社会福祉法人で働く介護職の退職金はいつもらえる?有無の確認方法も
構成・文/介護のみらいラボ編集部社会福祉法人で働く介護職の方や、これから働こうとする方のなかには、「退職した時に退職金はもらえるのだろうか」「もらえるとしたら、いつもらえるのだろう」といったことが気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
介護業界では多くの施設が退職金制度を導入していますが、必ず導入しているとは限りません。気になる方は、退職金制度の有無を確認する方法を知って、勤務している施設や就職先に退職金制度があるかを確認してみましょう。
当記事では、退職金制度の有無を確認する方法や退職金制度の詳細、退職金の計算方法、支給される時期などについて紹介します。現場で働いている方、介護業界を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
1.社会福祉法人で働く介護職は退職金をもらえる?確認方法も紹介
会社や施設が必ず退職金制度を導入しなければならないという法律はありません。そのため、介護職が退職金をもらえるかどうかは、勤務する施設によって異なります。気になる場合は、勤務先に退職金制度があるかどうかを確認してみましょう。
ここでは、退職金制度の有無を確認する方法について紹介します。
就業規則を確認する
就業規則を確認すると、退職金制度について記載されているかどうかを調べられます。就業規則は、従業員が誰でも自由に閲覧できる場所に置かなければならないため、施設内の共有ファイルなどに保管された就業規則を確認してみましょう。
退職金制度がある場合は、就業規則に「退職一時金について」「退職金について」といった項目があります。規則に記載している場合、施設は必ず退職金を支払わなければならないため、退職金を受け取れると考えて良いでしょう。また、受け取れる条件や支給金額についての記載があれば、併せて確認してください。
人事・総務などの担当者に確認する
退職手続きを担当している人事や総務の担当者に、退職金の有無を確認する方法もあります。担当部署の方に聞けば、受け取りの手続き方法や、支給金額の計算方法など具体的な内容についても確認することができるでしょう。
ただし、退職金について質問すると「辞めるつもりなのかな?」と勘ぐられる可能性もあります。そのため、あまり人に知られたくない場合や、不本意なうわさが広まるリスクを避けたい場合は、注意が必要です。
退職した職員に聞いて確認する
退職した職員に確認するのも1つの方法です。連絡が取れるのであれば、退職金がもらえたか、その際にどのような手続きを行ったかなどについて、教えてもらえる可能性があります。
ただし、勤務年数や給与額などによって退職金の支給額は変わるため、退職者から聞いた情報はあくまで参考程度と考えましょう。
2.【介護職が対象】公的な退職金支援制度
退職金の積立方法は、施設を経営する法人によって異なります。法人独自に退職金制度を運営しているケースもありますが、近年は公的な共済制度を利用して、退職金の積立・支給を行っているところが多く見られます。
ここでは、公的な退職金の共済制度を2つ紹介しましょう。
社会福祉施設職員等退職手当共済制度
社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、社会福祉法人が経営する施設に勤めている職員を対象に退職金が支払われる共済制度で、全体の約9割もの社会福祉法人が契約しています。勤務年数と支給金額は比例しており、長く勤めるほど金額が高くなります。
共済制度によって退職者に退職金が支払われるまでの流れは、以下の通りです。
1. 社会福祉法人が福祉医療機構に共済契約を申込み、福祉医療機構が承諾することで契約が成立する。
2. 共済契約者(施設経営者)は、施設区分・職員数に応じた掛金額を福祉医療機構に納付する。
3. 職員が退職した場合、共済契約者は必要書類を作成の上、業務委託先(都道府県社会福祉協議会等)を経由して福祉医療機構に提出する。
4. 福祉医療機構は、退職した職員の口座に退職手当金を振り込む。
なお、令和4年度における職員1人あたりの単位掛金額は、44,500円です。単位掛金額は、毎年厚生労働大臣が定めており、「4月1日契約」の場合に共済契約者が納付する掛金額は、以下の3つを合計した金額になります。
1. 単価掛金額×社会福祉施設等職員数
2. 単価掛金額×3×特定介護保険施設等職員数
3. 単価掛金額×3×申出施設等職員数
中小企業退職金共済制度
中小企業退職金共済制度とは、社会福祉法人が中小企業退職金共済事業本部(中退共)と契約し、中退共が退職者に退職金を支払う共済制度のことです。社会福祉法人は掛金を毎月金融機関に納付する必要があり、支給金額は掛金月額と納付月数によって変わります。なお、退職日の時点で退職者本人が60歳以上であれば、一時金払い以外に分割して受け取ることも可能です。
掛金月額の種類は5,000円から30,000円まで16種類あり、社会福祉法人は職員ごとに金額を任意に選択できます。また、パートなどの短時間労働者は、2,000~4,000円のより少額な掛金月額で加入することも可能です。
3.社会福祉法人で働く介護職が受け取る退職金の計算方法
ここからは、社会福祉施設職員等退職手当共済制度を例に、退職手当金を計算する方法について解説しましょう。退職手当金の額は、「退職金=計算基礎額×支給乗率」で計算します。
計算基礎額や支給乗率の説明については、以下の通りです。
・計算基礎額
退職前の6カ月間の本俸月額平均に応じて政令で定める額。最低62,000円、最高360,000円となっており、全部で20ランクある。
・支給乗率
被共済職員期間および退職理由に応じて法律で定める乗率のこと。
・被共済職員期間
被共済職員として働き始めた日の属する月から、被共済職員でなくなった、つまり退職日の属する月までを指す。勤務日数が10日以下の月は、被共済職員期間に含まれない。
社会福祉施設職員等退職手当共済制度の退職手当金モデルは以下の通りです。勤務年数が長ければ、退職給付金の支給額も高くなります。
退職給付金支給額の例(普通退職の場合) | ||
---|---|---|
被共済職員期間 | 計算基礎額 | 退職給付金支給額 |
5年間 | 190,000円 | 495,900円 |
10年間 | 220,000円 | 1,148,400円 |
15年間 | 250,000円 | 2,697,000円 |
20年間 | 280,000円 | 5,724,600円 |
4.介護職の退職金はいつもらえる?
退職金の支払いを行う時期に明確な決まりはなく、いつもらえるかは勤務している介護施設によって異なります。なお、労働基準法第23条には「退職者から退職金の請求があった場合、使用者は7日以内に支払わなければならない」と規定されています。退職金支給条件を満たしているならば、施設に退職金の受給申請をすることも可能です。
ただし、退職金の請求ができるのは、退職してから5年以内と定められています(労働基準法第115条)。5年を経過すると退職金がもらえなくなるため、忘れずに申請するようにしましょう。
一般的に、退職金は退職してから1~2カ月程度で支払われることが多い傾向にあります。就業規則に退職金についての記載がある場合は、退職金支給日についても明記されているはずなので、確認してみましょう。
まとめ
社会福祉法人で働く介護職の方が「退職金をもらえるかどうか」は、勤務先の介護施設によって異なります。就業規則に、退職金制度の有無や支給日について記載されている場合があるため、気になる方は確認してみましょう。記載があるのに支払われていない場合、5年以内であれば請求することが可能です。
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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています
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