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ニュース 介護業界ニュース 2023/06/13

#インタビュー

最先端の車いすの開発背景は?段差も乗り越えられる次世代型電動車いす「WHILL Model C2」|介護のみらい

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介護のみらいラボ編集部コメント

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車いすを扱う際に、「もっと操作性が良くなればいいのに」と思ったことはありませんか。WHILL株式会社が製造・販売するWHILL(ウィル)は、操作性やデザイン性、機能性に優れた、まさに誰もが乗りたくなる近距離モビリティ(次世代型電動車いす)です。なかでも介護保険適用モデルの「Model C2」は、5cmほどの段差も乗り越えられるほか、スマートフォンにダウンロードしたアプリで遠隔操作をすることも可能です。便利なModel C2の開発背景について、WHILL株式会社 広報の新免那月氏に話を聞いてみました。

前編:5cmの段差もらくらく乗り越えられる!介護保険適用の次世代型電動車いす「WHILL Model C2」

――なぜ高スペックな電動車いすを開発しようと思ったのでしょうか。

ある車いすユーザーさんが、「100m先のコンビニに行くのを諦める」と話しているのを耳にしたことがきっかけです。車いすユーザーのなかには、悪路で思ったように操作できないといった物理的なハードルや、「車いすに乗っている人」として周囲から見られる心理的なバリアの両方について悩んでいる方が少なくありません。そこで、誰もが楽しくかっこよく乗れる乗り物を開発しようと考え、WHILLが生まれました。

こうして最初に誕生したのが、2014年に発表された初号機の「Model A」です。この「Model A」は重さ約100kg、値段も100万円相当の非常にスペックの高い乗り物でした。しかしこのモデルは気軽に購入できる値段ではなかったほか、重すぎて車に載せづらいといった問題があったため、改良を加え、2017年に「Model C」が生まれました。「Model C」は初号機と比較すると価格も重さも半分程度になったうえに、アプリでの遠隔操作もできるようになり、より自立的な移動が可能になります。そして「Model C」をさらに改良したものが、現在販売している「Model C2」です。長時間乗っても疲れないようにサスペンションを付けたり、全ての操作が片手でできるよう、コントローラーのスティックを片手に集約したりしました。「Model C2」は、長時間の移動が多い方や麻痺がある方など、より多くの方が利用しやすいモデルとなっています。

――開発時のこだわりについて教えてください。

利用者さんの声をしっかりと聞き、ご意見やご要望をなるべく製品に反映させる点については、創業当初から力を入れて取り組んでいます。特に「WHILLに乗っている人が活き活きと生活できるか」「WHILLを操作していて楽しいと感じていただけるか」については、常に意識していますね。WHILLに乗ることで、利用者さんに前向きな生活を送っていただきたいと感じています。

――そのほかに、開発時の工夫があれば教えてください。

「Model C2」の前輪に使用している「オムニホイール」は、現在の形になるまでに何度も改良を重ねています。このオムニホイールは当社で特許を取得している特殊なタイヤで、このタイヤによって、平行移動や段差の乗り換えなどが可能となっています。そもそもオムニホイールは、工場等のロボットでも活用されているのですが、人を乗せても安全な耐久性や乗り心地の良さなどの機能面を実現させることが非常に難しく、改良を重ねてやっと使用できるようになりました。そこからさらに手を加え、部品であるローラーの数を少なくすることで振動を抑えるなどの工夫により、毎回よりよい形を追求しています。

オムニホイールにより、小さな段差も乗り越えられる

オムニホイールにより、小さな段差も乗り越えられる

――介護保険適用モデルの「Model C2」について、利用者さんからの反応はいかがでしょうか。

「今まで諦めていた旅行ができるようになった」「遠出をするのが楽しくなった」など、多くの喜びの声をいただいています。やはり、外に出るのが楽しくなったとの声をいただくのは、とても嬉しいですね。WHILLの利用により劇的な変化があった方では、外出が日課になったことで体調が改善し、薬の量を大幅に減らすことができた方がいます。

その方は病気がきっかけで車いすを利用することになったものの、体格が良かったため大きい車いすしか使うことができず、車いすの操作性の悪さから引きこもりがちになってしまっていたそうです。ある日病院でWHILLを見かけ、デザイン性に惹かれてレンタルすることに。すると外出に対するハードルが非常に低くなり、ご自身で描かれた絵の個展を開いたり、遠くの公園に出かけたりと、WHILLを活用して日々の生活を楽しまれています。これからも、自分らしく生活するための手段としてWHILLを使っていただきたいですね。

「Model C2」は分解が可能で車載もしやすい

「Model C2」は分解が可能で車載もしやすい

――介護をしている方や介護関係者に向けて、メッセージをお願いします。

介護関係者のなかには、電動車いすに対してあまり前向きなイメージを持っていない方も多いかもしれません。最終手段として捉えられやすい電動車いすですが、利用により外出の機会が増えて体調が改善したり、気分が明るくなったりするケースも多いです。特に「Model C2」は介護保険でレンタルできるため、気軽に試して欲しいですね。WHILLは簡単に分解でき車にも載せやすいので、今まで諦めていた旅行や遠出にもぜひチャレンジしていただけたら嬉しいです。

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