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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2025/04/28

#インタビュー

無理なく介護職を続けるためのポイントは?介護歴19年の介護部長が働き続けるコツを紹介

取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー iv250401_thumb.jpg

「介護職を続けたいと思ってはいるけれど、最近仕事が辛い」「無理なく働き続ける方法はないのかな」と感じていませんか。介護職はとてもやりがいのある仕事ではあるものの、身体的な負担や人間関係の問題などにより、継続を諦めてしまう人も少なくありません。では、どのような点に気をつければ長く介護職を続けられるのでしょうか。SNSのフォロワー数6万人超・介護歴19年以上の介護部長たっつん氏に、仕事の際に意識していることを聞いてみました。

ーーまずは、たっつんさんが介護の仕事を始めたきっかけを教えてください。

家族からすすめられたことがきっかけです。介護の仕事に就く前は、家庭の事情によりアルバイトを掛け持ちしながら生活していました。しかし、その家庭の事情が解消したことや、ちょうど結婚した時期だったこともあり、29歳の時に正社員として働くことを決意します。どんな仕事をしようか迷っていたところ、「祖父母の介護の経験があるので、介護職はどうか」と義理の父から声をかけてもらい、同職に就くことを真剣に考え始めました。その後、ヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修)を取得し、自宅近くの有料老人ホームで働き始めたのが、介護職としてのキャリアのスタートです。

ーー最初は大変なことも多かったかと思います。介護職を辞めたいと思ったことはありませんでしたか。

「介護職を辞めたい」と思ったことは一度もなく、同職はぼくにとって天職だと思っているほどです。ただ、職場を変えたいと考えたことは多々あり、実際に何度か転職を経験しています。一番辛かったのは、介護部の責任者として働くことになった施設で、スタッフ全員から嫌がらせを受けたことですね。皆さんに丁寧に接していたつもりでしたが、なかなか受け入れてもらえず、無視されたり、通勤で使っていたバイクのヘルメットを燃やされりしたこともありました。もちろん、その時はとても辛かったですが、そんなことをする人たちのせいで、ぼくが辞めるのはおかしいと思い、あえて全員に笑顔で接することを決め、そのまま同じ職場で働き続けたんです。結局、同施設には7年間勤めました。

ーーそんなに辛いことがあったのに、どうして働き続けられたのでしょうか。

一番大きな理由は、このまま環境が変わらなければ、同施設の入居者さんがかわいそうだと思ったためです。入居者さんと話をしてみると、「ここの施設は言い方が怖い人がいる」「ナースコールを押した時に、必ず来てくれるのはあなたしかいない」などの声を聞くようになり、安心して介護を受けられる環境ではないことに気がつきました。そこで、自分だけでも入居者さんのためになる介護を提供したいと考え、働き続けることを決意します。

しばらく働いていると、ぼくの味方になってくれる人が徐々に増えていき、嫌がらせの主犯格だったスタッフは退職することになりました。これは後から聞いた話ですが、ぼくの味方になってくれた方々は、リーダー的な存在だったスタッフに指示されて、仕方なく嫌がらせに加わっていたようです。あの時は『自分の信じる介護』をやり通して本当に良かったと感じています。

介護士

ーーこれまでの経験を踏まえて、職場の環境維持のために意識していることはありますか。

「人間関係をいかに良好に保つか」については、常に意識するようにしています。介護職においては、一緒に働くスタッフだけでなく、利用者さん・入居者さんとも良好な関係を維持する必要があります。介護職の経験者のなかには、人間関係がこじれたことで仕事が嫌になってしまった方もいらっしゃるでしょう。

個人的な経験からお話すると、スタッフ同士の人間関係の維持のためには、コミュニケーションを積極的に取ることがポイントだと考えています。特に、辛い時に相談できる人がいるかどうかは、働きやすさに直結するのではないでしょうか。ぼくは現在部長職に就いているため、常に部下の話を聞くことを心がけています。「今日こんなことをしちゃってさ」と、自分から失敗談や悩みごとを話すことで、相談に対するハードルが下がればいいなと思っています。

ーー介護職は身体的にも負担が大きい仕事だと思います。介護職を無理なく続けるために、気をつけていることがあれば教えてください。

まず介護業務に関しては、とにかく無理をしないように気をつけています。自分の力だけでは難しいと思ったら、他のスタッフと協力して仕事に取り組むようにしていますね。例えば、入居者さんの介助をする際に、本当は他のスタッフの手を借りたいけれど、人手不足で呼びに行くのが大変なため1人で行ったとします。無事に介助できれば良いですが、この時に無理をしたことで、自分の身体を痛めて休んでしまったら、さらに人手不足になってしまうこともあるでしょう。「自分が無理をすれば大丈夫」という考えは、後々大きな問題に繋がる可能性もあります。協力した方が早く仕事を終えられることもあるため、積極的に周囲の人の力を借りるように心がけています。

その他には、とにかく休みの日を満喫するようにしています。どうしても必要な連絡事項を除き、休みの日は仕事のことをあまり考えず、心身をリフレッシュさせていますね。先日も休日を利用して、好きな歌手のライブに行ってきました。心身共に健康的な日々を過ごすことは、介護の仕事を継続するうえで非常に重要なのではないでしょうか。また、身体的なケアについては、就寝前のストレッチを欠かさずに行っています。YouTubeの動画を見ながらヨガをしてみたり、フォームローラーを使って筋膜リリースをしたりと、その日の疲れを取るために様々なものに取り組んでいます。

ーー「介護の仕事を頑張って続けたい」と考えている方に向けて、メッセージをお願いします。

人手不足のなかで頑張って介護職に取り組んでいる方々のことを、同じ介護士としてとても誇りに思っています。「自分が理想としている介護になかなか取り組めない」と感じている方も多いかもしれませんが、個人的には働く環境が改善されれば、より入居者さんお一人おひとりと向き合える介護ができるのではと考えています。そのために、ぜひ声をあげてみませんか。

例えば、「時間がかかる業務の改善を上長に求める」「他施設が行っている取り組みについて、次の会議で提案してみる」など、なんでも構いません。現場の声が上層部に届きやすくなると、それが大きな流れになり、日本中の介護施設に変化が生じていくのではと考えています。仕事に対する愚痴や文句を言うことは簡単ですが、スタッフ同士で愚痴を言い合っているだけでは、現場を変えることはできません。ぼくはこのような介護業界における変化を期待して、SNSでの介護エピソードの発信を日々継続しています。介護という魅力あふれる仕事を続けるためにも、同じ目標に向かって一緒に頑張れたらうれしいです。

認知症の人、その本当の気持ち

認知症の人、その本当の気持ち
著:たっつん  出版社 : KADOKAWA 発売日 : 2024/2/21

プロフィール

たっつん氏

たっつん

介護の仕事を19年以上続けている現役の介護福祉士。主に特別養護老人ホームでの入居者の方々との印象深いエピソードをSNSにて発信し、多くの共感を得て人気となった。介護の仕事の面白さを伝えるために日々発信を続けている。
X アカウント:@tattsun_cw

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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