介護職の人にもおすすめ!効果的なストレス解消法&避けるべき方法
構成・文/介護のみらいラボ編集部ストレス社会といわれる現代では、自分に適したストレス解消法で心身のバランスを整えることが大切です。ストレスを放置すると、生活習慣病や精神疾患など重大な病気につながる可能性もあります。特に、介護職の人はストレスを抱えやすい環境にいるため、日頃から心身の健康管理に努めましょう。
この記事では、仕事でストレスが溜まりやすい主な原因から、介護職のストレス解消が重要な理由、効果的なストレス解消法・避けるべきストレス解消法を解説します。
1.仕事でストレスが溜まりやすい主な原因
活動力を向上させる適度なストレスは、健康的な生活に欠かせません。しかし、過剰なストレスは、心身に悪影響を及ぼします。
以下は、厚生労働省によるストレスの定義です。
(中略)
ストレッサーには、暑さ寒さや有害物質など物理的・化学的なもの、病気や飢え・睡眠不足などの生理的なもの、職場や家庭における不安・緊張・恐怖・怒りなど心理的・社会的なものなどがあります。人間では特に心理的・社会的ストレスが大きいとされています。
どのような職業であっても、多くの人が働く上でストレスを感じています。以下は、仕事でストレスが溜まりやすい5つの原因です。
・仕事量が能力に見合わない
自分の能力に対し、仕事量が超過もしくは不足していることで、ストレスが生じます。「自分の能力不足を感じて落ち込む」「仕事のレベルに不満を持つ」など、内容は人により異なります。
・人手不足により1人あたりの業務量が多い
職場の人手不足が原因で1人あたりの業務量が多くなると、残業や休日出勤が増え、休みを取りにくくなります。過労を原因に退職者が増え、さらなる人手不足が起きることもあるでしょう。
・上司や同僚との人間関係が良好ではない
職場では年齢や価値観が異なる多くの人と関わるため、意見が対立することもあります。また、各種ハラスメントに悩む人もいます。
・職場の運営方針と自分の価値観が合わない
職場の決定事項や運営方針が、現場の状況と噛みあっていない場合、職員にとって理不尽な業務が課せられることとなりストレスが生じます。
・適正な評価を受けにくい環境にいる
仕事で結果を出しても昇給や昇格などの評価を受けにくい場合、不満を抱えることとなります。
なお、上記はあくまで代表例であり、当事者の性格や置かれている状況によってあらゆるストレス要因が存在します。さらに、1つのストレスだけでなく、複数のストレスが重なることも少なくありません。
介護職は特にストレス解消が重要と言われる理由
介護職は、次のような状況に置かれることが多く、特にストレス解消が重要とされる職業です。
・スタッフだけでなく利用者とその家族とも関わるため、通常よりストレスを感じやすい
利用者から暴言・暴力や強い抵抗を受けることもあり、感情のコントロールを伴う対応が求められます。また、利用者の家族との信頼関係の構築が難しい場合もあるでしょう。
・他職種と比べて、燃え尽き症候群を発症しやすい
燃え尽き症候群とは、一生懸命に仕事に取り組んでいた人が、突然無気力になる症状のことです。
(出典:厚生労働省 eーヘルスネット「バーンアウトシンドローム」)
介護職は常に利用者を配慮するため、自己犠牲の行動を取りやすいだけでなく、多忙で責任感が必要な仕事であることから、燃え尽き症候群が発症しやすい傾向にあります。
燃え尽き症候群は、介護士の他、看護師や教師など、対人援助職で発症しやすいと言われています。
2.仕事でのストレス解消法10選|介護職の人も必見!
