ブランクから復帰した介護職の実体験を紹介!おすすめの職場選びと事前準備のポイント
文/あつこ
結婚や出産、家族の介護などを理由に、一定期間介護の職場を離れる方はけっして少なくありません。そうしたなかには、状況が落ち着いて復帰を考える方もいますが、いざ復帰しようとしたときに、「ブランクがあると復帰は難しいのではないか」「以前の経験は役に立つのだろうか」と迷ったり、悩んだりすることも事実。介護業界は制度の改定などが頻繁に行われるため、不安になる気持ちもわかりますよね。
そこで本記事では、ブランクがある介護職が抱える悩みや、筆者の復職経験、おすすめの職場選びと準備のポイントについて紹介します。介護職として復帰を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 目次
- 1.ブランクがある介護職が不安に思うこと
- 体力面での不安
- 介護の知識やスキルに関する不安
- 環境の変化への不安
- 2.実際にブランクから介護職に復帰した経験談
- 復職を決意したきっかけ
- 3.復職時の不安と対処法
- 単発バイトアプリを活用して仕事に慣れる
- ライフスタイルにあった事業所探し
- 自己研鑽
- 4.復帰後の職場選びのポイント
- 復帰後の感想
- 5.ブランクがある介護職におすすめの事業所
- デイサービス
- グループホーム
- 従来型施設
- 6.ブランクがある介護職が仕事を探す際のポイント
- 研修や教育制度が整った職場を選ぶ
- 時短勤務やシフトの柔軟性を重視する
- 職場を見学する
- 7.介護職として復帰する前に準備すること
- 介護の知識を再確認する
- 体力作りをする
- 家族とスケジュールを共有する
- まとめ
1.ブランクがある介護職が不安に思うこと
前述したように、ブランクがある方が介護職への復帰を考えるにあたっては、いろいろ不安になるものです。特に、環境への適応や自身の知識・スキル、体力面の問題について悩む方が多く、それらが復帰への心理的ハードルを高くしています。
まずは、主な不安要素について詳しく見みていきましょう。
体力面での不安
介護職は肉体労働が多い職種です。そのため、介護現場から離れていた期間に体力が低下してしまうと、「復帰して大丈夫かな」と思いがちです。特に、移乗介助や入浴介助など身体を使う介助は、腰や腕などの負担が大きく、現場を離れている期間が長いほど不安になるのではないでしょうか。
夜勤がある施設での勤務は、体力面だけでなく生活リズムへの影響も心配です。また、仕事への集中力や健康管理の面でも自信を持てず、「ちゃんとついていけるのだろうか」と不安を感じる方もいます。
介護の知識やスキルに関する不安
介護業界は日々進化しており、ブランクがある方のなかには、「最新の知識や制度、技術に追いつけるだろうか」という不安を抱く方も多く見られます。
たとえば、介護保険制度は3年ごとに改定されるため、業務の内容、仕組みがブランク前と異なる場合があります。
一方で、これまで介護職では行えなかった医療的ケアが行えるようになったり、IT化でロボットや見守り機器の操作が必要になったりするケースもあるでしょう。
近年は、日々の介護業務で求められる技術や知識も増えており、感染症対策への知識などは以前より重要視されるようになっています。
知識や経験の不足は、復帰すれば時間とともに解消されることも多いのですが、ブランクがあると、つい「みんなに迷惑をかけるのではないか」と気になってしまうようです。
環境の変化への不安
介護職の業務内容やルールは、事業所の種類や提供するサービスによって異なるため、新たな職場環境に適応できるかどうかは、多くの方の不安要素となります。
たとえば、近年ではケアの負担軽減を目指す施設が多く、さまざまな介助器具を導入している事業所も増えています。また、地域包括ケアシステムの構築のため、以前よりも多職種間の連携が求められるようになりました。
