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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2023/11/30

介護施設から家族への手紙の書き方とは?例文もあわせてご紹介

文/山本史子(介護福祉士) thumbnail.jpg

介護施設では、利用者の家族に手紙を書き、利用者の様子を伝えることも大切な業務の1つです。家族は、利用者が施設でどのように過ごしているか心配しています。定期的に届く施設からの手紙は、家族の不安を解消し、施設への信頼を深めるものとなるでしょう。しかし、初めて手紙を書く介護職員は、何をどう書けばよいのか悩むかもしれません。本記事では、介護施設から家族への手紙の書き方と注意点について解説するとともに、季節ごとの例文も紹介します。

1.介護施設から利用者の家族に送る手紙の目的とは?


介護施設から利用者の家族へ手紙を送る目的は、利用者の日常や健康状態・活動内容などを伝えるためです。定期的に手紙を送ることで、家族と施設との信頼関係を築くだけでなく、利用者と家族をつなげる役割もあります。また、家族が抱える施設利用への不安や疑問点の解消にも役立つでしょう。介護施設として、手紙を通して家族へ感謝の気持ちを伝えられる機会の1つでもあります。介護施設からの手紙は、家族にとっても介護している職員にとっても、大切な役割を持っているといえます。

2.介護施設から家族へ送る手紙の書き方


手紙の役割が分かったとしても、初めて手紙を書く介護職員は、どのような内容を書けばよいのか迷うかもしれません。利用者の家族に手紙を書くときは、次のような構成にするとよいでしょう。

●あいさつ文
●利用者の様子
●施設の取り組みやお知らせ
●結びの言葉

まずは、時候のあいさつや家族への感謝の言葉から始めるのが一般的です。続いて、食事や入浴の様子・レクリエーション・健康状態など、利用者の様子について具体的に記載するとよいでしょう。さらに、施設の行事や伝えたい施設情報をまとめ、手紙の最後には結びのあいさつを入れます。家族への感謝の気持ちや家族を気づかう言葉で締めくくるようにしましょう。冒頭もしくは、最後に施設の名前や担当者名・日付を明記することも大切です。

3.手紙で利用者の様子を伝えるポイント

利用者の様子を文章で伝えるのは難しいかもしれません。次の3つを意識して、まとめてみましょう。

1. 写真やイラストを活用する
2. 安全・健康面の配慮に関することを記載する
3. 直近のできごとを書く


順番にポイントを解説します。

①写真やイラストを活用する

言葉では伝えきれない施設内での雰囲気は、写真やイラストを入れることで伝わりやすくなります。たとえば、利用者が笑顔で写っている写真やレクリエーションを楽しんでいるイラストなどがあれば、施設で元気に過ごしている様子が伝わることでしょう。家族と利用者が、あまり面会できない場合、写真を共有することで利用者の家族に安心してもらえます。また、次に面会したときの話題にもなるのではないでしょうか。ただし、写真を使用する場合、利用者や他の利用者のプライバシーに配慮が必要です。事前に同意を得るか、他の利用者の顔を隠すなどの工夫が求められます。

②安全・健康面の配慮に関する事項

家族が施設に対して最も関心を持っていることは、利用者の安全面や健康についてです。高齢者は、水分不足に気づきにくかったり、気温変化に対応できなかったりする傾向にあります。たとえば、秋は朝晩の気候が涼しくなり、夏に比べるとのどの渇きが感じにくいような時期には、温かい飲み物で水分補給をしているなど、施設で行っている健康管理について、触れておくとよいでしょう。また、家族からの質問や疑問点があれば、手紙できちんと回答することも大切です。

③直近のできごとを書く

手紙を書く頻度にもよりますが、利用者の様子は、なるべく1カ月以内の事柄を書くようにしましょう。直近の様子を伝えることで、現在の体調や施設での生活が把握しやすくなります。また、家族に施設の活動内容に関心を持ってもらうきっかけとなり、家族に行事の参加や協力を促すことが期待できます。

4.介護施設から家族への手紙の例文を季節ごとに紹介


介護施設から家族へ手紙を出すタイミングは、施設によって異なります。毎月出す施設もあれば、隔月・季節ごとなど、さまざまです。続いて、季節ごとの例文を紹介します。介護施設の状況に合わせて、参考にしてください。

春の手紙(3月~5月)

2023年4月10日

○○様

いつも施設への温かいご支援、ご理解を賜りまして、誠にありがとうございます。

春が訪れ、施設の庭には桜が咲き誇り、入居者の皆様も外での散歩や活動を楽しまれています。特に桜の下でのお茶会は、皆様に大変喜んでいただきました。

△△さん(利用者の名前)は、毎日元気に過ごされています。先日の手作り工作活動では、春らしい花の絵を描き、それを部屋に飾って楽しまれていました。その他の活動については、後日写真とともに送付いたします。また、来月の20日には春の行事として施設内バーベキューを予定しております。

施設としても、皆様が安心して生活できるよう、スタッフ一同、日々努力しております。何かご質問やご不明点、ご要望等ございましたら、お気軽にお知らせください。

この春の季節が、○○様にとっても、△△さんにとっても、明るく温かな日々となりますよう心よりお祈り申し上げます。

▼▼園(施設の名前)・担当者☒☒


夏の手紙(6月~8月)

2023年7月10日

〇〇様

いつも施設への温かいご支援、ご理解を賜りまして、誠にありがとうございます。
厳しい暑さが続く日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。

夏の日射しを感じる季節となりました。入居者の皆様には、夏野菜を使った料理を作っていただきました。先月の施設内バーベキューでは皆様の笑顔があふれ、おいしい料理を楽しんでいただきました。

