ぜひ資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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