利用者さんへのケアでは、より個別化された対応が求められるようになり、ご家族のニーズも多様化しています。そのため、介護職は以前よりも多様なニーズに応えなければなりません。
こうした環境の変化は、復帰する前に把握しておく必要があるでしょう。
2.実際にブランクから介護職に復帰した経験談
ブランクから介護職に復帰することは、ある意味大きな挑戦です。しかし、適切な準備や職場選びをすれば、少ない負担で介護の仕事に復帰できるでしょう。ちなみに、私は6年のブランクを経て、介護職に復帰しました。
以下では、私の復職体験を紹介したいと思います。
復職を決意したきっかけ
私が介護職への復帰を決意したのは、子どもが小学校に入学し、手がかからなくなったからです。
「仕事をもう一度やりたい」という気持ちが強くなり、何をするかあれこれ考えたのですが、介護福祉士の資格を取得していることから、介護の仕事に戻ることに決めました。しかし、6年のブランクがあったため、復帰には大きな不安がありました。
3.復職時の不安と対処法
いちばん不安だったのは、「長い間現場を離れていた私が、最新の介護技術や制度についていけるだろうか」ということです。また、他の職員との関係構築や体力面にも自信が持てませんでした。そこで、不安を解消するために次の方法を試しました。
単発バイトアプリを活用して仕事に慣れる
いきなり通常の勤務に戻るのは、心理的・体力的にも負担が大きいため、単発バイトアプリを活用して、業務に慣れることから始めました。まずは2~4時間のスポットワークから始めて、慣れたら1日のみの勤務をこなしてみる。そんなやり方で、徐々に感覚を戻していったのです。
単発バイトは、小学校の行事などを避けて応募できるため、とても便利に利用できました。
ライフスタイルに合った事業所探し
単発バイトでさまざまな施設、事業所での業務を経験したことは、自分に合った働き方や職場環境を見つけるきっかけにもなりました。短期間で複数の施設を比較できるため、復帰後の本格的な職場選びにとても役立つと思います。
以前は、訪問介護しか経験がなかったのですが、施設介護やレクリエーションなどの業務は意外に自分に合っていると感じられ、職場選びの幅も広がりました。
自己研鑽
復帰後、自信を持って業務に取り組むには、最新の知識や技術を学び直すことも重要です。
私は、インターネットを活用して、介護保険制度の改定や最新の介助方法、感染症対策について学び直しました。最近は、SNSなどで情報発信している人も増え、多くの情報を得られました。ただし、そうしたなかには誤った情報もあるため、必ずほかのサイトやテキストなどで確認する必要があります。
学び直しは楽ではありませんでしたが、新しい知識やスキルが身についたことで、ブランクに対する不安が軽減され、復帰へのモチベーションも高まりました。
4.復帰後の職場選びのポイント
復帰するにあたって、最もこだわったポイントは、「自分に合った職場を選ぶこと」です。子どもが小学校に上がったばかりだったため、無理なく働き続けられるかどうかは、特に大きなポイントでした。
結果的に、従来型の介護老人保健施設で勤務することになりましたが、その職場を選んだのは次の理由からでした。
- 急な休みでも代わりの職員が見つけやすい
- 短時間勤務の非常勤から始められる
- 相談員やケアマネジャーなどへのキャリアアップが望める
- 職員間の雰囲気が良好
単発バイトで何度か訪れていた施設だったので、運営方針や業務内容が理解できていたことも大きかったと思います。
復帰後の感想
最初の1か月は戸惑うこともありましたが、同僚や上司のフォローがあり、少しずつ業務に慣れて、自信を取り戻すことができました。現在も無理なく働き続けられています。
復帰後は楽しいことだけでなく、つらいこともありましたが、利用者さんから「ありがとう」という言葉をいただいたときは、自分が必要とされていると実感でき、「介護の仕事に戻ってよかった」と心から感じます。
5.ブランクがある介護職におすすめの事業所
ブランクはハンディになりやすいため、どうしても復帰しやすい職場・しにくい職場が出てきます。復帰を検討している方におすすめの職場は、次のとおりです。
