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仕事・スキル スキルアップ 2020/05/28

#クレーム#デイサービス#トラブル#送迎#鹿賀大資

介護デイサービス送迎へのクレーム......そのとき施設がとった対応策とは?

文:鹿賀大資 介護福祉士・ライター works_20200528.jpg

クレームには実直に向き合うことと、原因に対して迅速かつ的確に対処することが重要です。
今回の事例は、デイサービスの送迎時に必要以上にスピードを出してしまうドライバーと、危機管理が不足している添乗員に寄せられたクレームです。
地域住民から寄せられた意見に対し、ホーム長をはじめ施設側がどんな改善策をとって解決したのか解説します。

朝の送迎途中に起きた問題が介護デイサービス事業所へのクレームに発展

デイサービスの送迎車で起こったこと

今回紹介する事例は、利用者が40名のデイサービスです。送迎は2台の車で分担しています。1台は軽自動車で主にセンター長が運転を担当し、添乗員はつきません。もう1台は、69歳の男性パート職員(以降Aさん)が運転を担当する大型車です。25歳の男性正職員(以降Bさん)が添乗員として搭乗します。2台とも朝と夕方の送迎で、エリアが異なる2ルートをそれぞれまわるシフトでした。

クレームにつながった経緯~ドライバーと添乗した介護士の勤務態度

朝の迎えの際に、住宅地で歩行者の親子と送迎車が接触しそうになりました。Aさんの運転する大型車が、利用者を乗せた後、バックする際に歩行者に気づかなかったことが原因です。

その日の夜に歩行者の母親から施設に電話があり、職員たちは事情を知ることになります。母親の証言によると、車がバックする際には若い男性添乗員が外に出ていたものの、誘導は一切していなかったとのこと。また、その件とは別に、その介護施設の大型送迎車がスピードを出し過ぎることで、「地域住民が何度も危険な目に遭っている」という旨も訴えていたといいます。

Bさんは、以前から勤務態度に問題がありました。ルート設定と道案内はBさんの仕事なのですが、AさんがBさんにルートを聞いても毎回「わからない」と答え、「彼にはルートを覚える気がないのでは」と困っていました。 また、送迎中に居眠りをしていたこともあり、それをAさんが注意すると強い口調で言い返してきたため、怒鳴り合いに発展したこともあるということが発覚しました。

クレームへの対応とセンター長が実践した2つの改善策

デイサービスのセンター長がとったクレーム対応

クレームを受けた翌日、センター長はすぐに状況の事実確認を行いました。まずはクレーム元の母親が訴えている内容を、当事者である職員2人に確認。事実確認後、2人による業務怠慢が原因で発生した事案であると判断したセンター長は、クレーム元の母親にすぐに謝罪の電話をかけ、改善策が決まり次第、改めて連絡する旨を伝えました。

送迎車へのクレームに対する2つの改善案

センター長が考えた問題改善の方法は2つです。ひとつは、Aさんが運転する大型車にセンター長が搭乗すること。もうひとつは、センター長がBさんと自転車で地域をまわり、送迎のルートを再確認することです。

そこには、センター長が率先して行動の見本とやり方を見せることで、ドライバーに対する「安全運転の徹底」と、添乗員に対する「仕事の責任を自覚させる」という狙いがありました。センター長はAさんの送迎車に添乗中、標識や交通速度などの道路交通法を意識し、違反がないかチェックしました。また、住宅地を走行した際には、飛び出しなどの危険箇所も把握したそうです。

一方、Bさんと自転車でデイサービスの送迎ルートをまわる際はスマートフォンに頼らず、手書きの地図に目印となる店舗などを一緒に書き込みながら、Bさんの指導にあたったそうです。地域の様子を目視しやすい自転車で、地図を確認しながらルートをまわることで、意識的にBさんにルートを覚えてもらいたいという狙いがありました。また、センター長が同行することで、普段とは違うコミュニケーションをとり、Bさんの普段考えていることを聞き、仕事に対しての意識を改善させるという意図もありました。

センター長と介護職員による介護施設送迎改善案実施後の結果

改善案を実施してからの2カ月間、クレームはもちろん、送迎時の危険運転や業務怠慢もなくなりました。Aさんは落ち着いた運転ができるようになり、Bさんは協力的なルート対応と安全な誘導を心がけるようになったのです。

センター長が、こうした取り組みの結果をクレーム元に電話で伝えると、感謝の言葉をいただいたとのこと。クレームの直後に迅速な対応をとっていたからこそ、こうした声をいただけたのではないでしょうか。また、送迎時の危険な状況を改善していなければ、いずれ重大な事故につながっていたかもしれません。

■まとめ

介護デイサービスで働く全職員には、利用者第一のサービス提供はもちろんのこと、外出先での安全や配慮も求められます。
今回の事例は、クレームを受けた後のセンター長の対応が的確だったため、送迎サービスの質が向上し、クレーム元の地域住民の方にもよい結果を報告することができました。
クレームを受けた際はただ謝罪するのではなく、なぜそうなったのか原因を探り改善することが大切です。そういった意味では、クレームは業務改善のチャンスなのかもしれませんね。

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プロフィール

鹿賀大資

介護福祉士・ライター

施設介護で10年のキャリアを持つ現役介護福祉士。介護系WEBサイトにて、介助にまつわるコラムや記事を執筆。自らの介護エピソードはもちろん、同僚スタッフの体験談など、現場の声なき声を発信している。

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