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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2023/03/20

#みんな知らない高齢者の世界#インタビュー

高齢者の身だしなみはどこまで行うべき?介護者が気をつけたいポイント|みんな知らない高齢者の世界

取材・文/タケウチ ノゾミ(イージーゴー) thumbnail.jpg

服を着替える、顔を洗うなど、身だしなみを整えることは日々の生活において欠かせません。しかし介護の現場においては、なかなか高齢者の身だしなみまで手が回らないと感じている方も多いのではないでしょうか。 なんとなく後回しにされがちな身だしなみですが、身だしなみを整えることには、気分が前向きになる、自分自身への関心が向上するなどの様々なメリットが存在します。主に高齢者に向けてメイクセラピーを実施している大平智祉緒氏に、高齢者が身だしなみを整えるメリットや注意点について聞いてみました。

1.高齢者が身だしなみを整えるメリット

――高齢者が身だしなみを整えることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

自分自身への関心だけでなく、他者への関心が向上することや、生活リズムが整う、積極性が増すなどの様々なメリットが挙げられます。「自分なんて見られていない」「綺麗になっても仕方がない」と思っている方は意外と多いです。外見の話は医療介護現場ではあまりしないと思いますが、「その色似合いますね」「その服素敵ですね」などの声を高齢者に掛け続けていると、こちらの服装や外見を褒めてくれるようになることもあります。褒められると、それをきっかけに周囲のことを気にしはじめるので、自己への関心と他者への関心は繋がっているのだと感じています。

身だしなみを整えることは、われわれが生活するうえで当たり前に行っていることです。私達は日頃ヒゲを剃る、お化粧をするなどにより外向きの顔を作ることで、自分自身を励ましたり、気持ちを外に向かせたりしています。例えばずっと人に会わないからと身だしなみを整えなくなったら、やる気が起きなかったり、生活にハリがなくなったりしますよね。元気な人でさえ身だしなみを整えないことで影響が出るので、医療介護現場でも積極的に身だしなみについて意識を向け、ケアをするべきではないかと考えています。

2.高齢者の身だしなみは何を行うべき?

――介護者が高齢者の身だしなみを整える際には、具体的にはどのようなことをすれば良いですか。

全員に同じことをすると流れ作業的になってしまうので、まずは本人が「どのくらい身だしなみを整える力があるのか」についてのアセスメントを行うことが重要だと感じています。例えば、化粧水を手に出してあげたら自分で顔につけられる、鏡を見せたらクシで髪をとかせるなどです。実際にやってみないと、その人がどのくらい身だしなみを整えられるか分からないですよね。なのでアセスメントによって現在の状況を明確にして、できることを増やすのが重要です。

また、身だしなみに関する環境を整えることも大切だと感じています。そもそも部屋に鏡はあるのか、クシや化粧水を持っているのかなどの環境面もアセスメントしていく必要があるでしょう。環境を整えてあげると、身だしなみも整えやすくなります。色々なことを行うのが難しい場合は、まずは最低限、鏡を見せてあげることが重要かなと思います。

鏡を見ながらコミュニケーションを取ることも効果的

鏡を見ながらコミュニケーションを取ることも効果的

3.介護施設のスタッフができる身だしなみへの配慮

――介護施設のスタッフが日頃からできる、高齢者の身だしなみへの配慮にはどのようなものがありますか。

少し意外かもしれませんが、介護者側が自分自身の外見に一度立ち戻ってみることが重要だと思います。「介護士としてどうありたいのか」「自分は他の人にどんな印象を与えているのか」などを考えることにより、自分の身だしなみを意図的に管理できるようになると、利用者さんへの声掛けの内容も変わってくるのではないでしょうか。

例えばヘアスタイルに気を遣っている方であれば、「今日髪切ったんですよ!」など、自分のこだわりのポイントを利用者さんに伝えてみるなども効果的です。自分が気にしないことは人にしてあげられないので、まずは「なりたい自分」を意識して自分自身の身だしなみを整えてみてください。

4.介護施設で実施できるメイクセラピー

――お化粧をすることが難しい場合でも、介護施設で実施できるメイクセラピーはありますか。また男性に向けた取り組みも教えてください。

メイクセラピーや化粧療法と聞くと、華やかなメイクアップをイメージしてしまい「なんだかハードルが高い」と感じている方も多いでしょう。しかし、メイクセラピーとはメイクアップのことだけを指すのではなく、スキンケアも大切な手順の一つです。メイクアップが自分を前向きな気持ちにさせる効果があるとすれば、スキンケアはどちらかと言うと安心感や心地よさなど、癒しの効果があると感じています。なのでメイクが難しい場合は、まずはスキンケアや洗顔などから行うと良いのではないでしょうか。

スキンケアは男女問わず取り組めますが、男性は特に毛のお手入れも重要だと感じています。男性は眉毛を少し整えてあげるだけで、印象がガラッと変わる方も多いです。また鼻毛が伸びきっていたり、耳垢が溜まっている方もたくさんいるので、鼻腔や耳周りをキレイに整えるだけでさっぱりした印象になるのでおすすめです。

5.外見は自分のこだわりが一番出やすい部分

――介護における身だしなみについて、介護職の現場に向けてメッセージをお願いいたします。

外見はその人がどうありたいかや、周りの人からどう扱われたいかなど、自分のこだわりが非常に出やすい部分だと思います。なので外見を整えることをきっかけに、その人自身が大切にしてきたことや、これまでやってきたこと、暮らしなどについて理解を深めていくと、より介護が面白くなるのではないかと感じています。

高齢者は最も個別性が高い年代であり、どの方にも長年の歴史があって、その歴史が層のようになっていると思います。介護はその層の美しさを感じられる素晴らしい仕事なので、外見や身だしなみを整えることをきっかけに、その人の内側にある輝きを引き出してほしいです。業務が増えると思わずに、その人自身を知るきっかけとして「外見ケア」や「身だしなみ」に取り組んでもらえたら嬉しいです。

取材・文/タケウチ ノゾミ 編集/イージーゴー

プロフィール

大平智祉緒

NOTICE代表/リングスケアセラピスト/看護師(修士号)

大平智祉緒さん

高齢者看護、在宅看護を経験し、2016年より医療・介護現場でメイクセラピストとしての活動を開始。これまで国立病院での美容ケアボランティア、地域高齢者への健康美容講座、介護施設でのメイクセラピー訪問を通じ、約400〜500人の高齢者、療養者に美容・整容ケアを施す。肌に触れ、心に触れ、美しく整える時間は一人一人の尊厳を保持し、生きる力を引き出すことができるケアだと実感。2022年、順天堂大学大学院にて看護における化粧ケアを研究し、看護学を基盤とした美整容ケアサービス『Rings Care®︎(リングスケア)』として商標権取得。『病気や障害があっても一人一人のいのちの輝きを支え続ける』を事業理念に掲げ、リングスケアの実践と普及、医療・介護職に向けた化粧ケア教育・研究に力を入れている。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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