初心者向け! 介護職が少額からはじめられる投資(3)「IDECO」とは?
文:斉藤 勇 ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士カラフルなブロックのイデコ
老後の貯金や年金不足が怖いなら、まずiDeCoとNISAをチェック! 将来に備えてコツコツと貯蓄しようと思っても、続けるのはなかなか難しいもの。そこで今回は、忙しい介護職の方でも、少額で投資をはじめられる「iDeCo(イデコ)=個人型確定拠出年金」について紹介します。
「どうやってはじめたらいいの?」「どんなメリットやデメリットがあるの?」など、みなさんの疑問にお答えします。
iDeCoってなに?
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことです。
わたしたちが加入している年金には「厚生年金」や「国民年金」などがありますが、「iDeCo」も年金のひとつです。
大きな違いは、厚生年金や国民年金への加入が義務なのに対して、iDeCoは「任意で加入する年金」で、「厚生年金や国民年金に上乗せで加入する年金」であるという点です。そのため、「老後のための資金をコツコツと準備したい」「老後に受け取る年金を増やしたい」と考えている方におすすめの制度です。
毎月の掛け金で投資信託や定期預金、保険などの金融商品を選んで運用し、60歳以降に運用した資産を受け取る仕組みになっています。
確定拠出年金(iDeCo)は投資先の運用成績によって受け取る年金額が決まる
月々保険料を納めている厚生年金や国民年金は、一定の年齢に達するとそれまでに支払った金額や年数に応じて、決められた額の年金を受け取れます。このように、給付額があらかじめ決まっている年金のことを「確定給付年金」といいます。
一方、投資先の運用成績によって年金の給付額が変わるのが、iDeCoのような「確定拠出年金」です。確定拠出年金は、運用成績がよければそのぶん厚生年金や国民年金に上乗せで給付される金額が増えるためとてもお得です。
また、税金面で優遇措置が用意されているため、自分で資産運用をするよりも有利といえます。
ただし、「必ず増える」ということはなく、運用成績によっては上乗せで給付される年金が少なくなってしまうことがあります。
月々の掛け金は5,000円から、自分で決められる
iDeCoの掛け金は月々5,000円から、1,000円単位で自分で決められます。マイペースに投資をはじめることができるため、初心者でも無理なく続けられます。また、掛け金の額は年に1回変更でき、収入の変化に合わせて投資ができるのも魅力のひとつです。
ただし、掛け金の額は、現在加入している年金の種類や職業などによって上限が決められています。
掛け金の上限
・国民年金に加入する自営業者等(第一号被保険者)
月額68,000円
※国民年金基金の掛け金、または国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらの額を控除した額
・厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)
・厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合:月額12,000円
・企業型年金のみを実施している場合:月額20,000円
・企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合(公務員、私学共済制度の加入者を除く):月額23,000円
・公務員、私学共済制度の加入者:月額12,000円
・専業主婦(夫)等(第3号被保険者)
月額23,000円
iDeCoで積み立てた年金はいつから受け取れるの?
iDeCoで積み立てた年金資産を受け取れるのは60歳からですが、iDeCoに加入していた期間(通算加入者等期間)が10年以上必要です。もしも、通算加入者等期間が10年に満たない場合には、受給可能な年齢が繰り上げられます。
また、加入者に万一のことがあり、70歳に到達する以前に、傷病などで障害がある状態となってしまった場合は、障害給付金を受けとることができます。(傷病がある状態が1年6カ月以上経過した場合のみ)加入者が死亡してしまった場合には、ご遺族が一時金を受け取ることになります。
加入期間に応じた受給開始年齢 | |
10年以上 | 60歳 |
---|---|
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1月以上2年未満 | 65歳 |
年金の受け取り方は?
