高齢者におすすめの折り紙レクリエーションのアイデアと作品の活用例

折り紙は、ほとんどの方が一度は手にしたことがあるため親しみやすく、高齢者介護施設のレクリエーションとしてとても人気があります。また、紙を折る動作は、脳の活性化や手指の機能訓練にもつながるともいわれています。準備や後片付けが簡単な上にスタッフの負担も少ないので、レクリエーションのネタ探しに困っている方は、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事では、折り紙レクリエーションが高齢者におすすめの理由と、比較的簡単に折れるモチーフについて解説します。
1.折り紙レクリエーションが高齢者施設におすすめの理由
高齢者向けのレクリエーションにはさまざまな種類があります。そのなかでも、折り紙を使ったレクリエーションは人気が高い企画です。高齢者レクリエーションで折り紙が選ばれている大きな要因は、年齢や性別を問わず気軽に取り組めることですが、それ以外にもいくつかの理由があります。
ここでは、折り紙レクリエーションがおすすめの理由を3つ紹介します。
高齢者が親しみやすい
折り紙は、日本人のほとんどが一度は経験したことのある遊びです。そのため、年齢を重ねた方でも親しみやすいというメリットがあります。なかには苦手意識を持っている方もいるかもしれませんが、折り方が簡単なものから始めて、慣れてきたら中級編、上級編と少しずつレベルアップしていけば、楽しく取り組めるようになるでしょう。
実際に「通いの場」(高齢者が日常的に地域の人たちと触れ合える場)に折り紙レクリエーションを取り入れている地域もあり、作品作りを通して高齢者同士のコミュニケーションが活発になっているといわれています。また、年齢を問わず遊べるため、お孫さんや地域の子どもたちとの交流にも役立ちます。
脳の活性化や手指の機能訓練につながる
折り紙は、認知症予防に効果があるとされる脳トレ(脳を活性化させるトレーニング)にもなるレクリエーションです。次にどこを折るか、最終的にどのような形になるかを考え、想像しながら行うことで、脳に適度な刺激を与え前頭前野を鍛える効果が期待できます。
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また、手指の細かい作業が必要になる折り紙は、衰えがちな指先のコントロールを取り戻すリハビリの効果も期待できます。つらく苦しい訓練は敬遠されがちですが、折り紙であれば楽しみながら継続することができるでしょう。
作品を完成させることで達成感を得られる
折り紙レクリエーションは、「自分の手で作品を完成させた」という達成感につながります。自分の力で何かを成し遂げる喜びによって、利用者さん一人ひとりの自己肯定感も高まるでしょう。
折り紙で得られる達成感はそれほど大きくありませんが、継続して何度も積み重ねることで次第に大きな自信となり、ほかの行動に対しても積極的な取り組みが期待できます。また、自分の意志による積極的な行動は、利用者さまの自立心にもつながるはずです。
準備や後片付けに手間がかからない
折り紙レクリエーションは、折り紙さえあればすぐに始めることができます。そのため、ほかのレクリエーションのように工作キットを用意したり、事前にリハーサルを行ったりする必要がありません。また、レクリエーション中も、けがや破損の心配がほとんどなく安心です。
レクリエーションに参加する方が固定されている場合は、一人ひとりにお道具箱を用意しておくと、準備や後片付けがより手軽になります。
2.レクリエーションにおすすめの折り紙のアイデア
折り紙レクリエーションは、バリエーションが豊富にあるため、利用者さんが飽きにくいというメリットもあります。しかし、作れるものが多すぎるせいで、どれをお手本にしていいか分からず、迷ってしまうケースも珍しくありません。
レクリエーションの題材として折り紙を選ぶ際は、比較的簡単に折れてあまり作業時間がかからないものを選ぶと、利用者さんが無理なく取り組むことができます。高級感のある柄物の千代紙や和紙を使用すると作品の仕上がりが華やかになるため、用途やジャンルによって使い分けるのも良いでしょう。
ここでは、高齢者レクリエーションに向いている折り紙のアイデアを4つ紹介します。
季節や行事にちなんだモチーフ
その時期に咲く花や行事に使われるアイテムなど、季節にちなんだモチーフは折り紙の題材としておすすめです。利用者さんのなかには、自らの意思で自由に外出することが難しい方もいますが、折り紙レクリエーションに旬のモチーフを取り入れることで、そうした方たちにも季節の移り変わりを実感してもらえるでしょう。
下記は、季節や行事にちなんだモチーフの一例です。
春 |
● 桜の花 ● 桃の花 ● おひなさま ● こいのぼり ● かぶと |