△△さん(利用者の名前)は、元気に毎日を過ごされています。最近は、夏の風物詩である「風鈴づくり」を実施しました。△△さんは、できあがった風鈴を部屋に飾っておられます。後日、写真とともにその様子をご覧いただきます。

また、来月には夏祭りを予定しており、皆様と一緒に楽しいひとときを過ごせることを楽しみにしています。

施設としても、皆様が暑さで体調を崩されないよう、こまめな水分補給や空調管理など、熱中症対策に努めております。また、体調不良の際には、すぐに対応できるよう、スタッフ一同、日々目を配っております。

この夏の季節が、○○様にとっても、△△さんにとっても、楽しく充実した日々となりますよう心よりお祈り申し上げます。

▼▼園(施設の名前)・担当者☒☒


秋の手紙(9月~11月)

2023年10月10日

○○様

いつも施設への温かいご支援、ご理解を賜りまして、誠にありがとうございます。
秋の気配が感じられるようになってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

秋風が心地よく吹き、施設の庭園は美しい紅葉に包まれています。入居者の皆様も、秋の訪れを感じながら、さまざまな活動に参加されています。特に敬老会や紅葉狩りは、皆様に大変楽しんでいただきました。

△△さんは、秋の季節にぴったりの手作り工作に取り組まれています。最近、折り紙で紅葉のリースを制作し、部屋のドアに飾っておられます。その他の活動については、後日写真とともに送付いたします。

また、来月には芋煮会を予定しており、皆様と一緒においしい食事と楽しいひとときを過ごしていただきます。

体調を崩しやすい季節ですので、スタッフ一同、皆様の体調管理に努めております。何かご質問やご不明点、ご要望等ございましたら、お気軽にお知らせください。

この秋が、○○様にとっても、△△さんにとっても、楽しい思い出となるよう、スタッフ一同、サポートいたします。

▼▼園(施設の名前)・担当者☒☒


冬の手紙(12月~2月)

2023年12月10日

○○様

いつも施設への温かいご支援、ご理解を賜りまして、誠にありがとうございます。
寒さも厳しくなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

寒さが身にしみる季節は、施設の庭園を眺めていても少し寂しく感じます。先月は施設内の文化祭が開催され、利用者の皆様がこれまで作った作品を展示しました。その後の芋煮会では、体が温まると皆様に喜んでいただきました。

△△さん(利用者の名前)は、施設に飾るクリスマスツリーの飾りの製作に、熱心に取り組まれています。施設内をみなさまの作品で飾りたいと考えています。その様子は、後日写真とともに送付いたします。

来月には新年を祝うイベントを予定しており、皆様と一緒に充実した時間を過ごせることを楽しみにしています。

寒さによる体調不良にも注意し、スタッフ一同、皆様の健康管理に努めております。何かご質問やご不明点、ご要望等ございましたら、お気軽にお知らせください。

さて、今年も残すところわずかとなりました。本年もお世話になりありがとうございました。△△さんが元気に過ごされましたのも、ご家族の皆様のご協力のおかげと感謝しております。

〇〇様も健康で良い新年をお迎えくださいますよう、心よりお祈り申し上げます。来年も、変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

▼▼園(施設の名前)・担当者☒☒


5.家族への手紙を書くときの注意点


利用者の家族には、ただ伝えたいことをそのまま書けばよいというわけではありません。次のような点に注意が必要です。

1. 具体的な表現で適切な言葉遣いを心がける
2. 緊急性のある事項については、電話で連絡しておく


不安を与えるような表現になったり、マナーのない書き方になっていたりすると、信頼関係が崩れてしまう可能性もあります。それぞれポイントを解説します。

①具体的な表現で、適切な言葉遣いを心がける

家族への手紙を書くときは抽象的な表現を避け、具体的な事実やできごとを伝えるようにしましょう。加えて、ネガティブな言葉や誤解をまねくような表現にならないように、適切な言葉づかいを心がけることも大切です。常に家族の立場と視点を持ち、家族が安心できる手紙の内容になっているか考えることで、配慮のある文章になるでしょう。また、丁寧になるのは良いのですが、堅苦しいと感じるような文章になっても、気持ちが伝わりにくいかもしれません。ただし、度を越した親しみは、家族に対して失礼に当たるため注意が必要です。

②緊急性のある事項については、電話で連絡しておく

利用者の体調の変化など、緊急性のある連絡は手紙だけで伝えるのはNGです。その際には、まず電話で連絡しておきましょう。ときには、利用者の受診や服薬情報が必要になるなど、すぐに回答が必要な場合もあります。手紙では手元に届くのに時間がかかり、配達後も家族が気付かない場合が考えられます。家族とは、ときにはこまめに連絡を取り合う必要がありますが、適切な方法を選択することが大切です。もしすでに電話した内容を手紙に書く場合には、すでに連絡した旨を記載しておくとよいでしょう。

まとめ:介護施設からの手紙を通して信頼関係を築こう


施設で暮らす利用者の生活や健康状態を心配する家族にとって、施設からの手紙はその不安を解消してくれるものです。施設からの手紙は、利用者の様子や施設の取り組みを伝えるだけでなく、家族の心配や疑問を解消し、信頼関係を築くきっかけとなります。手紙の内容は、できるだけ具体的で直近の様子を記載し、失礼のない表現を心がけましょう。紹介した季節ごとの例文を参考に、気持ちのこもった手紙を作成してみてはいかがでしょうか。

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山本史子(Fumiko Yamamoto)

介護福祉士

デイサービスで約20年現場職員として経験。2007年に介護福祉士の資格を取得。「この施設にいると楽しい、また行きたい」と笑顔で帰ってもらえるデイサービスにしたいという思いで20年間利用者様のケアをしている。知的障害のある自閉症の息子がいるため、介護現場で働きながら、母親の立場から障がい者福祉にも関わっている。

山本史子の執筆・監修記事

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