デイサービス
食事、入浴、排泄といった日常生活の介助のほか、レクリエーション、送迎などの業務を行います。
対応する利用者数が比較的少ないほか、介護度の低い方が利用する傾向にあるため、ブランクがある方でも感覚を取り戻しやすいでしょう。夜勤もありません。
グループホーム
9名以下のユニットケア施設で、認知症の診断を受けた要支援2以上の方が生活しています。
少人数で1人ひとりに丁寧なサポートを提供できるため、認知症ケアに抵抗がない方には、特におすすめの施設です。
ただし、夜勤ができることが正社員採用の必須条件としている事業所も多いので、自身が希望する雇用条件かどうかは、必ず確認しましょう。
従来型施設
近年、特別養護老人ホーム(特養)などの施設は、ユニット型が主流となっています。ユニット型はゆったりとした業務イメージがありますが、利用者数に合わせて少人数の職員で構成されているため、困ったときにフォローしてもらいにくい環境といえるでしょう。
一方、従来型の施設は職員配置が多いため、フォローしてもらいやすい環境にあります。ブランクがある場合は、従来型のほうが働きやすいかもしれません。
ただし、夜勤が必要になる場合も多いため、勤務形態や雇用条件の確認が必要です。
6.ブランクがある介護職が仕事を探す際のポイント
介護職として復帰を目指す際は、以下のポイントを意識して職場を探しましょう。
研修や教育制度が整った職場を選ぶ
早く業務に慣れるためにも、研修制度が充実している職場を選ぶのがおすすめです。ブランクのある方を対象とした研修を行っている職場もあるため、積極的に活用しましょう。
時短勤務やシフトの柔軟性を重視する
家庭と仕事を両立したい場合は、短時間勤務やシフトの調整が可能な職場を選ぶと、負担が少なくなります。訪問介護であれば、スポット的な働き方も可能なので、自身の状況に合わせて選択肢に入れるとよいでしょう。
職場を見学する
職場の雰囲気や働くスタッフの様子を確認するため、事前に見学するのも有効です。職場の雰囲気が自分に合うかどうかを判断しておくことで、安心して復職できるでしょう。
私の場合は、以下のポイントをチェックして職場を選びました。
- 事務所の雰囲気がいいか
- 来訪者に対してあいさつがあるか
- 職員の表情が明るいか
長く働くためには、職場全体の雰囲気を見て慎重に判断することが大事です。
7.介護職として復帰する前に準備すること
不安を軽減するためには、次の方法を試すとよいでしょう。
介護の知識を再確認する
市区町村が主催する無料研修や、オンラインの介護講座を活用して、基本的な知識や技術を再確認しましょう。最近では、YouTubeやSNSでもさまざまな情報が入手できるので、参考になります。
体力作りをする
介護の仕事は体力が必要です。日常生活にウォーキングや軽い運動を取り入れて、体力をつけておきましょう。
ストレッチなどを取り入れて身体のなまりをほぐしておくと、腰痛対策にもなります。
家族とスケジュールを共有する
復職後の働き方や勤務時間について家族と話し合い、協力体制を整えておくことも大切です。仕事を始めると、思っていた時間に帰れないこともありますが、家族の理解や協力があれば、安心して働くことができます。
まとめ
ブランクから介護職に復帰する際は、迷いや不安があると思いますが、事前に準備を整え、無理のない職場環境を選べば、大きな負担を感じずに復職できます。
利用者数が少なく夜勤のないデイサービスや、少人数でのケアを行うグループホームなどは、ライフスタイルに合わせやすく、ブランクからの復帰に向いている職場といえるでしょう。
事業所ごとに勤務形態や教育体制は異なるため、復帰するにあたっては、自分の目で確かめてから職場を選ぶことが大切です。単発バイトを利用すると、職場の雰囲気、業務内容がつかめるうえに、仕事の感覚も取り戻しやすいので、ぜひ試してみてください。
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