インテークとは?ケアマネが実施する際の流れと基本マナー
構成・文/介護のみらいラボ編集部ケアマネジャー(介護支援専門員)は、ケアプランを作成したり高齢者と介護施設との調整を行ったりする、介護保険の専門家です。ケアマネジャーとして活躍するためには「インテーク」をはじめとする専門用語の意味を正しく理解し、業務に生かしていくことが大切です。
当記事では、インテークの意味や基本の流れ、ポイント、気を付けたいマナーについて解説します。インテークの基礎知識を今一度確認して、スキルアップにつなげましょう。
1.インテークとは?
インテークとは、日常生活に関して問題を抱える人や家族を支援するために実施する初回面談です。介護におけるインテークではケアマネジャーが介護サービス利用者や家族の事情・要望を聞き、ケアプランを作成するための情報収集を行います。
以下は、厚生労働省の示すインテークの定義です。
一般的にインテークは、利用者の依頼などに対して相談支援専門員が担当する内容(ケアマネジメントの対象者)かどうかを確認し、ケアマネジメントのプロセスをとおして生活機能における様々なニーズや課題・問題を整理し、生活の目標を明らかにしていくことを相互に確認することです。
介護におけるインテークは、ケアマネジャーと介護サービス利用者やその家族が最初に対面する重要な機会です。ケアマネジャーはインテークの重要性を意識し、相手に安心感を与えられるように努めましょう。
2.アセスメント・モニタリング・エバリュエーションとの違い
インテークと混同されやすい介護用語に「アセスメント」「モニタリング」「エバリュエーション」の3つがあります。以下では、各介護用語の意味とインテークとの違いを紹介します。
・アセスメント
アセスメントとは、ケアプランの作成や見直しを目的として実施する情報収集作業のことです。アセスメントはインテークのように1回限りで終了せず、繰り返し実施されます。
・モニタリング
モニタリングとは、ケアプランの効果を確認する目的で実施する現状把握作業のことです。1回限りで終了せず、少なくとも1か月に1回の頻度で、繰り返し実施されます。
・エバリュエーション
エバリュエーションとは、ケアプランの区切りごとに実施する評価のことです。エバリュエーションでは、インテークから開始された支援の効果を振り返り、ケアワークを終結するか、新たなサイクルに入るかを判断します。
3.インテーク面接の流れ
ケアマネジャー初心者が、適切なインテークを実践するためには、流れと注意点を正しく理解する必要があります。適切なインテークを実践すると介護サービス利用者とケアマネジャーの距離が縮まり、より相手の希望に沿った支援内容の検討が可能です。
以下では、ケアマネジャーによるインテークの流れをステップ別に解説します。
STEP1:挨拶と自己紹介から入る
まずは、挨拶や自己紹介を行いましょう。ただ肩書きや保有資格を伝えるだけではなく、介護サービス利用者との関係性や業務内容を分かりやすく説明します。
介護サービス利用者の多くは、介護現場で使用する専門用語を知りません。専門用語は相手が理解しやすい言葉に置き換えて、ケアマネジャーの業務内容を具体的にイメージしてもらいましょう。
STEP2:雑談でリラックスした雰囲気を作る
初めてインテークに臨む相手は、緊張や、不安を感じていることがあります。その日の気候やニュースなどの雑談で気持ちをほぐし、リラックスした雰囲気づくりを心がけましょう。
また、相手の話に共感を示し、適切なタイミングで相槌を打ったりうなずいたりすることもポイントです。耳の遠い高齢者と話す場合は、落ち着いた声ではっきりと話しましょう。
雑談を省略してヒアリングに入ると、介護サービス利用者の不安をあおる恐れがあります。相手に安心感をもってもらうことを意識し、真摯な姿勢で臨みましょう。
STEP3:守秘義務を説明する
インテークでは、相手の身体状況や心理状態など、プライバシー度合いの高い個人情報を扱います。介護サービス利用者の中には「家庭の状況を周囲に知られたくない」と考える人もいるため、ヒアリングに入る前の段階で、ケアマネジャーの守秘義務を説明しましょう。
