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仕事・スキル 介護士の常識 2022/05/30

#ケアマネ

ケアカンファレンスとサービス担当者会議の違いは?参加時のポイントも

構成・文/介護のみらいラボ編集部 7.jpg

病院などの医療機関や老人ホームなどの介護福祉施設では、患者さん・利用者によりよいケアを提供するため、「ケアカンファレンス」や「サービス担当者会議」などの会議を定期的に実施します。どちらも施設のスタッフや関係者が集まって行われる会議であり「同じようなもの」と考える人も多いものの、実は大きな違いがあります。

そこで今回は、ケアカンファレンスとサービス担当者会議の違いを、法令・参加者を中心に詳しく解説します。両者の違いを正しく理解し、業務改善・提供するケアの質向上につなげましょう。

1.「ケアカンファレンス」と「サービス担当者会議」の違いとは

ケアカンファレンスとサービス担当者会議は、いずれも病院などの医療機関や老人ホームなどの介護福祉施設にて患者さん・利用者によりよいケアを提供するために実施される会議です。

似たような概要であることから、特に介護の現場では混合して用いられることが多々あります。しかし、厳密には両者は異なるものであり、より正確にいえばサービス担当者会議はケアカンファレンスの特殊な形態として位置づけられています。

ケアカンファレンスとサービス担当者会議の大きな違いを一言で述べるとすれば、「法令による位置づけがあるか否か」です。ここからは、それぞれの概要についてより具体的に紹介します。

介護に関する会議一般を指す「ケアカンファレンス」

ケアカンファレンスとは、より質の高い医療・介護サービスを提供することを目的に、施設スタッフ・関係者参加のもと実施される会議のことです。基本的に介護に関する会議一般を指しており、医師・看護師・介護士・リハビリ専門職などあらゆる職種のスタッフが参加し、情報共有・認識のすり合わせ・問題点の発見・改善策の提案を行います。

ケアカンファレンスは、法令上の位置づけがありません。つまり開催が義務づけられておらず、各施設で自発的に開催されていることが特徴です。開催のタイミングは、週1回・月1回など職場によって異なります。

また、カンファレンスは「会議」という意味であることから、ケアカンファレンスは「ケア」を中心とした話し合いを行うことがわかります。しかし、サービス担当者会議も介護やケアに関する会議であるため、「ケアカンファレンスの一部」といえるでしょう。

狭義では、法令上の位置づけがないものがケアカンファレンスで、法令上の位置づけがあるものがサービス担当者会議であると覚えておきましょう。

●関連記事:ケアカンファレンスとは? 意味・目的・参加時のポイント

法令で開催が義務づけられている「サービス担当者会議」

サービス担当者会議とは、高齢者向け施設の利用者に、よりよいサービスを提供することを目的に、ケアプラン作成を行ったケアマネジャー(介護支援専門員)が中心となり実施される会議のことです。ケアカンファレンスと同様、多職種が参加して情報共有・課題解決に向けた意見交換を行います。

サービス担当者会議はケアカンファレンスと違って法令上の位置づけがあり、開催が義務づけられていることが特徴です。厚生労働省が発表している介護基準に関する省令では、サービス担当者会議の運営・支援基準について下記の通り記されています。

■指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第十三条九

介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。

(引用:e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
引用日2022/03/28

■指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準 第三十条九

担当職員は、サービス担当者会議(担当職員が介護予防サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、介護予防サービス計画の原案に位置付けた指定介護予防サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該介護予防サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。

(引用:e-Gov法令検索「指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」
引用日2022/03/28

■指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第十三条十五

介護支援専門員は、次に掲げる場合においては、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
イ 要介護認定を受けている利用者が法第二十八条第二項に規定する要介護更新認定を受けた場合
ロ 要介護認定を受けている利用者が法第二十九条第一項に規定する要介護状態区分の変更の認定を受けた場合

(引用:e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
引用日2022/03/28

■指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第十三条二十二

介護支援専門員は、居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付ける場合にあっては、その利用の妥当性を検討し、当該計画に福祉用具貸与が必要な理由を記載するとともに、必要に応じて随時サービス担当者会議を開催し、継続して福祉用具貸与を受ける必要性について検証をした上で、継続して福祉用具貸与を受ける必要がある場合にはその理由を居宅サービス計画に記載しなければならない。

(引用:e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
引用日2022/03/28

ケアプランの作成・変更時や要介護認定の更新時・何らかの計画変更時には、必ずサービス担当者会議を開催しなければなりません。このように、「サービス担当者会議はケアカンファレンスの一種であること」「サービス担当者会議は指定のタイミングでの開催が義務づけられていること」の2点を覚えておきましょう。

(出典:厚生労働省「サービス担当者会議の位置づけと目的」

●関連記事:サービス担当者会議とは? 目的・注意点・開催の流れを解説
●関連記事:ケアプラン(介護サービス計画書)とは?作成の流れやポイントも

2.「ケアカンファレンス」と「サービス担当者会議」の参加者の違い

自発的かつ不定期に開催されるケアカンファレンスと、法令で開催が義務づけられているサービス担当者会議とでは、会議の参加者にもやや違いが存在します。

自発的に開催されるケアカンファレンスは、インフォーマルな会議となることが多いため、現場で活躍する介護スタッフとサービス・施設管理者が主体となり実施されるケースが多々あります。また、カンファレンス内容によっては医師・看護師のほか、利用者やその家族が参加する場合もあるでしょう。もちろん、現場の介護スタッフのみが参加するケアカンファレンスもあります。

