介護施設の準夜勤とは?仕事内容・給料事情・メリットを解説

介護士や介護福祉士などの介護職として就職活動・転職活動を考えている人の中には、「準夜勤」という言葉を見聞きした経験がある人もいるでしょう。介護職の準夜勤とはどのような働き方を指し、一般的な夜勤とはどういった点が異なるのでしょうか。
当記事では、一般的な夜勤と準夜勤の違いや、準夜勤が採用されることが多い施設、準夜勤が担当する主な仕事内容について解説します。準夜勤の給与や準夜勤で働くことのメリット・デメリット、準夜勤の仕事を見つける方法・ポイントも併せてチェックし、準夜勤の働き方が自分に合っているか確認しましょう。
1.介護施設の準夜勤とは?
介護施設における「準夜勤」とは、1日の勤務シフトを「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに分けた「3交代制」を採用している介護施設に見られる働き方です。3交代制ではそれぞれのシフトの勤務時間は8時間程度が基本となっていますが、実際に勤務する時間帯は施設によって異なることに注意しましょう。
■介護施設における「準夜勤」のシフト例
・夕方~深夜(夕方16時ごろ~深夜1時ごろ)
・夜~翌朝(夜22時ごろ~翌朝7時ごろ)
・午後~深夜(昼14時ごろ~深夜0時ごろ)
準夜勤は他の夜勤とはどのような点で異なるのでしょうか。準夜勤のある勤務体制を採用する傾向がある施設の種類とともに確認しましょう。
準夜勤と他の夜勤の違い
24時間体制で介護業務を行う介護施設では、介護職が「2交代制勤務」もしくは「3交代制勤務」であることが一般的です。2交代制では「日勤」と「夜勤」の2つ、3交代制では「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに勤務シフトがそれぞれ分けられています。
2交代制の夜勤と3交代制の準夜勤との大きな違いの1つとして、勤務時間の長さが挙げられます。3交代制の準夜勤や深夜勤の場合、24時間を概ね3等分した8〜9時間前後の実働時間となるケースがほとんどです。一方、2交代制の夜勤は夕方から翌朝までのシフトとなっているケースが多く、実働時間も約16時間とやや長い傾向にあります。
また、2交代制の夜勤と3交代制の準夜勤では、夜勤明け日の扱いにも違いが見られます。2交代制の夜勤の場合、1回の夜勤で長時間働くため、夜勤に入った日と夜勤明け日の両日とも「勤務日」と見なされ、夜勤明け日の翌日が公休となることが一般的です。一方、3交代制の準夜勤の場合は約8時間労働であるため、夜勤明け日が出勤となることもあります。
なお、3交代制の夜勤帯には「準夜勤」「深夜勤」の2つがありますが、これは日勤以外の勤務時間帯を2つのシフトに分けたものです。施設によって準夜勤・深夜勤にあたる勤務時間帯が異なる点に留意しましょう。
準夜勤が見られる施設
日本医療労働組合連合会「2021年 介護施設夜勤実態調査結果」によると、87.6%の介護施設で2交代制勤務が採用されています。このように、介護業界では2交代制勤務を採用している施設が多く見られますが、3交代制を採用している施設も存在します。
3交代制(日勤・準夜勤・深夜勤)の採用が比較的多く見られる介護施設には、次のような業態があります。
■3交代制の採用が見られる介護施設
・特別養護老人ホーム(特養)
・介護老人保健施設(老健)
・単独型短期入所(ショートステイ)
・介護医療院
3交代制勤務を実施している施設・業態に見られる傾向がある特徴として、ベッド数や職員数が多く、規模が比較的大きいことが挙げられます。規模が小さい施設は、3交代勤務における1人あたりの夜勤負担が大きくなりやすい状況であるため、2交代制勤務を採用しているケースが多いと分析されています。
(出典:日本医療労働組合連合会「2021年 介護施設夜勤実態調査結果」)
2.準夜勤の仕事内容
準夜勤での仕事内容は施設の勤務時間帯によって異なる部分もありますが、日勤や深夜勤と同様にさまざまな業務をこなす必要があります。ここでは、「16時出勤・深夜1時退勤(夜勤終了)」を準夜勤のシフトとする場合を例として、準夜勤における夜勤者の仕事の流れや業務内容を紹介します。
■準夜勤のスケジュールと仕事内容(例)
16時 | 出勤・勤務開始、日勤からの業務の引き継ぎ |
---|---|
17〜19時 | 利用者・入居者の夕食準備、食事介助、服薬介助、口腔ケア |
19〜20時 | 利用者・入居者の自由時間 |
20〜21時 | 就寝前のトイレ介助(排泄介助)、おむつ交換、就寝の準備 |
21〜22時 | 消灯 |
21〜1時 | 定期巡回による安否確認(体温や呼吸の変化などの健康観察)、コール対応、介護記録の作成 |
1時 | 深夜勤への業務の引き継ぎ、勤務終了・退勤 |
深夜0時ごろから朝8時ごろまでを「準夜勤」のシフトとする施設では、出勤から利用者の起床までの時間は、仮眠や休憩を挟みながら、巡回やコール対応を行います。朝が来たら起床時の洗面介助や朝食時の食事介助(モーニングケア)などを実施します。利用者の様子を十分に確認しながら夜勤勤務を進めるよう心がけましょう。