ケアマネジャーの守秘義務は、介護保険法第69条の37に記載されています。
第六十九条の三十七
介護支援専門員は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。介護支援専門員でなくなった後においても、同様とする。
守秘義務を守るためには、インテークで収集する情報をあらかじめ明確にすることも大切です。
STEP4:進行方法や所要時間を伝える
インテークで収集する情報量が不足すると、正確な課題分析・適切な自立支援が難しくなります。スムーズにヒアリングを進めるために、インテークの進行方法や所要時間の目安をあらかじめ相手に伝えましょう。
また、インテーク中は随時時間をチェックし、進行ペースを把握します。想定より長くなってしまった場合も、焦って返答を急かしたり、質問攻めしたりせずに、時間の延長を打診するなど落ち着いた対応を心がけましょう。
STEP5:ヒアリングに入る
ヒアリング中は、事前に用意した質問項目に沿って現在の悩みや、希望する支援内容、インテークに至るまでの経緯などを聞いていきます。
また、ヒアリングに入る前には、内容をメモすることに対して相手の承諾を得ましょう。許可を得ずに話の内容をメモすると、不快感を持つ人もいます。
ケアマネジャーは、相手の声のトーンや行動にも気を配り、心身の状態を総合的に判断することが大切です。「髪が洗えていない」「質問に対する受け答えが不明瞭」など、介護サービス利用者の様子に関する気付きもメモし、状況判断に役立ててください。
STEP6:ヒアリング内容の確認と質問の有無を聞く
インテークの最後にヒアリング内容を要約し、内容に間違いないか、追加すべき情報はないかを確認します。また、今後に関する質問や不安に感じることがないかも聞きます。
そして、悩みを解決するために利用できる介護サービスや支援制度があれば、相手に伝えましょう。インテークの成果を相手側と共有することで、将来への希望を持ってもらうことも大切です。
4.インテーク時に気を付けたい基本のマナー5選
インテークに到った経緯や、現在の悩み、状況は、相手によって異なります。インテークでは介護サービス利用者や家族に合わせて、臨機応変かつ個別の対応を取ることが大切です。また、インテーク時には以下のマナーを守り、ポジティブな印象をもってもらえるよう心がけましょう。
・電話応対の仕方
電話を受けた際には事業所や施設名、氏名を名乗り、相手の氏名を聞いた上で挨拶しましょう。電話の近くには常にメモを準備しておき、相談内容や要望を記録として残します。
・訪問時の身だしなみ
インテーク先に訪問する際の服装は、清潔感を意識したオフィスカジュアルがおすすめです。Tシャツ、ジャージ、ジーンズなどカジュアルすぎる服装は、不信感を持たれる可能性があるため、避けましょう。
・名刺の渡し方
自己紹介する際には名刺を胸の位置まで持ち上げて、同席する相手に渡してください。介護サービス利用者と家族が同席している場合は、介護サービス利用者、家族の順で渡しましょう。名刺交換する場合、相手の名刺は胸よりも高い位置で受け取ります。
・自己紹介の内容
自己紹介では、所属する事業所や施設名、氏名、自分自身の肩書きを名乗ります。ケアマネジャーの業務内容や役割についても、分かりやすい言葉で説明しましょう。
・説明時の話し方
自分自身が説明する際には柔らかい表情を作り、優しい口調で話します。特に声を張る際は、口調が強くなってしまわないように注意しましょう。
まとめ
介護におけるインテークとは、ケアマネジャーが介護サービス利用者や家族と初めて対面し、現在の状況・要望を聞く機会です。ケアマネジャーはインテークを通じて介護サービス利用者や家族と信頼関係を構築し、「安心して相談できる」と思ってもらえるような対応を心がけましょう。
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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています
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