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夏 |
● 傘 ● あじさいの花 ● 金魚 ● ちょうちん ● 星 |
秋 |
● ウサギ ● かぼちゃ ● コスモスの花 ● もみじ ● リス |
冬 |
● 雪だるま ● クリスマス飾り ● 祝い鶴 ● 鏡餅 ● 鬼 |
作った作品を壁画などに使って、季節ごとに室内を装飾するアイデアもあります。
伝統的なモチーフ
昔からよく折られていた伝統的なモチーフのなかには、高齢者にとってなじみ深いものが多くあります。自分が幼い頃に折って遊んだ思い出や、子どもや孫に折ってあげた思い出を語り合う時間を設ければ、より楽しいひとときが過ごせるでしょう。
下記は、比較的折りやすい伝統的なモチーフの例です。
● 鶴
● 亀
● 風船
● 手裏剣
● 紙相撲
● やっこさん
● カエル
● チョウ
和のモチーフを取り上げる場合は、千代紙や和柄の折り紙を使うのもおすすめです。
身近なモチーフ
身近な動物や花、昆虫などは、普段から折り紙に親しんでいない方にとっても、取り組みやすいモチーフです。何を折ったかが分かりやすいため、レクリエーション中も話が弾み、利用者さま同士のコミュニケーションが活発になるでしょう。
下記は、比較的折りやすい身近なモチーフの例です。
● ハート
● 猫
● 犬
● クローバー
● チューリップ
● だるま
● カブトムシ
動物のモチーフを作る場合は、ペンを用意して目や口を書き込んで楽しむこともできます。
実用的なモチーフ
実用的なモチーフを選ぶと、レクリエーションが終わった後も楽しかったひとときを思い出すことができ、気持ちが上向きになるでしょう。また、自信作をプレゼントし合って日常的に使ってもらえば、利用者さんの自己肯定感にもつながります。
下記は、比較的折りやすい実用的なモチーフの例です。
● 小物入れ
● 封筒
● しおり
● ポチ袋
● 箸袋
● コースター
3.作った折り紙作品を活用するレクリエーション
折り紙レクリエーションで作った作品は、個別に保管してもらう以外に、別のレクリエーションで活用することもできます。しっかりとスケジュールを立てて実施すれば、利用者さまのワクワク感を維持しつつ、レクリエーションへのモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。
ここでは、折り紙作品を活用できるレクリエーションを3つ紹介します。
壁画作り
壁画作りは、利用者さん同士やスタッフが協力しながら、全員で一つのものを作り上げるレクリエーションのため、とても大きな達成感が得られます。
季節や行事にちなんだモチーフを利用して壁画を作れば、完成後にほかのレクリエーションを盛り上げる背景としても活用できるでしょう。色とりどりの折り紙作品に切り絵や貼り絵などを組み合わせると、より華やかで楽しい壁画になります。
ゲーム
自分たちが作った折り紙作品を使って対戦ゲームをするのも、利用者さんの意欲を引き出すことにつながります。下記は、折り紙を使用する代表的なゲームです。
● 紙飛行機飛ばし
● トントン相撲
● カエルレース
● 虫取り
● 魚釣り
紙飛行機飛ばしは飛距離を競うだけでなく、狙った的に当てる、あるいは着地点の点数を競い合うという遊び方もできます。ゲームのために折り方を工夫したり、独自ルールを追加したりしても盛り上がるでしょう。
工作
折り紙で複雑な形の作品を折ろうとすると、一気に難しくなります。しかし、複数の折り紙作品を組み合わせれば、作りやすさを維持したまま、仕上がりの豪華さをアップさせることが可能です。立体感やボリューム感も出るので、室内に飾って華やかな雰囲気を演出しても良いでしょう。
下記は、折り紙工作の一例です。
● 花束
● ロゼット
● 千羽鶴
● くす玉
● 折り紙万華鏡
花束、千羽鶴、くす玉はシンプルな作品を組み合わせるだけで大作を作り上げることができるので、スタッフや利用者さん同士で協力し合いながら完成させましょう。
まとめ
折り紙は、高齢者にとってなじみ深く、受け入れてもらいやすいレクリエーションです。楽しみながら作品を折るだけで、脳のトレーニングや手指のリハビリなどの効果も期待できるため、積極的に取り入れたいレクリエーションといえるでしょう。
「介護のみらいラボ」では、折り紙以外にも高齢者におすすめの脳トレクイズや、体操・運動といったレクリエーション情報を多数紹介しています。介護業界の最新ニュースやスキルアップにつながる方法など、介護職員として働く皆さんに有益な情報も掲載しているので、ぜひ参考にしてください。
※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています
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