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仕事・スキル 介護士の常識 2021/12/27

口腔ケアとは?要介護高齢者に口腔ケアを行うメリット・実践方法

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口腔ケアは、口の中をきれいに保つだけでなく、心身の健康維持にもつながるケアのことです。加齢とともに身体機能が低下すると、自力で口内環境を整えることが難しくなります。高齢者や要介護者の口腔内を常にきれいな状態にするために、介護者による口腔ケアは欠かせません。

今回は、口腔ケアの概要から種類・目的、さらにメリットや手順・ポイントまでを解説します。日々、仕事で高齢者の介護に携わる方や、今後介護者として活躍したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

口腔ケアとは?

口腔ケアとは、口の中をきれいに保ち、口腔トラブルを予防した上で、口腔機能の維持・回復や全身の健康維持を目的に行われるケアの総称です。自力で歯磨きや口内のケアを行うことが難しい要介護者・高齢者は、介護者による口腔ケアが行われます。

人間は、加齢とともに全身にあらゆる変化(主に免疫力・身体機能低下)が現れることが特徴で、口腔内もその1つです。高齢者が抱えやすい口腔トラブルには、下記が挙げられます。

  • 唾液分泌量の抑制による自浄作用の低下
  • 虫歯・歯周病の増加
  • 義歯(入れ歯)による細菌・雑菌の繁殖
  • 味覚の変化
  • ドライマウス(口腔内の乾燥)

このような口腔トラブルは、年齢を重ねれば重ねるほど起こりやすくなっています。一部の口腔トラブルにおいては、症状がひどくなると結果として咬合力、いわゆる嚙む力が低下したり、味覚障害を引き起こしたりするため口腔ケアが必要です。

また、厚生労働省が挙げる口腔ケアの定義には、狭義と広義があることも覚えておきましょう。

狭義での内容は「口腔清掃」、広義ではそれに「口腔機能訓練」を加えるのが一般的な捉え方である。

狭義:口腔疾患および気道感染・肺炎に対する予防を目的とする口腔清掃や口腔保健指導を中心とするケア
広義:口腔疾患および機能障害に対する予防、治療、リハビリテ-ションを目的とする歯科治療から機能訓練までを含むケア

(引用:e-ヘルスネット(厚生労働省)「口腔ケア」

口腔ケアの種類と目的

口腔ケアには、主に「器質的口腔ケア」「機能的口腔ケア」の2種類があります。それぞれの概要と目的は、下記の通りです。

(1)器質的口腔ケア
器質的口腔ケアとは、口内を清潔に保ち、歯周病や誤嚥性肺炎を防ぐために行われるケアのことです。具体的なケア方法は、うがい・歯磨き・舌磨きが挙げられます。厚生労働省が挙げる口腔ケアの定義・意味合いにおいては、狭義のものにあたります。

(2)機能的口腔ケア
機能的口腔ケアとは、口腔機能・嚥下機能の維持や回復、リハビリテーションを目的に行われるケアのことです。具体的なケア方法は、口の中や周辺のマッサージ・飲み込む力を鍛える訓練が挙げられます。厚生労働省が挙げる口腔ケアの定義・意味合いにおいては、広義のものにあたります。

口腔ケアを行うメリット

口腔ケアを行うことには、下記のようなメリットがあると言われています。

  • 口腔内の雑菌減少につながる
  • 誤嚥性肺炎の予防につながる
  • 味覚改善につながる
  • 口腔機能の維持・改善につながる
  • 口臭改善につながる

正しい口腔ケアを続けることによって、唾液分泌が促進され、自浄作用の向上が期待できます。自浄作用が向上すれば、口腔内の雑菌の減少につながり、あらゆる口腔トラブルを防ぐことができるでしょうです

また、口腔ケアとともに口周りの筋肉を鍛えることで、咀嚼しやすくなるだけでなく、味覚改善や口腔機能の維持・改善も期待できます。会話や食事が楽しめるようになると、結果としてQOLの向上にもつながるでしょう。

さらに、口内の雑菌減少により、病気や感染症の発生率低下につながる点も、口腔ケアのメリットです。このように、口の健康は身体中の健康と深い関係性にあることを覚えておきましょう。

口腔ケアの手順

要介護となった高齢者は特に、食事や会話で必要となる機能が低下する傾向にあります。口腔機能の低下は、口の粘膜の炎症を招くだけでなく、細菌が全身に波及することで発熱や免疫機能やの低下を引き起こす恐れもあります。口腔内の衛生状態ひいては全身の健康を整えるためには、正しい口腔ケアを日常的に継続することが重要です。

