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職場・悩み 介護職のお悩み 2021/03/04

#たんたん#人事#介護福祉士#専門学校#職場#資格

介護の悩み相談 第15回 高卒で介護施設に就職するか、専門学校などに行くかどちらが良いでしょうか

介護士ブロガーたんたんさんが回答!お悩みQ&A.jpg

質問:介護職になりたい高校生です。専門学校などに行くか高卒で介護施設に就職するか悩んでいます

初めまして。今度高校2年生の男子です。2年生になるので、最近友達や家族と進路の話がよく出ます。私は中学校の時に職場体験でデイサービスに行きました。そして「介護職になって、多くの高齢者の生活を支えたい」と思うようになりました。

自分の周りにも同じように介護職志望の友達がいて、その友達は地元の専門学校に行って介護福祉士の資格を取得すると言っています。しかし専門学校に行くとお金がかかりますし、今「介護士として働きたい」と強く思っているのに、わざわざ2年遅らせなくてもいいのではないかと思ったりしています。
しかし私の通う学校は進学する子が多いので、高卒で就職することを担任の先生もよく思っていないのか「進学しろ!」と言われます。
家族は「あなたの人生だから後悔のない選択をしてね」という感じです。

就職して自立したいとは思いますが、自分の中でも進学か就職かはまだ揺れています。
高卒で現場に入っても未熟で周りの職員に迷惑をかけてしまうかもしれないという不安もあります。是非、現場経験のある深井さんの意見を聞けたら嬉しいです。

答え:強い意思があるなら早く現場に入っても問題はない

介護職は技術職なので経験が大事な仕事です。
その中では「どこの学校に行っているのか?」ということはそこまで大きくありません。
なので個人的には「思ったが吉日」。介護職の仕事がしたいと思ったら、すぐ現場で働く事をオススメしています。

いくら専門学校で勉学を重ねたところで、現場での経験には全然敵いません。
実際に高卒でも施設で経験と勉強を重ねて施設長にまで上り詰めた人は結構います。
大事なのは「高卒で労働に足を踏み入れる」という覚悟の部分です。

介護職になって最初に苦労をするのは避けられないことだと思います。
最初に歯を食いしばって働けるのか?ということはとても大事です。
これは高卒で介護職に限らず、どの学歴でもどの仕事でも言える事だと思います。
その覚悟を高校生という早い段階できるのか?という事です。
こんな事を言ったら元も子もないのですけど、大事なのは精神論です。

介護職の仕事に学歴は関係ない。大切なのは「自分の価値を提供できるか?」です

「介護職に学歴が関係する場面が少ない」と主張する理由のひとつが、僕自身が多くの介護職と現場で関わってきてひしひし感じたからです。
介護職は職員の入れ替わりが激しい仕事なので、毎年いろんな新人が入ってきます。
その中にはもちろん専門学校を卒業した人もいます。
しかし、その専門学校を卒業した人が数年後に確実に施設での戦力になっている保証はないです。何年経っても、ミスが多かったり入居者様との信頼関係を作れない人もいます。

介護職として信頼を得るためには、実際に現場の一員として入居者様や同僚に価値を提供し続ける必要があります。
この価値というのは様々なものがあるのですが、自分の得意な事を介護現場で発揮をすると考えてもらっていいです。
具体的には以下のようなことです。

・歌が得意なのでレクリエーションに力を入れて利用者様を喜ばす
・SNSの使い方が得意なら、施設の様子を発信して新規職員や入所者を集める
・排泄介助が得意なら、周りの職員に技術や知識を提供する

などです。

このような自分の強みを施設に還元できる人材は学歴が高卒だとしてもどの施設に行ってもやっていくことができます。

また現場で働き続けるに当たって「成長し続ける意識」というのがとても大事になってきます。いくら学校に行っていたとしても、自分の力に満足していたらその段階で成長は止まってしまいます。

常に自分を高められるモチベーションの維持は介護職をする上で大事な資質のひとつです。
学校はあくまで自分を高めるための手段のひとつであって、現場経験をして自分で勉強して学ぶことができれば無理して学校にいく必要はないと思います。

高卒で介護職を始めても3年現場経験を積めば介護福祉士試験を受けられる

確かに2年専門学校に通うことで介護福祉士の受験資格を取得することはできます。(*2022年度卒業生からは専門学校を卒業するだけでなく、国家試験を受験することが義務化されます。)
しかし、個人的にはこの差はそこまで考慮する必要はないと思っています。
なぜなら介護福祉士は現場経験を3年すれば、試験を受ける権利を得ることができるからです。(実務者研修の資格は取る必要はありますが)

