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職場・悩み 介護職のお悩み 2025/06/26

利用者家族とのコミュニケーションがうまくいかない...トラブルを回避する6つの工夫|介護職のホンネ相談室(7)

文/中谷ミホ(介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士) 介護職のホンネ相談室⑦.png

今回のお悩み

日々の業務の中で、利用者さんのご家族とのコミュニケーションがうまくいかず、トラブルになることがよくあります。たとえば、ケアプランの説明がうまく伝わらなかったり、ご家族の要望と施設の方針に食い違いがあったりします。

こうした状況を改善し、ご家族ともっとスムーズにやりとりできるようにするには、どんな工夫をしたらいいのでしょうか?

先輩介護職員の回答

聴く姿勢と小さな心配りの積み重ねが、信頼に変わります

介護の仕事は、利用者ご本人だけでなく、そのご家族との関わりも大切です。しかし、ご家族とのコミュニケーションに難しさを感じたり、時には意図せずトラブルになってしまったりすることもあるでしょう。

ご家族に安心してもらうためには、良好な関係を築くことが不可欠です。そこで今回は、利用者さんのご家族とのコミュニケーションを円滑にし、トラブルを未然に防ぐための6つのコツをご紹介します。

利用者さんのご家族とのコミュニケーションを円滑にする6つのコツ

コツ①:「聞く」ことを優先する

家族と話すときには、まずは相手の話をしっかり最後まで「聞く」ことがなによりも大事です。

途中で口を挟んだり、話を止めたりせず、うなずいたり相づちを打ちながら、「ちゃんと聞いていますよ」という姿勢を見せましょう。

人は、自分の話をしっかり聞いてもらえると「わかってもらえた」「受け止めてもらえた」と感じて、安心できるものです。まずは話すよりも「聞く」ことを意識し、表情や態度にも気を配りましょう。

コツ②:専門用語を避けて話す

介護の仕事をしていると、つい普段使っている専門用語が出てしまうことがあります。しかし、ご家族にとっては聞きな慣れない言葉が、かえって不安のもとになることもあります。
たとえば「ADL」や「褥瘡」といった言葉は、私たちには当たり前でも、一般の方には伝わりにくいものです。できるだけ専門用語は避けて、日常の言葉でわかりやすく伝えるようにしましょう。

また、「リハビリを強化します」ではなく、「転倒しないように、毎日立ち上がりの練習を行います」などと伝えると、内容をイメージしやすく、納得感も生まれます。伝わる言葉を選ぶことが、ご家族の安心や信頼につながるのです。

コツ③: 説明は「理由」や「目的」を明確に伝える

ケアプランや日々の介助内容について説明するときには、「何をするか」だけでなく、「なぜそれが必要なのか」「それによって何を目指すのか」という理由や目的も必ずセットで伝えるようにしましょう。

たとえば、入浴の頻度について説明する場合でも、入浴回数を伝えるだけでなく、「皮膚を清潔に保ち、感染症を予防するためです」と一言添えることで、ご家族の受け取り方が大きく変わります。

理由や目的があいまいなままだと、「どうしてそんなケアをするのか?」と不安に感じてしまうこともあります。でも、「こういう理由や目的があるんです」と丁寧に伝えることで、ご家族の理解が深まり、前向きな気持ちで話を聞いてもらえるようになります。

コツ④:こまめに「状況報告」を行う

ご家族との信頼関係を築くには、「普段の様子」をこまめに伝えるのもとても効果的です。ちょっとしたエピソードでも、それがトラブルの予防につながることもあります。

とくに、「変化があったときだけ」ではなく、利用者さんの元気な様子や、ちょっとした変化や進歩なども伝えることが大切です。そうすることで、ご家族は「しっかり見てもらえている」と安心できるのです。

また、普段の状態を共有しておくと、万が一何かあった際にも、その違いが伝わりやすいので、誤解や不満も起こりにくくなります。

電話や面会、連絡帳など、いろんなツールを上手に使って、できるだけこまめな報告を心がけましょう。

コツ⑤:感謝やねぎらいの言葉を伝える

ご家族とのコミュニケーションでは、内容だけでなく「伝え方」も大切です。「いつもありがとうございます」「ご家族の支えがあってこそです」といった感謝やねぎらいの言葉を積極的に伝えるようにしましょう。

ご家族が何かを申し出た際にも、「ご意見いただきありがとうございます」と一言添えるだけで、相手の気持ちは大きく変わります。感謝の言葉は人間関係の潤滑油です。忙しい毎日でも、そうしたひと言を伝えていくことで、ご家族とより良い関係が築けるはずです。

コツ⑥:話し合いが難しいときは即答しない

家族から難しい要望や感情的なクレームがあった際に、その場で無理に返答しようとすると、かえって状況が悪化することがあります。

そうした場面では、「一度持ち帰って確認します」「上司に相談させてください」と伝え、時間を置く判断も必要です。

これは逃げではなく、より良い対応をするための準備期間と考えましょう。職員自身も冷静さを取り戻せるほか、職場内で情報を共有しながら、チームで方針を決める時間も確保できます。

そして、後日きちんと対応することで、ご家族にも「ちゃんと考えてくれている」と感じてもらえるはずです。

これら6つのポイントを押さてご家族と接してみてください。きっと良好な関係へと変化していくはずです。

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中谷ミホ(Miho Nakaya)

介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士

福祉系短大を卒業後、介護職員、相談員、ケアマネジャーとして、障害者支援施設、介護老人保健施設などの介護現場で活躍。現在は介護業界での経験を生かしながら、ライターとして活動しており、介護・福祉に関わる記事を数多く手がける。保育士、福祉住環境コーディネーター3級も取得。

中谷ミホの執筆・監修記事

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