心身の不調が続く人は、ストレスが溜まっているかもしれません。厚生労働省では、心の不調やストレスの初期症状を、以下のように述べています。
【心の不調やストレスの初期症状】
・何をするのにも元気が出ない
・イライラする、怒りっぽい
・理由もないのに、不安な気持ちになる
・気持ちが落ち着かない
・胸がどきどきする、息苦しい
・何度も確かめないと気がすまない
・周りに誰もいないのに、人の声が聞こえてくる
・誰かが自分の悪口を言っている
・何も食べたくない、食事がおいしくない
・なかなか寝つけない、熟睡できない
・夜中に何度も目が覚める
周囲の環境を変えることは難しいものの、自分の行動や考え方次第ではストレスの軽減も可能です。以下では、手軽に取り組めるストレス解消法について解説します。
デスク周りなど職場環境を整理整頓する
ストレスを抱える人のワークスペースは、散乱しやすい傾向にあります。まずはデスク周辺を整理整頓しましょう。不要なものを処分し、必要な書類などはすぐに取り出せる場所に置きます。可能であれば職場全体の掃除を行うと、ストレス解消により効果的です。
デスクが片付くと落ち着いた気持ちで仕事に取り組むことができ、集中力も向上しやすくなります。また、掃除をしたことに達成感や満足感を得て、気分転換にもなるでしょう。
適度な運動・ストレッチをする
有酸素運動は心身のバランスを整える効果が期待できるため、1日20~30分程度の軽いウォーキングなどがストレス解消に役立ちます。
また、ストレッチにも心身の緊張を解く効果があると言われています。以下は、ストレス解消に役立つストレッチです。
・寝ながら背伸び
(1)仰向けに寝て、両手を頭の上へ伸ばします。
(2)息を大きく吸いながら、手と足で綱引きをするイメージで大きく伸びをします。
(3)(1)(2)を2~3回繰り返します。
・足裏を合わせて前屈
(1)足の裏を合わせて座り、かかとと身体を近づけます。
(2)足の親指をつかみ、背筋を伸ばしたまま上体を前へ倒して2~3回深呼吸します。
ストレッチは腰痛・肩こり予防も期待できるため、足腰を使う介護職の人におすすめです。
十分な睡眠を取る
睡眠には脳や身体を休めるだけでなく、病気のリスクを減らすなど、さまざまなメリットがあります。睡眠不足が続くとセロトニンやコルチゾールの分泌量が減少し、ストレスを受けやすい状態となるため、できれば毎日6時間以上の睡眠を心がけてください。
介護職では残業や夜勤が続き、睡眠不足の人も少なくありません。「寝る前に電子機器を触らない」「起きたら朝日を浴びる」など、睡眠の質を向上することも心がけてください。
栄養バランスが整った食事を摂る
健康的な食事はホルモンバランスや心を安定させ、ストレスに強い身体を作ると言われています。以下は、ストレス解消に役立つ栄養素・食材をまとめた表です。
●ストレス解消が期待できる栄養素・食材
栄養素 | 期待できる効果・摂取量の目安 | 食材(100gあたりの含有量) |
---|---|---|
ビタミンC | コルチゾールの生成を促します。1日の栄養所要量は100mgです。 | ケール(81mg)、赤ピーマン(170g)、芽キャベツ(160g) |
トリプトファン | セロトニンを生成します。体重1kgあたり約2mgを毎日摂取しましょう。 | プロセスチーズ(290mg)、全卵(180g)、きなこ(510mg) |
仕事が忙しく食事の時間を取れない人は、休日におかずを作り置きしたり、簡単に食べられるものを常備したりするなどの工夫をして、毎日良質な栄養素を摂取できるようにしましょう。
休日は趣味・娯楽を楽しむ
プライベートが充実すると仕事のモチベーションが向上し、人生の幸福度も高まるなど、ストレスと上手に付き合う好循環を生み出せます。
人と接することが多い介護職の人は、読書や料理など仕事と対照的な「1人で取り組める趣味」がおすすめです。趣味を楽しむ余裕がない場合は、コーヒーを飲んだり、好きな音楽を聴いたりなど、無理なくできるリラックス方法を試してください。
同僚など他の人にサポートしてもらう
1人では対応が難しい内容・量の仕事を任された場合は、他の職員やスタッフにサポートしてもらうことも大切です。自分のキャパシティーを超えた仕事が続くと、注意散漫となり仕事の質の低下につながります。
