介護職員のお財布事情、徹底調査!みんな、いくらもらってる!?処遇改善加算の影響は!?
文:佐野勝大 編集者・ライター
同じ業界であっても、職場や職種などによって収入は大きく異なるもの。自分の収入が業界平均よりも上なのか下なのかさえ、把握していないという人も多いのではないでしょうか。そこで、厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査結果」をもとに、介護職員のお財布事情を紹介します。
介護職員の平均給与は30万970円!低すぎるわけではない!?
厚生労働省が発表した「平成30年度
介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2018年の介護職員(常勤)の平均給与は30万970円(月給の者/加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所)でした。
この金額は、年間一時金(ボーナス)をひと月あたりに月割りした額を含むため、他の業界と比較して決して高いとはいえません。けれども、メディアなどで騒がれているほど低いわけではない、と思った人もいるのではないでしょうか。
では、ここからはサービス種類別の平均給与を紹介していきましょう。
「介護老人福祉施設」33万2,260円、「介護老人保険施設」31万7,350円、「介護療養型医療施設」28万5,360円、「訪問介護事業所」29万1,930円、「通所介護事業所」26万2,900円、「認知症対応型共同生活介護」27万6,320円という結果でした。
一言で介護の仕事といっても、最高額の「介護老人福祉施設」と最低額の「通所介護事業所」では、月7万円ほどの差があることがわかります。
ちなみに、非常勤全体の平均給与は20万9470円。常勤の場合と比較して、月10万円近い開きがあるという結果となりました。
介護職員の平均給与額等(月給の者)、サービス種類別、勤務形態別(加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所)
H30年 | H29年 | ||
---|---|---|---|
平均給与額 | 平均給与額 | ||
月給の者 | 常勤 | 300,970 | 290,120 |
非常勤 | 209,470 | 195,670 | |
介護老人福祉施設 | 常勤 | 332,260 | 319,870 |
非常勤 | 239,290 | 216,460 | |
介護老人保険施設 | 常勤 | 317,350 | 306,750 |
非常勤 | 260,710 | 224,880 | |
介護療養型医療施設 | 常勤 | 285,960 | 277,820 |
非常勤 | - | - | |
訪問介護事業所 | 常勤 | 291,930 | 280,840 |
非常勤 | 208,210 | 194,540 | |
通所介護事業所 | 常勤 | 262,900 | 252,990 |
非常勤 | 201,870 | 189,310 | |
認知症対応型共同生活介護 | 常勤 | 276,320 | 266,570 |
非常勤 | 180,410 | 175,800 |
1)通所介護事業所には地域密着型通所介護事業所を含む。
2)平成29年と平成30年ともに在籍しているものの平均給与額を比較している。
3)平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)
(出典:厚生労働省「平成30年度 介護従事者処遇状況等調査結果」)
職種別の平均給与は、「介護職員」30万970円、「看護職員」37万2,070円、「生活相談員・支援相談員」32万1,080円、「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・機能訓練指導員」34万4,110円、「介護支援専門員」35万320円(月給・常勤の者/加算Ⅰ~Ⅴを取得もしくは届け出している事業所)という結果に。こちらも、職種によって月7万円ほどの差があります。
介護従事者等の平均給与額の状況(月給・常勤の者、職種別)
H30年9月 | H29年9月 | |
---|---|---|
介護職員 | 300,970 | 290,120 |
看護職員 | 372,070 | 364,880 |
生活相談員・支援相談員 | 321,080 | 312,390 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 | 344,110 | 334,500 |
介護支援専門員 | 350,320 | 342,770 |
初めて30万円を突破。介護職員の給与は上昇傾向に!
実は、介護職員(常勤)の平均給与は今回の調査で初めて30万円を突破しました。前年の調査と比較すると、1万円以上も上がったことになる計算になります。また、非常勤に至っては1万3,000円以上もアップしているのです。
その要因は、介護職員処遇改善加算の効果であるといえるでしょう。介護職員処遇改善加算とは、キャリアアップの仕組みの構築や職場改善を行った介護サービス事業所に対して、賃金アップのためのお金を支給するというもの。介護職員の収入が十分ではないことを受けて、2017年の介護報酬改定の際にその枠が拡充されたのです。
また、2019年10月には新たに「介護職員等特定処遇改善加算」がスタート。介護業界は、さらに収入アップを目指しやすい環境が整いつつあるのです。
収入アップを実現するにはどうすればいい?
介護報酬改定など、国を挙げて介護職員の処遇改善に力を入れていますが、自らの頑張りでさらなる収入アップを目指すことも可能です。ではここからは、その方法について紹介していきましょう。
まずは、ひとつの職場に長く勤務することです。「平成30年度
介護従事者処遇状況等調査結果」のデータを見ると、勤続年数に比例して平均給与は右肩上がりでアップ。
勤続1年の平均給与は27万740円ですが、勤続5~9年になると29万5,450円と、2万5,000円ほど昇給していることがわかります。
また、勤続10年以上の平均給与は33万4140円。勤続1年と比較すると、その差は6万円以上に広がっています(月給・常勤の者/加算Ⅰ~Ⅴを取得もしくは届け出している事業所)。
介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者、勤続年数別)
H30年9月 | H29年9月 | |
---|---|---|
全体【平均勤続年数:7.6年】 | 300,970 | 290,120 |
1年(勤続1年~1年11カ月) | 270,740 | 242,150 |
2年(勤続2年~2年11カ月) | 278,550 | 266,320 |
3年(勤続3年~3年11カ月) | 282,700 | 271,830 |
4年(勤続4年~4年11カ月) | 284,300 | 273,590 |
5~9年 | 295,450 | 285,480 |
10年以上 | 334,140 | 325,980 |
また、夜勤がある施設では夜勤手当が支給されるので、無理のない範囲で夜勤を頑張るという方法も。
リーダーなどへの昇格を目指すほか、ヘルパー・初任者研修なら介護福祉士、介護福祉士ならケアマネジャーと、上位資格を取得してポジションアップを狙うのも収入アップの近道だといえるでしょう。
そのほか、思いきって今の職場よりも給与水準が高い職場へ転職するという道もあります。
このように、国の施策に頼るだけでなく、自分次第で収入アップを実現させることがじゅうぶん可能です。
今の職場に対して収入の不満がある人は、ぜひ積極的にトライしてみてください。
特に、上位資格を取得すれば任される仕事の幅も広がり、収入だけでなくやりがいもグンとアップするでしょう。
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