ストレスマネジメントとは?介護現場での重要性や効果・実施方法も
構成・文/介護のみらいラボ編集部 監修/赤羽克子
「ストレス社会」と呼ばれる現代。仕事や学業、家庭生活など、日常生活のさまざまな場面で、ストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。特に介護の現場には、人間関係や職場環境などさまざまなストレス要因があるため、ストレスがたまりやすい環境だと言えます。
しかし、ストレスを抱え込んだままでは、心や身体に悪い影響をもたらす可能性があります。自分を守るためにも、適切に対処してストレスをためないようにしましょう。
当記事では、ストレスへの対処法の1つとして、ストレスマネジメントを紹介します。ストレスマネジメントの効果や、具体的な方法について詳しく解説していきますので、「ストレスと上手に付き合いたい」と考えている方は、ぜひご覧ください。
1.ストレスマネジメントとは?
ストレスマネジメントは、厚生労働省のe-ヘルスネットにおいて、以下のように定義されています。
ストレスマネジメント(すとれすまねじめんと)
ストレスとの上手な付き合い方を考え、適切な対処法をしていくこと。
(引用:e-ヘルスネット「ストレスマネジメント」)
仕事や日常生活でストレスをため込んでしまうと、頭痛や肩こり、心の病など、さまざまな形の不調があらわれる場合があります。そのため、自分に合ったストレス対処法を知ることは、とても大切です。
そもそもストレスって何?
ストレスとは、外部から何らかの刺激を受けた結果として、心や身体にかかる負荷のことを言います。また、心や身体にストレスを与える要因のことをストレッサーと呼び、大きく分けると次の3つに分類できます。
物理的ストレッサー | 騒音や混雑、悪臭、暑さや寒さといった物理的・環境的な原因によるもの。 |
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化学的ストレッサー | 公害物質や薬物、酸素の欠乏・過剰などを指す。アルコールやタバコも含む。 |
社会・心理的ストレッサー | 人間関係や仕事関係、家庭の問題など、普段ストレスと呼ばれるものの多くが含まれる。 |
ストレッサーによって引き起こされる反応は、次のようなものがあります。
心理面への影響 | やる気の低下、イライラ、不安、抑うつなど |
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身体面への影響 | 頭痛、肩こり、下痢、不眠など |
行動面への影響 | 仕事上のミス、飲酒量の増加、喫煙量の増加など |
上記に関して心当たりがある場合は、早めにケアするように心がけましょう。
(出典:心の耳「ストレスとは?」)
介護現場ではストレスマネジメントが重要
ストレッサーにはさまざまなものがあるため、どのような仕事でも、多かれ少なかれストレスを感じる場面があります。
特に介護職は、重労働であることに加えて、慢性的な人手不足からくる過密労働のために、ストレスを受けやすい環境にあります。加えて、現場の人間関係や収入などに悩むケースもあるでしょう。
介護職が受けるストレスには、次のようなものが挙げられます。
労働条件 | 深夜勤務やシフトの問題、低賃金 |
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従事業務の量 | 仕事量の多さや身体的負担 |
従事業務の質 | 不十分な指示や問題発生への不安 |
利用者さんとの関係 | 利用者さんの無理解や認知症入居者への対応 |
勤務先や上司との関係 | 管理職の管理能力や介護能力の不足 |
同僚との関係 | 同僚との連携や意見交換の不足 |
仕事以外の生活 | 家族や友人の仕事への無理解 |
(出典:介護労働安定センター「― 平成28年度 介護労働実態調査(特別調査)結果について―」)
このように、介護職が受けるストレスは多岐にわたります。心や身体の不調やストレスからくる離職を防ぐためにも、適切なストレスマネジメントの実施が重要と言えるでしょう。
2.ストレスマネジメントの効果
ストレスは心身に悪影響を与え、さまざまな不調を引き起こす原因になります。適切なストレスマネジメントを行うことで、心身を健康な状態に保つように心がけましょう。また、ストレスマネジメントは職場環境の改善やハラスメントの防止にもつながります。
以下では、適切なストレスマネジメントを行った場合の具体的な効果を紹介します。
精神面を健康に保てる
適切なストレスマネジメントによって、不調の原因となるストレスを取り除けば、精神面を健康な状態に保てるでしょう。利用者さんとの関係や上司、同僚との関係など、人間関係によるストレスが多い介護職では、精神面の健康が重要です。
ストレスが原因でうつ病、自律神経失調症などになってしまうと、休職や離職につながりかねないため、特に対策が必要です。
職場環境を改善できる
ストレスマネジメントを実施して、適切にストレスの処理ができるようになれば、パフォーマンスの向上や業務の効率化が図れます。慢性的な人手不足による過密労働が課題とされる介護業界では、業務の効率化によって職場環境の改善が期待できるでしょう。
スタッフ一人ひとりの業務負担が減り、働きやすさが向上することで、離職を防ぐ効果も期待できます。
ハラスメントを防げる
ストレスがまん延している職場では、ストレスに起因するパワハラ、セクハラなどのハラスメントが、日常的に行われている可能性があります。ハラスメントは職場の雰囲気を悪化させるだけでなく、生産性の低下にもつながりかねないため注意が必要です。
役職にかかわらず、適切なストレスマネジメント研修を行うことで、ハラスメントを未然に防ぐことが期待できるでしょう。
3.ストレスマネジメントの方法