介護現場では、利用者の体調・状況が仕事内容を左右するため、一度に多くの緊急業務が発生するケースも少なくありません。自分だけで多くの仕事を抱え込まず、周囲の人を頼りましょう。
家族・友人や相談窓口に相談する
誰かに悩みや不安などを相談すると、心が落ち着くこともあります。仕事の悩みを相談する際には、職場に関係ない家族や友人を選びましょう。
また、不安定な精神状態が続く場合は、専門機関に相談することもおすすめです。保健所・保健センター・精神保健福祉センターでは、精神疾患に関わる医療機関の紹介を行っています。心身の状態が悪化する前に、医師など専門家の意見を聞くことも検討しましょう。
上司・同僚や利用者との価値観の違いを受け入れる
他人の価値観を受け入れると、自分と考え方が違う人と対峙しても強いストレスを感じず過ごせます。自分の意見はしっかりと持ちながらも、先入観や偏見を持たずに他人の考え方を一旦受け止めましょう。
ただし、すべての意見や希望を受け入れると業務に支障が出ることもあります。対応が難しい要望に対しては、「そうなんですね」と共感しながら別の選択肢を提案するなど、相手の意見を否定しないようにコミュニケーションを取りましょう。
前向きな感情を持つ
失敗しても気持ちを切り替えて、前向きに考えることが大切です。難題に直面した際も、別の視点から物事を見れば、新たな解決策が見つかるケースもあるでしょう。
介護職員の中には、利用者の死など辛い場面に遭遇した際に、必要以上に自分を責め自己肯定感を失う人もいます。できなかったことにとらわれず、今までの努力を自分自身で認めましょう。気持ちの切り替えがすぐにできない場合は、笑うことを意識すると前向きな感情を引き出せます。
将来を見据え割り切って仕事をする
次々と仕事を任される人は、会社からの信頼が厚く、将来を期待されているとも言えます。いずれ昇進や昇給につながると考えると、忙しさの中にやりがいを感じることもできるでしょう。
キャリアアップのために割り切ることも大切ですが、労働時間が長い・残業代が出ないといった場合は、「ブラック企業」である可能性もあります。ストレスを受けることが必ずしも当たり前ではないため、状況によっては転職を視野に入れることもおすすめです。
3.避けるべきストレス解消法3つ
仕事をする上でストレスを解消することは大切ですが、方法を誤ると他の弊害につながる可能性もあります。以下は、ストレス解消法において特に気を付けたい3つのポイントです。
・甘いもの、油っぽいものを暴飲暴食する
ストレスを感じると、ホルモンの働きにより食欲が増加する傾向にあります。食欲に任せて甘いものや油っぽいものを食べすぎると、血糖値が急激に増減し、眠気・疲労感・消化不良などの症状が表れることがあります。食べすぎは肥満の原因にもなるため、適度な量をゆっくりと味わいましょう。
・休日に寝だめをする
長時間睡眠は自律神経を乱し、疲労感や頭痛の原因となる上、体内リズムも狂わせます。睡眠時間は約6~8時間を目安とし、平日と休日の睡眠時間の差は2時間程度におさめましょう。また、朝日を浴びることでホルモンバランスが整えられるため、「起床時間は変えずに早く寝る」「昼寝で補う」といった方法がおすすめです。
・愚痴を吐き続ける
愚痴は聞く人にとっても気持ちよいものではなく、相手にストレスを与える可能性があります。また、愚痴を言うことが過去の追体験となり、嫌な感情ばかりが強調されるケースも少なくありません。愚痴は最小限にとどめ、聞いてもらった相手にはお礼を伝えましょう。
上記の他、過度の飲酒や喫煙も健康を害する恐れがあります。ストレスはその場しのぎの方法で解消するのではなく、自分に有益な方法で解消するように心がけましょう。
まとめ
介護職は、ストレスを抱えやすい職業です。ストレス解消には、職場の整理整頓や、生活習慣の改善、趣味を楽しむなどの方法があります。家族や友人に相談する、同僚にサポートを依頼するなど、周囲の人を頼ることも大切です。なお、暴飲暴食や長時間睡眠など、身体に負担がかかるストレス解消法は控えましょう。
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