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仕事・スキル スキルアップ 2020/11/12

#やりがい#ケアマネジャー#吉田匡和#主任ケアマネ#仕事内容

主任ケアマネジャーの仕事内容とやりがいとは

吉田匡和 社会福祉士・介護支援専門員・ 社会福祉主事 upskilling_20201112_1.jpg

主任ケアマネは狭き門だが引く手あまた

「主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)」は、2006年の介護保険制度改正によって誕生したケアマネジャーの上級資格です。ケアマネジャーの資質や専門性を向上する目的で創設され、将来的に、居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーしかできなくなることが決まっています。そのような理由から、「主任ケアマネジャー」は、すでに全国で需要が高まりつつある注目の資格です。今回は、介護相談のエキスパートである主任ケアマネジャーになるための要件や仕事内容、やりがいなどについて解説します。

主任ケアマネジャーとは

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要介護者が住み慣れた地域で安心して日常生活を送るためには、医療・介護・予防・住まい・生活支援といった多様なサービスが包括的に提供されるとともに、多職種が連携しながら要介護者などをサポートできるよう、適切にケアマネジメントを行うことが重要です。

2000年の介護保険制度創設以来、ケアマネジャーは地域資源の情報収集や把握、多職種とのネットワークの拡充といった役割を担ってきました。しかし、地域包括ケアシステムの構築に向けて、より多くの機関や施設と連携したケアマネジメントの実践がこれまで以上に求められており、現状のケアマネジャーの資質では十分に対応できないとの指摘もありました。

そうした背景をうけて、2006年の介護保険制度改正で、ケアマネジャーの上級資格として創設されたのが主任ケアマネジャー(主任ケアマネ)です。ケアマネジャー有資格者を対象に所定の研修を体系的に実施することで、高度な専門性の向上を目指し、ご利用者の自立支援に向けた適切なケアマネジメントを実現することを目的としています。

主任ケアマネジャーの仕事内容

主任ケアマネジャーの話を聞く男女

主任ケアマネジャーの話を聞く男女

広い視野や豊富な経験、専門的な知識と技術が求められる主任ケアマネは、主に次のような業務を行います。

ケアマネジャーの指導や育成

部下や後輩であるケアマネジャーのサポートや、適切なケアマネジメントを行えるよう指導や育成を行います。また、悩みの相談を受けるといった管理職的な役割も求められます。

地域の発展のために尽力

地域包括支援センターでは、主任ケアマネの配置が必須条件となっています。こうした条件からもわかるとおり、地域に住む要介護者が直面している介護・福祉に関する課題に対して、高度な専門的知識と能力を持って取り組むことが求められます。

主任ケアマネジャーの配置が義務付けられている事業所には、「地域包括支援センター」の他にも、「特定事業所加算を算定する事業所」が挙げられます。また、上述したように、将来的には「居宅介護支援事業所」にも配置が義務付けられることになっています。

主任ケアマネジャーのやりがい

主任ケアマネは、資格の取得に時間や手間がかかりますが、ケアマネジャーよりも就職先の選択肢が広がります。大きな責任が伴うと同時に、年収アップも期待できるでしょう。また、行政や病院と連携して地域の医療や福祉の充実を図れるほか、スーパーバイザーとして後輩の指導ができるため、人との交流や人を育てることが好きな人にはやりがいを感じる仕事です。

主任ケアマネジャーになるための要件

主任ケアマネになるには、「主任介護支援専門員研修」を受講する必要があります。ケアマネ試験のような筆記試験はありません。ただし、研修は都道府県ごとに行われるため、地域によって要件に多少の違いがあります。ここでは、研修のおおまかな内容を確認してみましょう。

受講対象者

原則として、該当する都道府県に登録しているケアマネジャーが対象です。登録していない自治体では受講できませんので注意しましょう。後述する受講要件を満たしたうえで、十分な知識と経験を有する者が対象とされています。さらに、受講にあたっては自治体からの推薦書の提出が求められるため、推薦を受けられるレベルの実績が必要です。

受講要件

受講要件には、大きく「勤務要件」「研修要件」「実務経験要件」の3つがあります。

勤務要件

東京都では、地域包括支援センターのほか、介護施設等において常勤専従のケアマネジャー、または、主任ケアマネジャーに準ずるものとして勤務していることが条件となっています。一方、大阪では、具体的な施設名は記載されていないものの、「常勤のケアマネジャー」として、勤務すべき時間数(週32時間を基本)に達していることが条件となっており、おおむね専従であることが前提となっています。

研修要件

受講申込の時点で、各都道府県が実施する介護支援専門員研修のうち、いずれかを修了している必要があります。
基本的には「専門研修課程ⅠおよびⅡ」を修了、もしくは、実務経験者に対する「介護支援専門員更新研修」を修了している必要があります。なお、その他細かい要件は都道府県によって異なるため、事前に確認したうえで要件となる研修を受けておきましょう。

実務経験要件

基本的には、専任のケアマネジャーとして従事した期間が、通算して5年(60か月)以上あることが要件となっています。ただし、「ケアマネジメントリーダー養成研修」を修了していることに加え、専任のケアマネジャーとして従事した期間が通算して3年(36か月)以上あることが、「実務経験」と認定されます。自治体によって詳しい条件は異なりますが、できるだけ早い段階で研修を受けておくとよいでしょう。加えて、「主任介護支援専門員に準ずるものとして、現に地域包括支援センターに配置されている者」も対象となります。

