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仕事・スキル 介護士の常識 2022/04/26

#ケアマネ

サービス担当者会議とは? 目的・注意点・開催の流れを解説

構成・文/介護のみらいラボ編集部 6_0408.jpg

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、高齢者に対する介護・支援の提供だけでなく、施設利用者が安心してサービスを受けられるための「サービス担当者会議」の実施・参加も欠かせません。サービス担当者会議とは、よりよいサービスを提供するために必要な会議のことです。省略して「サ担」と呼ばれることもあります。

これまでサービス担当者会議に参加したことのない介護従事者にとっては、この会議がどのようなものなのか分からないということも多いでしょう。そこで当記事では、サービス担当者会議の基礎知識から、参加スタッフの注意点、開催の流れまで詳しく解説します。

1.サービス担当者会議とは?目的・参加者・開催のタイミングも

サービス担当者会議とは、ケアプランを作成した介護支援専門員(ケアマネジャー)が中心となって、施設利用者によりよいサービスを提供するための情報を共有したり、意見を交換したりする会議のことです。具体的には、ケアプランの作成意図や目標とするイメージの共有のほか、想定リスクや課題解決に向けた意見の交換を行います。

サービス担当者会議の主な参加者は、下記の通りです。

■サービス担当者会議の主な参加者

・介護支援専門員
・医師
・介護関連スタッフ(介護職員・介護福祉士・訪問介護員など)
・リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士など)
・サービス提供責任者
・利用者とその家族

介護支援専門員は、サービス担当者会議の進行担当をするいわゆる主催者的な位置づけとなり、サービス担当者会議に欠かせない存在です。上記のほかにも、必要に応じて担当看護師・訪問看護師といった医療機関の担当者が参加するケースもあります。

また、サービス担当者会議の開催タイミングは、基本的に下記の通りです。

■サービス担当者会議の主な開催タイミング

・ケアプランの作成・変更時
何らかのトラブル発生時
介護認定の更新時

ケアプランの作成・変更時は、サービス担当者会議の開催が義務付けられていることも覚えておきましょう。なお、実施場所は施設利用者本人の自宅、もしくは利用者の主治医の医療機関が基本です。

2.サービス担当者会議に参加するときに注意すべきポイント

サービス担当者会議は、施設利用者によりよい介護サービスを提供することを目的とした会議です。今後のサービス提供方法や、対応方法が大きく変わるきっかけになり得ます。重要な会議なので、進行役を務める介護支援専門員だけでなく、その他のスタッフも積極的に意見を出し合って上手に進めなければなりません。

ここでは、主催する介護支援専門員だけでなく、その他のスタッフにも役立つ「注意点」を詳しく解説します。

事前にリスクを想定しておく

前述の通りサービス担当者会議は、ケアプランの作成・変更時に開催が義務付けられています。その他にも何らかのトラブルが発生したときや、介護認定が更新されるときもサービス担当者会議が開催されます。これらのイベントは1つの区切りでもあり、介護サービスの見直しとともにリスクの想定も必要です。

新たな介護サービスの情報共有だけでなく、事前にリスクを想定したうえでどのように回避すべきかを論点に出さなければ、サービス担当者会議を上手に進めることはできません。サービス担当者会議に参加するスタッフは、どのようなリスクが起こり得るかを改善策とともに事前に想定しておくとよいでしょう。

多くの意見が出し合える環境を作る

サービス担当者会議に参加する介護従事者や利用者・利用者の家族は、慣れない環境に緊張してしまい、なかなか意見を出せない可能性もあります。

意見を交換し合うことができなければ、確実に有益な会議とはなりません。そのため進行役である介護支援専門員は、すべての参加者が気軽に意見や相談を交わせるような雰囲気づくりに励む必要があります。

進行役として会議をきちんと進めていくことはもちろん、ときには積極的にコミュニケーションをとって談笑を交わすなどして、参加者全員が気軽に意見を出せるような環境を作りましょう。

話題が脱線しないよう配慮する

サービス担当者会議に参加するときは、話題が脱線しないよう配慮することも重要です。多くの意見が出し合える環境を作るためにコミュニケーションを積極的にとるあまり、ついつい話題が脱線してしまうケースも少なくありません。

話題が脱線すれば論点が不明瞭となり実のある意見を交換できないだけでなく、効率的に会議を進めることもできなくなってしまいます。そのため、サービス担当者会議を開催する目的を明確にし、会議参加者に対して事前に目的や議題を周知しておくことが大切です。

また、必要に応じてアジェンダや資料を作成・配布し、会議の開始前に目を通してもらうことで進行がよりスムーズになります。会議参加者も事前の準備ができるようになるため、話題の脱線を防げるだけでなく、実のある意見交換にもつながるでしょう。

利用者や家族が主体であることを確認する

サービス担当者会議の主な目的は「よりよい介護サービスを提供するため」ですが、さらなる目的には「利用者とその家族が安心して毎日を過ごせるようにするため」が挙げられます。そのため、サービス担当者会議は利用者や家族が主体となります。

サービス担当者会議の進行役を務める介護支援専門員は、開会のあいさつ時にまず利用者とその家族に向けて「本日はお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます」と伝えて、利用者とその家族が主体であることを明確にしましょう。