3.準夜勤の給料事情
夜勤のあるシフト制を採用している介護施設では、基本給に加えて、夜勤に入った回数に応じた夜勤手当が支給されることが一般的です。また、22時から翌朝5時までの間に働く場合は労働基準法に基づき深夜割増賃金が適用されます。
なお、2021年の日本医療労働組合連合会の調査によると、介護施設に正職員・正社員として勤務するスタッフにおける夜勤手当の平均額は、以下の通りとなっています。
■正職員における夜勤手当の平均額(勤務形態別・施設形態別)
3交代制「準夜勤」 | 3交代制「深夜勤」 | 2交代制「夜勤」 | |
---|---|---|---|
特別養護老人ホーム | 2,800円 | 4,250円 | 5,150円 |
介護老人保健施設 | 3,700円 | 4,367円 | 7,203円 |
グループホーム | - | - | 5,408円 |
小規模多機能型 | 2,500円 | 3,700円 | 5,500円 |
看護小規模多機能型 | - | - | 5,207円 |
単独型短期入所 | 4,000円 | 4,000円 | 5,725円 |
介護医療院 | 4,550円 | 5,050円 | 6,500円 |
全体 | 3,630円 | 4,325円 | 5,976円 |
※3交代制については、回答数が少なかったため参考値として扱う。
(出典:日本医療労働組合連合会「2021年 介護施設夜勤実態調査結果」)
3交代制は2交代制よりも勤務時間が短いことから、夜勤手当の金額もやや少額となっています。夜勤手当の金額は勤務時間帯や施設によっても変動するため、気になる人はなるべく入職前に確認しておくことをおすすめします。
4.準夜勤のメリットとデメリット
交代制勤務には複数の勤務シフトがあり、それぞれの働き方でメリット・デメリットの両方が存在します。ここでは、準夜勤のメリット・デメリットについて確認しましょう。
■準夜勤のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・精神面・体力面での負担が少ない ・2交代制の夜勤よりも生活リズムが崩れにくい ・夜勤手当がつくため、日勤のみの勤務より収入を増やせる |
・夜勤明けの翌日が出勤日となる場合もある(夜勤回数や勤務日数が多くなる) ・勤務先・勤務地によっては公共交通機関での帰宅が難しい可能性がある |
3交代制の「準夜勤」は8時間前後の勤務となるため、2交代制勤務の夜勤(約16時間)と比較すると精神面・体力面での負担が軽いといわれています。また、利用者の夕食・就寝から起床・朝食までの一晩中勤務しなくてもよいため、生活リズムも崩しにくいでしょう。夜勤手当も支給されるため、収入を増やせる点も魅力的です。
一方で、2交代制の夜勤が2日分の勤務と見なされるのに対し、3交代制の夜勤の場合は翌日も引き続き勤務となる場合がある点に注意が必要です。また、夜間に退勤する場合、職場や勤務エリアによっては電車やバスなどの公共交通機関での帰宅が困難なケースもある点に留意しましょう。
5.準夜勤の仕事を見つける方法
「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3交代制の夜勤形態を採用している介護施設は、それほど多くは見られません。準夜勤の仕事を見つけるためには、3交代制勤務を導入しているケースが比較的多い「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」などを中心に検討することをおすすめします。
また、3交代制勤務を採用している施設を探しているものの、職場選びに悩みを抱えている人は、介護職に特化したエージェントの利用がおすすめです。キャリアアドバイザーによる就職・転職の相談や履歴書のチェック、面接の練習、就職先との条件交渉などのサポートを受けられる「マイナビ介護職」をぜひご利用ください。
まとめ
介護職員の準夜勤とは、3交代制勤務における夜勤シフトの1つを指します。実働時間が8時間程度であり心身の負担が比較的軽いことや、生活リズムが崩れにくい点は準夜勤の働き方のメリットと言えるでしょう。一方で、2交代制の夜勤よりも夜勤手当が少ない傾向にあることや、施設によって準夜勤の勤務時間帯が異なることなどには注意が必要です。
3交代制を採用する介護施設は、現状では多くは見られないため、介護求人や仕事内容などの情報を手に入れにくい場合があります。3交代制など、介護職の働き方の情報収集を効率的に行いたい方は、役立つ情報を豊富に掲載している「介護のみらいラボ」をぜひご参考ください。
※当記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています
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