一方で、サービス担当者会議はケアマネジャーが司会進行役となり、利用者やその家族も参加のもと主催されるフォーマルな会議です。会議内容によっては、現場で活躍する介護スタッフが参加しないケースもあるでしょう。

厚生労働省が発表している省令「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」では、基本的にケアマネジャーが主催して、利用者・家族を招きつつ、サービス担当者も参加してサービス担当者会議を行うことが記載されています。

■指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第十三条九

介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師(以下この条において「主治の医師等」という。)の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。

(引用:e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
引用日2022/03/28

ここでいう「サービス担当者」は現場の介護スタッフのみを指しているとは限らず、会議内容によっては管理的な立場の人が参加したり、利用者の心身の状況によっては医師や歯科医師が参加したりするケースもあります。

(出典:独立行政法人福祉医療機構「6.サービス担当者会議」

3.「ケアカンファレンス」や「サービス担当者会議」に参加する際のポイント

ケアカンファレンス・サービス担当者会議のいずれにしても、現場の介護スタッフが参加するケースが多くあります。ケアカンファレンスは不定期に開催されているとはいえ、日常的に行われていることも多い会議です。一方で、サービス担当者会議は実施頻度が比較的少なくなっています。

サービス担当者会議は事前に議題が明確となっていることも多々あり、現場の介護スタッフが積極的に発言できているとは限りません。とはいえ、参加する場合は利用者に最も近い現場の介護スタッフが、積極的な姿勢で臨むことが大切です。また、将来的にケアマネジャーを目指している場合は、自身の経験・勉強としてサービス担当者会議の機会を生かしましょう。

ここからは、ケアカンファレンスやサービス担当者会議に参加する際のポイントを説明します。

事前に担当利用者の評価を行う

ケアカンファレンスやサービス担当者会議を行う前は、必ず担当する利用者の評価を行い、要点をまとめておきましょう。評価すべき点は、今後のケア計画・想定されるリスク・リスクや課題に対する改善点などが挙げられます。

上記のいくつかの評価点をまとめておくことで、参加者全員で会議の議題として意見を出し合えるだけでなく、認識をすり合わせたり今後の方向性を多職種で連携・統一化させたりすることができます。結果として、利用者が気持ちよく過ごせるようなケアの提供につながるでしょう。

担当していない利用者の状況にも気を配る

ケアカンファレンスやサービス担当者会議に積極的に取り組むためには、担当外の利用者の現状にもしっかり気を配ることが重要です。利用者の特性は一人ひとり異なるので、介護スタッフとして成長するためには、担当外の利用者の特性も含めた幅広い知識が必要です。

自分が日頃から担当している利用者の個性はすでに細部まで理解している一方で、担当外の利用者については、個性や適切なケア方法が把握できていないかもしれません。

そのため、ケアカンファレンスやサービス担当者会議に参加する際は、自分が担当していない利用者を担当するスタッフの話をきちんと聞いて、新たに得た学びや気づきはしっかりメモに記録することが大切です。記録したメモは、定期的に確認して実務につなげるとよいでしょう。

自分から積極的に意見を出す

ケアカンファレンスやサービス担当者会議への参加経験が少ない新人介護スタッフは、周りのスタッフや関係者の意見に耳を傾けることはできても、積極的に意見を述べることができないというケースも多々あります。

しかし、ケアカンファレンスやサービス担当者会議を有意義な会議とするためには、各々が意見を出し、全員で議論を進めることが重要です。新人スタッフの意見は、時として有益な情報となる可能性もあるため、「新人の自分が意見を述べてもよいのだろうか」といった不安を抱えず、積極的に意見を出すようにしましょう。

また、ケアカンファレンスやサービス担当者会議への参加経験が豊富なベテランスタッフは、新人スタッフが積極的に意見を出せるような雰囲気づくりを行うことも重要です。

他職種の考え方を学ぶ

前述の通り、ケアカンファレンスやサービス担当者会議では介護職員のほかにも、医師や看護師、リハビリ専門職といったあらゆる職種のスタッフが参加します。各職種の視点からリスクや問題解決についての協議が進められるため、相互理解を深めながら情報共有ができます。

他職種の意見は、自分の視野を広げる機会にもなり得ます。視野が広がり新たな知識を得ることで、介護技術だけでなく介護サービス全体を理解する機会にもなるでしょう。他職種の考え方から得た新たな学びは、仕事に活用できるようメモに欠かさず記録しておくこともポイントです。

まとめ

ケアカンファレンスとサービス担当者会議は、いずれもよりよいケアやサービスを提供するために医療・介護現場で実施される会議です。両者の大きな違いは「法令上の位置づけ」であり、ケアカンファレンスは法令上の位置づけがありません。サービス担当者会議は法令上の位置づけがあるため、特定のタイミングで実施することが義務づけられています。

ケアカンファレンスやサービス担当者会議をより有益な会議とするためには、利用者に最も近い存在である介護スタッフが積極的な姿勢で取り組むことが重要です。ここまで紹介したポイントを参考に、ぜひ各会議に取り組んでみてはいかがでしょうか。

「介護のみらいラボ」では、介護業界で活躍する職員に向けて、日々お役立ち情報を発信しています。介護スタッフとして成長したい・スキルアップを叶えたいという方は、ぜひ他記事もご参考ください。

※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

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