下記に、正しい口腔ケアの基本的な手順を説明します。

(1)うがい
口腔ケアを始める際は、まずうがいをします。うがいには口の中を潤す効果もあります。片方ずつほほを膨らませてぶくぶくと動かし、口の中全体を潤すことを意識させましょう。
(2)ブラッシング
うがいをし終わったら、歯ブラシで丁寧にブラッシングをして、口腔内にある歯垢や食べカスを除去します。ブラッシングのポイントは、柔らかい歯ブラシを用いること・適度な力加減で歯ブラシを小刻みに動かすことです。力が強すぎると、口内を傷つけるおそれがあるため注意してください。歯と歯・歯茎の境目は特に汚れが残りやすいため、重点的に磨きましょう。
(3)清拭
身体を起こすことが困難な要介護高齢者や、ブラッシングだけでは十分にケアできなかった場合は、口内清拭も行います。清拭の際は、口腔ケア専門のスポンジブラシを指に巻き、口腔内の細かい汚れを丁寧に拭き取りましょう。順番は、上の歯の外側から内側→下の歯の外側から内側で、奥側から手前側に拭き取ることが基本です。
(4)舌の清掃
ブラッシングや清拭が終わったら、舌の表面にある白い苔状の「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる汚れを清掃します。口臭の原因ともなる舌苔は、舌専用のブラシやスポンジブラシを用いて奥側から手前側に動かし、汚れを除去しましょう。このとき、力加減が強いと舌を傷つけてしまうおそれがあるため、軽めのタッチを心がけてください。
(5)うがい
ブラッシング・清拭・舌の清掃といった一連の口内清掃が終了したら、最後に再度うがいをして、清掃により奥の方から出てきた残存物を洗い流します。うがいのできない要介護高齢者の場合は、ウェットティッシュを用いて除去するか吸引します。
(6)口腔内の湿潤
うがいまで終わったら、最後に乾燥対策として口腔内全体にくまなくジェルを塗り、口腔内の湿潤を行います。また、ジェルを塗布する前に「唾液腺マッサージ」を行うこともあります。唾液腺マッサージとは、耳やあご、あご下にある唾液腺部分をマッサージして、唾液の分泌を促すマッサージです。口内乾燥の根本的な乾燥対策として用いられます。

(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「健康高齢者の口腔ケア」

最後に行う唾液腺マッサージの具体的な方法は、下記の通りです。

〇耳下腺マッサージ
人差し指・中指・薬指・人差し指の4本指をほほにあてて、上奥歯あたりから後ろ→前の流れで押し回します。1セットにつき、この動作を約10回行うことが基本です。

〇顎下腺マッサージ
顎骨の内側にある柔らかい部分に両手の親指をあて、耳の下~顎の下の5か所程度を順番に軽い力で押します。1セットにつき、この動作を約5回行うことが基本です。

〇舌下腺マッサージ
両手の親指を合わせて、顎の真下部分から手を突き上げるようにやや強い力で押します。1セットにつき、この動作を約10回行うことが基本です。

(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「健康高齢者の口腔ケア」

どの唾液腺マッサージにおいても、適切な力加減は人によって異なるため、痛みはないかを定期的に確認するようにしましょう。

口腔ケアに必要なアイテム

口腔ケアをきちんと行うためには、事前準備として下記のアイテムが必要です。

  • 歯ブラシ
    歯を磨くためのブラシ。口内を傷つけないよう、柔らかめがおすすめ。
  • 歯間ブラシ
    歯と歯の間の汚れなど、歯ブラシだけで取り除けない汚れを除去するためのブラシ。I字型とL字型があり、太さも商品によって異なる。
  • スポンジブラシ
    先端部分がスポンジ状となっているブラシ。粘膜の汚れの除去におすすめ。
  • 舌ブラシ
    舌苔の除去専用のブラシ。毛のあるタイプや樹脂製タイプなどがある。
  • 入れ歯用ブラシ
    入れ歯の洗浄専用のブラシ。商品によってサイズや硬さが異なる。
  • ガーグルベース
    うがい後に吐き出した水を受けるための容器。
  • 口腔用ウェットティッシュ
    口内の汚れを除去するためのアイテム。使い捨てのため衛生的。
  • 保湿剤
    口内の乾燥を予防するためのアイテム。スプレー・ジェル・マウスウォッシュなどさまざまなタイプがある。

要介護高齢者に口腔ケアを行う際のポイント

要介護高齢者に口腔ケアを行う際は、下記2点のポイントをおさえておきましょう。

〇口腔ケアを行うことに同意を得る
口の中はデリケートな部分であり、要介護高齢者によっては介護スタッフに口腔ケアを行われたくない人もいます。そのため、口腔ケアを行う前は必ず口腔ケアを行うことを伝えましょう。健康を守るためには口腔ケアが重要となるため、もし同意を得られなかった場合は口腔ケアの爽快感を知ってもらうことから始めるとよいでしょう。

〇最小限の介助で短時間で終わらせる
要介護高齢者の障がいの程度により、適切な介助を行うことが重要です。本人ができることはなるべく自力でやってもらうなど、介助のレベルは最小限に留めて短時間に終わらせることがポイントです。なお、最終確認は介護者が欠かさず行わなければなりません。

〇誤嚥リスクが少ない体勢で行う
口腔ケアを行う際は、誤嚥リスクが少ない安全な体勢で行うことが重要です。無理な姿勢で口腔ケアを行った場合、水や唾液が流れて誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。最低でも30〜40度ほどは身体を起き上がらせるなどして、安全対策に徹底しましょう。

(出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「要介護高齢者の口腔ケア」

口腔ケアのポイントをおさえておくだけでも、十分効果のある口腔ケアを行うことができます。また、人により口腔ケアの重要性の認識レベルや気持ちよさは異なるため、お互いが気持ちよくケアできるようにすることもポイントと言えるでしょう。

まとめ

口腔ケアとは、口腔トラブルの予防、口腔機能の維持・回復、全身の健康維持を目的とした口の中をきれいに保つケアの総称です。狭義としての口腔ケアは主に「口腔清掃」で、広義としての口腔ケアは「口腔機能の維持・リハビリテーション」となっており、前者は「器質的口腔ケア」、後者は「機能的口腔ケア」と種類も分けられています。

要介護高齢者に口腔ケアをきちんと行うためには、必要なアイテムを準備した上で、正しい手順で行わなければなりません。人によっては難易度も異なるため、幅広い知識を身につけておく必要があります。

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