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仕事・スキル 介護士の常識 2022/05/29

#ケアマネ

ケアカンファレンスとは? 意味・目的・参加時のポイント

構成・文/介護のみらいラボ編集部 6.jpg

介護スタッフの仕事内容は、「利用者への介護・サポート」だけにとどまりません。よりよい介護サービスを提供するための業務のひとつに、ケアカンファレンスへの参加が挙げられます。

ケアカンファレンスは簡単にいうと「医療・介護現場において多職種連携のもと実施される会議」のことです。

当記事では、ケアカンファレンスの概要から参加する目的、参加する際のポイントまでを詳しく解説します。今後介護業界に携わる予定がある方・すでに介護現場で働く新人スタッフの方は、ぜひ参考にしてください。

1.ケアカンファレンスとは?

ケアカンファレンスとは、よりよい医療や介護サービスを提供することを目的に、医療・介護現場で実施される会議のことです。看護師・介護士などあらゆる職種のスタッフが集まり、情報共有、認識のすり合わせ、問題の発見と改善策の提案を中心に話し合います。業界では、「カンファ」と略されることも多いです。

似たような用語・会議形態として「サービス担当者会議」が挙げられますが、ケアカンファレンスはサービス担当者会議とは違い、法令的に開催が義務付けられているものではありません。

■指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第十三条九

介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師(以下この条において「主治の医師等」という。)の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。

(引用:e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
引用日2022/03/27

■指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準 第三十条九

担当職員は、サービス担当者会議(担当職員が介護予防サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、介護予防サービス計画の原案に位置付けた指定介護予防サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該介護予防サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。

(引用:e-Gov法令検索「指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」
引用日2022/03/27

ケアマネジャー(介護支援専門員)が主催するサービス担当者会議は、ケアプラン作成・変更時や要介護認定の更新時など、あらゆるケースにおいて開催が義務付けられています。一方でケアカンファレンスは各施設が自主的に開催する会議であるため、勤務先の施設によって週1回・月1回など頻度が異なることが特徴です。

2.ケアカンファレンスに参加する目的

ケアカンファレンスには、基本的にその施設のスタッフ・関係者が参加します。施設の方針やカンファレンス内容によっては、スタッフ・関係者総出で開催するケースもあります。ここでは、ケアカンファレンスに参加する目的について紹介します。

●利用者に関する情報の共有
ケアカンファレンスの主な実施目的は、基本的に「利用者の情報共有」です。特に実務経験の少ない新人介護スタッフでも、ケアカンファレンスに参加することで、他の介護スタッフから有益な利用者の情報を把握することができます。

●他職種との相互理解
高齢者向け施設には、介護従事者だけでなく、医師・看護師・リハビリ専門職といった他の職種のスタッフも関わっています。多職種が集まるケアカンファレンスに参加することで、各職種の視点から情報・問題点・解決策・課題を提案してもらうこともできます。共通理解を深められれば、より広い視点で介護サービスを提供できるようになり、施設の全体的な質の向上にもつながるでしょう。

●ケア品質の改善
ケアカンファレンスに参加することで、施設が提供するケア品質の改善も期待できます。前述の通り、ケアカンファレンスは複数の職種のスタッフが参加して意見し合います。重要な情報を共有し、お互いの認識をすり合わせることで、ケアの方向性も定まりやすくなるでしょう。結果として、提供するケアの品質改善が叶い、利用者の満足度向上にも期待ができます。

●介護スタッフの育成
ケアカンファレンスの主な目的は、利用者の情報共有・他職種との相互理解・ケア品質の改善ですが、新人介護スタッフにとっては新たな学びを得る機会となります。ケアカンファレンスではこれまでに起きたトラブルを事例とした検討会を行うケースもあり、特に実務経験の少ない新人介護スタッフには、今後の実務における有益な参考情報となるでしょう。

3.ケアカンファレンスに参加する時のポイント5つ

ケアカンファレンスが有意義な会議となるか否かは、参加した介護スタッフの参加の姿勢次第です。「新たな発見や学びを得られる機会」として自ら積極的に参加しなければ、今後の実務に活かすことはできないといっても過言ではありません。