前述のように、ストレスマネジメントには労働環境の改善、ハラスメント防止などの効果もあるため、適切な方法で行えば、職場に良い影響を及ぼします。
ここでは、介護現場におけるストレスマネジメントの具体的な実践方法を紹介します。
ストレスを見つける
ストレスの原因が、仕事上のものかプライベート上のものかに関わらず、まずは「ストレスを抱えている」という事実に気付くことが重要です。ストレスを見つける方法には、セルフケアとラインケアの2つがあります。
セルフケア |
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本人がストレスを受けていることに気付き、適切なケアを行う方法です。ストレスやメンタルヘルスについての基本的な知識を身に付け、ストレス状態にある時の自分の感情や体調の変化を客観的に観察し、記録を行います。 |
ラインケア |
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ラインケアは、ストレスを受けている本人ではなく、管理者が行う管理者向けの手法です。管理者が部下の「いつもとは違う変化」にいち早く気付き、部下からの相談に応じるなど、職場環境の改善を目指したケアを行います。 |
ストレスを受けている本人だけでなく、管理者を含めた職場の全員が変化に気付き、具体的な対策につなげることが大切です。
コーピングを行う
ストレスの原因が可視化できたら、解消・軽減のために具体的な対処を行いましょう。
ストレスの原因に対する具体的な対処のことを「コーピング」と呼び、アプローチする対象によって、問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピングの2つに分けられます。
問題焦点型コーピング |
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ストレスの原因となっているストレッサーそのものに働きかけることで、解決を目指す方法です。一例として、次のような対処法が挙げられます。 ●自身の能力やスキル不足からくるストレスに対して、知識やスキルを身に付けることで対処する ●仕事がうまく進まない場合に、仕事に対して知見のある上司や同僚に相談する ●うまく行かない仕事は成長の機会と捉え、自分にできることを探して考え方の方向転換を図る スキル不足や能力不足といった仕事上の問題がストレスの原因となっている場合には、原因を特定し解決する問題焦点型コーピングが役に立ちます。 ただし、問題焦点型コーピングにおいて、考え方を無理やり変えようとすると、逆にストレスを増加させてしまう場合があります。 |
情動焦点型コーピング |
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情動焦点型コーピングは、ストレッサーそのものではなく、自分自身の考え方や捉え方、ストレスによって生じる感情などに着目する方法です。一例として、次のようなものが挙げられます。 ●暗いことを考えず、明るく楽しいことを考えて、気分を上向かせる ●誰でもうまくいかないことはあると、自分に言い聞かせて、楽観的になる ●家族や仲の良い友人たちと話すことで、ストレス発散をする 情動焦点型コーピングには、悲観的な考え方をせず、問題の捉え方をポジティブに変えることで、「冷静にストレスの原因と向き合える」というメリットがあります。 一方で、ストレスそのものではなく、問題の捉え方やストレス反応への対処であるため、「根本的解決につながらないことがある」というデメリットも存在します。 |
ストレス原因や心身の状態に合わせて、適切な対処を行うと良いでしょう。
まとめ
現代社会では、多くの人がストレスを抱えながら生活しています。ストレスは、心や身体にさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあるため、適切に対処してストレスをため込まないようにしましょう。
特に介護職は、人間関係や職場環境などによってストレスを受けることが多いため、適切なストレスマネジメントを実施して、ストレスの原因を解消したり、ストレスの軽減を図ったりすることが大切です。
介護のみらいラボには、介護職の悩みを解決するための情報や、仕事の効率的な進め方に関する情報など、介護現場で働く方のための有益な情報が掲載されています。ぜひご覧ください。
※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています
▼監修者からのアドバイス
ストレスマネジメントとは、自身のストレスを適切に管理するための手法や技術のことです。ストレスは、仕事、学校、人間関係などさまざまな要因から引き起こされる可能性があります。ストレスをため込んでしまうと物事を冷静に判断することが難しくなりますので、いったん冷静になってそのストレスの状況把握をしましょう。
そして、コーピング(「3-2.コーピングを行う」参照)などのストレスマネジメントの実践により、ストレスを軽減し、心身の健康を維持することができます。自分に合うさまざまなコーピングを組み合わせて実践してみてはいかがでしょうか。
元日本大学医学部精神医学系の内山真主任教授は、「私たちが『ストレス』と呼んでいるような心の負荷は、うまく乗り越えられた時にこの上ない達成感をもたらします。いわばストレスは『生きる幸せを感じさせてくれるもの』でもあるのです。そう考えると『ストレスが全くない生活が理想的な心の健康状態』とは言えない気がしています」とおっしゃっています。
自分に合ったストレスマネジメントを実践することにより、日常生活や仕事におけるストレスを軽減し、心身の健康を維持でき、より生産的で充実した人生を送ることができると思います。
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