更新について

主任ケアマネジャーの資格の有効期間は、「主任介護支援専門員研修」終了年月日から5年間となっています。資格更新を希望する場合には、有効期間内に、「主任更新研修」を修了する必要があり、期間満了のおおむね2年前から受講が可能です。平成28年度からは、研修修了証明書に有効期間が記載されているため、有効期間を確認しながら忘れずに更新手続きを行いましょう。

主任介護支援専門員研修の課題

主任介護支援専門員研修は、都道府県ごとに開催されていることもあり、内容や受講料に格差が生まれていることが指摘されています。厚生労働省の報告によると、2017年度の受講料は、全国平均で43,690円。しかし、都道府県によって4万円以上も差があることがわかっています。また、研修時間が約70時間にも及び、全日程参加が必須となっているため、本来の業務に支障をきたすといった課題もあります。

これに対して厚生労働省は、受講に必要な経費を補填することで負担軽減をはかるほか、開催日程や期間、定員等の設定によって選択肢を広げたり、通信学習を活用したりするといった工夫を、各自治体に呼び掛けています。

主任ケアマネジャーを取り巻く状況

2018年度の介護報酬改定では、「居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定する」ことが決定され、その猶予期間として1年間が設けられました。ただし、その猶予は2021年3月の時点で主任ケアマネ以外が管理者をしており、その管理者が以後も管理者を務め続けていく場合に限って適用されるものです。
しかし、その改定を踏まえ、厚生労働省が2018年に行った調査では、管理者が主任ケアマネ資格を保有する割合は、51.2%であるという結果が出ており、事業所の多くが主任ケアマネを確保できていないという実態が浮き彫りになりました。この状況を鑑みて、猶予期間が6年間(2027年3月31日まで)に延長されることになりました。

また、2020年6月5日付の厚生労働省老健局振興課による通知において、不測の事態で主任ケアマネ不在となった事業所では、主任ケアマネを管理者にできなくなった理由と今後の人員確保に関わる計画書を提示することで、主任ケアマネ要件の適用を1年間猶予し、保険者の判断でその猶予期間の延長も認めています。加えて、中山間地域等として加算対象となる場合についても、管理者を介護支援専門員とすることが可能となりました。

ケアマネジャーの実情

主任ケアマネになるためには、まずケアマネジャーの資格を取得する必要があります。介護福祉士や社会福祉士などの国家資格を取得後、5年以上の実務を経てケアマネジャーの試験を受けることができます。そこから主任ケアマネになるには、さらに専任のケアマネジャーとして通算5年間勤務しなければなりません。このように、主任ケアマネになるためにはそれなりの経験と実績が必要であり、少なくとも10年以上介護職に従事している必要があります。「居宅介護事業所の管理者として必須になる」と言われながらも、管理者の所得率が50%程度にとどまっているのも、こうした事情が関係しているためでしょう。

実際のところ、主任ケアマネの母体となるケアマネジャー自体、なり手が減っていることがわかっています。2017年度の介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)では、約13万人が受験していましたが、2018年度の試験では前年度の半数以下の5万人弱、合格率も約10%と、これまでの最低を記録しています。さらに翌年2019年度には、受験者数は約4万人にまで落ち込み、「ケアマネ離れ」が進んでいることが懸念されています。

ケアマネの受験者数減少の理由として、受験資格の厳格化や介護職の処遇改善が行われたことが理由として考えられます。2017年度のケアマネ合格者は介護福祉士が約70%を占めており、介護福祉士のネクストステップとして注目されていました。しかし、2018年には、介護福祉士からの合格者は約49%と激減。ケアマネ試験の合格率も低くなっています。さらに2019年10月より「介護職員等特定処遇改善加算」がスタートしたことで、介護職員の処遇改善によりケアマネの報酬と逆転するケースが見られるようになりました。日常的な業務の多忙さに加えて、それに見合わない報酬や社会的地位といった理由から、受験を敬遠する人が増えているようです。

こうした状況下で、現在ケアマネジャーの人は、配置が将来必須になる主任ケアマネへのステップアップでさらに給料アップが狙えるでしょう。また、今後ますますニーズが高まる役職であり、将来的なキャリアプランを考えるうえでも選択肢が広がることでしょう。これからケアマネジャーを目指す人は、その後のプランを考えながら、主任ケアマネへの道を切り開いてみてはいかがでしょうか。

適性を考慮したうえで主任ケアマネジャーの資格取得を

主任ケアマネになるには時間も手間もかかりますが、現時点で主任ケアマネが不足していることもあり、多くの事業所から求められる存在です。ただし、ケアマネの上級資格として位置づけられているため、高い資質が求められるほか、スーパーバイザーとして後輩の指導も必要になります。そうした社会的な役割を「プレッシャー」ととらえるか、「やりがい」と感じるかによって、仕事の受け止め方は変わります。自己の適性を十分に考慮したうえで、主任ケアマネを目指してみましょう。

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■参考

プロフィール

吉田 匡和 (よしだ まさかず)

社会福祉士・介護支援専門員・ 社会福祉主事

老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイサービス等で勤務し、事務長代行など管理職も経験。その後社会福祉士及び介護福祉士養成校教員。人材育成に携わってきた経験を活かし、実践的で的確な情報を発信している。 Write House Bule Orca(ブーレオルカ)代表。

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