4月に就職をした場合は4年目に資格を最短で取得することができます。
専門学校卒との差である2年をどう捉えるか?はありますが、個人的にはそこまで大きな2年ではないと思っています。
理由としてはその分2年多く介護現場での経験を得ることができて、専門学校卒の人が新卒の時に3年目の介護職として迎えられるからです。

もし4年目に介護福祉士を取得することができたら

・実務経験2年目の介護福祉士を所持している専門学校卒
・実務経験4年目の介護福祉士を取得している高卒

と同じ年齢で資格を持っていて経験年数が2年長い人材になることができます。

介護職は経験が評価される傾向があるので、もし2人が同じ能力だったとしたら、後者の人材の方が給料が高い可能性すらあります。

長く介護士を続けていく覚悟があるのなら個人的には早く現場で働く事をオススメしています。

経済的な事を考慮するなら高卒で働いた方がいい

経済的な事を考慮したとしても高卒で働いた方が介護職を志望するならいいと思います。
当り前の話ですが、専門学校に2年通うためには多額のお金がかかります。
親に出してもらえるならともかく、自分で支払う場合、入学金や学費はもちろん、2年間の生活費がかかります。その額は合計すれば数百万になるでしょう。
バイトをするにしてもその額を賄うことは難しいですし、奨学金を借りる人も多いと思います。
なので介護現場に出る時には既に数百万円の借金を背負っていると思った方がいいです。一方で高卒で働いて年収250万円だとして2年で500万円というお金を得ることができます。
専門学校を卒業した段階で両者を比べてみると600から800万円の差があります。

この差を埋められるほど介護職は高い給料なわけではないですし、介護福祉士の手当てもそこまで高く設定している施設も少ないので、そこまで給料に大きな開きはないです。
先ほど解説したように高卒の介護職が4年目に介護福祉士を取得した際には経験年数が2年少ない職員になってしまうので、給料が逆転される恐れもあります。

介護業界がもっと潤った業界なら専門卒のメリットを享受できたと思いますが、現状はそうではないので、個人的には高卒で働いた方がいいと思います。

専門学校・大卒のメリットは選択肢の幅が広がることです

しかし、専門学校や大学に一回通う事にもメリットがあります。
それは専門的な知見を深められるだけではなくて別の選択肢を得る事ができる事です。

介護業界と言っても介護施設で働く介護職だけではないです。
学校で社会福祉士の資格を取得して相談員として介護と関わるということや、福祉用具メーカーや介護士の転職をサポートする転職エージェントに勤務するということもできます。
どちらも介護業界で介護に携わる仕事になります。

現場介護職の仕事は非常に身体的な負担が大きくて毎年多くの人が腰痛などによって、泣く泣く辞めざるを得なくなったりします。
そうなった時に、別の形で介護業界に関わる知識や資格は大きな武器や保険になります。

「実戦に勝る学びはない」と書いたのですけど、その分学校に通っている間に介護職ではない介護業界の知識を身につける事で、選択肢の幅が広がります。

また、介護現場で働いて別の形態の仕事に転職する時に資格や学歴は役に立ちます。

「一生介護職をする」という覚悟があれば高卒でもいいかもしれませんが、長い人生何があるか分かりません。
何かしらの理由で介護職ができなくなってしまった時に、他の選択があるだけで全然安心感が違います。

【結論】大事なのは将来設計から逆算すること

高卒に限らずに、学生から労働者になるのは不安がついてきます。
その点では高卒であろうと専門・大学卒であろうと変わりません。
なので自分の将来どうありたいのか?ということと、何かあった時にどう対応するのか?ということを考えて進路を選択して欲しいと思います。

大切なのはしっかり先を見据えることです。

先をある程度見据える事ができたら、高卒であろうと専門卒であろうと全然大丈夫だと思います。

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たんたん(深井竜次)

介護士ブロガー

1994年生まれ。保育士から介護士に転職ののち、特養・ユニット・ショート・有料の介護施設での経験を生かして情報発信を行なう。介護士と副業のブログで月収100万円を超えた経験談を発表し介護業界で注目される。介護現場の現実を踏まえた率直な意見で知られている。

たんたんの執筆・監修記事

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