3.【介護支援専門員向け】サービス担当者会議開催の流れ

サービス担当者会議を主催したことのない介護支援専門員の場合、当日の開催の流れや進め方が分からないことから、不安に陥る可能性もあります。きちんと準備をしたうえで当日を迎え、スムーズに進めるためには事前に開催の流れを知っておくことがポイントです。

最後に、サービス担当者会議を主催する介護支援専門員向けに、ケアプラン作成時のサービス担当者会議開催の流れを紹介します。介護支援専門員以外の介護スタッフは、当日の流れを把握するための参考にしてください。

開催前|ケアプランの作成

サービス担当者会議を開催する前には、必ず仮のケアプランを作成します。ケアプランは、下記のような手順で作成することが基本です。

(1) 現状把握(インテーク)
(2) アセスメント
(3) ケアプランの仮作成
(4) サービス担当者会議の開催
(5) ケアプランの修正・本作成

サービス担当者会議は、仮のケアプラン作成が終わり次第開催されます。最終的なケアプランはサービス担当者会議で出されたあらゆる意見や課題の発見を経て決まります。仮のケアプラン作成はサービス担当者会議の軸ともなるため、たとえ仮であってもきちんと作成することが望ましいでしょう。

●関連記事:インテークとは?ケアマネが実施する際の流れと基本マナー

開催前|利用者・サービス担当者への周知・日程調整

サービス担当者会議の前には、利用者・サービス担当者へ周知し、出席依頼・日程調整を行うことが基本です。

介護保険サービスを利用することが初めてという利用者は多いため、利用者に対しては特に丁寧に、かつ具体的に説明しておくとその後がスムーズになります。さらに、開催にあたって個人情報が取り扱われること・出席者(主治医や介護スタッフなど)に対する気遣いは必要ないことを伝えておくと親切です。

また、出席を依頼するサービス担当者の中でどうしても日程が合わない担当者がいれば、レジュメに記載した課題に対する意見などの文書照会を行いましょう。

会議当日|サービス担当者会議の進め方

サービス担当者会議当日の基本的な流れは、下記の通りです。

(1) 開会のあいさつ・自己紹介
(2) 議題の話し合い
(3) 利用者とその家族への確認
(4) まとめ・課題の確認
(5) 閉会のあいさつ

利用者やその家族と初対面の関係者が多い場合は、一人ひとり順番に挨拶をします。顔合わせがすでに済んでいる場合は、介護支援専門員が関係者全員の名前を軽く紹介する程度で問題ありません。

自己紹介が済んだら、サービス担当者会議のメインである議題の話し合いを行います。このとき、各関係者が気軽に意見を出せるようコミュニケーションをとったり、話題が脱線しかけたらメインの議題にうまく戻したりすることも介護支援専門員の役目です。

各介護スタッフの意見を交換し、ある程度の内容がまとまったあとは、利用者とその家族に最終的な確認をしてもらいます。利用者とその家族に疑問や不安が残ったまま会議を終わらせないためにも、専門用語は嚙み砕いて説明したり、疑問点をあぶり出したりしましょう。

利用者とその家族の確認が終わったら、当日に話し合ったことを整理し、全員で改めて認識する時間を作ります。担当者によっては持ち帰る課題もあるため、あわせて課題についてもまとめます。その後、閉会のあいさつやお礼を行って終了です。

開催後|ケアプランの修正・発行

サービス担当者会議の開催後は、会議で得た意見や課題をもとに、仮作成したケアプランの修正を行い、再度提案します。利用者とその家族にも当然確認してもらい、同意を得られれば同意書に自署もしくは押印をもらってケアプランを発行しましょう。発行したケアプランは、介護サービス提供事業者にも交付します。

また、ケアプランの発行後は「モニタリング」として、ケアプランにもとづいた介護サービスが提供されているかどうかを定期的に確認する必要があることも覚えておきましょう。

●関連記事:ケアプラン(介護サービス計画書)とは?作成の流れやポイントも

まとめ

サービス担当者会議とは、施設利用者によりよい介護サービスを提供すること・利用者が安心して日常生活を送ることを目的とした会議です。主にケアプランを作成した介護支援専門員(ケアマネジャー)が中心となって、各介護スタッフや利用者とその家族に必要な情報を共有したり、意見を交換したりします。

介護支援専門員は、サービス担当者会議においていわゆる司会者役を務めるため、進行においては参加者である介護関連スタッフやリハビリスタッフなどとまた異なる注意点が存在します。特に、各関係者が気軽に意見を出し合えるための環境を作ったり、話題が脱線しないよう配慮したりすることは介護支援専門員ならではの役割です。

「介護のみらいラボ」では、介護現場で活躍する方に有益な情報を数々掲載しています。サービス担当者会議についてだけではなく、介護業界に役立つ知識を得たいという方は、ぜひ「介護のみらいラボ」をご覧ください。

参考:厚生労働省「ケアマネジメントのあり方」

※当記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています

●関連記事:ケアカンファレンスとサービス担当者会議の違いは?

●関連記事:介護のアセスメントとモニタリングの違いは?実施時のポイントも

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