ケアカンファレンスに参加する際は、下記5つのポイントを意識しておきましょう。

●利用者の状況について整理しておく
●しっかりとメモを残す
●他のスタッフの意見に耳を傾けつつも自分の意見も出す
●守秘義務を守る
●担当外の利用者の状況も意識する

ここからは、各ポイントについてより詳しく解説します。

利用者の状況について整理しておく

ケアカンファレンスの実施前には、必ず担当している利用者の情報や、状況を整理しておきましょう。整理すべき情報は、利用者の現状や今後の課題とその改善策などが挙げられます。利用者の現状は、日頃から記入していたカルテなどを参考にまとめましょう。

事前に利用者情報をまとめておくことで、カンファレンスで先輩スタッフから何らかの意見を求められた際にもすぐに的確な情報を共有することが可能です。また、問題解決に向けた意見や、利用者対応時に意識すべきポイントを伝えることで、他職種との連携や認識のすり合わせもしやすくなります。

しっかりとメモを残す

カンファレンスにただ参加するだけでは、細かな情報をインプットすることができません。カンファレンスに参加する中で得た学びや気づきは、たとえ小さなものでもしっかりとメモを残すことが大切です。

業務に役立つ情報をメモに記録することで、情報を整理しやすくなり、カンファレンスで学んだことの理解がより深まります。カンファレンスの場ではうまくインプットできなかった内容も、日々業務に携わる中でふとメモを読み返せばきちんと理解できることがあります。メモに記した情報をどのようにアウトプットすべきかを考えるのが、実践で上手に生かすコツです。

他のスタッフの意見に耳を傾けつつ自分の意見も出す

ケアカンファレンスは、参加したスタッフ・関係者のすべてが有意義な会議となるよう、他のスタッフの意見を聞きつつ、自分の意見も出すことを心がけましょう。一人ひとりが意見を出し合うことで、利用者に関する細かな情報を全員で共有できるようになります。

新人介護スタッフの場合は、発言できず、黙って聞いてしまうことも少なくありません。とはいえ、新人ならではの視点は、ときとして有益な意見となります。ふと口にした意見が参加者全員の気づきとなる場合もあるので、新人だからといって遠慮せず積極的に発言しましょう。たとえ却下される提案をしてしまっても、積極的に発言するという姿勢は評価されるでしょう。

守秘義務を守る

ケアカンファレンスに参加する際は、「守秘義務があること」を忘れてはなりません。

ケアカンファレンスでは、内容やその時の状況によって、利用者本人やその家族が参加することもあります。多くの場合、個人情報を取り扱っているため、厳しい守秘義務が規定されています。個人情報はもちろん、カンファレンス内容も外部に漏らしてはなりません。

「利用者本人やその家族の今後の生き方・人生をサポートする」という責任をもって行われる会議であることに留意しましょう。

担当外の利用者の状況も意識する

介護スタッフは基本的に担当の利用者が存在しており、日頃から担当利用者に対して介護サービスやケアを提供します。担当できる利用者数には限りがあるため、他の利用者から気づきを得ることは多くありません。

ケアカンファレンスは、自身が担当していない利用者を担当するスタッフも参加します。介護職員としての知識を習得するためには、担当外の利用者の状況にも気を配り、整理しておくことが重要です。

まとめ

ケアカンファレンスとは、よりよい医療や介護サービスを提供することを目的に、医療・介護現場で実施される会議のことです。施設のスタッフや利用者にあらゆるケアを提供する関係者(看護師・リハビリ専門職など)が参加し、情報共有・認識のすり合わせ・問題の発見と改善策の提案を中心に話し合います。

ケアカンファレンスを有意義な会議とするためには、「一人ひとりが積極的な姿勢で参加しているかどうか」が重要です。今回紹介したポイントを参考に、新たな学びや気づきを得られるようなカンファレンスにしてください。

「介護のみらいラボ」では、当記事の他にも介護スタッフに向けた有益な情報を日々発信しています。現場で活用できる知識・スキルを身につけたい方は、ぜひ他記事も参考にしてください。

※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

●関連記事:ケアカンファレンスとサービス担当者会議の違いは?

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