iDeCoでは、年金資産の受け取り方を次の3つの中から選べます。
1.一時金として一括で受け取る
受給権が発生する年齢に到達したら、70歳になるまでに一時金として一括で受け取れます。
2.年金として受け取る
受給権が発生する年齢に到達したら、5年以上20年以下の期間で、運営管理機関が定める方法で受け取れます。
3.一時金と年金を組み合わせて受け取る
運営管理機関によりますが、受給権が発生する年齢に到達した時点で一部を一時金で受け取り、残りを年金として受け取ることもできます。
・運用先と配分は、運営管理機関が提示する運用先の中から自分で決める
iDeCoは口座を開設した運営管理機関が選んだ商品の中から、自由に組み合わせて運用することができます。「掛け金の3割を商品A、残りの7割を商品B」など、ご自身の運用方針に合わせて掛け金の配分を指定しましょう。
なお、運営管理機関が用意している運用先は、口座を開設した金融機関によって違います。iDeCoをはじめる前に、各金融機関の商品を確認しておきましょう。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットは節税効果が大きいこと。
iDeCoには「1.積み立てたとき」「2.運用しているとき」「3.受け取るとき」それぞれの段階で節税のメリットが用意されています。
1.積み立て時の節税メリット
iDeCoで積み立てた掛け金は、厚生年金や国民年金の保険料と同様に、全額が所得控除の対象となります。そのため、そのぶんの所得税と住民税が軽減されます。
2.運用時の節税メリット
預貯金の利息や投資信託の運用益、株式の譲渡益や配当金には、20.315%の税金が課税されますが、iDeCoを通して運用した利益には税金がかかりません。そのため、ご自身で運用するよりも有利です。
3.受け取るときの節税メリット
前述のとおり、iDeCoの運用資産は、自分が希望する方法で受け取れます。このとき、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が、年金として分割で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されるため、税負担を軽くできます。
iDeCoのデメリット
iDeCoはとても魅力的な制度ですが、以下の3つに注意する必要があります。
1.運用状況によって受給額が変わる
資産運用に「必ずもうかる」ということはありません。そのため、運用成績がよければ受給額が大きく増えますが、運用成績が悪いと受給が掛け金を下回る可能性もあります。
2.原則60歳まで運用資産を引き出せない
iDeCoは老後の資産形成を目的に創設された制度のため、原則として途中で資産を換金して引き出すことはできません。
3.さまざまな手数料が必要
iDeCoでは、加入時や移換時に必要な手数料のほか、口座管理手数料、給付事務手数料、還付事務手数料などが必要です。また、運用先に投資信託を選んだ場合には、信託報酬も発生します。
iDeCoのはじめ方
これからiDeCoをはじめる場合は、次のステップで手続きを進めていきましょう。
1.運用する金融機関を選ぶ
iDeCoへ加入する場合には、取り扱っている金融機関(運営管理機関)を通して加入の申し込みをします。ほとんどの大手銀行・証券会社・保険会社・投信会社が取り扱っています。自分が預金口座を持っている銀行で聞いてみてもいいでしょう。申し込める金融機関は1社なので、次の点に注意して申し込み先を選びましょう。
・魅力的な運用先はあるか?
金融機関によって、運用できる金融商品の種類や数が違います。ご自身が運用したい金融商品があるか、ラインナップを比較して選びましょう。
・手数料はいくら?
金融機関により開設した口座にかかる毎月の管理手数料などが異なるため、事前にチェックしておきましょう。
・サービスは充実している?
iDeCoでは、運用先や資産配分を自分で決めなければなりません。そのため、金融機関のホームページやコールセンターをチェックして、必要な情報がもらえるのか、運用を学べる資料が用意されているのかなども確認しておきましょう。
2.月々の積み立て金額を決める
月々の掛け金は1年に1度変更できますが、積み立てた運用資産は原則60歳まで引き出せません。「最初は少額からにして、慣れてきたら運用資金を増やす」など、無理なく続けていける金額からスタートしましょう。
3.運用先と運用の配分を決める
運営管理機関は運用商品の説明はしてくれますが、運用先や資金の配分は自分で決めなければなりません。また、定期的に運用状況を確認し、状況に応じて運用商品を変更することも必要です。
老後に備えて貯蓄を検討している介護職の方にとって、iDeCoはとても魅力的な運用先です。今回ご紹介した内容を参考にして、無理のない範囲ではじめてみてはいかがでしょうか。
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